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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「2.43 清陰高校男子バレー部 春高編」壁井ユカコ(集英社)




伝わってくるのは、圧倒的な熱量。
いま、そのコートに立っている彼等には、
それぞれが抱えた事情があり、それぞれが抱えた思いがある。
一校、一個人だけにとどまらず、多角的な視点から描かれた世界に即座に引き摺り込まれる。
日本全国に散らばる少年たちがバレーボールというスポーツを介して結んだ絆に、
そして、同じチームで戦う彼らの結束力に胸が熱くなり、
喜びも悔しさも彼らと一緒に味わいながら駆け抜けた春後編。
試合は終わってしまったけれども。
ステップアップした彼らがいつか、日本を代表して共に戦う日を楽しみにしながらの読了。

読んでいる間中、身体中が力んでいたことを読み終わった瞬間自覚したお借り本。
バキバキいってるので、マッサージに行かねば。←どんだけ?(笑)

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「KUNIMORI」五條瑛(中央公論新社)



なんとなく胸がしんみり切なくなって、
だけど、少年の出した答えに納得しかなくて。
哀しいわけじゃないのに、泣きたくなった読後。
生きるために懸命に働く彼らの姿を見ていると、
その国のイメージと、その国に住む人たちを一緒くたにして考えてはいけないと
改めて思う。
昨今の世情を顧みれば、効率よく素早く「情報」を収集することがいかに大切かよくわかる。
同じくらい、どう守るかも重要。
由江さんの生き方はとても素敵だった。
別れの告げ方まで素敵だった。
そんな彼女が選んだ耕太は、彼女が願った以上の働きをしたと思う。


何故か過ぎったナレーションは
「さらばメーテル さらば銀河鉄道999 さらば少年の日よ!」
この作品自体は少年の成長物語ではないんだけど、
納得のナレーション。
私、このナレーションホント好きで。
「今、万感の思いをこめて…」から言える。
前にもどこかで書いたけど、
幼少期の私の夢は鉄郎になることだった。←色々間違ってる(笑)

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「蟻の棲み家」望月諒子 (新潮文庫)



ただ事実だけを積み上げて物事を客観的に捉えることは、
実は思ったよりも簡単じゃなくて。
そこに主観や感情、そして想像のバイアスがかかって、事実に脚色が入ってしまう。
世間に飛びつかれやすい物語の方向性を決めて事件の報道をするマスコミが在る一方で、
そういった一切を排し、ひたすら関係者の話を聴きとっていく木部の事件との向き合い方故に
引き出すことのできた真相。
親が子どもを育てる。
それすらままない社会がやるせない。
社会が抱える問題を突き詰めると心が疲弊する。
だから、見なかったことにする。
だが、それは傍観者の選択肢。
当事者は渦中に在ったまま、もがき続けるしかないのだ。



それが購入のきっかけになり得るかもしれないけど。
過剰な帯の煽り文句は私にとっては邪魔。
先入観も誘導もなしに本と向き合いたい。
読む前の変な期待や想像を抱かせる煽り文句は、
それ自体がバイアスになりかねない。
この帯はこの作品の良さを伝えきれていない……
というより、マイナス効果かもしれない。

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「塔の下」五條瑛



訳あって裏社会に流れてきた鏑木たちと、生粋のヤクザである白樺たち。
そしてはみ出し者の警官たち。
塔の下。
そこは彼等の暮らす場所。
そこにどんな建物が建っても、彼らの生活は変わらない。
ヤクザ者たちにとって筋は通さないといけないし、裏切りは許されない。
そんな世界にいるのに、どうしてバレたら命が飛ぶようなことに手を出すんだろうね。
命あってのお金だろうに。
今回も鏑木が事件の真相を探っていく。
今作から登場した三又さんがめっちゃかっこよくって。
もっと彼らの日常を垣間見たいなーと思うんだけど。
この巻で終了は残念。

『天神のとなり』を読むより先に『塔の下』を先に読んでしまった初読時。
オッサンの部屋に入ってくるなり「シャワー借りていい?」と言い、
オッサンの服を着てきた青年に、ちょっとこの二人どう言う関係!?と
浮かれ気味に動揺したことを思い出してみました。
前作から読んでふたりの関係性を分かったうえで読んでいくと、
別にどうってことないシーンなんだけどね。
スカイツリーはまだ見たことがないので、いつか行ってみたいな。



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「天神のとなり」五條瑛 (光文社文庫)



訳ありの元大学教授・現ヤクザの使い走りの鏑木。
その実態はヤクザお抱えの探偵……みたいなものかな?
人の話をちゃんと聞けるし、聞きたい情報を探る道筋を考えられる。
そして彼をサポートしてくれる人たちがいる。
そうやってチーム鏑木は機能している。
それぞれの理由で裏社会に足を踏み入れ、そこで懸命に生きる人たちの物語。
「この生活があたしの暮らしで、こういう生き方しかできない」
と言うエイコの言葉に妙な説得力があった。
だからこその、ラストの鏑木の選択。
封じられた曰くつきの物は、永遠に眠り続けるがいい。
それが、彼らの平穏な暮らしの証。

