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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「イヴの迷宮告(上)」 (シグマフォースシリーズ10)ロリンズ(竹書房)



プロローグはまさかの紀元前38000年から。
今回のテーマは人類の知能の進化について。
秘密裏に進行していた中国のプロジェクト。
彼らにとってのイレギュラーは我らがシグマの存在。
力も資金も兼ね備えた組織同士のぶつかり合いは、ガッツリとした読みごたえあり。
「毛のないゴリラ」と陰で言われるコワルスキーと
本物のニシローランドゴリラのバーコとの交流が微笑ましい。
そんなコワルスキがどんなふうにペインターの期待に応えるのかがとても楽しみ。
そして、月の表面のスケッチが描かれた時代を思うと、ロマンでしかない。
グレイたちの決意に奮い立ちながら次巻へ。

「アトランティス大陸」
この言葉だけで、色々想像をかきたてられてわくわくする。
そして神坂智子の「シルクロード」シリーズを思い出してみました。
大好き。





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「バイバイ、ハックルベリー」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



両親に愛され、家族仲良く天真爛漫に育った塁と、
幼少期には己の内側に引き籠った過去のある槙志。
前半は二人が想いを伝え合うまで、
後半は二人が付き合ってからの物語。
「好き」の種類がままならないものの、離れてしまいたくはない。
そういう心の揺らぎがリアルに伝わってくる。
特に、価値観というか、考え方の違う二人が、
相手のことを思い、すれ違いに悩み、心を添わせていくまでがとても丁寧に描かれていた。
終始話し合いでいったら歩み寄るのにもう少し時間がかかったかも?
ああいう爆発の仕方が嫌味にも不愉快にもならならないのは、
塁がまっすぐで裏表のない子だからだろうなぁ。

そういえば、ウチの甥っ子ちゃん、キッズのオセロ大会で
県予選を突破して東北大会に出場していました。
いろんな大会があるんですね~。

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「キッド」木内一裕 (講談社文庫)



「埋める」からまさかの「掘り出す」。
何を?は多分ご想像通り。
息もつかせぬハイスピードな展開と、連鎖して巻き込まれていく愛すべき登場人物たち。
なんじゃこりゃ!?な面白さ全開。
特別に文章が上手いわけじゃない。
だが、とにかく引き込まれる。
真剣に、だけどどこか愉快に突っ走っている彼らが
どんなエンディングを迎えるのか。
見届けるまでは頁を捲る手を止められない。
きっかけは人助け。報酬は「神様」の称号。
命を狙われてもどこまでもポジティブな麒一。
気質がとてもカッコイイドド子。
驚きの素性のノブ軍曹。
彼らの痛快な活躍を是非お楽しみあれ!

生き残るために必要なのは、機転の利きの良さ。度胸。ポジティブ思考。
次に麒一がどう出るのか。
わからないからひたすらワクワクしながら読み続ける。
彼に与した人たちの行動もやはり予測不能。
「十円ハゲ、目立たなくしてやろうか?」は強烈だった。
とても楽しかった。

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「アンティミテ」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



ギャラリスト自らが見出したまだ画家ですらない画家を、
現代社会の実情に即した形で育てていく物語。
自力で道を切り開いていくことのできる芸術家も世の中にはいるだろうけど。
群のように生活に追われて描くことがままならない人もいるだろう。
それでも、郡は描きつづけた。
少ない時間の合間を縫って、100均の画材で。
絵を描くことが本当に好きなのだという気持ちが伝わってくる。
最初は絵に。
そして群自身に。
惹かれていく和楽の迷いと揺らぎ。
異国の地へと飛び出した群との再会はドラマティックで運命的。
増え続ける習作の存在を思って、微笑ましく読了。

美術展に絵画を見に行くたびに、知識不足を痛感……
するんだけど。
無理に知識を詰め込む必要もないかな?とも思ってる。
どうしても気になったことはその場で調べつつ、
あとは好きか嫌いか。惹かれるか惹かれないか。
主観上等。
……と打ち込んでいたら、私、大学の講義の一つに
「西洋美術史」を選択していたことを思い出しました。
何やったかちっとも覚えてない!←ダメじゃんww
あ、フレッシュ症候群だ!



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「ひつじの鍵」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



家族に見せる顔。恋人に見せる顔。友だちに見せる顔。仕事で見せる顔。
程度の差はあっても、皆、それぞれに違う。
一色のオンとオフの切り分けのギャップは相当で、それがかなりの魅力だったけど、
更にに凄いのは仕事に対するプロ意識。
そんな一色のオフの顔を偶然目にした羊は
急激に彼に惹かれていく。
羊は気持ちを「分ける」というよりは「押し隠して」過ごしている未成年。
身近にいる人には見せることのできなかった本音を一色に晒すことによって
深まる関係性。
年の差があったからこそ成就した恋愛だと思う。
軽妙な会話のテンポと着眼点が面白くてぐいぐい引っ張られた。

本来は「洋」であった筈の名前が「羊」になってしまったように。
友だちも自分がそうだとずっと思って名乗ってきた名前が、
実は出生届と違っていることがン十年生きてきて発覚。
「(そうだと思って使ってきた名前に)改名してきたわ!」と憤慨していたことを思い出しました(笑)

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「暴虎の牙」柚月裕子(角川書房)



まさかの面子に再び出逢えた喜び。
そして孤狼の血が確実に受け継がれていたことを目の当たりにすることができた喜び。
昭和から平成への場面転換には相当痺れる。
堅気には手を出さない。
相手にするのは薄汚い極道のみ。
イケイケな虎が牙を持っていたのは「あの時」まで。
狂った虎の末路は知れていた。
掴み取れた光はあったはずなのに。
愚連隊の成れの果ては愚か者。
大神のパナマ帽。
日岡の手にあるジッポ。
一作目から馴染んだひとたちがそこに或は記憶の中に息づいている。
感じ取れる時間の流れは三作品を読み切ったからこそ感慨。
次のお楽しみは映画続編!


