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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「籠蝶は花を恋う」沙野風結子 (ダリア文庫)



最初の出逢いは吉原で。
それは、切ないまでの誤解とすれ違い。
秘めたまま、それでも一途に抱え続けた想い。
たったひとり、あなた(おまえ)だけ。
やーん。ザ・純愛。
と思って読んでいたら、後書きで沙野さんは王道とおっしゃっていました。
確かに。
お堅いだけかと思っていた、
ロッテンマイヤーさん的立ち位置の中津が最後デレたのも良かった。
何より、紆余曲折あっても貫き通した鼎と詩央の想いが尊い。
詩央を息子として迎えた月舘さんちは跡取り大丈夫?と思わなくもないけど、
そこは鼎がうまくやってくれる気がする。

浪漫だわ~、と思ったところから……→「浪漫飛行」聴きたい→大正浪漫→『はいからさんが通る』読みたい→でもそんな時間ない。と、現実を直視したところに着地してみました。(笑)



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「世界の半分」かわい有美子(SHY NOVELS)



葛西さんの描く繊細で美しいイラストと
かわいさんの紡ぐ異国情緒漂う世界との
見事なマリアージュにうっとり。
王子であるカイの故郷を滅ぼした強国の皇子エルヴァン。
王女に扮したカイがエルヴァンの元へ引き渡された時から、
二人で歩む時が進み始める。
多くを語らなかったエルヴァンの優しさと
その生い立ちの苦悩が垣間見えてくるにつれ、
彼に対する好感度が上がる上がる。(笑)
彼のカイに対する振る舞いも素晴らしい。
己の運命を諦観していたエルヴァンだれども。
カイと共に生きる未来を手に入れて欲しい。
そう願いながらの読了。

読み始めはエルヴァンがエルヴィンに読めて仕方なかったのは
明らかに『進撃の巨人』の影響。



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「銀の雫の降る都」かわい有美子 (リンクスロマンス)



陽光を浴びて美しく輝く青い海。
やさしく肌をなぞる心地よい風。
揺らめく布の薄く軽やかな質感。
緻密に綴られる描写に、あたかもその場に佇んでいるかのような気持ちになる。
発達度合いの全く異なる文明の混在したその世界で、
静かにゆっくりと育まれていく穏やかな愛。
降り注ぐ光のように惜しみなく与えられるユーリスの愛情に、
愛を知らなかったカレルの頑なで寂しい心が、解きほぐされていく。
とてもやさしくて暖かさに満ちた物語。
だけど抗えない運命に切なくなる。
私的には銀色のカードはいつまでもユーリスの胸で揺れていればハピエン。
あああああ、惜しいっ!となりました。

ホント、惜しい。
そうじゃないの。
一度きりの人生はやりなおしがきかないの。
だからこそ、最近沙野さんの作品のレビューでも言及したばっかりだけど、
キャッツアイのトシのラストのセリフなの。
まぁ、個人的な見解ではありますが、そうじゃないんだよー。
ラスト直前までがとてもとても良かっただけに残念。
目標達成率99.8%で「もうそれ以上は無理」と思ったときのことを思い出しました。

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「しずく石町の法律家は狼と眠る」菅野彰 (角川文庫)



読後にじわじわこみあげる種々の感情を大事にしたい。
言葉の選び方、行間に滲む感情、日常を足掻きながら生きる人々の想い。
何もかもが菅野さんらしくて、痛いんだけど、心地よい。
征夷大将軍・坂上田村麻呂、弥勒菩薩、阿弖流為、現代社会の弁護士、公認不正検査士、ニホンオオカミ。
どう考えても相容れなさそうな者たちの全てが無理なく混在し、進行する物語。
コミカルな部分も含みつつ、けれど、生きることの意味を真摯に問われ、
更には震災後の被災地の在り方すら考えさせれらる。
田村麻呂と空良と風火。
彼らの在り様が少し物哀しくて、だけど微笑ましくて、とても好き。

とりあえず。
積んである高橋克彦氏の『炎立つ』と、『火怨』を入手して読むべし。
と、改めて思わされる作品でした。
今年は無理だから来年かな。←来年回しにしている作品が多数ありすぎて。一度整理せねば。
そしてこの作品も繰り返し読みたい。

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「疵物の戀」沙野風結子(キャラ文庫)



前編と後編で一冊の構成。
沙野さん曰くの「冒険的展開」の後編が、半端なく良かった。
警護対象となった研究者・真智と、彼を警護するSP・玖島の13年ぶりの再会愛。
好意を寄せあっていた二人なのに、13年前の境遇の捉え方が見事に違っていたが故の訣別。
でも多分、あのまま一緒にいたらだめになっていた気がする。
国家をざわつかせたプロジェクトを生み出すに至った真智の想いが切ない。
そのプロジェクトが故に二人は再会し、そのプロジェクトに翻弄された恋心。
二人共に在るための決断は、あまりにもやるせないものだった。
だからこそ、共に生きる二人の幸せを希う。

