きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫)
ジェリコが職務を休業するに至った理由が、
ハードワークによるメンタル疲労に加えて失恋と言うダブルパンチ。
静養中のところを呼び戻され、
復職を余儀なくされた彼の職務内容と元カノの失踪が
微妙にリンクしていって……フィクションとノンフィクションの
絶妙なコラボにミステリー要素が加味され、
ワクワクしながら読み進めていったのですが。
行きついたのが非道極まりない歴史的事実「カチンの森」で、胸が軋みました。
とはいえ、暗号解読に挑むイギリスチームの尽力は読み応えあり。
戦争ならではの理不尽と、
ミステリアスにロマンチックを加味した余韻を残して終幕。
序盤で波に乗り切れず、読み進めるのに時間がかかりましたが、
そこを乗り切った後は一気読み。
再読時には最初から楽しめる気がします。
せっかくなので第二次世界大戦(海外作家)の本棚を追加しました
日本人作家編同様少しずつ増やしていこうと思います。
【ガーディアン必読112/1000冊】
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「宮廷神官物語 九」榎田ユウリ(角川文庫版)
本編から少し離れた6編の短編集。
腹黒い輩の登場しない、いつもの面々の織りなす物語は、
ストレスフリーでとても楽しかった。
特に藍晶王子。
そんな貴方が見たかった!と言いたくなる、久しぶりののびのびとした姿に胸が熱くなったわ。
一方で、仲間たちに隠し事をされて悔し涙を流すという櫻嵐のなかなか意外な姿にびっくり。
最初演技かと思ったよ。
「花は必要ない」と言った紀希の舞はお見事。
彼女の凛とした強さ、好きだなぁ。
友と切磋琢磨し、或いは己を磨き、
懸命に前を向いて生きている人たちの姿は心地良い。
隷民の暮らしぶりが貧しいのは変わらず。
鶏冠の言う通り、全員に救いの手を差し伸べることはできないけれども、
せめてできるところから。
一人で国政を変えることはできないけれども、せめて一票を投じるところから。
選挙後なだけあって、そんなことを思ってみました。
「護られなかった者たちへ」中山七里 (宝島社文庫)
自分が暮らす国の社会保障制度のことなのに、
ほぼ無知であることに愕然とする。
知らなければ、いざというとき身を護ることができないのに。
全く公正ではない世界で、自分の身を護るためにどう生きていけばいいのか。
自身でどうにもならなくなった時、どこを頼ればいいのか。
縋るような思いで頼った機関が、その扉をピシャリと閉ざしてしまったら?
そこにあるのは絶望しかない。
描かれるのは彼らが声を上げたところでどうにもならなかった実例ばかり。
だけど。
声を上げ続けなければ、何も変わらない。
最後のメッセージが切実に響く。
もっと大きく。もっと図太く。
気づけば登録1900冊目。
狙った選書ではなかったけど、それなりに相応しい作品になったと思う。
土地勘のある分、より身近に感じられたし、何より考えさせられる作品だった。
映画→原作小説の順番で作品に触れた私は、
最初、映画の内容と小説の内容との違いに戸惑う一方で、
え?え?って感じだったけど。
読み進めると映画は映画、小説は小説の面白みが際立ってきて、
脚本書いた人すごーい!となりました。
「これ以上のことは無理だと思った」と言う著者の言葉通り、
素晴らしい映画だったと思う。
「君がいなきゃ涙さえ出ない」沙野風結子 (二見シャレード文庫
自分にとって日常的で「当たり前」な家庭環境でも、
他者から見ればそれは「虐待」になる。
それにも気づけず、自己否定や低い自己評価に追い詰められ、
潰されていく子どもが実際にもいるのだと思うと、やるせない。
そんな自分の環境と向き合い、決着をつけることが出来た志摩。
志摩を支え、救いへと導いた十李もまた、過去に傷を抱えていた。
その傷の一因を担った志摩を探しだし、近づいた十李の執念には脱帽。
だけど、そのおかげで二人とも過去に捕らわれた自分から脱皮して、
新たな一歩を踏み出すことが出来たのだから、結果オーライよね。
二人一緒なら強く在れる。
小山田さんのイラストの美しさにうっとり。
イラスト集出してくれたら迷わず入手したい。
「宮廷神官物語 八」榎田ユウリ(角川文庫版)
ポンコツここに極まれり。
全ての元凶は王にあるのでは?と言いたくなる国の治世。大丈夫?
王が無力を晒しつつも、王位争いは決着。
最初からその人しかいないでしょ?と言いたくなるところへの着地。
人の欲って計り知れない。
曲がっていても自分の力で掴み取ろうとする欲なら納得もするけど、
人を陥れ、傷つけ、或いは殺めてまで望む欲は好意的には見られないなぁ。
そうして手に入れた権力に人の心がついてくるってなんで思えるんだろう?
