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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ツミデミック」一穂ミチ(光文社)

禍がそのきっかけの一因となったとしても、引き金を引くのは人間。
奈落へ転がり落ちるギリギリのところで踏みとどまることができるのも、人間。
他人を傷つけるのも、誰かを助けることができるのも人間。
パンデミック、災害、押し込み強盗、異国の戦争、集団自殺。
生活に紛れ込んだそれらの事象に呑み込まれ、絡み取られた人たちの物語。
短編6篇。
抱えた事情はそれぞれで、1篇1篇まったく違った趣の作品を読ませてくれる。
個人的に短編は好んで読まないんだけど、一穂さんの短編はスッと入ってくるだけではなく、
各々の作品の色で余韻が残る。



一穂さん登録60冊目。
久しぶりに一穂さんの文章を読むと、
あ~、帰ってきたなぁ、というホーム感を感じるんだよね。
なんか安心する。
独特な感情表現には相変わらず目を見張るものがあって、
記憶をかつお節に例えた言葉がめっちゃ刺さった。
うまいなーって。
積んでいる作品がまだ少しあるんだけど、
それらは既刊を再読してから読もうと思っているうちにうっかり失念してしまっていた残念さ。
気付かせてくれたお友だちに感謝。

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「スパイに死を 県警外事課 クルス機関」柏木伸介(宝島社文庫)

後半の大味な展開に一瞬飽きかけて、ラストは驚きの持ち直し。
ぐっと引き込まれて読み切ったシリーズ三作目。
意図した殺人と、偶発的な殺人。
そこから引き起こされる騙し騙されの狂騒曲。
捜査に来栖が加わってしまったが為に、思惑通りに事が運べなかった人たち多数。
来栖をサイコパス呼ばわりしている警察関係者側も、実は相当イカれてる。
「誰も信じるな」と言いつつ、独りでは戦えないわけで。
駆け引き裏読みブラフにディスインフォメーション。
頭脳戦かと思いきや、挙句の果ての銃撃戦。
私に諜報機関は務まらない。←リクルートされてない。
「誰のために 何のために」
政治を司る人たちに対するこの問いは重い。

この作品が書かれたときは、
まさか本当に要人が暗殺されることになるとは思いもしなかっただろうなぁ。
そして北朝鮮やスパイと言うワードに引っ張られて五條さんの小説が読みたくなったけど、もう新作を書かれることはないと思うと残念。(既刊コンプ済)
せめて『ソウル・キャッツアイ』を読める日が来ることをまだ諦めたくない。









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「闇滴りし」かわい有美子 パレット文庫

かわいさんの筆力で描かれる平安時代。
廃嫡の皇子。陰陽師に妖。辣腕の武官。
作品世界の雰囲気は抜群に良いし、一癖も二癖もある登場人物たちにも惹きつけられる。
何より作品自体がおもしろい。
とってもおもしろいのにーー!
そして、これから色々展開してくはずなのにーー!
残念ながら未完でがっくり。
笠井さんの挿絵も素敵で申し分ないのになぁ。
意味深な龍の宮のつぶやきが、解かれぬ謎が、もやもやと気になる読後。
20年前の作品なので続きは無理よね。

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「起爆都市 県警外事課 クルス機関」柏木伸介

国家規模での対立。或いは、探り合い
どこまでが「国」の意向で、どこからが「個人」の思惑なのかが不明瞭な、
「力」を欲する者たちのマウントの取り合い。
権力者の意向で国民の思考が左右されるのは気持ち悪い。
交番勤務から警備部に呼び戻された来栖。
与えられた任務を完了させるまでに要した日数は三日。
え?これ、三日間の出来事?と、再確認。
たった三日とは思えないほど目まぐるしく事態が動いて、
読了後の全力疾走感が半端ない。
事件はとりあえず収束はするけど、黒幕はまだ謎なまま。
次巻で判明するのかな?
古典ヤクザの高齢化問題。
何だかリアルだなー。


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「県警外事課 クルス機関」柏木伸介

「情報を制する者は世界を制す」
どこで見かけた言葉だったか。
著者デビュー作。
後の『剣崎恭弥シリーズ』に比べれば荒いところはあるけど、面白かった。
彼らのように国家レベルの情報戦を私がすることはないけれども。
時事ネタをちゃんと知っておくこと。
正しい情報をインプットすること。
フェイクに踊らされないこと。
必要最低限、大事だなーと改めて思う。
「誰も信用するな」
その言葉通り、後半は怒涛の展開。
一つ歯車が狂えば、連鎖的におかしくなっていくのはあるある。
そして予測できた裏切りと想定外の事態。
前のめりで読了。

最後の最後、続編が手元になかったら、はぁ!?そこで終わる!!?と叫んでたと思う。
シリーズ揃えておいてよかった。




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「たのしい川べ」(岩波少年文庫)

