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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「永い言い訳」西川美和

傍にいることが当たり前だった家族を突然亡くしてしまったら。
あなたはどうしますか?
遺された者たちは、悲嘆に暮れながらも、日々の生活を営んでいかなければいけないのだ。
幸夫は大宮家の人々と共に過ごすことで、人として欠けていたもの取り戻し、
大宮家は幸夫に生活をサポートしてもらうことで、どうにか成り立っていた。
そうやって日々を過ごし、それぞれが心の奥底に封じ込めていた想いを吐き出せた時。
その場で藻掻いていた彼らがやっと前に進めるたように思える。
喪失の痛みは消えない。
その上での明日だって捨てたもんじゃない。
そう思わせてくれる作品だった。


泣くことだけが哀しみの表現じゃない。
泣かないからって哀しいわけじゃない。
泣けないこともあるのだと。
身をもってっ知っている。
だからこそ、思う。
真平も幸夫も。
泣くことができてよかった。

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「新装版 ジブリパーク公式ガイドブック」徳間書店

遊びに行く前に予習。
一日ではとても全部回り切れないことはわかっているので、
行きたい場所は事前に絞り込み。
でも、予習する前に「どこに行きたい?」と聞かれて「ハウルのお城」と即答。
実際に行った友だちから写真を見せてもらった時の完成度の高さに
「おお!」と思ったのが一番の理由。
そして、木村さんがハウルだから。(笑)
あとは「大倉庫」。
この二つは絶対に足を運びたい。
宮崎吾郎氏や宮崎駿氏のインタビューを読んでジブリパークの成り立ちに思いを馳せ、
ガイドブックにちりばめられたジブリ世界を眺めながらワクワク感を募らせる。

復習のつもりで「ハウルの動く城」「千と千尋の神隠し」「借りぐらしのアリエッティ」を
立て続けに観て、今更ながらどの作品にも神木くんが出ていたことに驚く。
マルクル役だったことも坊役だったことも、観てたのに知らなかったよ。
私がジブリ作品で一番好きなのは「風の谷のナウシカ」次点が「天空の城ラピュタ」。
これは揺らがないだろうなぁ。





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「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」吉田千亜(岩波書店)

記憶は風化する。
だから、時にこうして振り返らないといけない。
あの時、リアルに震災に直面した者として。
本書で語られる双葉郡の消防士たちの3.11。
最前線の現場で働く人たちにまったく伝わらないリアルタイムな情報。
こんなことが起こらないように政府は伝達手段をきちんと整備するべきだし、
彼らの命を守ることを考えなければいけない。
「特攻」なんて言葉を現場の人たちに言わせる現状ってどうなってるの?
そして、「原発は過酷事故には至らない」と言い切った明確な根拠はなんだったのだろう?
「安全神話ではない。安全願望なのです」
この言葉、一生忘れないと思う。


双葉郡には未だに立ち入り禁止区域はあるし、
状況によっては福島原発近辺には荷物を運んでもらえなかったりする。
14年経っても。
被災者でありつつ、救助する側でもあった彼らに心から謝意を。
久々に胸が重くなる震災関連本を読んだ。

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「逃亡者は北へ向かう」柚木裕子(新潮社)

結末は最初から想像できる。
だからって、払拭できるわけがないこのやるせなさ。
彼が思い描いた未来像が胸に刺さる。
ぬくもりを、やさしさを、愛情を少しでも感じて欲しいと思ってしまう。
いや、あの子の存在があったからこその夢だとすれば、
それらの欠片でも彼は手にすることができたのだろうか。
差出人のない手紙が、何かを届けてくれたのではないだろうか。
未曽有の大災害。
生活の基盤を失い、悲しみに打ちひしがれ、立ち上がれないほど疲弊しきっても、
それでも、人々は前に進まなければいけなかった。
生きていかなければいけなかった。


架空の都市名であっても、土地勘があればある程度は位置関係を思い浮かべることができる。
そんな私でも思った。
地図!地図が欲しい!と。
彼らの辿った道を目で確認して距離感がつかめれば、
よりリアルに感じることができたと思うんだよね。
ちょっともったいない。
そしてテリー・ホワイトの『木曜日の子供』を無性に再読したくなりました。

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「デルフィニア戦記 外伝4 国王の受難」茅田砂胡(クロスノベルズ)

短編四編+α。
「王女誕生までの七日間」
リィが王女になるまでの宮廷内事情。
ウォルの提案を皆がどんな風に受け入れていったのか。
それぞれの言い分、立ち回りに納得。
そして「薔薇風呂に熊が肩までつかっている」の件に爆笑。
『デル戦』ホント好きだわーと思った瞬間。
「国王の受難」
ウォルの女性に対する向き合い方には好感しかない。
そしてウォルが女性と会う場を覗き見(?)していたリィのナイスフォロー。
良い夫婦(同盟者)だなーと思う瞬間。
「男の修行」
男子であるシェラの男としての振る舞いに違和感って…。
他の作品も楽しく読了。

これで『デルフィニア戦記』読了。
あ、寂しい。
久々に再読したけどとっても楽しかった。
デビュー作を改定したシリーズが、そしてそこから派生した作品が多々あって、
ホントすごいなーって思う。
しかも大元を辿れば同人誌。
増々すごい。
ああ、でも私、茅田さんとも沖さんとも逆cpなのよーー!とそこだけが残念。
基本リバokなんだけど、そこだけは固定なのです。




