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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ザ・カルテル (上)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)



家族を殺されたら嘆き悲しみ怒り狂うのに、
他人の家族の命を奪うのは平気な人たち。
刑務所の定義ってなんだっけ?と首をかしげたくなる現状。
メキシコの平穏ってどこにあるんだろう?
買い手なくして売り手なし。
メキシコの麻薬問題はアメリカの問題。
政府や警察組織ですらまっとうに機能しているとは言い難いメキシコで、
巨大組織を相手取り、戦う麻薬捜査官アート・ケラー。
とはいえ、彼の人生も正義のヒーローとは程遠い。
巨悪に対峙するのになぜ孤軍奮闘なのか。
読み進めるほどに彼らと一緒に疲弊していくけれども、
どうしたって読む手が止まらない吸引力。
なんだこれ。


分厚い本を読み切った達成感に心地よさを感じていた時代もありましたが。
632項は分冊にして欲しいと思う今日この頃。
上下巻合わせて1200項越えてくるなら、上中下が望ましいお年頃。(笑)
まぁ、結果的には読むページ数が一緒なのはわかってる。
そんな私は長編大好きです♡

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「セカンド・パラダイス」おおや和美 (フラワーコミックスα)



持論だけど、仕事は51:49だと思ってる。
良いことが51あれば、49嫌なことがあっても我慢できる。
その比率が逆になったら、見切りをつける。
正しいことを言ったはずなのに社内での立場が悪くなり、
結果的には会社を辞した玲の第二の人生の物語。
バーのオーナー葉月との出会いが転機。
彼もまた、最初の仕事で躓いて、人生を模索してる人だった。
噛み合ってないようで噛み合ってた二人の告白合戦(?)が可愛かった。
そして傍で彼女を支えてくれる双子の弟と、弟の彼氏の存在が心強い。
彼らの家族関係がとても素敵。
楽しく読了♡



実際私は良し悪しの比率が逆転したなーと思ったタイミングでトラバーユ。
昔は当たり前に使ってたけど、もはや「トラバーユ」は死語なのねー。
転職後も採用時とは全く違う部署にいる今、
これが天職とは欠片も思ってないけど、結果的には今の会社で良かったと思ってる。
そうじゃなかったら間違いなく読メにはたどり着けなかった気がする。

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「宮廷神官物語 二」榎田ユウリ(角川文庫版)



真っ当な手段で得られない力なんて、身の丈にそぐわない。
と、思わない輩こそ、不当な手段で力をどうにか得ようとするんだろうね。
悪事を働き、後ろ暗い思いを抱えた者にとっては、
心の善悪を見抜く慧眼児の力は末恐ろしいもの。
それは天青にとっても同じで、彼の葛藤が痛々しかった。
だからこそ、鶏冠の不器用な愛情と決意と叫びが胸に響く。
今ある世の中の仕組みを変えようという想いを胸に抱く者たちが、
徐々に集まりつつある姿はさながら水滸伝。←いい加減離れよう、私。
とはいえ、一枚岩になるかどうかは不透明。
波乱万丈な彼らの運命はいかに?


白虎の小虎、ハクがとても可愛い。
気持ちはまだ子どもでも身体は十分に大きな犬に
全力で飛びついてこられたら(本人は遊び)受け止められないのは、
ラブラドールで体験済み。
私は見事にひっくり返りました。(笑)
それでも遊んでもらってると思ってグイグイ来るラブラドール。
でも可愛かったなー。

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「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)



上下巻を通して描かれるのは
麻薬捜査官と麻薬カルテルの統制者との30年に及ぶ麻薬戦争の物語。
史実が絶妙にちりばめられているが故にリアルで、諸々想像すると背筋が寒くなる。
追う者も追われる者も、常に死と隣り合わせの人生。
歯車が少しでも噛み合わなくなった瞬間、進むべき道が消失する。
そして自身のロスト。
彼らが安らぐ瞬間は、果たしていつなんだろう?
自ら進んで悪行を成している者以上に
アメリカの政治権力の在り様に釈然としなかった。
正すべき者は誰?
失われた多くの命。
だけど、血みどろの戦いは終わらない。
憤りよりもやるせなさを抱えながら続刊へ。


再読の弊害。
ノーラとカランが再び出会うのを楽しみに楽しみに頁を捲っていったら
思った以上に後半での再開で、ものっすごく焦れ焦れしたわ。
え?どうなるの??という初読の時のようなドキドキ感がない代わりに、
え?まだ?まだなの??という焦らされ感MAXでエア息切れ。
もー!
のめり込んで読んだ作品の内容は忘却していなかった(笑)
中途半端に覚えている分余計に質が悪い。
次からは長らく積んでいた未読領域。楽しみすぎる。

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「宮廷神官物語 一」榎田ユウリ(角川文庫版)



権力闘争の中枢にあって、欲と無縁である者がいたら奇跡に近い。
強欲な者は無欲を理解できないから追い落とそうと画策し、大迷惑な被害が及ぶ。
現王の後継者である王子が目指したい世の中。
世の仕組みを学び始めた天青が思う世の中。
彼らが思い描く通りの世の中で在ればいいと思うけれども。
道のりは相当大変だわ。
山奥でほぼ野生児として育った天青と
彼を探しに行った神官の鶏冠。
見た目とそぐわない鶏冠の性格、良いなー。
宮中を抜け出し市井に混ざる王子。
それぞれを護衛する者。そして白い仔虎。
これからの彼らの織りなす物語に期待しかない。

