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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ドッグ・メーカー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―」深町秋生(新潮文庫)

「猛毒をもって巨悪を倒す」とあるけれども。
毒は毒かもしれないけど猛毒と言うほどの毒ではない。
黒滝の根底には他人を傷つけたくないという情のようなものがある。
まぁ、変態かもしれないけど。
それが自分で選択をして進んだ道ならば、選択をした瞬間に責任が付随する。
自ら悪事に手を染めたならば、その悪には鉄槌を。
長いものに巻かれることを良しとせず、
組織を汚す膿を絞り出すために身内と徹底的に争うことを選択した彼等の在り様がカッコいい。
後半の怒涛の展開には本を閉じる事敵わず。
睡眠より読書で一気に完走。
や~、めっちゃ面白かった。


オラオラでバチバチの本読みたいなーと思っていた時に
読友さんが紹介してくださって、これだ!と飛びつきました。感謝。
続編も買っておいてよかった。
『果てしなき渇き』以来の深町作品。
もっとノワールな感じなのをイメージして読み始めたら……あれ?思ったよりライト。(←言葉の選択肢があってるかどうかは謎)でも面白かった。
次、『地獄の犬たち』いっちゃいます?←色々気になってきた。(笑)

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「VIP 宿命」高岡ミズミ (講談社X文庫)

嵐の前の静けさ……かな。
どんな形になるかはともかく、組の内部抗争はもはや避けられない状況になってしまった不動清和会。
そんな中、久遠と和孝がお互いの想いと立ち位置を、
明確な言葉にすることで確認しあっていく。
結果論だけど。
久遠が記憶を一部失くすようなことにならなければ、
多分この問題について話し合うことはなかったんだと思う。
そういう意味では良かったってことになるのかな?
いや、現状においての最善ってことか。
記憶は失くさない方がいいに決まってるもんね。
覚えていなくても
本能的な部分で和孝を同じように想っている久遠の言葉に安堵。


自分の主観と他人の客観。
同じ物事をみていても、捉え方はああも違う
まぁ、それはそれで仕方ないよね、とは思う。
自分がブレずに在ればよい。
でも、ストーカーの思い込み私見は問題外。


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「白い雌ライオン」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)

殺された理由は、道に迷ったから。
なんて理不尽な!
いや、これ、犯人どうやって見つけ出すの?
と思ったら、そんな範疇に留まる物語ではなく。
これは刑事ヴァランダーの物語でもあり、
国内に大きな問題を抱えた南アフリカの物語でもある。
犯人の追跡と同時に進行するのは、
ネルソン・マンデラの暗殺計画と阻止。
情報量の多さに脳内フル回転で読み切ったのは、
抜群におもしろく、そしてどこか哀愁の漂う物語だった。
単一民族国家で生きてきた私には遭遇することのないであろう人種問題。
白人でも黒人でもなく、アフリカ人である。
誰もがそんな認識でいられる世界であるといい。


プロローグを読みながら、あ、これ『シグマフォース』シリーズっぽい!
と、既視感。
だけど、本作の登場人物たちはシグマフォースみたいに殺しても死なない超人ではなく。
人間味あふれる一般社会で生きる人たちで。(一部例外アリだけど)
そんな彼らが必死で自分の職務を全うしようとする姿に思わず力が入る。
疲れ果てたヴァランダーに届けられた同僚たちのやさしさがあたたかい。

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「VIP 熾火」高岡ミズミ (講談社X文庫)

報道の在り方って時にめちゃめちゃアンフェアだよな、と思う。
諸々曲解した挙句のそれのどこが真実?という情報の拡散も怖い。
色々鵜呑みにして踊らされないようにしよう。ってか、したい。
飛び交う情報を気にせず久遠がどーんと構えていられるのは、
上総たち側近のフォローが行き届いているから。
なんの手も打たないのはただの無策だ。
和孝たちも自分たちの店を守るためにやれることをやって頑張っている。
そんな彼らに因縁つけまくりの南川の真意が明確にならないまま次巻へ。
同録のSSは久遠の過去編。
冴島との出会い、そして和孝との出会い。
知れてよかった。


手元に既刊がそろっている続き物を読んでいる時は、
感想書いてる暇あったら次~~!!と、気持ちが逸ってしまう……。
ちょっと我慢の一呼吸。
「スクーター」表記が出てくるたびに、私の脳裏に浮かぶのは
昔乗ってた50ccなんだけど。
和孝も同じでかな?125とかかな?もっと上?と、無駄に気になってみた。(笑)

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「彩雲国物語 八 光降る碧の大地」雪乃紗衣 (角川文庫)

一つの山場を越えると同時に、先につながる伏線が随所に見受けられる巻。
印象的だった影月が朔洵に対して怒りをぶつけたシーン。
わかるわー、と、共感しまくりでかつて抱えた悔しさを思い出してしまったわ。
粗末にする命なら、生きることを切望しつつも明日が約束されない人に与えて欲しい。
命のやり直しはできない。できないんだよ。
(作中の例外はおいといて)
「尽きるまで幸せであるように」という華眞の言葉通り。
他者から与えられる幸せを知り、また、他者に幸せを与えることのできる彼らは
やさしく、そして強い。
その幸いを糧にこれから立ちはだかるどんな苦難も乗り越えていくことを疑ってないよ。