ヤクザの白樺と鏑木の言葉遊びみたいな掛け合いが好き。
白樺は大体怒ってるけど(笑)






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「呪い人形」望月諒子 (集英社文庫)



それが正義だと、誰が言い切れるのか?
呪いには問われる罪がない。
けれども。
明確な意図をもって命を奪ってしまえば、それは殺人だ。
だが。
完全に悪だと言い切れない気持ちを抱かせる一連の出来事。
数多いる当事者と、真相を追う記者たち。
そして警察。
連なる事件に様々な形で関わる者たちがいる中、
本来事件とはかけ離れたところに在るべき人が、
何故か渦中にいる魔の悪さ。
工藤医師はひたすらお気の毒としか言いようがない。
シリーズで一貫している木部の事件との向き合い方が好ましい。
二作目でトーンダウンしかけたけど、この三作目で持ち直し。
面白かった。

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「2.43 清陰高校男子バレー部 代表決定戦編 2」壁井ユカコ (集英社文庫)



いつだって万全の状態で試合に臨めるわけではなく。
時に怪我やアクシデントはつきものだ。
だけど、よりにもよってこのタイミングで?と、思わず唸ってしまった。
ずっと緊張しっぱなしだった試合展開。
試合後に老監督が三村に向けた言葉によって何もかもが納得できたというか、
頷けてしまったというか。私の気持ちが救い上げられた。
そうだよね。
今回嚙みしめた想いのすべてがこれからの糧になる。
より広い世界を見据えている彼には全力でエールを送りたい。
そして、灰島と清陰メンバー。互いに成長をもたらしあう相乗効果が微笑ましい。

勝ち上がれるのは一校だけ。
だからみんな必死になるし、そこにドラマが生まれる。
そしてこみ上げる様々な思い。
結果を知らずに読んでいたら……しばらく私、使い物にならなかったかも。

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「2.43 清陰高校男子バレー部 代表決定戦編 1」壁井ユカコ (集英社文庫)



魅力的なライバル校の登場で、ますます楽しくなってきたお借り本。
誰にだって自分が主役の物語がある。
そんな風に思わせる個々へのスポットのあて方がとてもうまい。
だから、どのチームも応援したくなる。
……というのは建前で、本音はライバル校の三村推し。
彼の立ち位置、背負ったもの、プレッシャーを跳ねのけられる強さ、抱えた爆弾。
勝敗は次巻を読む前からわかっているので、
彼が最後までコートに立っていられることを願って今からドキドキ。
置物かと思っていた清陰の老顧問が古狸過ぎて慄く。
だけど、灰島にとっては大事な経験だったと思う。

数々のスポーツ漫画を読んできて主人公チームに肩入れしたのは、
「あひるの空」と「ジャイキリ」だけだったことを思い出してみました。
今から次巻を読むのが辛い……でも読まない方が色々気になりすぎてもっと辛い(笑)


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「殺人者」望月諒子




え。待って、警察何やってんの?
そして、これがまかり通ってしまうのなら。
法律どこ行った?
「殺人者」はすぐ知れる。
何故人を殺すに至ったのかも。
どうやってターゲットを絞ったのか。
どんな手法で彼らを仕留めていったのか。
事件を追うフリー記者は事実をどうやって知り得るに至るのか。
前のめりで読ませる面白さがある。
だけど。
だけどやっぱり「警察何やってんの?」というところに着地する。
何度反芻しても納得できずにもやもやの読後。

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腐葉土 (集英社文庫) 文庫 – 2013/4/19



関東大震災の焼け野原の中を必死で歩き、
東京大空襲の戦火の中を生き延び、
そこから一人、這い上がった女の壮絶な人生の物語。
混乱した世の中を
よくぞそこまで逞しく生き切ったと、ただ圧倒されるしかない。
そんな彼女の死の真相を巡り、記者たちが地道な努力を積み上げて探り当てた真実。
法の示す正義と感情の示す正義が嚙み合わず、
何とも言い難い想いがこみ上げる。
そして、問いかける。
彼らにとっての幸せとは、どういうものだったのだろう?と。
運命に翻弄されたことが伝わってくるだけに
なかなかにやるせない読後。


私にしては珍しく、発刊順を間違えての読了。
シリーズ二作目だと思って読んだけど、これはシリーズ四作目だった。
そして袋から開封されていないままの二作目が背後に放置……迂闊だったわー。
←シリーズは順番通りに読みたい人です。
まぁ、面白かったから無問題。


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