きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「岳飛伝 13 蒼波の章」北方謙三 (集英社文庫)
金国の戦いを臨む姿勢にどうしても納得がいかず。
自国におとなしくひっこんどけよ、と思ってしまう。
誰も戦うことなんて望んでないんだよ?
史進が王母の墓の前に立つシーンでは思わず涙が溢れてしまった。
そしてやっと心の赴くままに北に向かったのに、間に合わなかった李俊。
10日のすれ違いがやるせない。
最古参の二人が全力以上の力を出して戦いに挑み、
二世たちも守るべきものを守るために戦いに向かう。
金、大迷惑。
そして兀朮の口から「剣」に纏わる言葉が。
それぞれの国、それぞれの立ち位置にいる彼らがこの先どう動くのか。
ドキドキしながら次巻へ。
骨郎(猿)がハードボイルドに思えてきて、
そのうちなんかキザなセリフを語り出しそうなんですけどー。←語りません。(笑)
「みやぎから、」佐藤健、神木隆之介(NHK出版)
健くんと神木くんが旅をした宮城が、
たくさんの写真と出会った人たちとの対話で綴られている。
震災抜きに東北を語ることはできない。
だけど、東北は立ち止まってはいないんだと。
あの地震からちゃんと前に向かって進んでいるんだと。
そんな力強さを感じることができる一冊。
マイナスイメージの3Kを「カッコよくて・稼げて・革新的なことをする」と謳い、
漁業を活気づけようとしている長谷川さんの言葉が目から鱗。
馴染みの深い場所も多々あって、また行きたくなったり、
逆に訪れたことのなかった場所に興味津々になったり。
うん。何度でも行くよ。
だるまの目入れって一度やってみたいなーと思ってるんだよね。
夏にちびっ子たちと一緒にやってみようかなぁ。
でもだるまを飾るのにふさわしい場所がない気がする(笑)
獲れたてを食べて魚介の苦手を克服したという話にはわかりみしかない。
私も食べられなかった牡蛎が、食べられるようになりました♡
「傭兵の男が女神と呼ばれる世界 (3)」野原耳子 (アンダルシュノベルズ)
ラストは無難にまとめてきたなぁ、と思うものの、
そこまでに至るまでの展開は思った以上に壮大で、面白かった。
状況描写もさることながら、
「今」に至るまでの個々の心情や過去の経験等が丁寧に描かれていて、
納得したり理不尽を感じたり。
個々の抱えた問題を乗り越えた彼らの
人間的な成長が垣間見れたのも良かった。
根本的なところでは神の信託等々に左右される世界でありながら、
思い惑い、そして決断するのは人間である彼ら自身であったからこそ、
ハラハラドキドキしながら楽しく読了。
2/3が本編で、残り1/3はお遊び的な番外編。
個人的にはカプ固定じゃなきゃイヤ!というわけでもないけど、
IFストーリーをここに同録されると余韻ぶち壊しになるので、
これはなくてもよかった。
さすがに節操なさすぎ。
「岳飛伝 12 瓢風の章」北方謙三 (集英社文庫)
李俊や史進が年老い、そして北方も同じように年を重ねた。
「死」に対する描写に、そのことが感じ取れる気がする。
だけど、それは悪いことではない。
人は誰もが年を重ね、そして死んでいくのだから。
だからこそ。
「死に場所は求めぬ。新しく生きる場所を求めるために、闘おう」
彼のこの言葉に嬉しくて震えた。
燕青と李師子の二人の醸し出す雰囲気がとても好き。
艶っぽくも慣れ合わない二人の空気感が好き。
全てが彼自身が納得ずくの行動だったことが嬉しくて、悲しい。
そして秦容無双。
胡土児がこの先梁山泊組とどう関わってくるのか。気になるわ。
昨日の「山カフェ」(ラジオね)でサトウキビで作ったラム酒の話をしていて。
ああ、まさにまさに!今小梁山でそれ作ってる~~!と、
朝から一人テンションが上がった私です。
以下ネタバレ気味。…………彼自身、納得の最期だったんだと。私も納得。
とはいえ。
思えば『水滸伝』からここまで。
よくぞここまで。と、やっぱり寂しい。
残る古参組は二人。
心して見届けます。
「傭兵の男が女神と呼ばれる世界 (2) 」野原耳子
【再読】
読んだ本の内容を完璧に覚えていられた方がいいのか、
薄らぼんやりしていた方が再読したときのお楽しみが増すのか。
出来れば完璧に覚えていたいけど無理。
というわけで、新刊を読む前の予習復習的な準備万端。
自分を必要としてくれる誰かがいる。
自分の命を預けることのできる誰かがそこにいる。
孤独と絶望の中にいた雄一郎とノアとテメレアの三人のバランスが心地よい。
他国からの干渉をはねのけ、
自らの国を守るために、前線で戦いに臨むことを選んだ彼ら。
現実世界の出来事を鑑みて思わず唸ってしまう。
彼らの幸いを願って、最終巻へ。
読む気は満々なんだけど、オーダーした本が届くのが来週。
他の本とまとめての発送にしちゃってるからだけど、今すぐ読みたい、
と、気持ちが逸る。
「テロリストにも愛を」榎本憲男 (ハルキ文庫)
気づかないうちに相手の意図した方向へ誘導される思考の操作は恐ろしい。
明確な意図をもっていたずらに煽られる恐怖心も気に入らない。
物事を自分自身の目で見極めることは大切だけれども。
取り込んだ情報をしっかり精査できるかどうかが問題。
そして、立場が違えば見方が変わる。
自分の価値観だけで文化や思想の違う人たちの幸不幸を決めてしまってはいけない。
と、なかなか深いところに切り込んで考えさえられることも多々ありましたが。
一番強く思ったことは。
鴨下刑事は女子高生刑事・真理にひっかきまわされることなく、
恋人の愛里沙と安泰でいてほしいということなのでした。
日本的にはオッケーだったとしても。
彼に対する組織からの制裁はなかったのだろうか?
