きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「シルバー・オクトパシー」五條瑛(徳間書店)
世の中にはいろんな職業があるんだなーと思わず感心してしまった。
(多分そこ感心するところではない)
アクの強い8人が罵詈雑言を吐き合いながら各々好き勝手やっているようで、
実際は徹底したプロ意識の元、互いに補いあって一つの仕事が完成されていく様を追っていくのが面白い。
「揉め事解決のプロ集団」は8人でひとつ。
「オクトパシー」とは納得のネーミング。
そんな彼らの私生活が謎すぎて興味津々。
他者の手に自らの命を委ねるのではなく、
自分の運命を自分で選択して自分で切り開く。
そんな選択肢が与えられている国に生まれた幸いをしみじみと思う。
「銀ダコ」と言われると、どうしてもアツアツのたこ焼きを思い出してしまう。
たこ焼き用のプレートを処分しちゃったから
たこ焼きは外でじゃないと食べられないんだよね。
最後に銀だこを食べたのは、去年読友さんと一緒に野球観戦に行った時だった。
わー、たこ焼き、久々に食べたいな~。
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「ヨリックの饗宴」五條瑛 (文春文庫)
女が自らの元に縛り付けようとした男は、翼を手に入れて飛び立っていった。
自由に、そして奔放に。
一元的に物事を見ていては、真実は見えてこない。
彼は守りたかった。
どうしても、大切なものを。
決して傷つけたくなかった者たちを。
いつしか運命の歯車は回り始め、そして時は告げられる。
彼は渦中に舞い戻り、望む望まざるに関わらず、
その秘密に巻き込まれた者たちは自らの運命と向き合うことになる。
そして課せられる決断の時。
アメリカ。日本。密約。政権交代。
読了後にふと思う。
著者の物語の中に、リアルがどれだけ埋め込まれているのだろう?と。
戦える女子。カッコいいな~。
悠子さん、素敵。
自分の人生と運命を楽しんでいる。
そう言い切る栄一もカッコいい。
迷える耀二もそう言えるようになるといいね。
「かがみの孤城」辻村深月(ポプラ社)
とても良かったけど、とても残念。
10代の頃に読めたらなーと。
そうしたら、もっと身近に彼らの存在を感じられた気がする。
もっと彼らの傷に寄り添えた気がする。
それでも。
一学期より二学期、二学期より三学期と、
読み進めるほどに作品世界にのめり込んでの読了。
息をすることすら苦しくなるような現実世界で戦い続けることが難しければ。
あんなふうに逃げ込める場所に縋ったっていい。
その場所で約一年を過ごした彼らの成長に胸が熱くなる。
期限と条件付きの居場所だったからこその気づきと成長だったんだろうなぁ。
各々の約束と願いに切なくて嬉しい涙。
単行本を積んでる間に文庫が出て、映画化にもなって。
どんだけあっためたんだよ?と思いつつ読み始めたけど。
甥っ子ちゃんや弟・義妹たちと不登校について語り合った日に読めたのは
本に呼ばれたのかな?と。(どんな内容かは知らなかった)
そしてこの作品を読みながらせとなさんの『放課後保健室』が無性に読みたくなってみました。
「君が夏を走らせる」瀬尾まい子 (新潮文庫)
ある日突然三歳児を私一人で預からなければならなかった時のことを思い出す。
子どもは私に慣れていたし、意志の疎通もできる年齢だったけど、
それでも子育て経験のない私はドキドキしっぱなしの一日だった。
大田くんが預かったのは面識のない二歳に満たない子ども。
私の困惑の比ではなかっただろうけど。
全力で鈴香と向き合った彼の奮闘ぶりと、
彼になついていった鈴香の様子を追いながら
暖かな気持ちがこみ上げる。
手作りの食事を食べさせようとするとか、ホントやさしい。
例えこの先会えなくても。
夏の思い出と小さな応援団の声を糧に、キラキラした未来を手にできるはず。
少し認知症気味だった祖母が、女学校時代の同窓会に出席するために
電車に乗って目的地へ。
仕事があって祖母を現地まで送り届けることができなかった母は、
電車まで送って行って、近くの席に座っていた金髪ロン毛の男の子に祖母を託したそうな。
「目的地で下ろしてあげてください」って。
(彼の目的地は祖母が降りる駅より先だった)
話を聞いた時、嘘でしょ!?とびっくりしたけど、
何と彼、祖母を最寄り駅で下ろすだけではなく、迎えの人が来てくれるまで
祖母と一緒にいてくれたそうな。
母に見る目があったのかな。
大田くんみたいな子、身近にいました(笑)
「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅹ」」香月美夜
戦いの決着がつくと同時に、副題についても大納得。
なるほど~。