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『茅田砂胡 全仕事』茅田砂胡(C・NOVELS)

本編終了から10年後の世界。「紅蓮の夢」
とてもとても楽しかった。
元の世界に戻ったリィの変わらぬデルフィニアへの想い。
10年経っても変わらない絆。
まさかウォルが飛ぶとは思わなかったけど、
異世界へ来ても動じない彼に絶大なる安心感。
だけど、デルフィニアがあんなことになっていたなんて。
リィの絵姿に向けられたデルフィニアの人々の切実なる想い。
間にあって良かったよ。
もう一度彼らとリィが並び立つ姿が見られたことがとても嬉しい。
沖さんの漫画「ヴァンツァーの櫛」。
動く(?)彼らに感無量。どの頁も豪華。
『デル戦』最高!

『スカーレット・ウィザード』も大好きなので、
ケリーとジャスミンにまた出会えたことも嬉しい。
ってか、他のシリーズも再読したくなる危険。
いつか、必ず☆彡




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「デルフィニア戦記 外伝3 ポーラの戴冠式」茅田砂胡(中公文庫)

位置づけは『デルフィニア戦記 外伝3』」だけど、その実態は
茅田さんの20年記念本『全仕事』に収録の『紅蓮の夢』の後日談。
本編のメインキャラたちの子どもたちがすくすくと育っていて微笑ましい限り。
幼馴染がたくさんいるって羨ましいわ。
再びデルフィニアの地に降り立ったリィ。
「伝説」としてしかリィを知らなかった子どもたちのリィに対する思い入れがすごい。
凄すぎた挙句の思い込みや間違った言動はちゃんと正す大人の導き方も良い。
リィとウォルの掛け合いはホント好き。
独りと独り。
そうして出会った二人が、こんなにもたくさんの人に囲まれて笑っている。
幸せだなぁ。

読み始めて、あ!『全仕事』手元にない!となり、慌てて発注。
『紅蓮の夢』を読んでからの方が繋がりが良いことはわかるんだけど、ないものはない。
読み始めちゃったら最後まで読み続けちゃうよね。
『デル戦』は途中でやめることは不可能です。(笑)

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「デルフィニア戦記 外伝2 コーラル城の平穏な日々」茅田砂胡(中公文庫)

中編が二つとSSが一つ。
副題を私的に言い換えれば、
「よくもまぁ、そんなに騒動に巻き込まれるものだと感心する日々」かな。
家の中から一歩も出ないまま過ごしても一日だし、
他県まで出かけていってめいっぱい遊んで過ごしても一日。
同じ時間でもその日によって詰め込まれる事象は様々で、濃密さも違う。
今回の「シェラの日常」は特に目まぐるしい一日だった。
あんなにいろんな出来事を良く捌いたねー。
困り果てたシェラに対するバルロとナシアスの采配もお見事。
刺客まで現れたのに、無事に終わる一日。
主要キャラほぼ総出演で、とっても楽しく読了。


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「背後の足音 下」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)

「幸せそう」と犯人が評した彼女は、果たして本当に幸せだったのか?
誰しもがいろんな感情を抱えて生きているのに。
笑っているから幸せとも限らないのに。
あまりにも理不尽な理由が腹立たしいけど、
彼にはこちらからの言葉は何も響かないんだろうね。
会社での繋がりなんて表面的なもの。
生きていれば知られるはずのなかったことを
死後色々と暴かれることになってしまった被害者の彼は何とも居たたまれない。
警察官であることを迷い、辞めてしまおうかとまで思ったヴァランダーの、
今回の事件の後の静かなる決意。
満身創痍で社会の亀裂に立ち向かっていくのだろう。


解説で「シリーズ初期の三つの長編と言う壁を乗り越えてこそ、この警察小説の醍醐味を十分に味わうことができる(つまり、初期三作の途中で挫折する人が多いということ)」と記載してあって。
銀河英雄伝説を読むときに「最初の序章をクリアできるかどうかが問題だ」という話になったことを思い出してみました。
とにかく読んで欲しい一心で「序章飛ばしてもいいから先に進んで!」と、勧めていた人たちもチラチラと。(笑)
私も布教しまくったなー。
高校の時にドハマりしていまだに大好きな作品。

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「デルフィニア戦記 外伝1 大鷲の誓い」茅田砂胡(中公文庫)

バルロとナシアスの物語。
とっても楽しかった。
途中イラっとしたことも全部綺麗に消化してくれてあっぱれのボタンを押しまくり。
先読みのできない能無しは隊を指揮する資格はないし、
そもそも戦闘の応援に来て足を引っ張るなんて言語道断。
そして、誰かに守られながら戦場に立つようなお坊ちゃまは戦場に来ちゃいけない。
そんな諸々をナシアスが全部にっこり笑いながら、或いは冷たい光を放ちながら
ぶった切ってくれて爽快。
サブタイトルの「大鷲の誓い」が胸にじんと来る。
過去編に終始するかと思ったら終盤で本編終了後の彼らに会えて嬉しさいっぱい。






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