忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ホテル・ルワンダの男」ポール・ルセサバギナ(ヴィレッジブックス)



「ルワンダよ、なぜこんなことに?」
100日で80万人が殺される常軌を逸した事態。
1日に8千人。
殺された人の多くは鉈で切りつけられて命を絶たれた。
国民を狂気に誘ったのは言葉による扇動。
その大本にあったのは権力に対する執着。
虐殺のために水面下で進められた準備。
意図的に導かれたものであることが恐ろしい。
そんな殺戮から自分の持てるあらゆる手段を使って1200人の命を救った男がいた。
学ぶべきことが多々あるその手段は本書に克明に記されている。
そんな彼が、嵐が去った後に抱いた諦念と願いに、胸が締め付けられる。


ドイツにシンドラーが、リトアニアに杉浦千畝がいたように、
ルワンダにはルセサバギナがいた。
舌咬みそうだけど、覚えておきたい名前。
レビューは既定の文字数に無理矢理おさめたけど、
久しぶりに文字数全く足りないわ!と言いたくなった。
そのくらい色々なことを突きつけられて考えさせられる読書だった。





拍手

PR

『愛を与える獣達 猛き孤狼と緑樹育む新たな『番』』茶柱一号



煮詰まった思考では妙案など浮かばない。
悩める者たちの迷える思考に風穴を開けるのは、
全く違う角度から物事を捉えたプラスの見方。
それも、無理にプラスに転化するのではなく、
ナチュラルに添えられるプラスの言葉。
寄り添った伴侶同士だからこそ、そして、愛を確かめ合った二人だからこそ、
或は、第三者的な視点だからこそ、相手を心から想い、口にすることの出来る言葉。
彼らが歩んできた道は平坦ではないけれども、
3カプとも良き伴侶に出会えて皆それぞれ幸せそうで何より☆
ペーパーでまさかのもうひと組に衝撃の走ったお借り本。
でも、お似合いに思えてくるから不思議。


そして、獣の捌き方は梁山泊に学べ!と、思った私はここでも北方脳が発動しております。

拍手

「スロウスロウ」栗城偲 (リンクスロマンス)



バツイチ子持ちでアラフォーの成島が、
仕事で知り合った10歳年下の萱森に好意を寄せられ、
戸惑いつつも葛藤の末、彼の想いを受け入れる話。
なんだけど。
元々はノンケだった成島の葛藤がとても丁寧に描かれていて納得の流れ。
成島の息子・薫と、当事者である萱森の悩みと苦悩も共感できる。
先入観から相当な誤解をしていた萱森の人となりを
彼の仕事ぶりに接しながら正していく描写が上手いなーと思った。
複雑な心境を吐露しつつ、苦悩する成島の背中を押した息子・薫が個人的にはお気に入り。
今後、年上二人は彼に頭が上がらないと思うの。

建築現場のお仕事描写がわかりやすくて、とても楽しかった。

拍手

「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 下」 (竹書房文庫)



おもしろかったか?と言われれば、おもしろかった。
だけど、釈然としない読後感。
軍用犬のケインにとっては当たり前のことかもしれないけど、
ナイフで刺されても銃で撃たれても、ケインが戦闘の場に駆り出される姿がいたたまれない。
そして「あ、この人死にキャラ…」と思った人が、
思った通りに退場していく展開もどうかなーと。
無人の殺人兵器が血の通った人間を殺戮する時代がそこまで来ていることが
容易に想像できることが怖い。
そして、悪意のある情報操作によって踊らされる恐ろしさ。
現代社会が抱えた問題に対する注意喚起…でもあるのかな。

外伝も楽しく読めるけど、やっぱりシグマあってこそのシリーズ。
漸くシグマが絡んできた下巻で何となく感じる居心地の良さ。
個人的には本編にタッカーとケインが絡んで登場してくれると嬉しい。
ワンパターンでも、不死身の人は何処までも不死身でも、
続きを読んでしまう中毒性のあるシリーズ。


拍手

「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 上」 (竹書房文庫)



元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
ケインの毛並みの手触り、息遣い、見上げる目線、揺れるしっぽ。
そして、先頭に切り替わった時の頼もしさ。
そういったことがリアルに浮かぶ描写に、
ケインに対する愛情がひらすら込み上げてくる。
ひたすら可愛いくてカッコイイ。
事の発端はかつてのタッカーの仲間からのSOS。
依頼を受けた瞬間に、タッカーとケインの休暇は終了した。
行方不明になった共通の知人を探していく過程で、
兵器として開発されるドローンの怖さがジワジワっと伝わってくる。
俄かチームの彼らはこの窮地をどう乗り切るのか。
次巻へ。

シグマはチームとしてのバックアップがある中での戦いだけど、
タッカーとケインは二人(一人と一匹)の連携プレーでの戦い。
二人の絆の強さと信頼関係が伝わってくる番外編。





拍手

「玉の輿に乗ったその後の話 玉の輿ご用意しました番外編」栗城偲(キャラ文庫)



秘書兼親友として。研究職員として。親戚として。後輩社員として。
それぞれの立場から印南を、蒼依を、そして印南と蒼依を語った短編四編。
+最後の一編は蒼依視点の印南と蒼依の話。
シリーズ番外編としてよくできた構成で、多方面から楽しめる。
お仕事描写の掘り下げの深さにはシリーズ通して興味深く引き込まれる。
そしてラストは甘さと幸せを十分堪能できる仕様に。
印南に出会えて人生が劇的に変わった蒼依と、
蒼依に出会えて人として良い方に変わった印南と。
プラスの相乗効果を引き出しあった二人。
周囲にもプラスに作用していることが伺える番外編。
楽しく読了。


