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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「侵略者」福田和代 (光文社文庫)

読後にこみ上げてくる何とも言い難い感情。
それが何処から噴出してくるものなのかはわからないけれども。
少し軋むようなやるせないような、そんな想いに浸るのも悪くない。そう思える読後。
彼等側に気持ちが引き摺り込まれた感があるのは、作者の筆力の為せる業だ。
彼等の抱えた事情の深刻さがリアルで、絵空事とは思えなくなっていた。
だから置いて行かれたような気持になったのかもしれない。
戦闘機の訓練描写から始まる物語。
膨大な資金力があったからこその最新兵器。
ノアの箱舟に乗り込んだ彼ら。
安住の地は何処へ?

久々の福田さん。面白かった!
未読の他の作品も気になるけど、
お気に入りの『ブラックホークシリーズ三部作』、めちゃ再読したくなる~。

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「春うらら好色男の宿」akabeko(ディアプラス・コミックス)

たとえ今日がどんなにうまくいかなくても。
明日はうまく生きられるかもしれない。
一見するとちゃらんぽらんな藤男が「死にたい」と口にした美春に伝えた言葉。
藤男の過去を思えば、自分にそう言い聞かせて生きてきたのかな?
と思える深い意味を持った言葉。
せめて明日まで頑張ろう、という気持になれる気がする。
妙な出逢い。
身体からの関係。
居場所を見つけられずに孤独に苛まれていた二人がやっとみつけたお互いの居場所。
そこに親子関係の修復や旅館の立て直し等々が絡んできたもの良かった。
元AV男優を撃沈した天然のアンサー、恐るべし(笑)

「春は嫌いだ」とは、美晴の言葉。
私も4月が大嫌いだった。
大好きな人が逝って、父親が逝って、なんかいろいろ嫌なことがあって。
でも、友だちに言われたんだよね。
「私の誕生日月、嫌わないで欲しいな」って。
その言葉になんか救われた。
彼女のことが大好きだから。

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「ヒトラーの試写室」松岡圭祐 (角川文庫)

第二次大戦下の日本。そしてドイツ。
二国間を行き交いながら展開する史実から想起された物語。
ウルトラマンで馴染みの深い円谷プロダクションの高度な特殊技術の先駆けというか、黎明期と言うか、そんな時代を垣間見た感慨深さが胸に広がる。
そして、ナチスドイツが「タイタニック」の映画撮影を試みていたことに驚く。
しかも、あんな理由で。
情報をコントロールするための手段に使われていた映像。
その大がかりさに比べたら、今のSNSの手軽さが逆に怖い。
政治的なプロパガンダと技術者たちの仕事への熱意は別のもののはずなのに、
彼等の熱意も否応なしに戦争へと巻き込まれていくのがやるせない。



「できるかできないかと問われたら、とりあえずできると答える。
それから胃が痛くなるくらい考えれば解決策が見つかる」とは
円谷英二の言葉。
ウチのボスも良く言っています。
「契約を取らないと売り上げにはならない。多少厳しくても
取ってからどうやって利益を出すか考えればいい」
先日メーカーさんに「毎回無理言ってすみません。でも助かってます!」と言ったら
「でも無理言った案件は高確率で取ってくれてますから!」と言ってもらえて
お互いに「ありがとうございます!」の応酬になりました。(笑)


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「夢色十夜 2の巻」かわいゆみこ (パレット文庫)

数百年に及ぶ恨みを抱き続けた「鵺」のもたらす恐怖とそこに秘められた悲哀。
恐怖を植え付けられ、閉ざされた世界の中で暮らす村人たちには、
自らに害を成す怪異を自力でどうにかしようという気概は湧いてこなかったんだろうね。
何より村の閉鎖性が怖い。
見世物小屋で囚われていた「人魚」と鷹司の物悲しい交流。
金の生る木だと思っているのなら、何故座長は人魚を大事に扱わなかったんだろうか?
謎だ。
「雛人形」に誘われた夢の中で倉橋が垣間見た、彼女の幸福な微笑み。
情景描写の緻密さと今市子さんの挿絵にうっとり。
収録された三篇の中でこれが一番好き。

三つ子の魂百まで。
最初に勘違いしちゃったから、
何度「違う」と修正しても私の中で「鵺」と言われて浮かんでくるイメージは烏。
今回も作中で説明されて、あ、そうだった!妖怪だった!となりました。

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「薬屋のひとりごと」日向夏 (ヒーロー文庫)

漫画を読んで、アニメを観て……からの小説。
小説を読むにあたって、視覚的に彼等のビジュアルが浮かぶことや、
その声が聴こえてくることは、今回はプラスの相乗効果。
並行して読んでみると情報量が多いのは小説だよなーと実感。
漫画で気づかなかったことが、小説だときちんと文章で書かれているから
あ、なるほど!と。
漫画も作風がが好みで視覚的に目を楽しませてくれるから好き。
作品自体が気になって一冊目を小説と漫画で読んでみたんだけど、
どちらでそろえるか。悩むなー。←蔵書を減らそうとしている人の発言ではないけど、読みたいものは読みたい。(笑)

感想ではなくお悩み独白みたいになってしまった。
手元にある小説や漫画がアニメの展開を追い越してしまうと、
たとえどんなに楽しく観ていてもそのアニメを観なくなるので、
どちらにしても集めるのは今期のアニメが終わってからかな。
紙本にこだわりたいけど、置き場所のことを考えると文庫は紙媒体で、漫画は電子でってのもありなのかな?←あれ?どっちも集める前提になってる。