春が来たよ!ねぇ、春が来たよ!
と、春の喜びを全身で表すモグラと一緒になんだかとっても楽しい気分になる冒頭。
そして、微笑ましいネズミくんとの出会い。
可愛らしい動物たちの川辺での心あたたまる物語かと思いきや!
トラブルメーカーなヒキガエルが事件を引き起こし、
ネズミやモグラ、アナグマたちが巻き込まれての騒動に。
とはいえ。
そもそも余計なおせっかいをしなければ、彼らは巻き込まれることはなかったのでは?
と、思わなくもない。
私ならほっとく。
とはいえ、結果的には満ち足りた生活を送っているみたいだから良いんだろうね。


【ガーディアン必読122/1000冊】
微笑ましさが過ぎ去ったあたりから、農耕民族には書けない作品だなぁ、と思ったのは感想としてあっているのか否か。
そして、食事風景で彼らの食べているものに違和感ありまくってしまった。
ヒエラルキーどうなってる?←多分気にしちゃいけない。(笑)

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「彩雲国秘抄 骸骨を乞う 下」雪乃紗衣

妟樹と旺季の絆。
妟樹の旺季への想い。
40年に渡る二人の物語。
泣ける……
個人的には旺季一派の結束が、その在り様がとても好き。
排除すべき敵を一瞬で絶命させる迷いのなさと腕がありつつも
危なっかしいところがあったからこそ、
皆は旺季のことがよりほっとけない感じだったんだろうなぁ。
そして。
劉輝と静蘭、愀瑛と絳攸の間にも、彼らに勝るとも劣らない絆があった。
正直、劉輝のことは好きにはなれなかったけれども、
結果的には周囲の人たちにあれだけ必要とされた彼にしか成し得なかったことが、
間違いなくあったんだな、と。
人生を全力で生ききった人たちの物語。
貸してくれたお友だちに大感謝。
ありがとう!

「踊る大捜査線」を観ていて。
室井さんと青島の体格差に、旺季と妟樹もこんな感じだったのかな?とふと思ってみました。
そして「遅いよ、皇毅」には当然ながら「遅いじゃないか、ミッターマイヤー」の台詞がこみ上げて、なんか色々入り混じりで私が大混乱。


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「彩雲国秘抄 骸骨を乞う 上」雪乃紗衣

番外編上巻は葬送の書。
悠舜と旺季。
寂寞感が胸いっぱいに広がりすぎて、やるせない。
やっぱり相当無理をしていた悠舜。
それでも、それは彼が選択して歩んできた道。
彼が唯一、「我が君」と呼ぶ者の傍らで。
そして旺季。
先王に対する執着が思っていた以上で、
だからこそ、先王の死の真相は胸に落ちた。
旺季に全く優しくない世の中だったけれども、
その世の中の為に駆け抜けた旺季。
傍らに彼を心から愛してくれた人たちがいてくれてよかった。
そして、本編最終巻で王としてきちんと立ったと思った劉輝だったのに!
何故またそんなんなってる??と、首を傾げる。
次巻、劉輝のターンで何を語る?



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「彩雲国物語 十七、紫闇の玉座 下」雪乃紗衣 (角川文庫)

最終的に玉座に在るのが劉輝であることはわかっていた。
わかっていなかったのは、どうやってそれを周囲に認めさせる?ということ。
劉輝が目指したのはとてもとてもきれいな理想の在り方。
誰の血も流さずに玉座につくこと。
その理想を実際に成し遂げたその経緯は見事としか言いようがない。
だけど、それは玉座を争った相手が旺季だったからこそ成し得たことだと思う。
そして、彼を支えてくれる人たちがいたからこそできたこと。
最後の采配は悠舜に持って行かれた感じだけど、まぁ、それはそれであり。
脳筋のオッサンたちの言い合いがとっても楽しかった。


番外編を残しつつ、本編はここで完結。
最初から最後までとてもとても楽しかったお借り本。
ありがとう。
一気に駆け抜けてきたので、いつかじっくり再読したい。
同じく再読したいのが『デルフィニア戦記』。
これは文庫で集めて姪っ子ちゃんに貸したいんだよね。
そのうち~☆彡

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「彩雲国物語 十七、紫闇の玉座 上」雪乃紗衣 (角川文庫)

最終巻の上巻。
下巻を読まないままどんな感想をあげればいいのかちょっと悩む。
色々盛りだくさんなんだけど、結局は最後に全部持って行かれた。
災害に対する備えと対策。
それがどれほど大切かを思い知る。
男性優位の社会の中で、
世界を一気に襲った災害や蝗害や人災に毅然として立ち向かった瑠花、英姫。
稀有の才を持つが故にその身を賭して災害に立ち向かった羽羽。
決意も覚悟も半端ない彼らの生き様がとてつもなくかっこよかった。
下巻は彼らから世界を託された者たちのターン。
彼らがどんな選択をしていくのか。
しっかりと見届けたい。


想起されるのはソクラテスの名言。
「一番大切なことは単に生きることではなく、善く生きることである」。
10代の頃に刺さって、それからずっと抱えてきている言葉。
でも私の座右の銘は「行き当たりバッチリ」(笑)

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