二人のその後が描かれた電子の書き下ろし番外編『疵物の幸福』が気になる。
とっても気になる。うわーん。そういうのは紙本にも収録して欲しいなぁ。
【以下、知っている人にとってはネタバレ】……………
キャッツアイのラストシーンが脳内を過ったエンド。
トシのあのセリフは永遠の名セリフだと思うわ。

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「上海血華」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫GREED)



たとえば淋が自分の幸せだけを考えたのならば。
もっと楽に生きられたんだと思う。
けれども。
彼が重きを置いたのは殺された兄の復讐。
それを果たしたところで幸せになんてなれないことは、
先の未来が思い描けなかった時点で思い描けたであろうに。
自分を責め、兄の仇を憎み、意に反した行為を強要される中で生じた複雑な愛情。
兄を殺した英冥が自分の命を救った相手でもあったことが
二律背反を生じた一因。
故に殺すことと愛することが矛盾なく両立する……のかな。
いつか、愛の方が勝ればいいな、と思いつつの読了。


英冥サイドの心情がもう少し掘り下げられていたらもっとのめり込めた気がする。
設定は好みなだけに、ちょっと残念。
そして自分がそこまで誰かを憎んだことがないからか、
淋の想いに同調できなかったのも、残念。

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「宮廷神官物語 十二」榎田ユウリ (角川文庫)



「真の完結巻」という言葉に相応しい、
これまで様々な想いを噛みしめながら11巻読破した人たちのための物語。
在るべき人が在るべき姿で在るべきところへ収まる心地よさ。
そう、これが見たかった!と言いたくなる世界がそこに在る。
藍晶王が素晴らしい王妃と本当の意味での家族になることが出来たて良かった。
大神官に関しては、自らその気になる以外ないだろうなぁ、
と思っていた人のあの宣言。
身震いするほどかっこよかった。
そして、最後の一文に感無量。
思いは、受け継がれていく。
彼らが想い描く未来が、遠からず実現されますように。





ラストに関しては、榎田さんは確信犯だと思います。(笑)


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「上海散華」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫GREED)



晶羽が今までの己の傲慢と偏見に基づいた態度に気づき、内省し、
悔いるシーンがとても印象的。
とはいえ、晶羽自身も抑圧された環境で育てられた被害者。
炎爪と出会わなければ、鬱屈した想いを抱えたまま、
心から笑うことはできなかったと思う。
そこから抜け出すための代償が凌辱やら異国の地・上海への連れ去りやらだけど、
結果的には炎爪に溺愛され、晶羽も炎爪への愛を自覚し、
人として大きく成長できたわけだから、読後の印象は甘々。
クリスがもう少し癖のある人かと思ったけど、普通に善い人だった。←何を期待してた?笑

小山田さんのイラストを眺めてはうっとり。やっぱり好きだわ~。
ややこしいけど読む順番は
『上海散華』→『上海血華』。
というわけで、リンク作いきます。


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「宮廷神官物語 十一」榎田ユウリ (角川文庫)



シリーズ最終巻。
今まで度々抱えてきたもやっとした想いはどこいった?
と思わず首を傾げたくらい、清涼感溢れる終幕。
だけど、これまでの経緯も踏まえ、
矛盾なくそこに着地した物語展開はとても楽しかった。
在るべき人が在るべきところに収まる心地よさ。
出会ったときは猫のようだったハクが立派な成獣に成長したように。
登場人物たちもそれぞれが苦難に直面しながらも
それを乗り越えるたびに大きく成長してきたことがよくわかる。
さみしさを埋める手段を間違えてはいけない。
大切な人を繋ぎ止めるのに、小細工は不要。
友と共に懸命に生きる彼らに幸あれ。


「人は死ぬけど書物は死なぬ」という言葉に大納得。
そうやって遺されてきた書物を紐解き、今の私たちは楽しんでいる。




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「宮廷神官物語 十」榎田ユウリ (角川文庫)



王位継承問題が解決し、王宮は一気に和やかな雰囲気に。
ところが。
鶏冠は未曽有の危機に見舞われ、
独り抱え込んだ秘密の重大さに苦悩する。
彼が他人を顧みず、自分の事だけを考えて生きていける人ならば、
こうも苦しまなかっただろう。
けれども。
彼が他者のために生き、人の痛みを知る人であったからこそ、
周囲の者たちもまた、彼のためにできることを模索する。
各々が同じ目的をもって動き、連携が取れていく様は小気味よかったのに。
間に合ったかと思ったのに。
ちょっとどういうこと!?と前のめりになりながら最終巻へ。


結局苑遊は鶏冠を自分の手元に置きたかったのかな?
でもね、あんなやり方してたら誰の心も手に入れる事なんてできないよ。

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