きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「2.43 清陰高校男子バレー部 代表決定戦編 1」壁井ユカコ (集英社文庫)
魅力的なライバル校の登場で、ますます楽しくなってきたお借り本。
誰にだって自分が主役の物語がある。
そんな風に思わせる個々へのスポットのあて方がとてもうまい。
だから、どのチームも応援したくなる。
……というのは建前で、本音はライバル校の三村推し。
彼の立ち位置、背負ったもの、プレッシャーを跳ねのけられる強さ、抱えた爆弾。
勝敗は次巻を読む前からわかっているので、
彼が最後までコートに立っていられることを願って今からドキドキ。
置物かと思っていた清陰の老顧問が古狸過ぎて慄く。
だけど、灰島にとっては大事な経験だったと思う。
数々のスポーツ漫画を読んできて主人公チームに肩入れしたのは、
「あひるの空」と「ジャイキリ」だけだったことを思い出してみました。
今から次巻を読むのが辛い……でも読まない方が色々気になりすぎてもっと辛い(笑)
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腐葉土 (集英社文庫) 文庫 – 2013/4/19
関東大震災の焼け野原の中を必死で歩き、
東京大空襲の戦火の中を生き延び、
そこから一人、這い上がった女の壮絶な人生の物語。
混乱した世の中を
よくぞそこまで逞しく生き切ったと、ただ圧倒されるしかない。
そんな彼女の死の真相を巡り、記者たちが地道な努力を積み上げて探り当てた真実。
法の示す正義と感情の示す正義が嚙み合わず、
何とも言い難い想いがこみ上げる。
そして、問いかける。
彼らにとっての幸せとは、どういうものだったのだろう?と。
運命に翻弄されたことが伝わってくるだけに
なかなかにやるせない読後。
私にしては珍しく、発刊順を間違えての読了。
シリーズ二作目だと思って読んだけど、これはシリーズ四作目だった。
そして袋から開封されていないままの二作目が背後に放置……迂闊だったわー。
←シリーズは順番通りに読みたい人です。
まぁ、面白かったから無問題。
「妖奇庵夜話 千の波 万の波」榎田ユウリ (角川ホラー文庫)
それは、彼にしか与えることのできない罰。
残酷で、とても哀しい罰。
贖いきれない罪を犯した男は、その瞬間、絶望を知る。
その罰を与えた方も与えられた方も、塞がることのない傷を抱えたまま、
この先の人生を歩んでいくことを思うと、胸が苦しくなる。
男は孤独を纏った闇の中から抜け出せない。
だけど、それは彼自身の招いた業だ。
一方の彼には彼をあたたかく迎えてくれる家族がいる。
彼を必要とする人たちがいる。
凛とした態度を崩さず、
光を失っても優しい笑顔を失わなかった彼。
だけど、その笑顔が何故か胸に刺さって仕方のない読後。
シリーズ最終巻。
ジワジワと胸に浸透するこの想いを、なんと表現すればいいのだろう?
切ない、が一番近いのかな。
生きていれば日々いろんなことがあるわけで、
それでも、笑顔を浮かべることができるのが理想。
「泣いても笑っても同じ一日。
だったら、笑って生きましょう」
私に力をくれたこの言葉は、死ぬ瞬間まで効力を発揮してくれるだろう。
「2.43 清陰高校男子バレー部 1」壁井ユカコ (集英社文庫)
物事に一心不乱に打ち込む原動力はそれが「好き」という想い。
10代の子たちのその想いは、淀みなく真っすぐで、熱意に漲り、そして時に脆い。
中学、高校での部活動に打ち込む時間はかけがえがなくて、
多分、一生の宝物になる。
悩んだり、苦しんだりしながらも、仲間たちと共に過ごした時間は、
後に振り返ればキラキラとした輝きを放ち続けるだろう。
青春の思い出。
おそらく主要メンバーとなるそれぞれが、バレーと向き合う経緯を描いた一作目。
これからの彼らがどんな時間を過ごすのか。
ワクワクが止まらない。
シリーズを読むのがとっても楽しみなお借り本。
甥っ子ちゃんが県大会に行ったり、
姪っ子ちゃんが県大会出場をかけて予選に臨んだり、
友だちの息子さんが甲子園をかけて準決に臨んだり……と、
部活関連の話をここのところよくしていたので、
なんだかより感情移入をしながら一気読み。
灰島はどこぞの王様とイメージかぶるんですけどー(笑)
「密計 ドラッグ・チェイスシリーズ2 」(モノクローム・ロマンス文庫)
どうしたって情に左右されてしまう私は弁護士や検事にはなれない。
と思っていたけど。
潜入捜査も無理だな、と思ってみた。
良かれと思ってすることでも、法を順守していなければ裁かれる。
子どもたちが苦しんでるのはホント辛い。
どうにかしてあげたいと思ってしまう。
ラベルに貼られた品質と中身が違っていても、多分私たちは気づかない。
その中身が毒だったら目も当てられない。
そういうことを平気でする輩は地獄に落ちればいい。
お互いをかけがえのない存在として距離を縮めていくラッキーとボー。
素敵な言葉を聞かせてくれたところでこの巻は終了。
ボーのかつての小遣い稼ぎの手段が意外過ぎて!
