きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「完璧な母」まさきとしか(幻冬社文庫)
さらっと読み終わってしまったけど、内容はなかなかえぐい。
いや、逆か?
内容的にえぐいんだけど、さらっと読み終わってしまった。
描かれる三組の家族。
共通しているのは、母親に振り回される子供たちの姿。
子どもは母の意のままになる所有物ではないし、
放置して許されるものではない。
歪んでしまった子どもたちの人生の責任の大半は、母親にある。
いや、父もだ。
浮気する父親は最低だし、虐待は本人に同じことがはね返ればいい。
それぞれをもっと掘り下げたら、鬼気迫るものがあったのだろうか?
勝手な感想だけど、もっとガツンとくるものが欲しかった。
がっつりした手ごたえというか読みごたえがあると思って挑んだ結果、
あっさりしていて肩透かし。
これは私の期待値が高すぎたのか、著者がもともとそんなことは意図していなかったのか。
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「見えないほどの遠くの空を」榎本憲男 (小学館文庫)
綺麗な作品ではあったけれども。
自分的な読み時というか、「旬」を逃した作品だったなぁ、というのが第一声。
彼らと同世代の時に読んだのであれば、いろいろ刺さったのかもしれない。
揺らいで迷ってぐるぐるして。
自分の在り様を懸命に模索していた時。
もちろん今でも立ち止まって悩むことはあっても、
あの時みたいな自分の居場所探しをする感性は、たぶんもう、持ち合わせてはいない。
これまで積み重ねてきた時間があってこその今だと思っているから。
「ここに在る」ことに対する揺らぎはなく、地に足はついている。
多分ね。
これで榎本さん作品はコンプ。
うん。
やっぱり『真行寺シリーズ』が好き。
必然的に『DASPAシリーズ』も大歓迎。
ついでに黒木の話もよろしく!←誰に言ってる?(笑)
「隷属の定理」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
主役の二人以上の存在感を放った式見槐、マジ天使!
狂気を宿した乃木と対峙して圧倒的に打ち負かしたその姿に惚れ惚れする。
暴力じゃなくても、人を屈服させることってできるのよね。
そしてうっかり本業を忘れてしまうくらい、式見のボディーガードが板についた貞野。
チラチラと垣間見せる嫉妬心がまた良き。
前作のタイトルへと見事につながった本作は、
一人では生きることがままならなかった二人が、
強烈な破壊を経て見事な再生を果たす物語。
乃木がいい意味で想像を裏切ってくれたかな。
オラオラかと思ったけど、メンタルは一番繊細だった。
特典ペーパー。
タイトルから私が想像したのとはちょっと違って、
とても穏やかな空気感が醸し出された作品だった。
だって、4人っていうから……ごめんなさい。(笑)
「盤上の向日葵(下)」柚月裕子 (中公文庫)
結局。
成功を収めても、名声を手に入れても。
心に空いた虚を埋めることはできなかった。
理不尽を強いられ、衝撃的な真実を知らされ、絶望の淵に足をかけた状況にあったとしても。
彼のその選択は、誤ったのではなく、強要されたのでもなく、自らの意志で選んだ結末。
回避する瞬間はあったはずなのだから。
だから、読後に抱く思いはやるせなさではなく、諦念。
仕方ないよね、と。
どこかでそうなることを望んでいたんだよね、と。
真実を地道に積み重ねていって真相にたどり着く刑事たちの姿は頼もしい。
あの後、始末書(的なもの?)書かされたのかなぁ……
下巻を読みながら読みたくなった漫画は『兎・野性の闘牌』。
こちらは命がけの麻雀の話。一度手放して集めなおした好き作品♡
もちろん、柚木さんの作品も大好きなのです。
「盤上の向日葵(上)」柚月裕子 (中公文庫)
率直な思いは。
レビュー書いてる場合じゃないんだよ!続き読みたいんだよ!とウズウズ。
上巻だけでは気になることはなにひとつわからない。
だけど、不穏な予感はヒシヒシと。
このままの流れで決着するの?
