きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ふさいで~イエスかノーか半分か番外篇 3~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
一穂さんが描くのはその人の「人生」なのだと。
つくづく思う。
一瞬の情景を切り取ったドラマではなく、その人の歩んだできた軌跡を読ませる。
とても深い話だった。
意味深なタイトルも秀逸。
現実に打ちのめされてボロボロになった栄に放った設楽の言葉に鳥肌が立った。
業だなぁ、と。
自分が越えられない才能を持った者に対して迸る想い。
その言葉で栄は走り続けて、そして設楽は見守り続けて。
再会を果たした二人の新たなる船出はなるか?
偶発的な出来事からそのジャッジに立ち会ったのは、本編でも良く馴染んだ人たちで、
展開のうまさに溜め息。
重苦しい場の雰囲気をぶち壊した竜起の溌剌とした明るさに安堵。
第三者視点の話だと、外面しか見えない国江田さんのプロ意識に感心しつつ、
裏の毒舌を想像して楽しくなる。
栄と一緒に仕事ができてうれしそうな深の姿が目に浮かんで
なんだかこっちもうれしくなる。
シリーズを読み続けてきたからこそ味わえる楽しさ。
プラスして、じじいレンジャーがとっても可愛らしかった。
栄と言う人を掘り下げて書いてくれたのは良かった。
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「流浪の月」凪良ゆう(東京創元社)
「うちにくる?」と問われ、「いく」と答えた。
終わりにしたかったから。
行き場がなかったから。
二人の間に何があったのか。
どんな感情が芽生えたのか。
それは、当人にしかわからない。
きみのため、あなたのため。
つらかったね、怖かったね。
変質者。病気。
外から囁かれた言葉の数は数多あれども、真実を知る彼らの声は届かない。
閉塞感に押しつぶされそうになりながら読みつづけ、
だけど、彼らのたどり着いた答えに安堵する。
一人で孤独の淵に沈められなかったことに。
誰にも言えない悩みを抱えた時、人はどこに、そして誰に救いを求めればいいのか?
圧倒的な読み応えのお借り本。
そのうち買うつもりだったから貸してもらえ良かったー!
でも欲しくなるね(笑)
途中途中であれ?ってひっかかったことが全部回収されて、あ、すごいわー、って唸った。
会社に行かないといけない現実があって、読むのを途中で区切らざるを得なかったけど、
ひたすらこの作品世界に没頭して一気に読み切りたかった。
「恋敵と虹彩 ~イエスかノーか半分か 番外篇2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
読み進めるほどに楽しさのボルテージが上がっていって、
最後は声を出して笑いながら読了。
楽しかった!
このシリーズは潮と計がいてこそなんだなーと再認識。
そして、潮が私が思ってた以上にイイ男だった。
外面を取り繕っていない素の計に出くわして挙動不審になっている深と、
ナチュラルに対峙している潮と竜起の落差も面白い。
全体の3/4は付き合い始めて2週間後からの竜起と深の話。
嘘をつくならその嘘を墓場まで持っていく覚悟で。
それができないなら、嘘はつくべくではない。
と言うのが私の持論。
竜起に対する好きがダダ漏れている深は可愛かった。
先日、社長と西宮神社の福男の話をしたばっかりだったので、
題材的にとてもタイムリー。
「学業=よほどの問題がない限り目的は達せられる」と書かれたおみくじの通り、
国家資格を取得した身としては、
おみくじって当たるんだわー、と思っています。
引いたのは「天然石おみくじ」だけどね。(笑)
「始まりのエデン 新たなる神話へ」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)
それは不可避だとわかっていたから。
ずっとずっと胸が苦しかったけど。
その瞬間には悲しみと、そして安堵で落涙。
彼がひとりではなかったから。
孤独ではなかったから。
そのことがとてもうれしくて哀しい。
人の強さ、弱さ、ずるさ、愛情深さ。
色々な想いが詰め込まれていて、彼らの一言や行為が胸に刺さった。
全巻を通して教えられたのは「世界を変えたいのなら、まず変わるのは自分」ということ。
他者に責任と行動を委ねるのではなく、自らの手で未来を勝ち取るべきなのだと。
彼らは行動で示してくれた。
一つの戦いの終りは、新しい困難の始まり。
だけど、彼らは乗り越えていくだろう。
クリスマスや誕生日に「何が欲しい?」と聞くと必ず「本!」と答える姪っ子ちゃん。
この作品はいつか、彼女にも読んでもらいたい。
私の本棚は中学時代から集め続けた本がどっさりみっしり詰まっているので、
(何度も整理しているから残っているのはお気に入りばっかり)
彼女の年代に応じてその本たちを読んでいってもらいたいなーと思っているのです。
「横顔と虹彩 ~イエスかノーか半分か 番外篇~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
概要しか覚えてないなーと思いながらの再読。
なにこれ。面白いんですけどー!と、食い入るように読んでしまった。
竜起と深。
対極にあるような性格の二人が、
互いの良さを認め、努力を知り、良い意味の影響を与え合って成長していく。
仕事的にも、互いを知るほどに惹かれあっていく恋愛的にも
読みごたえがあって面白い。
ふがいなさを知ることは、成長の糧になる。
自分に足りていないものと、この先の仕事とどう向き合っていくのかと言う自覚。
若い二人の足掻きがなんだか眩しい。
これからの二人がとても気になるので、番外の続刊は嬉しい。
全力では仕事をしたくない身としては、
彼らの働き方に頭が下がる。
いかに余暇のために余力を残すかが私のポイントだからなぁ。
とはいえ、最初の職場がブラックすぎて、今の職場は何をやらされてもあの時の大変さを越える仕事はないからぶっちゃけ楽。
……と思っているのは会社には内緒(笑)
そんな前職ともいまだにつながりはあるので、いい勉強をさせてもらったという意味で感謝☆
「銀の騎士 金の狼 新たなる神話へ」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート) (
あなたと私。
個と個として出会い、同じ時間を過ごし、関係を深める。
そうやって築いた絆の間に、出自はどれほど関係があるのだろう?
