きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 上」 (竹書房文庫)
元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
ケインの毛並みの手触り、息遣い、見上げる目線、揺れるしっぽ。
そして、先頭に切り替わった時の頼もしさ。
そういったことがリアルに浮かぶ描写に、
ケインに対する愛情がひらすら込み上げてくる。
ひたすら可愛いくてカッコイイ。
事の発端はかつてのタッカーの仲間からのSOS。
依頼を受けた瞬間に、タッカーとケインの休暇は終了した。
行方不明になった共通の知人を探していく過程で、
兵器として開発されるドローンの怖さがジワジワっと伝わってくる。
俄かチームの彼らはこの窮地をどう乗り切るのか。
次巻へ。
シグマはチームとしてのバックアップがある中での戦いだけど、
タッカーとケインは二人(一人と一匹)の連携プレーでの戦い。
二人の絆の強さと信頼関係が伝わってくる番外編。
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「玉の輿に乗ったその後の話 玉の輿ご用意しました番外編」栗城偲(キャラ文庫)
秘書兼親友として。研究職員として。親戚として。後輩社員として。
それぞれの立場から印南を、蒼依を、そして印南と蒼依を語った短編四編。
+最後の一編は蒼依視点の印南と蒼依の話。
シリーズ番外編としてよくできた構成で、多方面から楽しめる。
お仕事描写の掘り下げの深さにはシリーズ通して興味深く引き込まれる。
そしてラストは甘さと幸せを十分堪能できる仕様に。
印南に出会えて人生が劇的に変わった蒼依と、
蒼依に出会えて人として良い方に変わった印南と。
プラスの相乗効果を引き出しあった二人。
周囲にもプラスに作用していることが伺える番外編。
楽しく読了。
「危険物のため、船でしか運べない」描写に、沸々と蘇る記憶……。
沖縄のお客様に商品を送るのに航空便がNGで船便のみ。
問い合わせた着日は「船次第ですね~」との返答。
なんだ、そのゆるっとした感じ!
と思ったけど、お客様は納得していたからままあることなのかな?
それから、不具合の原因が「気温が低いから」と返してきたメーカーに
キ―――ッ!ってなったことも。
だったら「冬場の東北使用不可!」って書いとけ!と、社内でガーガー言っていました。
「ハッピーエンド」水壬楓子 (リンクスロマンス)
先走って自棄になったり後ろ向きな結論を出したりする前に、
まず本人に事情を確認しようか。
と言いたくなることが、水壬さんのキャラには多い。
今回は変に拗れることなく早々に誤解も解けて良かったけどね。
素直になりきれない三津谷に対する泰丸の逃げ道の与え方が好き。
与えてるようで囲ってる感じがさらに好き。
なんだかんだ甘やかし上手。
同録はシリーズオールキャストのまさに「スペシャル」。
無理なく全員が絡んでるところが水壬さんのうまさで、
シリーズ通して読んできたご褒美的な感じがとても嬉しい。
『ハッピーエンド』のシリーズ。楽しく読了。
遊び相手と歩いているところを奥さんに見られて。
「友達だ」と言い張った知人男子。
泣かれても問い詰められても「謝ったら負け」の精神で突っぱね通したと。
ほほー。
言いたいことは色々あるけどここでは一つだけ。
奥さんと行動範囲が被るってわかってるところに遊び相手連れて出かけるな。
行き先きいて「馬鹿なの!?」って脱力したわ。
「すばらしい新世界〔新訳版〕」ハクスリー (ハヤカワepi文庫)
瓶の中から生まれてくる命。
その瞬間から既に決められている階級。
決められたことの繰り返し。
レールから逸脱することのない日々。
みんながみんなのもの。
しあわせはみんなと一緒に。
ならば、私は?
私が私で在ることの意味はどこに在る?
考えることは異端。
考えることは不幸。
自由意思の世界を知らないからこそ、幸せでいられる彼ら。
故に、知ることは不幸。
……本当に?