闇雲に前に突っ込んでいくだけでは、戦いには勝てない。
甘いことを言っていれば、足元を掬われる。
つくづくフェルディナンドは敵に回したくないけど、
現状の把握分析に加えて
戦後のことまでを考えて動ける人もそうそういないメンツの中で、
そこにいてくれる心強さ半端ない。
ここで洗濯機を持ってくるあたり、初回からの設定が全くぶれてなくて流石です。
毎回のことだけど、書き下ろしによる本編補完が痒いところに手が届く親切設定。
残り二冊。
戦後処理を彼らがどう展開していくのか。
とても楽しみ。
おまけまんがのぐるぐる巻きにされてピチピチしているハルトムートに爆笑。
知るべきことを知らない。
果たすべき責務を果たさない。
国を左右する立場にいる者がそれでは国は成り立たない。
そりゃあ、現場で戦ってる身としては怒り心頭に達するよね。
というわけで。
フェルディナンドには戦後処理で自分の望む未来を掴み取ってもらいたい。
「エゴイスト」高山真 (小学館文庫)
え?と、途中で呆然としたのは久々。
最後まで読み切って、いろいろ刺さりまくって、
こみ上げる感情の意味するところを反芻して涙。
愛の形に正解なんてない。
自分が幸せで、関わった人たちも幸せで。
そう感じられたのなら、そこには愛がある。
だから貴方は間違っていない。
人生は不平等で不公平。
「しょうがない」と呑み込むこともたくさんある。
それでも。
幸せを共有できる誰かに出会えたこと、
誰かに幸せを届けることができたことは誇っていい。
本編後のあとがきはサプライズでもあり、
とても素晴らしい内容でもありで、背筋が伸びました。
予備知識ゼロで読んで正解。
何かを想像していたわけではないけど、
手に取った時の自分が思っていた以上に良い作品だった。
映画を観に行く前に読んでよかったとは思ってる。
だけど、未読で映画を観た時の衝撃も味わってみたかった。(笑)
「イエスかノーか半分か読本 Color Bar」一穂ミチ
遊び心満載の、可愛いと面白いがギュギュっと詰まった一冊。
ひっさしぶりにイエスノーの世界に浸ったけど、問答無用で楽しかった!
計の自己紹介が裏表バージョンがあるのからして面白い。
思わず他の人も……と思ったけど、あるわけないよね(笑)
書き下ろし「レーザービーム」
クイズ番組で本気モードになる理由が二人ともカッコいいなー。
内心は大人げなさ全開でも、傍目的にはさらっと主導権を握ってるところもカッコいい。
「満ちる巣箱」
潮に隠し事のできない計がとても可愛い。
そして書下ろしのSSで大満足な読後。
仲良しがエンドレス。最高だね。
年賀状作成の合間に一息、と思ったら、
途中で止められるわけもなく、一気に読んでしまった(笑)
読み始めたら一気なんだから、いい加減、
せっかく新刊で買ってる本を積むのはやめよう、自分。
きっちり二年、寝かせてしまったわww
「たとえ業火に灼かれても」水壬楓子 (キャラ文庫)
14年ぶりの幼馴染との再会は、心に封じた過去を呼び起こす。
呼応するかのように痛ましい事件が起き、不穏な気配が忍び寄る。
彼等の心の傷の深さや、14年間背負ってきたものの重さに息苦しさを感じ、
それでもなお潰えることのなかった想いと抱えた諦念にやるせなさを感じ、
迫りくる脅威にハラハラし……と、終始ドキドキしながらの一気読み。
16歳の少年が抱えて生きるにはとてつもない大きな「秘密」。
お互いの「秘密」を察しつつも、決して口にすることのない二人の関係が尊い。
悪意が介在した再会だったとしても。
それを打ち消す絆の深さが二人にはあったのだと、生きていてくれてよかったと。
切に思った。
うわー、これ、途中で止められないよね。無理だよね。
だって続きがめっちゃ気になるもん!
……というわけで、読み始めたの休みの日で良かった~~!と、心底思いました。
「光のとこにいてね」一穂ミチ(文藝春秋)
偶然と必然を繰り返し、今に至るまで彼女たちは三度出会った。
共に過ごした時間はほんの僅かでも、この三度の出会いの間に
彼女たちは猛烈に惹かれ合い、とてつもなく大きなものを共有する。
それぞれが人生において大きな決断をするに至った三度目の出会い。
複雑な環境で多くの歪みを抱えても、どうにかここまで生きて来ることができたのは、
それぞれを支えてくれる人たちが傍にいたから。
互いの存在だけが生きる糧だったわけではない。
だから……このまま二人の人生が交わることなく過ぎるのが、個人的理想エンド。
これ以上密になったら二人だけで世界が完結してしまいそうだから。
チサさん、好きだなー。
傷だらけになっても、ちゃんと子供と向き合えている。
自分を大事にして幸せになってもらいたい。
素直に自分を見つめることのできた直くんにも幸せになってもらいたい。
水人にも瀬々にも藤野にも。
幸せになってもらいたい。