「危険物のため、船でしか運べない」描写に、沸々と蘇る記憶……。
沖縄のお客様に商品を送るのに航空便がNGで船便のみ。
問い合わせた着日は「船次第ですね~」との返答。
なんだ、そのゆるっとした感じ!
と思ったけど、お客様は納得していたからままあることなのかな?
それから、不具合の原因が「気温が低いから」と返してきたメーカーに
キ―――ッ!ってなったことも。
だったら「冬場の東北使用不可!」って書いとけ!と、社内でガーガー言っていました。

拍手

「ハッピーエンド」水壬楓子 (リンクスロマンス)



先走って自棄になったり後ろ向きな結論を出したりする前に、
まず本人に事情を確認しようか。
と言いたくなることが、水壬さんのキャラには多い。
今回は変に拗れることなく早々に誤解も解けて良かったけどね。
素直になりきれない三津谷に対する泰丸の逃げ道の与え方が好き。
与えてるようで囲ってる感じがさらに好き。
なんだかんだ甘やかし上手。
同録はシリーズオールキャストのまさに「スペシャル」。
無理なく全員が絡んでるところが水壬さんのうまさで、
シリーズ通して読んできたご褒美的な感じがとても嬉しい。
『ハッピーエンド』のシリーズ。楽しく読了。

遊び相手と歩いているところを奥さんに見られて。
「友達だ」と言い張った知人男子。
泣かれても問い詰められても「謝ったら負け」の精神で突っぱね通したと。
ほほー。
言いたいことは色々あるけどここでは一つだけ。
奥さんと行動範囲が被るってわかってるところに遊び相手連れて出かけるな。
行き先きいて「馬鹿なの!?」って脱力したわ。





拍手

「すばらしい新世界〔新訳版〕」ハクスリー (ハヤカワepi文庫)



瓶の中から生まれてくる命。
その瞬間から既に決められている階級。
決められたことの繰り返し。
レールから逸脱することのない日々。
みんながみんなのもの。
しあわせはみんなと一緒に。
ならば、私は?
私が私で在ることの意味はどこに在る?
考えることは異端。
考えることは不幸。
自由意思の世界を知らないからこそ、幸せでいられる彼ら。
故に、知ることは不幸。
……本当に?
すばらしい新世界。
唱えるたびに背筋が寒くなる。
だが、彼らにとってユートピア。
私はこの作品がディストピアに分類される意味を考え続けられる思考でありたい。

1932年の作品。
本当に?と確認してしまうほど、時の隔たりが感じられるじられることがない。
不朽の名作と呼ぶに相応しい色褪せなさ。
素晴らしい。
「むちむちした肉体」「むちむちした椅子」
原書でこの「むちむち」はどんな単語なの?と興味津々。
オーウェルの『1984』よりもとっつきやすい作品。
けれども。
表現のソフトさに誤魔化されてはいけない。
描かれているのは紛れもないディストピア。
クドカンの映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の天国の描写を思い出した。
【ガーディアン必読 97/1000】

拍手

「革命前夜」須賀しのぶ (文春文庫)



「罪には罰を」
彼はその罪を糾弾したけれども。
罪のからくりを見抜くことはできなかった。
事後にはそれぞれが抱えた罪の意識と、自責の念が燻っている。
それが当時のその国の在り様なのだと。
言い切るには納まりが悪いやるせなさ。
旧体制下の東ドイツ。
音楽を志すために集ったはずの若者たちが、
壁が崩壊する直前の時代の濁流に飲み込まれていく。
掲げる信念は人それぞれ。
だが、それが許されない国での閉塞感。
その中で各人の信念の元、行動した彼ら。
「親愛なる戦友」
大きな傷を負った彼の
それは皮肉でも当てこすりでもなく、掛け値なしの本音。
なんだと思う。

脳裏で終始響き続けるピアノ。
そして、描かれる世界の熱気と迫力に圧倒される、読メ登録1600冊目。
須賀さん、おもしろすぎてヤバイ。
既に積んでるのもあるけど、少しずつ集めていこうと思います。
締め付け具合はソ連の方がよっぽど息苦しく感じられるんだけど、
同種の居心地の悪さを感じる東ドイツ。
好きな時に好きな所に行けて、
思ったことをそのまま口にすることのできる自由を噛みしめる。
ちなみに。
自由に口にしすぎて、独り言に対して返事や突っ込みが入るという事態が
時々社内で発生しています。




拍手

「キャスティング」水壬楓子 (リンクスロマンス)



ハリウッドスターと映画監督。
職業は華やかながらも、恋愛に関しては
ダメな理由、引かれる理由、終わらせる理由を探してモダモダモダモダ……おい。
きっちり始まってもいないんですけどーー!?
と。思わず突っ込みたくなる。
臆病にもほどがある二人の背中を押したのは、
前作までこのシリーズを引っ張ってきた皆様。
ごもっともなアドバイスや意見を受けてほっとする着地。
出逢いのシーンが凄く好きでものっすごくわくわくしただけに私的にはちょっと残念な二人。
依光と千波の揺るがない結びつきが垣間見れたのが嬉しい。
木佐と野田も相変わらずで楽しかった。



拍手

  

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
2 3 6
8 10 11 13
15 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]