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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「スミソニアンの王冠(上)」 (シグマフォースシリーズ12)ロリンズ(竹書房)



ワンパターンを脱却して、
ここにきて面白さのギアをあげてくるシリーズ。
監視なのか護衛なのかよくわからないお付の人たちを伴っての
グレイとセイチャンのバカンス。
彼らに向けられたのは白寿間近の男が胸に抱き続けた恋の恨み。
そして、彼らの過去が招きよせた大いなる危機。
アメリカン・エンターテイメントらしく日本の影の組織の呼称は「忍者」。
「忍刀」「鎖鎌」「手ぬぐい」の用語が飛び交っているのには思わず笑ってしまった。
ああ、だけど忍び寄る脅威の正体はもはやホラー。
気持ち悪い!そして怖い!でも気になる~~!
と読み進めて、最後の最後で衝撃的な爆弾がセイチャンの口から放たれました。
ちょっと、どうなるの!

『悪魔の花嫁』で蟻の卵を人の身体で孵化させて……という話を
小学校の時に読んで半泣きになって以来、その手の話は軽くトラウマ。
想像するだけで気持ち悪い。怖い。でも気になるし!!!
と、ゾワゾワしながら読んでました。
セイチャンは多分、大丈夫だと思うんだ。
ああ、そしてパル。最後まで無事でいてね。
私にとって「ハワイ」と言えば「鉄腕DASH」。
深夜枠は神がかって面白かった。

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「堕天使の背骨」鳩村衣杏 (ゲンキノベルズ)



出逢った歳は5歳と8歳。
9年かけて胸の内で育みつづけた想い。
幸福に溺れたのはほんの一時。
唐突に引き離され、一切の連絡を断ったまま流れた時は17年。
再会を果たした瞬間から彼らの運命は大きく動き出す。
何が凄いって、17年間相手に対する想いが揺らがなかったことと、
相手の自分に対する想いを疑いもしなかったことが凄い。
真実を告げることができなかったからこそ、拗れに拗れた想い。
斜め読みしたエロ描写から引き継いだお仕事BL描写がとても面白かった。
そこから一転してのジェットコースター展開。
最後までドキドキだったわ。


第一印象はお互いがお互いを天使だと思った二人。
視覚的に納得させる最終頁のイラストが素晴らしい。
そして、おっしゃる通り、前作とのリンクがお見事。
『007』シリーズがシリーズなのに出版社がバラバラなのも
この作品を読めば納得!とおっしゃっていた読友さんの言葉で
手にした作品でしたが、とても興味深く読みました。
楽しかった。


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「彼の背に甘い爪痕を残し」鳩村衣杏 (ゲンキノベルズ)



やくざモノかと思って読み始めたら、
相当真面目なお仕事小説で、最初はそのギャップに戸惑った。
この表紙にもしっかり意味があるんだけどね。
(でもやっぱりこれじゃない感は半端ない・笑)
過去を乗り越え、今を生きる俊介と、
過去の出来事に囚われたまま今を生きる音弥。
それぞれ過去に事情を抱えた二人が出版翻訳代理店という職場で出会い、
気持ちを通わせていく。
音弥が過去の自分を乗り越えていく経緯がとても良かった。
そして、翻訳小説を読む身としては、
興味深いお仕事事情が色々と伺えて楽しかった。

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「罅・街の詩」北方謙三 (集英社文庫)



商社から私立探偵に転職した男のもとに舞い込む依頼を綴った7編。
依頼主からの依頼に応えるのと同時に、
何故か調査対象者の事情にも首を突っ込むことになり、
時に傷だらけになっている風変わりな探偵。
意図してるかどうかはわからないけれども、
彼の捜査は「人に寄り添う」ことに則って行われている。
だから、彼らは話す。
それぞれが抱えた事情を。
探偵は時にそれを聞き流し、時にそっと手を差し伸べる。
物語の主役は、常に事情を抱えた彼らだ。
北方にしか醸し出せない何とも言えない情緒が滲む物語。
心地良すぎて読後もしばらく浸っていたくなる。


読み終わってから知ったけど、これ、シリーズ物で続刊があったんですねー。
知らなかったよ!
一話完結の短編でよかった。
ってか、続刊から読まなくてよかった。そこは運が良かった(笑)


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「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ (新潮文庫)



現代日本の価値観の中で生き、子どもを持たない私は、
アンナの選択に寄り添うことはできなかった。
ってか、理解不能。
心はどこまでも自由であるべきだけれども。
立場上、許されない恋は間違いなく存在する。
その恋を成就させるためにしなければならなかったことを
彼女は全て放棄した。
つまり、幸せになる権利は彼女自身の手で手放したようにしか思えない。
全編通して主に三組の男女が描かれていたけれども。
それぞれが抱えた問題が生臭くてリアル。
信仰を持たなかったリョーヴィンが宗教的な境地に辿りついたところで終幕。
オブロンスキーは最後まで駄目男だった。


ドストエフスキーとトルストイ。
「ロシア人作家」と一括りにしていたけど、当然のことながら、全く違う。
個人的にはドストエフスキーの俺前面押しのエネルギッシュな作風の方が好み。
トルストイは社会背景をきっちり描いてくれているのが興味深かった。
そして突然始まった花占いのロマンチックさにびっくりした(笑)
【ガーディアン必読100-3/1000冊】


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「塚森専務の恋愛事情」栗城偲 (ディアプラス文庫)



