きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「また、桜の国で」須賀しのぶ(伝祥社)
消滅と再生を繰り返した国、ポーランドが、
破壊と虐殺の限りを尽くされた第二次世界大戦。
これは、彼の国で戦った人たちの、
そして見捨てられた国のために尽力した男たちの物語。
慎、レイ、ヤン。
彼らは一様に国と個としてのアイデンティティの在り方に苦しんでいた。
そんな彼らがなぜポーランドのために命を懸けたのか。
国というよりも人。
義というよりも情。
彼の国で必死で生きる友のために。
何よりも、明日の自分に恥じないために。
『また、桜の国で』読後につぶやいて、嗚咽。
忘れてはいけない史実。
そして、戦争は回避しなければいけない。絶対に。
圧倒的な読み応えの登録1700冊目。
ガツンと胸に刺さる重厚な物語であり、忘れてはいけない歴史を突き付けられる。
須賀さん、外れないなー。
他の作品も気になるので、少しずつ集めていこうと思います。
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『A』河出文庫(中村文則)
薄い膜一枚隔てられた世界の中で
膜の外を頑なに拒絶するかのような者たちの視点で始まる短編集。
その膜が突き破られた後は、変幻自在の世界が展開していく。
並べられた物語は理解することを望まれているわけではなく、
そして理解しようとするものでもなく。
自由に綴られた著者の言葉を追った読み手が、
そこから伝わるものを自身の感性で受け止めるだけでいい。
読後感的になんとなく気持ち悪かったのは、
私的に相容れる中村文則と相容れない中村文則が混在していたから……かな。
個人的には『妖怪の村』がベスト。
インパクトが大きかった。
これで『逃亡者』以外の中村作品読了。
その中での私の順不同のベストスリーは
『遮光』『掏摸』『あなたが消えた夜に』。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~「短編集Ⅰ」香月美夜
本編がどーんとそびえる幹なら、
その本編に纏わるSSや短編は枝葉。
これだけ立派な枝葉がわさわさと育っている物語は当然面白い。
特に贔屓キャラではなくても、様々な人物視点で描かれる物語がとても楽しいのは
著者自身がとても楽しく書いているからなんだろうね。
かつてのエピソードを懐かしく思い出したり、
薄らぼんやりしか覚えていないから再読したくなったり、
好き場面だったからもう一回読みたい!と思ったり。
あとは、別視点だから、あ、そうだったんだ!という新しい発見や補填ができたのも良かった。
大満足で読了。楽しかった。
この人の小説私好み!って思いながら読んでたんだけど。
まぁ、私が書いた物語だから当たり前か。
そう言っていた友だちを思い出しました。
書き手が楽しく書いているのが伝わる作品は、読み手もとても楽しい、の典型。
そもそも、本を作っていた時の動機は「こんな話が読みたい!」だったのよね。(笑)
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅸ」香月美夜
わかってはいたけど、何この喪失感!
と、ずどーんと落ちる本編読了後。
貴方の存在はとてつもなく大きかった。
そして、その後の短編を読んで速攻で第五部に飛びつきたい気持ちが沸々と。
第四部完!で一区切りつけるつもりだったのに、
気持ち的にまったく区切れてないって、どういうことよ!?
……と、振り回されております。
カミルの頼もしい成長が嬉しいね。
親と道を違えるという道を選択した子供たちの未来に幸あれ。
距離感が縮まったフェルディナンドとローゼマインの雰囲気が良い。
そんな二人が再び向き合える日が早く訪れますように。
これで手元の残りの本は『短編集』のみ。
第五部がそろっていれば一気に手を付けたいところだけど、
第五部完結までにはまだしばらくかかるのね~。
気になるから出てるとこまで読んじゃおうかなぁ。
続きはWEBで一気に読めることはわかっていても、紙で読みたい派なのでそこは我慢。
このシリーズを読んでるリア友を続々発見(?)してとても嬉しい。
リアルに会って語れる日を心待ちにしてるわ。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅷ」香月美夜
様々な思惑の透けて見える政略結婚を祝えと言われても、
その結婚相手に好意を持てと言われても
とてもとても難しい。
むしろエックハルトのようにそんな輩は抹殺してしまえ!という思考の方が理解できる。
そしてその思惑にややこしさを醸し出したダンケルフェルガーの脳筋集団!
勘違い甚だしい思い込みを、鬼軍曹並みの特訓で粉砕してあげたくなりました。
関連性は全くないけどBGMはユニコーンの「大迷惑」で。
皆の心配と労りがフェルディナンドに届くといい。
だから一人で頑張らないで。
魔法のインクがここでお役立ち!
おお!となりました。
お魚の思いっきり特殊な解体方法がとてもとても楽しかった。
鱗を毟るって!毟るって!
