きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「破廉恥なランプ」中原一也 (シャレード文庫)
もう、二度と会うことはできないあなた。
だけどずっと愛している。
イシュタルの過去と現在。
そして匡の仕事事情。
点と点が綺麗につながる展開に喝采。
そして、おふざけとシリアスの緩急が素晴らしい。
戦闘クライマックスのどシリアスシーンで
まさか股間が光るとは思わなかったよ。
永遠の刻を生きる魔物と有限の刻に縛られる人間。
自ずと生じる苦悩があるわけで、
切なくて匡と一緒にキリキリしながら、
キファーフの想いの深さに包まれてほっこり。
ワンルームに人間1人とランプの精が4人。
これはぜひお引越しした彼らの日常も読みたいわ。
下ネタ比喩は後半になっていくにつれ
もはや意味不明になってきたけど、
個人的に「真っ赤なランボルギーニカウンタックがピットイン」がベスト。
身近にランボルギーニ乗りがいてびっくりしたことがあったけど、
私が乗りたいのは真っ赤なカマロ。
PR
「淫猥なランプ」中原一也 (シャレード文庫)
しっとりとした雰囲気の漂う淫靡な千夜一夜物語。
……ではなく。
昭和臭漂うリーサルウエポンなおっさんランプの精と
純朴で無害だけどちょっと訳ありなサラリーマンと
成長途中のちみっこランプの精の物語でした。
ちみっこ可愛い。
掴みは相当なアホエロだったけど、
根底にあった諸事情はどシリアス。
平和な日本のワンルームマンションから
北アフリカの紛争地帯へ飛び、ど迫力な展開へ。
エンタメ要素盛りだくさん。
でも際立ったのは匡の無欲さと働くことに重きを置く姿勢。
そしてスパイシーチョリソーはホットじゃなくヒリヒリしそうだから
例えとしてはよろしくないと思う。
歩いていたら「無料で姓名判断してあげるよ」と怪しい勧誘をされたこと
私もあったなー。
話を聞きながらハンコを売りつけたいんだな、というのは透けて見え、
その時点で私の勝ち(笑)
同じく「無料診断」で石を売りつけたいんだなーと言う占い師の
不安を煽るような言い分に悉く言い返してたら追い出されました(爆笑)
「宝石商リチャード氏の謎鑑定4 導きのラピスラズリ」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)
何もしなかったらこの手をすり抜けて何処かへ行ったまま、
もう二度と会うことができない。
それがどうにも納得できないことだったら?
動くしかないよね。
「やらないで後悔より、やって後悔」
本当にその通り。
やってハッピーな結末を手繰り寄せることができるかもしれないもの。
それにしても、由緒ある家の遺産相続の問題は息が詰まりそうになる。
過去に雁字搦めになって自由に生きられないって辛い。
リチャードの鎖を断ち切ったのは、そんな柵に縛られない正義。
でも、彼も祖母と母が背負ったものに縛られていた。
その身に絡まった鎖を外しあった二人。
これからが楽しみ。
それにしても正義の覚悟の決め方は半端なかった。
そしてみんな、相手が裏側に抱えた感情を読むのに長けている。
長けすぎている。
相手に関心を持つこと。
一緒にいたいと思うこと。
その根底の感情は全部「好き」でいいと思うんだ。
個人的にこの二人にはブロマンス止まりが希望。
「宝石商リチャード氏の謎鑑定3 天使のアクアマリン」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)
真摯に相手を想っての言葉は胸に刺さる。
思わず耳を傾ける。
そして、受け止めてくれるとわかっている相手には
自分を語ることを躊躇わない。
謎多き美貌の宝石商、リチャード。
彼の過去の一端が紐解かれる3巻。
最初はイラッとすることもあった正義の言動だけど、
彼のまっすぐさと素直さにリチャードが少しずつ心を開いていく様が伺える。
リチャードの過去の傷がわかったからこそ、良い意味で正義に感化されているところがあるのね、
と思った矢先に……ちょっと、どういうこと!?という事態が発生。
そして私も途方に暮れる。
気になりすぎるのでこのまま次巻へ。
「親しき仲にもボーダーあり」は正義の言。
「親しき仲にも眉毛あり」は私の友だちの言。
え?なくてもいいじゃん!と言った私の意見は却下されました(笑)
そして昨日別件でメールしてた友だちがこの作品にハマっていることは知っていたので
話題を振ってみたら「身近で読んでる人がいなくて寂しかった!語れる人が出来て嬉しい!」
とキラキラメールが返ってきて私も嬉しくなりました。
今度語りに行かねば。
「虎を追う」櫛木理宇
過去に判決が下り、時効となった事件に対して、
退職した元刑事が胸に抱き続けた疑念。
犯人の一人が獄死したことをきっかけに、彼は事件の真相を探り出すことを決意する。
今は一般人となった彼が、どうやって?
