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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「3Way Waltz」五條瑛(祥伝社)



日米北朝鮮の三つ巴の諜報戦。
発端は16年前の飛行機事故。
巻き込まれたのは、夫と子どもとの平穏な人生を願った女だった。
そして今、彼女の子どもが過去の柵により窮地に陥る。
単純な三つ巴ではなく、日本の中でもあちら側こちら側とで暗躍し、
北朝鮮側も足並みがそろわない。
それぞれの思惑がごっちゃごちゃに絡み合いながら真実が紐解かれていく様はお見事。
言葉少ないながらも、父から息子への不器用な愛情があたたかくて切ない。
真実と向き合うことを余儀なくされ、
少年のままではいられなくなった恭祐の未来が、揺るぎないものでありますように。



そしてお兄ちゃん、紛らわしかったよ。
『プラチナ・ビーズ』→『スリー・アゲーツ』→『夢の中の魚』→『君の夢はもう見ない』→『3Way Waltz』。
順番で読まないと人間関係が明確に理解できない部分が出てきてちょっともったいないと思う。

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「さみしさのレシピ」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



「孤独やさみしさじゃ誰も死ねない」
確かに、物理的には死ねない。
だけど、心が立ち上がれなくなることはあると思う。
抱えたさみしさを一人で埋めることはただでさえ難しいのに。
誰かのぬくもりを知ってしまった後のさみしさは、余計にやるせない。
様々なさみしさを抱えた人たちの物語。
生きていくためにそれぞれが抱えてきた価値観を受け止めたうえで構築していく人間関係が、
癒えない傷の痛みを包み込むやさしさが垣間見えてあたたかい。
「一緒にご飯が食べたい」
さみしかった一人と一人が
そう思える相手とずっと一緒にいられることの幸せをかみしめる。


久しぶりの一穂さんはゆるっと心にしみる良い作品だった。
相手のために本気で怒れる慈雨と実華子はとても素敵な戦友。
だけど、根本的な寂しさを埋めることはできなかったのかもしれない。
咲彦と慈雨のテンポの良い会話が小気味よくて好き。
本人たちが納得してるなら、こういう関係もありだと思う。

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「シャイニング (下)」スティーブン・キング (文春文庫)



嫌悪したはずの父親の暴力行為を正当化することは、
即ち、今の自分の在り様を弁護すること。
再起を賭けた雪山での暮らしだったはず。
心の闇に付け込まれたのは彼の弱さ故。
だけど、吞み込まれまいと必死で葛藤していた彼がいたことを知るからこそ、
その結果が残念でならない。
乗り切ってほしかったなぁ。
わが子を守るために満身創痍で戦ったウェンディ。
心に傷を抱えたダニー。
いつか思いっきり笑える日が来るといい。
赤の他人なのに必死で彼らの救出に向かったハローラン。
還暦過ぎた正義の味方はとてつもなくかっこよかった。


最大の脅威は人間であると思っているので、
ゾンビな時点で私的にはないわ~、と思ってしまった敗北感。
そして、閂開けられるくらいファンタジーなら、ボイラーもどうにかできるでしょ?
と一瞬思ったことは内密に。←根本的にホラー向いてない。
【ガーディアン必読105-2/1000冊】


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「異世界の沙汰は社畜次第2 教会運営支援計画 」八月八( KADOKAWA )



周囲を憚らないアレシュの誠一郎に対する溺愛ぶりがとても楽しい第二巻。
そんなアレシュの想いになかなか動じなかった誠一郎だけど、
キューピットの矢が誠一郎の胸にトスン、と刺さった瞬間に万歳三唱したくなったわ。
アレシュのやきもちは可愛いし、弱った自分を見せようとしない頑張りも微笑ましい。
何よりまっすぐな好意が眩しいね。
そして、アレシュも誠一郎も周囲から愛されてるなぁ、ということが
伝わってくるのも嬉しい。
二人の恋の成就を祝うお菓子をご近所に何と言って配ったのか。
私も気になるお借り本。
三巻目が出てくれたらとても嬉しい。

今回の誠一郎の任務は教会内の不正を明らかにすること。
すったもんだの末の誠一郎と優愛の日本人的な宗教観はなじみがありすぎてほっとする。
八百万の神万歳☆

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「シャイニング (上)」スティーブン・キング (文春文庫)



5歳の子ども、ダニーの聡明さが痛々しい。
だけど、結果的にはそれが彼を救うのだと思いながら読み続ける。
いずれ脅威となり得るであろう相手を切り捨ててしまうことができれば、事は簡単だ。
だけど、それに勝る愛情があり、脅威たる彼が彼なりに足掻いていることも知っている。
そして、それをほのめかしたトニーと言う存在が、
彼らに好意的なのか悪意を持っているのかが今ひとつわからない。
閉ざされた空間の中でひたひたと押し迫る「何か」がそこにある。
そうなんだけど。
気持ちの抑揚がまったくないまま、上巻読了……あれ?どういうこと??
ドキドキとかキャーーとか、え?ないの?私?