反発を覚えながらも専務として赴任した経営サイドの塚森に惹かれていく営業部エース荏原と、
そんな荏原の熱を孕んだ視線に気持ちが乱されていく塚森の恋愛模様。
業績が傾いた会社の立て直しに奮闘する塚森と社員たち。
そして、その改革に不満を持つ輩の悪意を持った嫌がらせ。
それぞれがバランスよく描かれて一つのストーリーを紡いでいくお仕事BL。
カップルの経済格差問題をこんなふうに突っ込んだ作品はなかなかないよね?
気にかかることを話し合いで解決していくスタンスは大事。
荏原が塚森に散々に振り回されると良いと思いつつの読了。→


あとがきにもあるように、正直塚森は攻めだと思っていたので、
なんか新鮮に読み進めてしまった。
戦える女王様は大好物なので、
「男らしくて綺麗で可愛い」は好みドストライク!
のはずなんだけど。
そこに「天然」の要素は入っていないので、惜しい!って感じでした。
いや、塚森イイ男ですよ?(笑)
それにしても、経営側の苦労は大変だなー、と、雇われ社員はつくづく思うのです。

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「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ (新潮文庫)



社会的立場の男女差が刺さる。
より窮屈で息苦しさを感じるのは女性の方。
とはいえ、アンナが苦痛に苛まれる要因は、己自身で招き入れたもの。
一方で、カレーニンが到達した許しの境地。
相手に対する後ろめたさを自覚する者にとって、
あの清廉さを向けられるのはキツイ。
まぁ、責められてもキツイんだろうけど。
子ども恋しさに泣くなら不倫なんてしなければいいのに。
抱き続けた恋を成就させたリョーヴィン。
キチイが妻として一人の人間として成長していく様が、
良い結婚だったと語っている。
アンナがヴロンスキーの愛情を疑い出した時点で、
不穏な未来しか感じられない。


近代ロシアの歴史的な背景をここまで織り込まれた小説を読むのは
初めてだと気付いてみた。
確かに、自分の読書歴を思い返してみれば、
ロシア文学にはほとんど触れてこなかったので、とても興味深い。
そして、少ないながらも読んだロシア文学から受ける印象は、
ロシアの人はおしゃべりである、ということ。
【ガーディアン必読100-2/1000冊】

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「セキュリティ・ブランケット 下」凪良ゆう (キャラ文庫)



あんなに腹立たしいと思った国生の成長に目を瞠ってしまった下巻。
腹立たしさが一転して、良い子だなーと。
国生に限らず、宮、鼎、高砂、ついでにジェシー。
恋に悩み、相手を思いやり、余計なおせっかいをして、
自分の気持ちに正直に突っ走っり……という色々な過程を経て、
それぞれに成長したり、学んだり。
人間として豊かに大きくなったなーと。
とても清々しく読了したお借り本。
ぶっちゃけ私が願っていたのは鼎の幸せなので、
国生も万ちゃんも鼎を支える気満々な姿に安堵。
この二人、切磋琢磨して男っぷりに磨きをかけていって欲しい。(鼎のために・笑)


ちょうど自分の成長してなさに反省していたところだったので、
これを読んでガツンときたというか、更に反省度が増したというか。
いや、猛反省しました。はい。
フランスの空港で私は気が付いたら荷物が一つ増えていて、
これ、ヤバいモノだったら速攻アウトだ!と、慌わてふためいた記憶があります。
「誰かの落し物か忘れ物です!」と騒いだ(?)結果、
インドに向かう予定の方の忘れ物だったことが判明。
とりあえず良いことをした気分になってみました(笑)

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「いじわるしないで手加減してよ 」リオナ



好きすぎて何度も読み返しては幸せになっている作品。
夏都が好きで大好きで。
だけど、その気持ちは決して報われることはないと思いつづけた仙波。
そんな仙波の想いを受け止めた夏都の柔軟性ってホント神。
性格が180℃真逆な二人だけど、
それで上手くいったのは、夏都鷹揚さによるところが大きいんだろうなぁ。
否定から入る仙波と夏都のかけあいがとても楽しい。
私にとっては意外性の塊だった仙波の「愛してる」のカッコ良さに
好みではない筈なのに毎回ときめいて、
夏都の「ただいま」の笑顔に癒されてる。
プロポーズの件は何度読んでも可愛い。


別アカでレビューあげたけど、好きすぎてこっちでも(笑)
基本的に読了したら本棚にしまって終了!の私が、
短期間でこれだけ読み返すこと自体が私にしては珍しい。
最近でこんなに再読したBL漫画はこの作品と秋雨さんの『不機嫌なディア』かな?
リオナさん、好きだわー。

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「ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱」菅野彰 (ディアプラス文庫)



ひっそりと閉ざされた世界で、寂しさで己の心を埋め尽すかのように
時を過ごしてきた白洲。
自分はそうして生きて、朽ちていくのだと本人ですら思っていたであろう白洲が、
実はきれいでやさしいことに憧れているということを見抜いた宙人は、
白洲の閉じこもった世界をぶち壊して外の世界へ引き出した。
このバランスが絶妙。
歳の差があって、全く相いれない世界の住人で。
だけど、強引に内側に踏み込んでくるほどぶしつけではなくて、
相手のことを慮る感性を持っている。
本音を晒して楽に息が出来る相手の前では無防備にもなるよね。
身も心も預けたと思わせつつ、主導権を握っている白洲を微笑ましく思いながらの読了。


真夜中にお風呂に入っていると、時として聞こえてきた踏切の音。
子どもの頃の私はそれが銀河鉄道が通過する音だと思ってとてもとても怖かった。
乗ってしまったらカンパネルラと同じ世界へ連れて行かれる気がして。
アニメのおかげで脳裏に浮かぶジョバンニもカンパネルラも
私の中では猫の姿をしています。
読み返したくなるなー。

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