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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「夢色十夜 2の巻」かわいゆみこ (パレット文庫)

数百年に及ぶ恨みを抱き続けた「鵺」のもたらす恐怖とそこに秘められた悲哀。
恐怖を植え付けられ、閉ざされた世界の中で暮らす村人たちには、
自らに害を成す怪異を自力でどうにかしようという気概は湧いてこなかったんだろうね。
何より村の閉鎖性が怖い。
見世物小屋で囚われていた「人魚」と鷹司の物悲しい交流。
金の生る木だと思っているのなら、何故座長は人魚を大事に扱わなかったんだろうか?
謎だ。
「雛人形」に誘われた夢の中で倉橋が垣間見た、彼女の幸福な微笑み。
情景描写の緻密さと今市子さんの挿絵にうっとり。
収録された三篇の中でこれが一番好き。

三つ子の魂百まで。
最初に勘違いしちゃったから、
何度「違う」と修正しても私の中で「鵺」と言われて浮かんでくるイメージは烏。
今回も作中で説明されて、あ、そうだった!妖怪だった!となりました。

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「薬屋のひとりごと」日向夏 (ヒーロー文庫)

漫画を読んで、アニメを観て……からの小説。
小説を読むにあたって、視覚的に彼等のビジュアルが浮かぶことや、
その声が聴こえてくることは、今回はプラスの相乗効果。
並行して読んでみると情報量が多いのは小説だよなーと実感。
漫画で気づかなかったことが、小説だときちんと文章で書かれているから
あ、なるほど!と。
漫画も作風がが好みで視覚的に目を楽しませてくれるから好き。
作品自体が気になって一冊目を小説と漫画で読んでみたんだけど、
どちらでそろえるか。悩むなー。←蔵書を減らそうとしている人の発言ではないけど、読みたいものは読みたい。(笑)

感想ではなくお悩み独白みたいになってしまった。
手元にある小説や漫画がアニメの展開を追い越してしまうと、
たとえどんなに楽しく観ていてもそのアニメを観なくなるので、
どちらにしても集めるのは今期のアニメが終わってからかな。
紙本にこだわりたいけど、置き場所のことを考えると文庫は紙媒体で、漫画は電子でってのもありなのかな?←あれ?どっちも集める前提になってる。




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「ミノタウロス」佐藤亜紀 (講談社文庫)

たらればを言い出したらキリがない。
かと言って、時代のせいにするのも間違っている。
たとえ、生き延びるためには他者の命を犠牲にすることが必要だったとしても。
彼等が転落の一途を辿った責任の所在は彼等自身にある。
作中では一切言及されない「ミノタウロス」というタイトルに何を思うのか。
読み手の大多数が同じ認識を共有するであろう物語展開。
その筆致に圧倒されるものの、彼等のやることなすことに全く共感できるものはなく、
繰り返される略奪と虐殺にぐったり消耗して読了。


読んだタイミングが完全に悪かった。
文章を追いながら、何故かマッカーシーの世界がチラついて離れない。
そうなると無意識に比べてしまう。
そんな雑念が余計だった。
大好き作家さんと初読の作家さん。
初読の作家さんの方の分が悪いよね。
残念。
ロシア革命と言えば『オルフェウスの窓』!
読み返したい。

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「夢色十夜」かわいゆみこ (パレット文庫)

昭和初期。
海軍将校を父に持つ倉橋と、侯爵家の子息鷹司の織りなす幻想的な物語。
オカルティックな作品は積極的に読む方じゃないんだけど、
かわいさんの描く不可思議な世界を堪能した。
情景描写の緻密さは、そこに在る光景をリアルに想起させ、
二人の掛け合いからは、
親密な精神的な繋がりを持ちながらも、それ以上は踏み込まない絶妙な距離感を伺わせる。
今回は三篇収録。
『白鳴琴抄』決して人を恨まなかった智子の心の在り様が美しくも哀しい。
『薄氷』今の二人の関係の源流を知れるのが嬉しい。
『夢の迷い路』人を魅了し幻惑する桜。

京都の桜。
機会があれば一度眺めにいきたい。
時期が限られていることを考えると、仕事をリタイアした後のお楽しみかな?
うん。
それまでは東北の桜巡りを満喫☆彡

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「サイケデリック・マウンテン」榎本憲男(早川書房)

ここ数十年の間に世界を震撼させた、いくつもの出来事。
日本が抱える数々の問題。
そういったリアルの部分に
エンタメ・オカルティック更には恋愛要素も盛り込んでまとめあげられた一冊。
著者の知識量が相変わらず半端ないし、
専門的なことをわかりやすく伝える術に長けているから置いていかれずに読める。
むしろ加速がついて一気読み。
冒頭で刺殺された鷹栖の波乱万丈な人生。
彼が生きていたらこの国はどうなっていただろう?
気にはなるけど私は却下だ。
そんな事態に知らぬ間に誘導されていることが怖い。
サイエンス一辺倒だった井澗のプレゼン。
めっちゃぐっと来た。


今のところ外れ一切なしのコンプ作家さん。
文庫になるのを待たずに買って正解。
読み応え抜群の一冊でした。

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「脱北航路」月村了衛(幻冬舎)