期待値が高すぎたのがいけなかったのかしら?
ここまで平坦に読み終わってしまったのは想定外。
下巻、どうなる!?
……と思ったけど、展開が想像できる下巻の目次は上巻にはいらないと思うの。
【ガーディアン必読105-1/1000冊】

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「異世界の沙汰は社畜次第 聖女召喚改善計画 」八月八



巻き添えで召喚された異世界で誠一郎が望んだもの。
それは「仕事」。
猛烈に仕事に取り組む誠一郎の姿勢は
現代日本の社会の中では特異なものじゃないけど、
異世界であることで際立ってしまっている。
改善点を納得させるステップは現代社会と同じなのよねー、と言う説得力。
一方、その世界で退屈に倦んでいたアレシュは、
行きがかり上、誠一郎の面倒を見ることに。
予測不可・制御不可な誠一郎に振り回されているうちに彼の中に芽生えた想い。
この振り回されっぷりが相当面白かった。
全くデレない誠一郎に対してアレシュが理詰めで持ち込んだ同居生活の行く末が気になるお借り本。


仕事をするということは、今までと変わらない日常を送ること。
それが誠一郎にとって精神バラスを保ち、
見知らぬ世界に馴染むための最短ルートであったことがよくわかる。
結果的には彼自身の命を救うことにもなったしね。
命を救われた後の「はああああぁ!?」の場面で夜中に爆笑。
ものすごく楽しく読了。

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「パブリックスクール -ツバメと殉教者-」樋口美沙緒 (徳間書店)



愛の迷子になった子たちが、
傷ついて傷つけて、それでも必死に頑張って
誰かの為に尽くした結果、真実の愛にたどり着いた物語。
自分の為じゃないところが本当に健気で刺さる。
再読でも胸に響くお借り本。
理不尽な暴力に傷つけられながらも、献身を知っている子たちが尊い。
と同時に、もっと自分のために生きていいんだよ?という気持ちにもなる。
一匹狼だと思っていたスタンの属性がヘタレワンコだったことが、
じれったいながらも微笑ましい。
オカン属性のケイトに思いっきりワシャワシャしてもらうといいと思う。
そしてケイトを存分に愛してあげるといい。
復習完璧なお借り本☆
張り切って続編へ。

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「生還せよ」福田和代 (角川文庫)



一作目で自衛隊を辞めることを考えていた安濃が、
本作では見事に職務を全う……というよりも、
職務を逸脱してまでの暴走を
結果的には職務と言わしめるほどの活躍を成し遂げる。
あそこまで腹を括れるとは思わなかったけど、
それもこれも窮地に陥った友を救うため。
安濃の行動原理は変わらないなぁ。
一つの任務を終えた彼は究極の選択を迫られることになる。
それをこちらに委ねられるのはいい。
だけどっ!
家庭問題どうなった!?ってとこ気になるじゃん!
という、消化不良要素を残しての読了。
これ続刊出るのかなぁ?
続刊ありきのエピだよね?


「終戦」という区切りの日では戦争は終わらない。
むしろ、そこから始めなければいけないことがたくさんある。
そのことを改めて考えさせられた。
爪痕はそう簡単には消えない。
バディ物を勝手に期待して勝手にワクワクしていた私は
バディは早々に離れ離れになってしまって、勝手にがっかりしました。
未読の本はあれこれ想像せずに無心で手に取らねば(笑)

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「潜航せよ」福田和代 (角川文庫)



これヤバイわ、おもしろいわ!で、一気読み。
中国で起こった政変、亡国の徒の暗躍、
巻き込まれた安濃、彼を巡って奔走する自衛隊の面々、
深く沈んだ海底での戦いを余儀なくされる浪虎。
この浪虎の在り様がとてもカッコイイ。
そして硫黄島から対馬に異動になった安濃の立ち位置がなんだかとても面白い。
誘拐されたり殺されかけたりで本人満身創痍だけど。
とはいえ、愛されキャラ健在。
ラストはタイトルに隠されたダブルニーミングに震える。
誕生した《勇猛果敢・支離滅裂》コンビは私へのご褒美。
そして国盗りを持ちかけた男と応じた男の行く末は?
次巻、読むしかないよね。

五條さんの『鉱物シリーズ』を読んでいるタイミングでこちらのシリーズを読む。
このシリーズは内容を全く知らなかったけど、同時期に手に取ったのは何だか運命的。
「知らない人についていってはいけません」
これは子どもだけじゃなく、大人にも当てはまるんだということを改めて。
『迎撃せよ!』→『潜航せよ!』→『生還せよ!』
これちらのシリーズは順番に読むべし。

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「花の迷い仔」沙野風結子 (ダリア文庫)




決して報われることのない、かといって捨て去ることもできない
想いを胸の内に抱え、苦しさと向き合い続ける出口のないサークルの中で
時を過ごしてきたウーと夕矢。
監視する側、される側として出会った二人が、
そのサークルの中から抜け出すまでの物語。
わーん、すごくよかった。
斎に対するウーの想い。
キリトに対する夕矢の想い。
想い続けた相手に対する気持ちを否定せずに
新しい関係を築いていく過程がとても良かった。
シリーズを順にここまで読み続けてきたからこその感慨。
この二人のその先をもう少し垣間見たいという想いを抱えての読了。


「かんがい」の一発変換が「灌漑」だったことが全く納得いかないマイPC。
どうしてそうなった?
そして順に読んできたからこそ、
シリーズ一作目からここまでの間に沙野さんの筆力が上がっていることも実感できる。
『花の堕ちる夜』→『花陰の囚人たち』→『千年の眠り花』→『甘やかな共謀』→『色めく夜の陰謀』→『花の迷い仔』
上記シリーズは読了したものの、頑張って集めた小冊子というお楽しみが待っています。

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