すばらしい新世界。
唱えるたびに背筋が寒くなる。
だが、彼らにとってユートピア。
私はこの作品がディストピアに分類される意味を考え続けられる思考でありたい。
1932年の作品。
本当に?と確認してしまうほど、時の隔たりが感じられるじられることがない。
不朽の名作と呼ぶに相応しい色褪せなさ。
素晴らしい。
「むちむちした肉体」「むちむちした椅子」
原書でこの「むちむち」はどんな単語なの?と興味津々。
オーウェルの『1984』よりもとっつきやすい作品。
けれども。
表現のソフトさに誤魔化されてはいけない。
描かれているのは紛れもないディストピア。
クドカンの映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の天国の描写を思い出した。
【ガーディアン必読 97/1000】
「革命前夜」須賀しのぶ (文春文庫)
「罪には罰を」
彼はその罪を糾弾したけれども。
罪のからくりを見抜くことはできなかった。
事後にはそれぞれが抱えた罪の意識と、自責の念が燻っている。
それが当時のその国の在り様なのだと。
言い切るには納まりが悪いやるせなさ。
旧体制下の東ドイツ。
音楽を志すために集ったはずの若者たちが、
壁が崩壊する直前の時代の濁流に飲み込まれていく。
掲げる信念は人それぞれ。
だが、それが許されない国での閉塞感。
その中で各人の信念の元、行動した彼ら。
「親愛なる戦友」
大きな傷を負った彼の
それは皮肉でも当てこすりでもなく、掛け値なしの本音。
なんだと思う。
脳裏で終始響き続けるピアノ。
そして、描かれる世界の熱気と迫力に圧倒される、読メ登録1600冊目。
須賀さん、おもしろすぎてヤバイ。
既に積んでるのもあるけど、少しずつ集めていこうと思います。
締め付け具合はソ連の方がよっぽど息苦しく感じられるんだけど、
同種の居心地の悪さを感じる東ドイツ。
好きな時に好きな所に行けて、
思ったことをそのまま口にすることのできる自由を噛みしめる。
ちなみに。
自由に口にしすぎて、独り言に対して返事や突っ込みが入るという事態が
時々社内で発生しています。
「スピンオフ」水壬楓子 (リンクスロマンス)
恋人と別れ、その傷が癒えずに一夜限りの相手との逢瀬を繰り返していた花戸。
そんな花戸の内情を知りながら近づき、繰り返し愛の言葉を囁いた箕島。
甘い言葉だけではなく、何のために近づいたかも悪びれずに口にする
駆引きのなさが好ましい。
箕島が野田にやらかした悪戯。
その顚末、知りたかったなー。
おちょくられて憤慨する木佐がみたかった。
そして悪戯された野田の意趣返し。
おかげで箕島と花戸はうまくまとまったわけだから、
野田、天使(笑)
既存キャラの親友ポジションの二人の物語。
各々の仕事事情が上手く盛り込まれていたのは流石。
ちゃらけた箕島の時折混ざる命令口調にときめく。
水壬さんの年上が年下に対するみせる懐の広さと鷹揚さがとても好き。
「クランクイン」水壬楓子 (リンクスロマンス)
穏やかであたたかい依光の想いに泣きたくなるのは、
千波を想う気持ちの真摯さが伝わってくるから。
今ここにいる、あるがままの千波を愛しているという想いが伝わってくるから。
焦らさず、強要せず。
千波が決断するのを待つ依光の懐の広さも好き。
そして、折れることなくしなやかに。
自分の歩む道を一歩一歩進みつづけた千波。
口さがない言葉は止まないかもしれないけれども。
分かってくれる人もたくさんいる。
だから、繋いだ手を離さないで。
それは千波の力になる。
依光の「約束」の提案はとても素敵だ。
言葉にして想いを伝え合うことはとても大事。
そして「デザート」ありがとうございます。
息子にあてられて、恋人を抱きたくなる親父の話(笑)。
多分当人には伝わらないけど、
木佐の息子を褒める言葉も嬉しかった。
「ファイナルカット」水壬楓子 (リンクスロマンス)
わかってた。
わかってたけど、わかりづらいよ、クソオヤジ!←絶大なる褒め言葉。
木佐がいたから野田が飛び込んだ世界。
木佐がいるから、野田が歩みつづけていく世界。
可能性の翼を広げてより大きな世界に飛び立つのではなく、
愛する男が写し撮る世界の中で、男の色に染まって変化を遂げていく。
そういうのも悪くないんだなぁ、と、素直に思える野田の想い。
その可能性を預けられた木佐は
吐露した不安と恐怖に呑まれることなく、
野田と共にさらに大きな存在になっていくんだろうね。
大人げないオヤジが挑発に乗って
箕島を蹴り飛ばすシーンがお気に入り。
水壬さんが楽しく書いているのがものすごーく伝わってきて、
こちらも楽しく読了。
「懐深くて腹黒い、できるオヤジ」私も好き好き。
「ラブシーン」水壬楓子 (リンクスロマンス)
劇団員の下積み生活を経て、売れっ子俳優へ。
そして憧れの監督の映画出演。
努力してステップアップしてきた千波が見舞われる、
悪意に塗れた出来事。
どうしてこの子ばっかり……と思うけど、
諸悪の根源は全部谷脇。
こんな卑劣な犯罪者には雷が直撃するといいわ。
傷ついた千波をずっと支え続けてきた依光。
絶望の底にあった千波の行為を「反則だ」と諭した依光の言葉に泣けた。
千波を信じた周囲の人たちの優しさが沁みるけど、
世間の目は優しいだけじゃないってことは容易に推察できる世の中。
千波の選択した再出発にエールを。
負けないで。
千波がカードデッキ(@仮面ライダー龍騎)を持ってたら、谷脇と戦えるのに!
と、相当ぶっ飛んだ方向に思考が流れた自分にびっくり(苦笑)
基本的に谷脇みたいな犯罪者にはハンムラビの法則を推奨したいところだけど、
今回は雷直撃でお願いしたい。
全く関係ないけど、龍騎では北岡先生と浅倉が大好きでした。