と、ちょっと気になった。
そんなに甘くないよね?
「岳飛伝 11 烽燧の章」北方謙三 (集英社文庫)
兀朮の独白は時折独りよがりで鬱陶しいなぁ、と思っていたのですが。
そして戦いに対するこだわりに、周りを巻き込まずに一人でやれよ、と思っていたのですが。
この巻で私の兀朮の評価はダダ下がりました。
「九紋竜ごとき」って言ったなぁ!
ごときって!なんて失礼な。←山泊贔屓。
一つの旗の元に集い、一致団結していた旧世代。
今の世代を担う彼らは、一人一人がやるべきことを考え、その答えを導き出している。
そのうえで同じ方向を向いている足元のしっかりした強さが感じ取れるようになってきた。
自分が思った通りに生ききればいいと、語った李俊。
それもまた、一つの在り方。
通信の手段……それがあったか!と唸る。
ルーツは古代エジプトまで遡るっていうからすごいなー。
そして私の馬鹿馬鹿馬鹿。
絶対ネタバレ拾うまいって思ってたのに。
これから読む巻の人様のレビューを見てはいけない。絶対に。
何度目かの反省。
「林檎甘いか酸っぱいか[青]」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
潔いほどまっすぐに放たれる言葉。
迷いなく飛び込むことのできる行動力。
それは、まだ未成熟な子ども故の無鉄砲さではなく、
志緒という一人の人間の在り様であるからこそ、
惹かれ、魅了される。
一方、大人であり、教師という柵から逃れられない桂は、
何でもないような顔をしながら、やるせない思いにのたうちまわる。
ひどくバランスの悪いふたりが、
だけれども、これ以上ない絆と結びつきを深めていく様子が
丁寧に描かれていて、
その心の機微に触れては嬉しくなったり切なくなったりの追体験。
幸せな読書時間。
そして志緒の父、かっこよかった。
中高大と一貫した女子校に務める母親から、
職場に忘れ物を持ってくるように仰せつかった高校生男子。
母の指令は絶対。
だけど、女の園に一人で足を踏み入れるのは絶対無理。
ということで、引きずって行ったのは双子の弟。
二人で校内を恐る恐る歩いた結果は……悪目立ち。(笑)
本当にそっくりな双子だったんだよね。
「meet, again.」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
【再読】
言葉は時に鋭い刃となる。
その言葉をぶつけられた相手と、そして放った当人の心をズタズタにする。
そんな傷を抱え続けた嵐。
そして、言葉を巧みに操って他者を傷つける栫。
何が彼をそこまで歪なものにしたのか?
彼の置かれた環境、としか答えられない。
栫の言葉に抉られ、そして救われた嵐は、
歪みを抱えた栫に惹かれ、疲弊していく。
母親同様、過去に捕らわれ続けた栫。
嵐の言葉に応えた栫の眠りからの目覚めはある種の禊。
栫を世界に呼び戻してくれた嵐の心からの笑顔を、今度は栫が取り戻してあげて。
その日は必ず訪れる。
というわけで、登録2000冊目。
節目の数にふさわしい本を選ぶ、というよりも、今一番読みたい本を読んだ結果、
この本の再読ということになりました。
まー、読書の仕方として間違ってない(笑)
これでようやく『林檎甘いか酸っぱいか』にすすめる。
七年近くも積んでしまったことが信じられない。