きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ただ青くひかる音」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
短編3篇+中編1篇。
崎谷さんが書くベッドシーンがまったくもって好みではない上に
ヤってる最中に過剰に幼くなるのはドン引きなので、
ほぼ濡れ場の短編は必殺飛ばし読み。
中編は和輝と笙惟の話。
これは良かった。
遊んでいた時代に知り合った笙惟と志澤とのお互いに恋人ができたことによる変化の探り合い。
志澤の話を持ち出して意地の悪いことを言われた和輝の逆襲。
そのまま笙惟がグダグダに成るかと思ったところからの逆襲は良かった。
おまけの嘉悦と藤木。
嘉悦のスケールがでかくて重たいプロポーズが全く通じてなくて愉快
……ではなく、ちゃんと伝わって良かったね。
美術館で音声ガイドを借りてみたいと思いつつ、
ほぼほぼ友だちと一緒なので結果的に借りずに終わって今に至る。
最近はひっかかったことはすぐスマホで調べられるから便利。
で、展示品を見ながらあれなんでだろうね?これなんだっけ?
と話をしていると、意外な確率で近くにいる見知らぬ(一般の)方が
「あれはね」と説明をしてくれたりします。
ありがたく拝聴。(笑)
いつか借りてみよう。
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「しじまの夜に浮かぶ月」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
ネガティブ思考の人にプラスで考えてみよう、と言っても、
自分を卑下する人にもうちょっと自分を大事にしようよ、と言っても、
そもそもの考え方を根本的に変えることは難しい。
周りの環境や係った人との関係性から派生する出来事によってイロイロと感化され、
少しずつ前向きに変わっていく。
そういう変化を一冊かけて描いた作品。
うまいなー。
過去の傷口が疼いたままの朝倉のやけっぱちな言動がグサグサ刺さったけど、
大智の件では(再読なのに)メッチャびっくりしたよ。
深いわ。
嫉妬でほっといたのはちょっとひどいと思ったけど、
ケネスの厳しさを備えた甘さが好き。
外見は完璧な王子様なんだけど、口の悪いケネスが実は気に入っているので、
素の部分が朝倉に露呈する続編が楽しみ。
「わたしの美しい庭」ポプラ社(凪良ゆう)
やさしくてあたたかな物語。
飾らないありのままの自分でそこにいていいのだと語りかけてくれている。
何かの枠に嵌ることも、誰かの期待に応えることもしなくていい。
ただそこで楽に呼吸をすることを受け入れてもらえる空間と空気感が終始漂っている。
彼らの抱えた過去がチクリと刺さるけれども、
彼らの織り成す空間がとても心地良い。
生きていれば、色々な事態に直面する。
走り続けることはできないし、笑ってばかりもいられない。
どうしても耐え難い何かを抱えてしまった時には、
私もその形代にわずらわしいモノを託そう。
そしてまた明日、前に進む。
それぞれが抱えた傷が痛くて、だけどみんな優しくて。
特に百音の優しさと率直さがジワリと沁みた。
凪良さんの一般書はすべてお友だちが貸してくれました!
どれもまた読みたいと思える作品ばかりでとても良かった。
「振り返ればかなたの海」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
適当な付き合いであれば、上っ面だけの取り繕った表情で事足りる。
近しい人たちは本質をちゃんと見抜いて接してくれている。
山下はそういうところ、ちゃんと気付けて良かったね、とつくづく思う。
山下に向けられる一葡のひたむきでまっすぐな好意。
何も望まず、一途に笑っているその奥底に押し込められた諦念が哀しい。
山下を追う一方だった一葡の想いをトレースしながら
山下が一葡を待つシーンにぐっとくる。
おせっかいな人たちの口出しがウザったい時もあるけど、
親身になってくれる人の存在はやっぱり心地よい。
このCP好きだなー。
そして山下が家族と和解できて本当によかった。
「すごいじゃん」と言われて「努力したから」と答えた一葡。
「できる」ことが当たり前ではなくて、
それなりのことをしたからこそできてるんだってことを
胸を張って言えることが素晴らしい。
「抱影」北方謙三 (講談社文庫)
スケッチブックを抱えて街を自転車で走る。
経営する店を自転車で巡回する。
ムスタングは雨の日に転がし、数日かけて煮込み料理をする。
そして、一人の女を想い、絵を描く。
男の日常が繰り返し描写される。
そこに少しずつ入り込んでくる、いつもと違った出来事。
そのイレギュラーに男の日常が、侵食されていく。
いや、違うか。
男は自ら望んで引き寄せた。
だから、誰にも止めることはできなかった。
女を失ったことがその契機か?と問えば、鼻先で笑われただろう。
男はすべてを全うした。
傍らには彼の絵を心酔するヤクザ。
光りのない世界への水先案内人。
久しぶりの北方は、相変わらずな北方ワールドでした。
そしてこれ、ホントに最近、映画で公開されていたのね~。
『抱影』の映画タイトルが『影に抱かれて眠れ』になっているのは納得。
そしてキャストを見て……公式HPをそっと閉じました。←私の脳内と映像と違った(笑)
「耳をすませばかすかな海」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