それは嫌だなぁ、と思った時点で、作品世界にどっぷりハマってるよね。
親子の問題に他人が介入することは本当に難しい。
子どもの幸せを願う善意でも血の絆には太刀打ちできない。
一度は砕かれたかと思った未来。
だけど。潰えなかった道。
桂介が自分の手で道を切り拓ける子で良かった。
この先、誰がどんなふうに関わってくるのか。
めっちゃドキドキする。→
この作品を読みながら無性に読みたくなったのは
『3月のライオン』ではなく、なぜか『ヒカルの碁』。
好きすぎて因島まで行ってしまったんだけど、
ちょうど吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞した直後の
『村上水軍の娘』が大盛り上がりだった。
「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良 (文春文庫)
それぞれが家庭に事情を抱え、大人の事情に振り回される子どもたち。
それでも、彼らは友情を育み、大いに笑い、全力で駆け回っていた。
生命力にあふれた少年時代。
13歳の少年にできることはとても限られていて。
だけど、時に、思いもよらない発想で行動を起こす時がある。
他でもない、友のために。
30年の時を行き来しつつ語られる物語。
一人称の彼が誰なのかを理解した瞬間の痛みを何と言えばいいのだろう。
大きな重荷を抱えて大人になった子どもたち。
一人、大人になり切れなかった彼が引き起こした惨劇。
突き放さなかった彼らの想いが痛々しくていとおしい。
後から悔いるから後悔。
そして、リセットできないのが人生。
もう少し年嵩だったらもっとうまく立ち回れたのかもしれない。
だけど。
あの時の彼らはああすること以外できなかった。
「毒を喰らわば皿まで ~箱詰めの人魚~」十河
興に乗って第三弾。
国が増えても登場人物が増えても。
骨組みがしっかりしているから、最初から最後まで緻密に構築された
作品世界にどっぷりハマって楽しめる。
いつもの面々の相変わらずな様子ドキドキムフムフ(?)しつつ、
エゴ丸出しの醜悪な我欲に立ち向かった幼子の勇気を褒め称えたい。
これまで他者に選択を強いてきたアンドリムが、逆に選択を迫られるシーンが印象的。
その選択を促すのがヨルガだというところが運命的。
二人の約束の言葉が胸に刺さる。
彼らの物語をもっともっと追いかけたい。
というわけで、続編是非!
それぞれの国があって、それぞれの王がいて、それぞれの文化があって。
ん?
……はい。十二国記を想起。
結局、表立っては表れてこない細部まで作りこまれた世界観の上に成り立ってる話が
おもしろくないわけがないのだ!と、改めて納得。
「毒を喰らわば皿まで: その林檎は齧るな 」十河
【再読】
抱えたもののすべてを手にすることができないとしたら、何を選ぶ?
或いは。
唯一を守るために切り捨てなければならないものがあるとしたら、どんな選択をする?
突きつけられるのは、そんな問いかけ。
それぞれの選択が潔くもあり、痛々しくもあり、やるせなくもある。
常にぴったりと寄り添い合っている姿が常態化したアンドリムとヨルガ。
互いの溺愛っぷりが際立つけれども。
甘さの裏にとぐろを巻くアンドリムのしたたかさと容赦のなさは健在。
そして。
彼の懺悔がやるせない。
しんみりした後の驚愕で読後のインパクト半端ない。
「ヒルガオ」という言葉で上戸彩の姿が浮かぶのは完全にドラマの影響。
私、そのドラマ観てないのに!
なんか影響力すごいな~。
さて。
いよいよ未読の最新刊へ。楽しみ~♪
「毒を喰らわば皿まで」十河
【再読】
借りて読んでいたんだけど、結局自分で買ってしまったお気に入り♡
このまま手を打たずに事態が進んでいったら身の破滅。
ならば、回避する手段を模索するのは必須。
奸計であり、痛快。
悪の宰相・アンドリムが、気づけば、国の中枢にいる面々から頼られ、慕われ、溺愛され、
ていく様はなんとも愉快。
けれども当の本人の根源はやはり白ではなくダーク。
歪められた真実を囁かれた孤高の騎士・ヨルガがアンドリムに籠絡されるも、
結果的には自らの意志で彼を選ぶ様もぞくぞくする。
そしてまさかの顛末を経ての壮大なエンディング。
大満足な読み応え。
再読ながらとってもとっても楽しかった。
残り既読一冊、未読一冊。
お楽しみがまだ待ち構えている幸せ(笑)
「十二国記」30周年記念ガイドブック
単行本未収録の『漂舶』が読みたいがために購入。
だって、延王の話だっていうから。(延王好き♡)
でも、それ以外の部分でも読み応え文句なしの一冊でした。
楽しかった。
これまでの作品の振り返りや作品に関わった方々のインタビュー、
何より小野さん自身のインタビューを読んでいると、
一作目から読み返したくて仕方なくなってしまう。
そこここに作品世界に対する愛が溢れる中、
小野さんのインタビューは超クール。(笑)
『漂舶』は相変わらずな賑やかしい日々を送る尚隆と六太だけど、
ドタバタの果てにしんみりさせられての読了。
『魔性の子』を最初に読んでいて。
その後発売とほぼ同時期に購入した『月の影 影の海』が同一世界観だと気づいたときの衝撃。
更に28年後『白銀の墟 玄の月』を読んで、「こうつながるのか!」と前回を上回る衝撃。
思えばどっぷりハマっています。大好き。
新潮文庫でのレビューはすべてあげてるけど、
ホワイトハートではレビューあげてないんだよね。
そのうち読み返しながらUPしていこうかなー。