作中での猪料理に「あ、水滸伝!」と、骨身に染み入る北方脳。(笑)
天城峠で食べた猪が本当に美味しかった。
北方の生死観と榎田さんの生死観が
どの作品を読んでもブレないでいるのが個人的に心地よい。

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「犬の力 上」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)



何故、貴方がそれをやらなけらばいけないのか、と。
思わず問いかけたくなる瞬間があったけれども。
その種を蒔く土壌を作ることに手を貸してしまったことを知るが故に、
彼でなければならなかった。
踏み出した道は片道切符。
もう、戻れない。
彼だけではない。
意図しなかったにも関わらず、なし得る力を持ってしまったばかりに、
進むしかなくなってしまった者たち。
望んでそこに在る者たちはいい。
だが、彼らの立つ道は血で血を洗う麻薬戦争へと連なる道。
軽々しく扱われる命に胸が軋む。
許されざるべき者がいる一方で、
政治権力の介入の仕方もずるいよ。

重たいため息を吐き出しつつの再読。
わかってたからメンタルガッチリ整えて臨んだけどねー。
引きずられるよねー。
ああ、もう!
末路が分かっている子たちを見てるのが辛い。
でも読むけど。吸引力半端ない。
シリーズ再読をはじめた主目的、未読の完結巻『ザ・ボーダー』目指します。

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「微睡の月の皇子」かわい有美子 (リンクスロマンス)



とってもフリーダムな神さまたちのお話。
え?暇なの?馬鹿なの?という荒くれどもには思っていた以上の天誅が下り、
そもそもの発端は貴女ですよね?の神さまの思考は最後まで読めず。
天界から下界に追放された月夜見を保護し、犯し、だけど、かいがいしく尽くす蛇神の夜戸。
夜戸の行為を咎めながらも、夜戸に庇護され、終始穏やかであった月夜見が夜戸のためにふるった力はある意味最終兵器。
想いは通じ合っているんだなぁ、と、王道上等な展開。
日本神話の世界観と半陰陽設定とかわいさんの文体が見事にマッチングしていて、楽しく読了。

ガッツリJUNE世代な私にとって、半陰陽と言えば山藍さん。
角川文庫で決定版として出版された『アレキサンドライト』が
なかなか硬派なミステリーと隣り合わせで並んでいた時、思わず目を剥いた思い出。
妖しく狂おしく美しい、正統派(?)な耽美小説だと思います。
でも私は山藍さん作品の中では『冬の星座』が一番好き♡
あれ?これ、かわいさん作品の感想だった……(笑)

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「金のフォークに銀の匙」かわい有美子 (SHY NOVELS)



大人げなくて利己的個人主義な大人・不破と
温和でふんわりした大学生・三谷。
性格に難ありな不破がギリギリ悪い人になってない描写がうまいなーと。
外堀を埋められて頼まれごとを断れなくなっているあたり、
本人が思ってるほど世渡り上手じゃないよね。
そしてなんだかんだ三谷の面倒をみたりで、本質は優しいんだと思う。
それを引き出した三谷は性格の良さと人当たりの良さが天然記念物級の良い子。
三谷に感化されて不破の雰囲気がやわらかくなっていく過程が心地よい。
「逆玉」と言われて「かっこ悪い」と肩を竦めた不破が微笑ましかった。

センターラインをオーバーして突っ込んできた対向車を避け、
ハンドルを切ったはずみで隣の走行車線の車にぶつかり、突っ込んできた車は無傷。
結果、ぶつけてしまった自分が一番重い過失となってしまった業者さん曰く。
「自分が絶対に間違ってないと思ったら、たとえ反対車線の車が突っ込んできてもハンドルを切ってはいけません!」
そうも言っていられないんだけど、言いたくなる気持ちはわかる。

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「非弁護人」月村了衛(徳間書店)



きっかけは8歳の少年からの依頼だった。
手繰り寄せた糸の先に息を潜めていたのは、おぞましいまでの人でなし。
彼の悪事を暴くために宗光が最初に頼ったのはヤクザ。次にかつての同期の正規の弁護士。
裏と裏と表がタッグを組んで<ヤクザ喰い>を追い詰める。法の下で裁くために。
担保は、宗光自身の命。
でもね、裏社会の実力者から宗光は愛されてるよね。
構成員にも慕われてる。
そして弁護士の篠田も、過去に因縁があっても宗光を憎み切れない。
だから、宗光を要にしたこの異色の連携がみごとにキマった。
みんなカッコよかったよーー!


豊田商事?ん?最近どこで聞いた??と思ったら、
著者の『欺す衆生』でした。
本作での私のイチオシ久住さん。
次点で篠田(宗光との掛け合い込みで)。

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「最凶の恋人 ―for a moment of 15―」水壬楓子(ビーボーイスラッシュノベルズ)



表紙がトンチキじゃないことにほっと胸をなでおろして読み始めた
シリーズ15冊目は、文句なしの面白さでした。
陰謀めいたお話超ウェルカム。濡れ場なしでも無問題。
遥が巻き込まれ体質なのは変わらないなぁ。
頭が切れる分、災厄を招いてしまっているのはお気の毒。
そして好んで巻き込まれに行くのは知紘。
どうしようもない政治家と、どうしようもないヤクザが組んで引き起こした事件。
遥のピンチにはこの男ありの柾鷹の働きぶりはカッコ良かったよ。
今回は待てができるワンコで納得のご褒美。
互いに認識しながらも名乗らない母子の姿はなんだか潔かった。


『組員日誌』を覗いたシリーズ7冊目『ある訣別』の内容を踏まえると、
より楽しめる内容になっています。
このシリーズの表紙はこの着衣路線でいってほしいと、切実に思うわ。

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