そのイラストが素晴らしかった。
英語で小説を読むことは諦めたので、続刊の翻訳を心待ちにしています。
でも、ちょっと悪あがきしてみようかなー。
ほんやくこんにゃくが欲しい……
「創竜伝(10) 大英帝国最後の日」田中芳樹 (講談社ノベルス)
日本・アメリカ・香港・イギリス。
場所は変われど、やることなすこと変わらず。
とはいえ、少しずつ核心には迫っているのかな?
そして、もはや面白キャラと化している小早川奈津子女史。
初読時はうんざりしていたあの高笑いが、
だんだん愉快に思えてきたのは何故だ?
時事ネタをぶっこんでくるならダラダラ引き延ばさないで一気に書き上げないと、
今更感満載になっちゃうんだよね。
そういう冷めた感じをなっちゃんの道化感が払拭してくれている気がする。
一角が崩れた四人姉妹。
次の手を投じる牛種。
再び合流した竜と人間の悪党たち。
そしてさっさと決着をつけてほしいと思っている私。
スコットランドの民族衣装にバグパイプとくれば、
私の中では丘の上の王子様一択です。
わ~、読みたくなってくる。
いつか再読してレビューをあげたいと思っている作品のひとつ。
「ドラッグ・チェイス (1)」 還流 (モノクローム・ロマンス文庫)
【再読】
自分の抱えた傷も、過去の過ちも。
何もかもを知ったうえで、傍にいてくれる。
受け止めてくれる。
安らぎを与えてくれる。
更には、遠慮なく物が言い合えるとなれば、そりゃあ、恋に落ちるよね。
違法薬物の捜査でバディを組んだラッキーとボー。
主役はこの二人なんだけど。
再読の今回はラッキーとヴィクターの過去が何だか切なく刺さった。
犯罪組織のボスであるヴィクターを擁護することはできないんだけど、
ラッキーに誤解された愛情が切ない。
過去の延長上に現在がある。
その後の二人がとっても気になっていて、待ち続けていた続刊の翻訳がとても嬉しい。
ほぼ七年ぶりの続刊。
発刊してくれてありがとう!
価格が1.5倍でも気にしない。
レーベルで新刊を出し続けてくれることを期待しているので。
「神の手」望月諒子 (集英社文庫)
なんで掘りに行っちゃったんだろう?と首を傾げる。
余計なことさえしなければ発覚しない犯罪。
だけど、ドーンと構えてはいられない。
うん。後ろ暗いところがあれば落ち着かないよね。
あんな風に追い詰められると確認せざるを得ない心理になるのかな?
もしくは、諦念と覚悟。
一人の作家が生み出した作品からの抜粋を随所に散らしながら展開していく物語。
そこにあるのは狂気か、計算されつくした正気か。
地道に真実を追い求めた彼女の実直さと男の妄執とが暴きだした真実。
一緒に追い詰められていくかのような臨場感と迫力のある作品だった。
冒頭での「和歌山県 白浜の海を望む断崖」の描写に
あ、行ったばっかり!と情景がリアルに浮かびました。
絶妙なタイミングで読んだなぁ。