きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「スピンオフ」水壬楓子 (リンクスロマンス)
恋人と別れ、その傷が癒えずに一夜限りの相手との逢瀬を繰り返していた花戸。
そんな花戸の内情を知りながら近づき、繰り返し愛の言葉を囁いた箕島。
甘い言葉だけではなく、何のために近づいたかも悪びれずに口にする
駆引きのなさが好ましい。
箕島が野田にやらかした悪戯。
その顚末、知りたかったなー。
おちょくられて憤慨する木佐がみたかった。
そして悪戯された野田の意趣返し。
おかげで箕島と花戸はうまくまとまったわけだから、
野田、天使(笑)
既存キャラの親友ポジションの二人の物語。
各々の仕事事情が上手く盛り込まれていたのは流石。
ちゃらけた箕島の時折混ざる命令口調にときめく。
水壬さんの年上が年下に対するみせる懐の広さと鷹揚さがとても好き。
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「クランクイン」水壬楓子 (リンクスロマンス)
穏やかであたたかい依光の想いに泣きたくなるのは、
千波を想う気持ちの真摯さが伝わってくるから。
今ここにいる、あるがままの千波を愛しているという想いが伝わってくるから。
焦らさず、強要せず。
千波が決断するのを待つ依光の懐の広さも好き。
そして、折れることなくしなやかに。
自分の歩む道を一歩一歩進みつづけた千波。
口さがない言葉は止まないかもしれないけれども。
分かってくれる人もたくさんいる。
だから、繋いだ手を離さないで。
それは千波の力になる。
依光の「約束」の提案はとても素敵だ。
言葉にして想いを伝え合うことはとても大事。
そして「デザート」ありがとうございます。
息子にあてられて、恋人を抱きたくなる親父の話(笑)。
多分当人には伝わらないけど、
木佐の息子を褒める言葉も嬉しかった。
「ファイナルカット」水壬楓子 (リンクスロマンス)
わかってた。
わかってたけど、わかりづらいよ、クソオヤジ!←絶大なる褒め言葉。
木佐がいたから野田が飛び込んだ世界。
木佐がいるから、野田が歩みつづけていく世界。
可能性の翼を広げてより大きな世界に飛び立つのではなく、
愛する男が写し撮る世界の中で、男の色に染まって変化を遂げていく。
そういうのも悪くないんだなぁ、と、素直に思える野田の想い。
その可能性を預けられた木佐は
吐露した不安と恐怖に呑まれることなく、
野田と共にさらに大きな存在になっていくんだろうね。
大人げないオヤジが挑発に乗って
箕島を蹴り飛ばすシーンがお気に入り。
水壬さんが楽しく書いているのがものすごーく伝わってきて、
こちらも楽しく読了。
「懐深くて腹黒い、できるオヤジ」私も好き好き。
「ラブシーン」水壬楓子 (リンクスロマンス)
劇団員の下積み生活を経て、売れっ子俳優へ。
そして憧れの監督の映画出演。
努力してステップアップしてきた千波が見舞われる、
悪意に塗れた出来事。
どうしてこの子ばっかり……と思うけど、
諸悪の根源は全部谷脇。
こんな卑劣な犯罪者には雷が直撃するといいわ。
傷ついた千波をずっと支え続けてきた依光。
絶望の底にあった千波の行為を「反則だ」と諭した依光の言葉に泣けた。
千波を信じた周囲の人たちの優しさが沁みるけど、
世間の目は優しいだけじゃないってことは容易に推察できる世の中。
千波の選択した再出発にエールを。
負けないで。
千波がカードデッキ(@仮面ライダー龍騎)を持ってたら、谷脇と戦えるのに!
と、相当ぶっ飛んだ方向に思考が流れた自分にびっくり(苦笑)
基本的に谷脇みたいな犯罪者にはハンムラビの法則を推奨したいところだけど、
今回は雷直撃でお願いしたい。
全く関係ないけど、龍騎では北岡先生と浅倉が大好きでした。
「悪寒」伊岡瞬 (集英社文庫)
事件が起きてから裁判に至るまでが淡々と描かれる第一部。
そして、少しずつ明らかになる真相に右往左往する第二部。
事件の根底にあった感情は憎しみ。
「一日も欠かさず嫌いなところを書いてきた」
これは、毎日ひとつ、良いこと探しをして書いている私にとっては衝撃。
他人を陥れることに注ぐ力があるなら、
自分が楽しむことに全力を費やしたい。
と、私なら思うけど、そこはまぁ、人それぞれ。
事件の渦中にあった藤井家、みんなそれぞれが頑張った。
間違った方向に頑張った人もいたけど、
それなりの代償を払って手にしたぬくもり。
もう、見失わないよね。
「家族は放っておいてうまくいくものじゃない」
とは、主人公の台詞。
コロナの影響で子どもも両親も自宅にいる時間が大幅に増えて。
つまりは一緒にいる時間が増えた分、もめ事が多発してるんじゃないかって
密かに心配していた家庭があったんだけど。
その心配は杞憂で、今まで絶えなかった家族間の喧嘩が勃発する頻度がかなり低くなった
のが実際のところ。
その理由を奥さんが「今まで話が出来なくてすれ違っていた分、ちゃんと話をする時間が増えて意思疎通が図れるようになったから」と分析していたことをなんとなく思い出しました。
「宝石商リチャード氏の謎鑑定 エメラルドは踊る」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)
時として子どもは大人が思っている以上に物事をしっかりと見ている。
ごまかしたり嘘をついたりすれば、子どもの不信感を呼び込むことにしかならない。
だから大人はめんどくさがらずにちゃんと事情を説明するべきだったと思うの。
この時プリンを小さく連呼したリチャード。
言った甲斐があってよかったね。
正義の口のきき方は相変わらずどうかと思うけど、
リチャードの正義に対する見方に感化されて、
それが彼の在り様なんだな、と思えてきた。
甘いお菓子で懐柔されるリチャードが可愛い。
そんな彼の過去に対する興味が深まる2巻。
色々重い物背負ってそう?