和輝の株が上がって、大智の評価が失墜する巻。
そうだった。
前巻の大智はカッコよくてもこっちは最低だったんだわー、と、再読して思い出しました。
人の話聞かずに怒って勝手するのはよろしくないの。
しばらくお店の皆につつかれるといいと思うわ。
メインは和輝と笙惟の物語。
一直線に笙惟を想いつづけた和輝。
まっすぐで嘘がなくて公平な和輝のものの見方が好き。
和輝の本気をはぐらかし続けた笙惟と腹を割って話す言葉を追いつづけると、
やっぱり対話って大事なんだなーと思う。
過去の出来事から誰かに本気で気持ちを預けることが出来なくなっていた笙惟。
和輝と出会えて良かったね。
鎌倉までは何度か行っているけど、
湘南には行ったことがないんだよね。
いつか、行ってみたいな。
「ガリバー旅行記」スウィフト (角川文庫)
無尽蔵に湧き上がる想像力と創造力。
現実社会に対する不平と不満。
純真な遊び心。
隠しきれない上から目線。
混ぜてシェイクして出来上がったのが本書。←私見。
読みながら書かれた年代を再確認してしまったほど、
300年近く前に書かれた作品だということにまったく思い至らない。
もちろん原書ありきだけど、翻訳もうまいんだなぁ。
児童書等で馴染んだ小人の国、巨人の国。そしてラピュタ、と語られて、
最後が予備知識なくぶち当たったフウイヌム国。
個人的にはこれが一番興味深くて面白かった。全く共感はできなかったけど。
私は人間であることを謳歌する。
小人さんたち良い人。
……と思ったけど、ガリバーを生かそうとした理由にびっくりして納得。
巨人さんたち良い人。
……と思ったけど、ああ、そういう計算があったのね、と。
ラピュタがあっさり終わっちゃったけど、他人に興味がない種族の話は進展しない。
フウイヌムで余生を全うすることがガリバーの幸せだったかもなぁ、とは思うけど、
帰国後の奥さんに対する態度はひどいと思った。
身重の奥さんを置いて航海に出た自分を顧みよう。
【ガーディアン必読 91/1000】
「手を伸ばせばはるかな海」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
前半は瀬里の想いが突き刺さるように胸に流れ込んできて痛い。
自分は多分、瀬里みたいな感じ方や考え方ができない人間だと思うけど、
半端ない共感性。
これは崎谷さんの筆力。
瀬里の自己評価が低すぎるのに対して周囲の瀬里に対する評価が高いっていうのが、
そもそもの不憫さの一因。
瀬里視点での弟・和輝と和輝視点での言い分とでは随分な食い違いがあったけど、
きちんとわかりあえて良かった。
私が思っていた以上に不器用だった大地と、
「好き」を自覚してから距離を縮めていが様がとてもよかった。
「大好き」って言葉が似合う可愛らしいカップル。
前巻の藤木にまつわる出来事を瀬里目線で語られているのがとても興味深い。
そして初読の時よりも大智のことを二割増しでカッコイイと思っている自分も興味深い。
そして何故か『ブラディ・ドール』の藤木が脳内でチラチラしていて(北方キャラで一押し!)、
新装版に手を出したくてウズウズ。
だけどまだ我慢。
海辺のカフェってのも類似点だってことに今気づいたわ。
「目を閉じればいつかの海」崎谷はるひ (角川ルビー文庫)
相手を思ってのその行為は、果たして本当に相手の為なのか?
それなりの人生経験を積んだいまだから、色々思うところがある。
だけど、渦中にいたら、それ以外の答えは見つけられないんだろうなぁ、という
当事者なりの切迫感もわかる。
折り合えるまで話しあえるのが理想なんだろうけど、時間と状況が許さない。
そして、なけなしの勇気を振り絞って手放すことができるのは一回だけ。
二度目はないってのもよくわかる。
「俺の十年無駄にしやがって……」
ここから丸く収まるかと思ったらもう一波乱。
親身になってくれる他人の存在がとても心強い。
このシリーズで崎谷さんにドハマリして、
ンプする勢いで作品を買い揃えていったけど、まだ追いつかない(笑)
まずは手持ちの本の感想を地道にあげていきます。
家の中の彼女の荷物を全部持って留守中に出て行かれた経験、私の知り合いもしてたなぁ。
「私の買ったものは全部持っていきます」という置手紙があって、
衝撃のままトイレに行ったら、セットしてあったはずの
トイレットペーパーまでなくなっていたって聞いて爆笑するしかなかった。
原因は彼の浮気なので自業自得なのです。
「R帝国」中村文則(中央公論新社)
読みながらいくつかの作品名が頭を過るが、
これは、現代を生きる人たちへの警鐘も踏まえた中村文則なりのディストピア。
作中で語られる事象に対して何を思い、をどう受け止めるかは私たち次第。
第一部は震えるほど面白かった。
そのまま突入した第二部。
同じような温度で最後まで作品世界に没頭できたら良かったんだけど。
ここ最近の彼の作品での女性に対する描写に辟易していた私は、
ここでもその壁にぶち当たり、我慢の限界を突破したみたい(笑)
ふざけんな、と、蟠りが燻りまくっての残念な読了。
もったいなーい。
数年後に読み返したら違ってくるのかしら?
手持ちの中村作品はあと3冊。
とりあえず買ってしまっているので、
全部を読みきった時点で彼と決別するか読み続けるか判断することにしよう。
彼の描く作品世界は本当に好きなだけにこんな決断を迫られるなんて残念!
あ、でも過去作品に対する愛は変わらない。