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「ミノタウロス」佐藤亜紀 (講談社文庫)

たらればを言い出したらキリがない。
かと言って、時代のせいにするのも間違っている。
たとえ、生き延びるためには他者の命を犠牲にすることが必要だったとしても。
彼等が転落の一途を辿った責任の所在は彼等自身にある。
作中では一切言及されない「ミノタウロス」というタイトルに何を思うのか。
読み手の大多数が同じ認識を共有するであろう物語展開。
その筆致に圧倒されるものの、彼等のやることなすことに全く共感できるものはなく、
繰り返される略奪と虐殺にぐったり消耗して読了。


読んだタイミングが完全に悪かった。
文章を追いながら、何故かマッカーシーの世界がチラついて離れない。
そうなると無意識に比べてしまう。
そんな雑念が余計だった。
大好き作家さんと初読の作家さん。
初読の作家さんの方の分が悪いよね。
残念。
ロシア革命と言えば『オルフェウスの窓』!
読み返したい。

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「夢色十夜」かわいゆみこ (パレット文庫)

昭和初期。
海軍将校を父に持つ倉橋と、侯爵家の子息鷹司の織りなす幻想的な物語。
オカルティックな作品は積極的に読む方じゃないんだけど、
かわいさんの描く不可思議な世界を堪能した。
情景描写の緻密さは、そこに在る光景をリアルに想起させ、
二人の掛け合いからは、
親密な精神的な繋がりを持ちながらも、それ以上は踏み込まない絶妙な距離感を伺わせる。
今回は三篇収録。
『白鳴琴抄』決して人を恨まなかった智子の心の在り様が美しくも哀しい。
『薄氷』今の二人の関係の源流を知れるのが嬉しい。
『夢の迷い路』人を魅了し幻惑する桜。

京都の桜。
機会があれば一度眺めにいきたい。
時期が限られていることを考えると、仕事をリタイアした後のお楽しみかな?
うん。
それまでは東北の桜巡りを満喫☆彡

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「サイケデリック・マウンテン」榎本憲男(早川書房)

ここ数十年の間に世界を震撼させた、いくつもの出来事。
日本が抱える数々の問題。
そういったリアルの部分に
エンタメ・オカルティック更には恋愛要素も盛り込んでまとめあげられた一冊。
著者の知識量が相変わらず半端ないし、
専門的なことをわかりやすく伝える術に長けているから置いていかれずに読める。
むしろ加速がついて一気読み。
冒頭で刺殺された鷹栖の波乱万丈な人生。
彼が生きていたらこの国はどうなっていただろう?
気にはなるけど私は却下だ。
そんな事態に知らぬ間に誘導されていることが怖い。
サイエンス一辺倒だった井澗のプレゼン。
めっちゃぐっと来た。


今のところ外れ一切なしのコンプ作家さん。
文庫になるのを待たずに買って正解。
読み応え抜群の一冊でした。

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「脱北航路」月村了衛(幻冬舎)

命がけの二日間。
辿り着いた日本海。
それなのに……「恥を知れ!」と政府の対応に吐き捨てたくなるけれども。
忘れなかった後悔。
諦めなかった思い。
やってくれると疑っていなかった、還暦を越えた男たちの雄姿に胸が熱くなる。
一人一人はやさしくても、
多分、この国はやさしくない。
これからが大変だとも思う。
それでも。
お帰りなさい、と。
よくここまでみんながんばったね、と。
全てを捨て、身一つで海を渡ってきた彼らに思う。
何のための国家か。
誰のための治世か。
あの国を統べる人には、届かない問いかけ。


『土獏の花(月村了衛)』の展開を思いだしてドキドキしたけど、
『土獏の花』よりは抉られなかった。(自分比)
そして、潜水艦つながりで『沈黙のローレライ(福井晴敏)』を手に取りたくなったけど、貸し出し中だった!
あ、残念。
貸した友だち曰く、朝ドラ「ブギウギ」に『ローレライ』と被るところがあったそうです。
私は「ブギウギ」を観ていないのでわからないのが残念。
「タイムリーだったわ~」と友だちが言うのを聞いていて、
本を読むタイミングってやっぱあるんだなーと思う瞬間。
そんな会話をしたあとに、私がこの本を読んだのもタイムリー。(笑)

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「の、ような。6巻」麻生海 (ラバココミックス)

子どもの可愛さに癒されて、大人の会話に気づきがある。
ソファで眠り込んだキナに布団をかけてあげるハルの優しさがホント嬉しくて可愛くてだし、
そんな彼にちゃんとお礼を伝えるキナが素敵だ。
愁人の会社トラブルではきっちり謝罪をするべき事象とタイミングがあることを教えてくれる。
感謝の謝意。
謝罪の謝意。
どちらもきちんと口にすることのできる大人でありたいね。
家族との向き合い方に対する愁人の考え方が変わり、冬真も思いを口にできるようになってきた
中、ハルが笑顔で幼稚園卒業。
「家族」と言う在り方にまだまだ向き合っていく彼らをこれからも見守っていきたい。

「やってもらってあたりまえ」と言う感覚は持っちゃいけない。
やってもらったらありがとう。
そして「ありがとう」の気持ちはきちんと言葉にして伝えること。
言えてる人が多いから、逆に言えない人が気になってしまう社内。



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