牛乳寒天。
高校の時部室で時々作ってたわー、と、懐かしく思い出しました。
「クリソベリル」を「クソベリル」と読んで二度見したことはナイショです。
「こんなはずじゃなかった」
人生においてそんなふうに思う瞬間があったとしても。
「目指す場所があるなら根性をみせろ」
この言葉を思い出せる人間でありたいな。
「社史編纂室で恋をする」栗城偲 (ディアプラス文庫)
いくらポジティブ思考だからといって、
理不尽な目に合えば落ち込むし、誰かに慰めてもらいたくなる。
それでも仕事から逃げ出さずに前向きに頑張ってる志月、可愛いなぁ。
ストレス発散が走ること。
混乱した思考をまとめるためにもやっぱりランニング。
良い雰囲気いなったところで「ひとっ走り」に行かれてしまったら、
そりゃあ「何事!?」って思うよね。
問題が解決するまで志月に真実を話せなかった稲葉にはひたすらギャップ萌え。
稲葉がイニシアチブが取れるのはベッドの中。
日常は自称「察しが良い」志月に振り回されつつ、
決めるとこはビシッと決めてくれるのが最上。
スピンで塚原のお話ありですか。
そうですか。
ものっすごく楽しみ。
作家さんも絵師さんも宮城出身なので、妙な親近感(笑)
「生かされて。」イマキュレー(PHP研究所)
やさしくてやわらかな言葉で綴られる、
残虐で残酷な殺戮行為。
隣人が斧や銃を手にし、親しく係わりあってきた人々をためらいもなく殺す。
そんなふうに人々を扇動したプロパガンダ。
大本を正せば、植民地支配が招いた悲劇。
右へ倣えの群集心理はこうも人々を悪魔に変える。
積み重ねられる死体を前にして、
声をあげられる状況ではなかったのだろう。
これは、ルワンダの大虐殺を生き延びた、一人の女性の手記。
いや、『生かされて。』という言葉こそが相応しい。
善意の人々によって。
そして、信仰によって。
彼女の胸に宿った許し。
その想いが、彼女の精神をも救ったのだと思う。
1994年の虐殺で人口の10~20%の人々が殺されたルワンダ。
そして、それを上回る数の難民が流出した。
現在のルワンダは?と思って調べてみると、
アフリカの中でも比較的治安の良い国として紹介されている。
写真の街並がとても美しい。
ちなみに私が一番最初に浮かべたルワンダのイメージはマウンテンゴリラだった。
この本を買った理由は思い出せないけど(積んでる間によく忘れる)
読めて良かった。
「宝石商リチャード氏の謎鑑定」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)
短編4編+α。
一話目の正義と祖母のエピソード……というよりも、
祖母が抱え続けた思いが刺さる。
そして正義の母の思いも。
どんな事情故の行為だったとしても
取り返しのつかない事ってどうしてもある。
それをそうと言い切った正義の母は強いと思った。
無神経と紙一重な正義のまっすぐさは正直癇に障るけど、
踏み込まれることによって救われる人もいることも確か。
ど直球で褒め言葉を口にできるってすごいと思うんだ。
そんな彼に振り回されるリチャードの「悟りを開いたような表情」を想像し、
心情を汲むと笑える。
導入的な一巻目。まずは次巻へ。
ミネラルショー……そういえば、お友だちが行ってたなぁ。
と、読んだ内容と以前見聞したことと繋がるとちょっと嬉しくなる。
敢えて類似を探すつもりはないんだけど、
初野さんの『ハルチカシリーズ』や似鳥さんの『動物園シリーズ』に
ストーリーの展開の仕方は似てるかな?という印象。
そういえば、上記シリーズはどちらも最新刊を積んだまま、まだ読んでないなぁ。
特にハルチカは最初から読み返すか悩んでいるうちに時が過ぎてしまった(笑)
「undercover アンダーカバー」水壬楓子(SHY NOVELS)
秘密裏に暗躍するのはICPOの軍事版にあたる組織、メリッサ。
麻薬組織を撲滅するための潜入捜査。
ガッツリと描かれるミッションとアクション。
本気出せば出来るおっさんながらも、ヘタレな攻・榊。
メンタルではガッツリマウント取ってるひんやりとした美貌の女王様受・南雲。
どれもこれも好みど真ん中で楽しさ増し増し。
南雲が素性を明かしてからの榊との会話は、
榊のヘタレさ全開で爆笑もの。
こういうノリ、好きだわ~。
今回のエピソードは綺麗に完結しつつも、
次のステップへ進むための素地を十分に残したエンド。
シリーズ化してくれたらとても嬉しい。
手元にある水壬さんの作品はほとんどがシリーズ物で
(しかも読了数より積んである本の冊数の方が多いような??
知りたくないから数えないけど・笑)
単発のこの作品が積んであったことがイレギュラー。
だけど、大正解でした☆