個人的に魚の鱗取りは好きな作業です♪
感触的に伝わってくるガリガリ削れてくる感じが良い。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅶ」香月美夜
不穏な気配はローゼマインの周囲だけに留まらず、
フェルディナンドにまで類が及びそう。
うーん。
これまで苦労してきた彼には平穏でいてもらいたいけど一波乱あるのは必須っぽい。
勝負事で評判通りの「魔王」っぷりを発揮した彼の戦い方には握手喝采。
腹黒万歳!
そう。
ガチンコ勝負は手段はどうであれ、勝てばいいのです。
脳筋集団みたいなダンケルフェルガーの面々の挙動はなんだか可愛かった。
体育会系ノリ、楽しそうだなぁ。
そして、コルネリウスがびっくりするほどカッコいいんですけどー!
スパダリ、ここにいたわ。
色々気になるのでさっさと次巻へ。
他領の子たちがエーレンフェストの主要人物たちに傾倒しつつあるのは
今後プラスに働くのかな?
陰でこそこそ暗躍している輩はとっとと痛い目みるといいと思う。
個人的にどんなお魚料理ができあがるのか、とてもとても気になる。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅵ」香月美夜
興奮して倒れるローゼマインと、後始末に奔走する面々はもはやデフォ。
ヴィルフリートなんて、そのたびに自分の黒歴史を語らなければいけないとは……不憫。
そして、誰視点かによってバラバラな報告書が秀逸。
こうなると、物事をより正確伝達するためには、報告者が複数人必要だよね。
終盤は爆笑しながら読了。
魔獣退治のシーンも臨場感があって読み応えあり!
とてもとても楽しかった。
とはいえ、不穏な気配がムンムン。
それは次巻以降で噴出するのかな?
大人の都合や政治的な事情で
頑張って日々を送っている子どもたちに変な負荷かけないでほしいなー。
この巻では間違えようがないけど、
前巻を読むまでローデリヒがずっと女子だと思っていたことは内緒です。
びっくりしたよ。
異国の名前、わかりづらい。←多分そういう問題ではない。
清少納言が女子だと気づくまでに時間が必要だった人、
私以外にも絶対にいるはずだと思っています!←断言(笑)
「鏡の国のアリス」ルイス・キャロル (新潮文庫)
鏡の国は夢の国。
不思議な出来事が次から次へと目まぐるしく展開される
心躍るようなワンダーランド。
本書の面白さは著者の自由に浮遊する想像力の素晴らしさ。
この一言に尽きると思う。
彼の描き出す世界に引き込まれていろいろと思い描きながら読み進める。
その世界を楽しく想起させる金子氏の挿絵が秀逸。
そして、アリスの足取りが「チェスの規則に則って構成されている」の描写に、
何故か天童市の「人間将棋」を想起した私は生粋の東北人です。
「きみたちはどっちだと思う?」
最後の問いかけに対する私の答えは一択です(笑)
ミンスパイ!
この作品に限らず、ほかの作品でも作中に出てくるけど、
食べたことないので食べてみたい。
窓に雪が当たる描写を「窓いちめんにキスしてるみたい」とあったけど、
この描写、とても素敵!
【ガーディアン必読103/1000冊】
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅴ」香月美夜
そうそう。
お貴族様たちは、自分たちが素敵な服を着ていられるのも、
美味し食事ができるのも、本が読めるのも、
誰の頑張りによるものなのかよくよく知るといい。
職人さんたちがいないと、何も作れないんだよー。
ちょっと移動するのにもお供がついてぞろぞろ。
貴族社会は相変わらずめんどくさい。
と思ったけど。
現代ヤクザもお供がついて移動している話を読んだばっかりだった。
母親の意向よりも妻のこと思うランプレヒトは夫として花丸。
アウウレーリアはヴェールを脱いだ生活ができるようになるといいね。
新たな王族が関わって、物語はどう展開していくのかな?
旦那(彼氏)が母親を優先させたばっかりに破局したカップル見てるからなー。
妻の意向を優先させたランプレヒトには拍手喝采。
結婚まで決めたなら、最終局面ではやっぱりお嫁さんの味方であってほしい。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません「貴族院外伝 一年生」香月美夜
ローゼマイン以外の者たちからみた一年間の振り返り。
贔屓キャラの視点で物事が語られるのは嬉しいし、
あまり興味のなかった子たちの思考が伺えて、親しみが湧く。
そして鬱陶しい子はやっぱり鬱陶しい。
作中での出来事の別角度からの捉え方や、
それぞれが胸の内に抱いた思考が垣間見れて、思った以上に面白かった。
ハンネローレ視点で判明したまさかの事実。
びっくりしたよ。
アンゲリカが神殿の面々に悩み相談している様子は微笑ましい。
SSで遊ぶのはネット発信の小説の利点だと思うけど、
それをまとめて一冊にして楽しめる仕様になっているのは嬉しいね。
さて。
この先は再び本編へ。
作品自体をとても楽しく読んでいるのですが、
自分のイチオシが誰なのか、いまだに把握できていない私です(笑)