今の時代の電子ツールの活用術と見事にマッチングしたアプローチが実に興味深い。
当然、若い世代の協力が必要で、彼の相棒は孫と友人。
その友人が抱えた問題も闇が深かった。伯母さん、キモチワルイ。
多くの人々の尽力で小さな綻びが広がるように明らかになっていく真実。
裁かれるべきは勿論犯人。
だけど、獣とわかっていて犯人を放しにした親の罪も重い。
夜更かし必須のお借り本。
ホームページを運営したり、会員制サイトに作品を投稿したことがある人たちには、
ああ、わかるわ~、なるほどなるほど、と共感したくなることがたくさんあると思う。
私がPCを初めて購入したのは……もう20年前になるのか。
ビルダーとHTMLと格闘しながらサイトを立ち上げた懐かしい思い出。
とても楽しかった。
「叛獄の王子外伝 夏の離宮」パキャット (モノクローム・ロマンス文庫)
命懸けの修羅場を潜り抜けた二人の後日譚『夏の離宮』
甘やかに色めく二人の逢瀬を丁寧に書き上げてくれたことに感謝。
幸せだ!
『色子語り』
持てる力を駆使して這い上がっていこうとする根性は嫌いじゃないよ、アンケル。
自分は真逆の性格のベレンジェ卿に惹かれていく様子が小気味よい。
その勝負の行方を私たちは知っている。
『春の青さは~』
楽しそうな彼らしか描かれてはいないけど。
永遠には続かなかった幸せな時間が切ない。
『布商人チャールズの冒険』
乱闘騒ぎの挙句、食べ物を手に逃走する王子二人に爆笑。
大事だよね。
彼らの治める国に幸あれ。
ずっと緊張しながら読んでいた本編とは打って変わって
楽しく読了の外伝。
貸出中の本編が返ってきてから読もうと思ってたけど、
戻ってくるまでもうちょっとかかりそうなので読んでしまった。
わーん。
本編読みたい!
それは戻ってきてからのお楽しみだわね。
アンケルの野心的な姿になんとなくスカーレット・オハラを思い出す。
映画が好きで何か見たけど、本編未読の『風と共に去りぬ』。
いつか必ず読むよ。
「ホテル・ルワンダの男」ポール・ルセサバギナ(ヴィレッジブックス)
「ルワンダよ、なぜこんなことに?」
100日で80万人が殺される常軌を逸した事態。
1日に8千人。
殺された人の多くは鉈で切りつけられて命を絶たれた。
国民を狂気に誘ったのは言葉による扇動。
その大本にあったのは権力に対する執着。
虐殺のために水面下で進められた準備。
意図的に導かれたものであることが恐ろしい。
そんな殺戮から自分の持てるあらゆる手段を使って1200人の命を救った男がいた。
学ぶべきことが多々あるその手段は本書に克明に記されている。
そんな彼が、嵐が去った後に抱いた諦念と願いに、胸が締め付けられる。
→
ドイツにシンドラーが、リトアニアに杉浦千畝がいたように、
ルワンダにはルセサバギナがいた。
舌咬みそうだけど、覚えておきたい名前。
レビューは既定の文字数に無理矢理おさめたけど、
久しぶりに文字数全く足りないわ!と言いたくなった。
そのくらい色々なことを突きつけられて考えさせられる読書だった。
『愛を与える獣達 猛き孤狼と緑樹育む新たな『番』』茶柱一号
煮詰まった思考では妙案など浮かばない。
悩める者たちの迷える思考に風穴を開けるのは、
全く違う角度から物事を捉えたプラスの見方。
それも、無理にプラスに転化するのではなく、
ナチュラルに添えられるプラスの言葉。
寄り添った伴侶同士だからこそ、そして、愛を確かめ合った二人だからこそ、
或は、第三者的な視点だからこそ、相手を心から想い、口にすることの出来る言葉。
彼らが歩んできた道は平坦ではないけれども、
3カプとも良き伴侶に出会えて皆それぞれ幸せそうで何より☆
ペーパーでまさかのもうひと組に衝撃の走ったお借り本。
でも、お似合いに思えてくるから不思議。
そして、獣の捌き方は梁山泊に学べ!と、思った私はここでも北方脳が発動しております。
「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 下」 (竹書房文庫)
おもしろかったか?と言われれば、おもしろかった。
だけど、釈然としない読後感。
軍用犬のケインにとっては当たり前のことかもしれないけど、
ナイフで刺されても銃で撃たれても、ケインが戦闘の場に駆り出される姿がいたたまれない。
そして「あ、この人死にキャラ…」と思った人が、
思った通りに退場していく展開もどうかなーと。
無人の殺人兵器が血の通った人間を殺戮する時代がそこまで来ていることが
容易に想像できることが怖い。
そして、悪意のある情報操作によって踊らされる恐ろしさ。
現代社会が抱えた問題に対する注意喚起…でもあるのかな。
外伝も楽しく読めるけど、やっぱりシグマあってこそのシリーズ。
漸くシグマが絡んできた下巻で何となく感じる居心地の良さ。
個人的には本編にタッカーとケインが絡んで登場してくれると嬉しい。
ワンパターンでも、不死身の人は何処までも不死身でも、
続きを読んでしまう中毒性のあるシリーズ。