いや、そこまで考えていないのか。
正攻法で対峙したなら苑遊も鶏冠の心を掴んだままでいられたであろうに。
こうなると醜悪。
神出鬼没で自由奔放な櫻嵐の存在は清涼剤だわー。
そしてカッコいい。
王位継承問題に相当振り回されたけど、
そもそもこれは「神官物語」だったのよね。
鶏冠のこれからが気になる~。
「性悪暴君騎手と流され戦馬」成田のもと (on BLUEコミックス)
人間の記憶を持ちながら馬に転生し、
お気楽ハッピー馬ライフを送っていたアレクセイ。
傷を負った軍人・フェリクスと猛る熊に遭遇し、彼を助けてしまったことから、
一転してドラマティックな展開に。
馬のアレクセイのモノローグがとっても楽しかったので
馬描写がもっとあってもよかったけど、
人間アレクセイも可愛かった。
そんなアレクセイにベタ惚れな俺様フェリクスもなんだかんだ可愛い。
お預け調教すら甘い。(笑)
とても楽しく読めて人外(獣人?)BL入門編としておススメなので
こちらのアカでレビューアップ。
自由な発想が素晴らしい。
馬から人間に変化しての感想が「顔が平たい」って……(爆笑)
確かに平たい(笑)
読友さんたちの感想に惹かれて購入。
そうじゃなかったら手を出さなかったと思うので読メに感謝。
「王室護衛官に欠かせない接待」水壬楓子 (キャラ文庫)
ファンタジーとして、お仕事小説として、ラブストーリーとして。
三拍子そろって楽しく読める作品でした。
加えて、二国間の駆け引き在り、王宮内での刺客あり。
これだけの内容をこの頁数にまとめられるのは、水壬さんの力量かと。
栄誉ある王室護衛官に任命されながらも自己評価の低いトリスタン。
そんなトリスタンの抱えた心の傷を癒したのは異国の伯爵、イーライ。
偶発的な出会いで始まったからこその二人の関係は読み応えあり。
そして王室護衛官の面々の結束力と仲間意識がとっても素敵。
トリスタンの努力が認められていたことが嬉しかったわ~。
スピンあったらいいな~、と思いながら後書き読んでびっくり。
この作品、シリーズ二冊目だったとは!
基本的にシリーズ作品は最初から順番に読みたい身としては、
やらかしたー!という気分だったけど、前作を知らなくても楽しく読めたので無問題。
とはいえ、一作目『王室護衛官を拝命しました』も近々入手しようと思います。
「宮廷神官物語 七」榎田ユウリ(角川文庫版)
楽しくない。
面白いけどちっとも楽しくない。
もう一人の王子に祭り上げられた曹鉄がポンコツすぎてがっかりする。
状況に困惑し、部屋に籠って飲んだくれて女の言いなり。
貴方の意思はどこに行ったの?
敵陣に密かに潜り込んできた櫻嵐(姫)の方がよっぽどオトコマエ。
そして苑遊が抱えた鶏冠に対する独占欲と執着。
苑遊の行動の動機が賢母の強い思いに同調したと言われるよりも、そっちの方が納得するわ。
変態チックだけど。←言い方ww
一方で赤烏の藍晶王子に対する揺るぎない想いや鶏冠の透明な芯の強さが胸に響く。
事態が好転することを願いつつ、次巻へ。
「信じる」こと。
傍にいて会って話をして。
眼で見て肌で感じていられれば容易なことも、
距離ができ、間に他者が介在することで難しくなってしまう。
策を弄してただまっすぐに生きようとする人を貶めようとする悪意は気持ち悪い。
あの人にもこの人にも雷が落ちればいい。←……
「宮廷神官物語 六」榎田ユウリ(角川文庫版)
ここまでの展開は予想通り。
淡々と読み終えてしまったのは特にびっくりすることもなく、
先読みできていた展開のまま進んだからかな?
想定内の行動に出た賢母には老害と言う言葉を進呈したい。
見た目が若いって言われてるのはスルーで。
このまま賢母たちの思惑通りに祭り上げられる傀儡になったら
曹鉄にも王様と同じくポンコツの綽名を進呈するわ。
景羅大臣は賢母と潰しあえばいいと思う。
でもお互いにとって最大の障害物は藍晶王子なんだろうね。
負けるな。
連れて行ってほしくて行李に潜み、褒めて褒めてと頭突きをする白虎……可愛すぎる。
「杯がかわいておるぞ」という言葉に
デヴィ夫人の名言「私のグラスがエンプティ」を思い出してみた。
あの言葉がスルッと出て様になっている彼女はすごい。