生まれや育ちに拘り出した者たち全員に問いただしたい。
あなたはその人の何と付き合ってきたのかと。
だったらあなたが去るべきだと。
苛立ちを飲みこみながら読み進め、なんかもう、レジスタンス側の人々に色々憤慨しての読了。
多大な権力を持ちながらも地位に固執しない者は強い。
自分の保全だけを考えればいいのだから。
「人生を終わらせるために必要な存在」
彼のその言葉に胸が軋む。
生きるために戦ってほしいと。
そう願って止まないのだけれども。
那智の滝。
次巻で出てくるかな?
那智大社へつづく階段を下から全力で駆け上がり、ぜーぜー言いながら御朱印をいただきに行った思い出。
間に合ってよかった。
和歌山、また行きたいなぁ。
今度はアドベンチャーワールドに行きたい!
そしてパンダビレッジに泊まりたい。
「チンギスの陵墓(下)」 (シグマフォースシリーズ8)ロリンズ(竹書房)
起こった問題に対する多方面からのアプローチ。
ある程度判別できてしまう関わる人たちの生死。
そして、限られた時間内でのドキドキハラハラの問題解決。
この展開もマンネリ化してきたなぁ、もうちょっと違う展開でもいいかなぁ、
と思った後半の自分を襲ったとんでもない衝撃。
ちょっとロリンズ!
そんなびっくり望んでなかったよー!(涙目)
防御なしに爆風を浴びた気分。
それでも、エピローグ・裏はいらなかったと断言する。
爆風と一緒にチンギスも吹っ飛んだわ。
作者の織り成す世界に翻弄されるのが読者。
間違いなく続きも読むよ。
「頑張れ!」と言われ「さっきからずっと頑張っているわよ!」と言える
女子の頑張りは好きだなー。
『逆説の日本史』もまだ道半ばだけど、
『逆説の世界史』の文庫はしっかり追いかけていこうと思ってみた。
「チンギスの陵墓(上)」 (シグマフォースシリーズ8)ロリンズ(竹書房)
プロローグのアッティラ暗殺の場面から期待値が高まる。
チンギス・ハンの陵墓は徳川埋蔵金と通じるものがある……と思うとなんだかワクワク感が募る。
あらゆる物事が思いのほかスムーズに進み過ぎるところがなんとなくひっかかるけど、そこはご愛嬌。
ザッツエンタメ。楽しんだモノ勝ち。
まさかの北朝鮮での戦闘にまで発展するとは思わず、彼の国の惨状に眉を顰める。
ダークマターまで話は広がり、大風呂敷を広げきったところで次巻へ……だと思いたい。
これ以上広がったら大盤振る舞い過ぎると思うから。
馴染んだキャラたちは相変わらずでとても楽しい。長編読みの醍醐味。
読めば読むほど北方の『チンギス紀』が気になってくる。
史上最大の帝国を築いた彼の生涯を、北方はどう記しているのだろう?
完結して文庫になるのを待って……って言ってたら、読めるのいつになるのかしら?
「世界のまんなか~イエスかノーか半分か 2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
喧嘩をしてもすれ違っても。
計の潮に対する絶対の信頼は揺らがない。
それが伝わってくることが心地良い。
どんなことがあっても帰れる場所がある。
素の自分で寛ぐことができる場所がある。
そう思える寄り処があるのって、とてつもない力になる。
一人で抱え込んで頑張って頑張ってきた計が潮の前で弱音を吐くシーンがとても好き。
この人の前では素直になれるのね、という泣きたいような安堵。
だけど、その後のびっくり展開。
戸惑う潮の姿に胸が痛くなるものの、
ぐらついた潮を「浮気だ」と詰る計に爆笑。
ああ、本当に元に戻ってよかったよ。
周囲の人たちが計の頑張りを理解してくれてるのが嬉しい。
仕事で「できない」って言いたくない気持ちはよくわかる。
水面下の頑張りはすべて押し隠して「できましたけど」と涼しい顔をしていたい。
でも「わからない」はちゃんと言う。
「わからない」で進めてしまったら迷惑にしかならないから。