命がけの二日間。
辿り着いた日本海。
それなのに……「恥を知れ!」と政府の対応に吐き捨てたくなるけれども。
忘れなかった後悔。
諦めなかった思い。
やってくれると疑っていなかった、還暦を越えた男たちの雄姿に胸が熱くなる。
一人一人はやさしくても、
多分、この国はやさしくない。
これからが大変だとも思う。
それでも。
お帰りなさい、と。
よくここまでみんながんばったね、と。
全てを捨て、身一つで海を渡ってきた彼らに思う。
何のための国家か。
誰のための治世か。
あの国を統べる人には、届かない問いかけ。


『土獏の花(月村了衛)』の展開を思いだしてドキドキしたけど、
『土獏の花』よりは抉られなかった。(自分比)
そして、潜水艦つながりで『沈黙のローレライ(福井晴敏)』を手に取りたくなったけど、貸し出し中だった!
あ、残念。
貸した友だち曰く、朝ドラ「ブギウギ」に『ローレライ』と被るところがあったそうです。
私は「ブギウギ」を観ていないのでわからないのが残念。
「タイムリーだったわ~」と友だちが言うのを聞いていて、
本を読むタイミングってやっぱあるんだなーと思う瞬間。
そんな会話をしたあとに、私がこの本を読んだのもタイムリー。(笑)

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「の、ような。6巻」麻生海 (ラバココミックス)

子どもの可愛さに癒されて、大人の会話に気づきがある。
ソファで眠り込んだキナに布団をかけてあげるハルの優しさがホント嬉しくて可愛くてだし、
そんな彼にちゃんとお礼を伝えるキナが素敵だ。
愁人の会社トラブルではきっちり謝罪をするべき事象とタイミングがあることを教えてくれる。
感謝の謝意。
謝罪の謝意。
どちらもきちんと口にすることのできる大人でありたいね。
家族との向き合い方に対する愁人の考え方が変わり、冬真も思いを口にできるようになってきた
中、ハルが笑顔で幼稚園卒業。
「家族」と言う在り方にまだまだ向き合っていく彼らをこれからも見守っていきたい。

「やってもらってあたりまえ」と言う感覚は持っちゃいけない。
やってもらったらありがとう。
そして「ありがとう」の気持ちはきちんと言葉にして伝えること。
言えてる人が多いから、逆に言えない人が気になってしまう社内。



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「VIP蠱惑」高岡ミズミ (講談社X文庫)

和孝に足りていないのは、意地の張り所を見極めること。
久遠に足りていないのは言葉。
不足が重なったおかげで招いた危険。
とはいえ、事の発端は逆恨み。
目先のごたごたは収まったけど、これは始まりにも過ぎない気配ムンムン。
自分を認めさせることと、相手を陥れることってイコールじゃないと思うんだよね。
自分を磨く努力よりも相手を蹴落とすことに件名になる輩は
自らの掘った穴に埋まってしまえば良い。
お互いに離れられないことはわかっているけれども、ある程度の距離感を必要とする久遠と和孝。
きな臭い事象と、二人の関係がこの先どうなるのか。続き気になる~。


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「平原の町」マッカーシー (ハヤカワepi文庫)

『国境三部作』の完結巻。融合する二つの物語。
住まう場所があり、仕事があり、仲間がいる。
身一つで馬を駆り、命がけの流浪の旅をつづけた彼らを知っているからこそ、その姿に安堵する。
けれども。
その安寧を捨て、何故に彼は険しい道を選んだのか。
いや、諦めるという選択肢がなかった以上、彼にとってはその道しかなかった。
愛するものと共に生きるか、死ぬか。
殺すか、殺されるか。
神に向かって「これを見ろ」と叫んだビリーの姿は、何故かロドリゴ(『沈黙』遠藤周作)の姿と重なっていたたまれなかった。


「こいつをはめてた女は美人だった。でもそんな外見なんて人間の中身と比べたらなんでもなかった」
亡くなった妻のことをそう語るマックがとても素敵だ。
私のメキシコのイメージはマッカーシーとウィンズロウの色に染まっていることに気づいてみました。
多分偏っている。(笑)

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「毒を喰らわば皿まで ~竜の子は竜~」十河 (アンダルシュノベルズ)



シリーズ四作目。
プロローグの回収事案が素晴らしい。
これは「悪の宰相」の物語。
そうこなくっちゃね。
そして孵化した竜の子が可愛すぎて悶絶。
仔竜を描写するあの表現力、素晴らしい。
今回はヨルガの記憶が何者かに奪われたことに端を欲する冒険譚。
相手が人ならざるものであったとしても。
アンドリムの「目には目を」のハンムラビな考え方がとても好き。
新キャラの加入に加えて、これまで関わってきた人たちの成長が垣間見れるのも
シリーズ読みの醍醐味。
残された時間は10年を切ったけど。
もう少し、彼らの日常に触れていたい。

アンドリムの絵心が知れる特典SS。
まさかのウシノコクマイリに爆笑。
リア友ときゃーきゃー感想を言い合いたくて、とりあえず1冊目を貸してみました。
銀英にはじまって大水滸伝やシグマフォースと諸々共有してきた友だちなので。
ハマってくれるといいなー。






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