お友だちにお借りしてここまで一気読み。
とっても面白かった。
続きはワンクッション置いてから。
手元にあったら延々と読み続けていそうだったわ。
20年近く前かな?
アニメシリーズが放送された時に友だちに頼まれて毎週録画して
DVDに焼いて送ってあげていたんだよね。
その時は私は観ないままで送っていたんだけど。
今こうして原作を読んでいる不思議。

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「彩雲国物語 七、心は藍よりも深く」雪乃紗衣(角川文庫)

秀麗は「初の女性官吏」として相当なものを背負って日々を生きている。
そうだよね。
後に続く人たちのためにも、途中で引くことはできない。
そんな彼女を目にして、齢八十を超えた現役官吏が負けていられない、と、
微笑む(表情は書いてないけど間違ってないと思う)シーン、好きだなぁ。
影月の生い立ちがあまりにも絶望に満ちていて。
だけど、幸せを伴ってくれた出会いがあって。
ここまで歯を食いしばって頑張ってきたからこそ、
生きることを最後まで諦めないで欲しい。
同録の短編には気になっていたことの顛末が描かれていてすっきり。


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「彩雲国物語六 欠けゆく白銀の砂時計」雪乃紗衣(角川文庫)

彼らの生きる国は柵が多すぎて、やりたいこと全部取りってホント難しい。
何かを成し遂げるためには、何かを諦めなければいけない。
だけど、年齢的にまだ若い彼らは、完全に諦めきる程の悟りの境地にも入っていない。
まずは自分のできる事を一つ一つ着実に。
そうやって、思い描く未来に近づければいい。
そんな彼等の切実な想いが伝わってくる。
若者を支える年長者たちも、色々抱えながらも頑張ってる。
考えることが多い分、大変だね。
生き急いでいる影月の身に何が起こっているのか。
「邪仙教」の教祖の正体は?
気になりつつ次巻へ。

「出る杭はとりあえず打たれるものなんだよ。打たれても出るのが本物だ」
柴凛の言葉、響くなー。


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「死線の魔物 傭兵代理店」渡辺裕之(祥伝社文庫)

「死んだこと」になってる男が
本名名乗って電話するわ、生存申告するわ。
え?大丈夫?と突っ込みたくなるけれども。
そこはザ・B級エンタメ。
気にしなーい。(笑)
と。軽く茶々入れながら読み始めたわけですが。
だんだん真顔になっていく展開。
「死線の魔物」の正体を彼等と一緒に追いつつ、
北朝鮮の内情を改めて突きつけられ、
読み終わってなんだかやるせなくなってしまった。
国の未来を憂いた彼等の、命懸けの抗議。
他にやりようがなかったの?と、問いたくなるけれども。
部外者には問う資格はないんだろうなぁ。




「シリーズを読み進めるかどうかは続刊次第かな」と
一巻を読んだ時のレビューに書いてるけど、
現時点でのリタイアはあり得ないわ~、と言う感じで楽しく読んでいます。
まずは第一部読破が目標☆彡

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「復興の書店」稲泉連(小学館)

震災から一年足らずの間に被災した各地の方々が、苦難を乗り越えて書店を再開、或いは開店していく様子が描かれている。
2012年発刊。
当時を知ることは大切なこと。
と同時に、2024年の彼等はどんな日々を送っているのだろう?
ということが脳裏を過ぎった。
被災後まだ間もない大変な状況下で店を開けるということは、自分の日常を取り戻すことの一環でもあったのだろう。
そして、本を心待ちにしていた人たちもまた、失われた日常の一部を取り戻すことができたのだと思う。
復興の書店MAPを見ながら、それぞれの地域のこれまでの復興の過程を思う。
震災後、一度ならず訪れた場所に、また行かせてもらおう。


毎年この時期に震災関連本を読んできて、今回はじめて
「震災当時」を知ると同時に「震災を経た今」を知らなければ、
という思いが湧き上がってきた。
何らかの心境の変化なんだろうな。
まだ問題が山積されていても。
ここまでの復興を成し遂げた人の思いと力は、間違いなくすごいものだと思う。

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「謀略の海域 傭兵代理店」渡辺裕之(祥伝社文庫)

タイトルからして海賊かな?と思いつつ読み始め……
海賊とは比較にならないくらい大きな存在が背後に蠢いていた巻。
やっぱりおまえか!的な納得。
アフリカの覇権争いは時事問題でもある。
そしてロシアのウクライナ侵攻で報じられる様々な問題を、
改めて考えさせられてしまった。
傭兵チームの面々は相変わらずでほっとする。
自身の死亡記事を出して死んだと見せかけている割には、
あっちこっちで派手に動きすぎている気がする藤堂サン。(笑)
海上から移動しての陸上でのアクションはさすがの読み応え。
仲間も増えたところで楽しく読了。

ピッカリの再登場に心が弾んだことは内緒。
天光寺輝彦、海坊主、ピッカリ。
お気に入りピカピカ。(笑)

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