パナマ帽と言えば中森明菜の『サザンウィンド』。
何故か違和感なく脳内再生。
リリースされたのは1984年。
あ、時代が一緒!
仇討に飛び出そうとした沖に研いだ出刃を渡す素人のおばあちゃんが
今回の私のびっくり大賞。
そして個人的に大好きな一之瀬の元気な姿が見れたのが嬉しかった。

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バードドッグ (講談社文庫)



元ヤクザ。現探偵。
座っているだけでヤクザよりヤクザらしい風防の探偵矢能は、
気に入らない仕事は受けないし、電話は即座に叩き斬る。
そんな男が小学生の養女・栞の視線に抗えず、仕事を引き受けてしまう羽目に。
動き出せば有能な探偵ぶりを発揮するから驚きだ。
物騒な事件を追いつつも、
テンポよく繰り返されるやくざ者たちとの会話と絶妙な突っ込みに思わず笑ってしまう。
だが。
紐解かれた事件の真相は、やりきれないものだった。
そんな想いを吹き飛ばした矢能の見事な幕引き。
そして栞ちゃんの想いにホロリとさせられるラスト。
文句なしで面白かった。

塞いだ気分を吹き飛ばすのに相応しい作品だったわ。
次作『ドッグレース』の文庫化を待つ!
とっても待つ!←日本語……

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「頭文字D・1」しげの秀一 (ヤングマガジンコミックス)



どハマリしたのは20年くらい前。
イニD関連でサイト作って、いろんなイベントに参加して、
今でも各地から集まって一緒に飲んでいる友だちができて。
色々やり尽くして落ち着いて読めるかと思ったんだけど。
改めて読んでみたら心臓跳ね上がりました。
涼兄ィと啓ちゃんの並び立つ姿に。
半端なくカッコいい!
ロータリーサウンドのエンジン音が耳に、というよりも、胸に響いて蘇るわ。
深夜のタイムアタック。
噂でしかなかったハチロクが、待ち受ける彼らの前に姿を現す。
ドライバーの動機は車の一日レンタルとガソリン満タン。
役者がそろったところで次巻へ。

懐かしいなー。
読友さんの感想に触発されて
大好きだったなーと思って手に取ったけど、今でも大好きでした(笑)
さすが「私を構成する5つのマンガ」の一角。
続きはまたの機会に。




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「朧小路の恋の花」かわい有美子 (Holly NOVELS)



京都の花街を舞台にした恋の物語。
しっとりと読ませる作品。とても良かった。
昔堅気な職人気質の板前・吉澤と、人あしらいに長けたカフェバー店長の光希。
偶然の再会から互いの日常に根付いた仕事の部分を介して近づいていく距離感。
思惑のある光希と意図不明な吉澤の逢瀬の積み重ねを追っていくことがとても楽しかった。
関係が拗れかけた時に吉澤の見せた強引さがカッコよくて、
安心して甘えることのできる彼の男前っぷりにときめいていたわけですが。
ラスト、気まぐれな猫のようだった光希のデレた可愛らしさに射抜かれて、
その後の吉澤の行為にさらに悶絶して読了。

もう少し読みつづけていたかった。
甘くてくすぐったい感じの読後感を反芻してなんだか幸せ気分。
宮城さんのイラスト、特に表紙と口絵のカラーが秀逸。
そして、ホット・バタード・ラムを呑む前に冬が終わってしまったことに気付いてみました。
来年こそ!←そもそも、どこに行ったら呑めるのかがわかっていない(笑)

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「あどけない熱」久我有加(ディアプラス文庫)



聖の想いは純粋でまっすぐで歪みがない。
けれども。
14歳という年齢では、どうしたらいいのかがわかってはいても、
それを実行に移すだけの手段がないのが歯がゆい。
諦観を抱えて逃げ続けたカイネが初めて示した抵抗。
結果、呪縛からは逃れられたけど、その後彼らの歩んだ道はやさしいものではなかった。
それでも。
果たされた約束に安堵する。
細やかに描かれる心理描写で、互いが互いを想い続けた10年の時が知れる。
再会してからも本当の意味で寄り添うために必要だった時間が切ないながらも尊い。
どんな話?と聞かれたら、綺麗な話!と答えたくなるような作品。

親の意向で良い大学を目指して、それを子どもが苦痛に思っている場合。
良い大学に入ることだけが子どもの幸せじゃないんだよー、
と、真に子どもの幸せを願っている親になら伝えたいけれども、
彼らのように自分のことや体裁しか考えていない親には
何を言っても無駄なのかな?という気持になる。
聖の両親はどうよ?って言いたくなる人たちだったけど、
祖父が味方になってくれてよかった。


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