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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「おうちのありか~イエスかノーか半分か(3)~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



潮が自分にとっての安らぎの場であり、帰る場所であるのなら、
自分も潮にとってそうでありたいと。
そう思えるようになったことが、計にとって大きな変化だと思う。
計を守るために自分の元を離れた潮を取り戻そうと奮闘する計。
だけど、潮にとって計は既にそんな存在であったことを知らされて、胸が熱くなる。
自分の子どもの意に沿わないことを押しつけようとする親の心理が全く理解できない。
うまくいくわけないのにね。
紆余曲折ありつつも二人が手に入れた「おうち」。
守り守られ、愛し愛され。
のびのびと日々を営む二人を想像しながら楽しく読了。

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「チンギスの陵墓(上)」 (シグマフォースシリーズ8)ロリンズ(竹書房)



プロローグのアッティラ暗殺の場面から期待値が高まる。
チンギス・ハンの陵墓は徳川埋蔵金と通じるものがある……と思うとなんだかワクワク感が募る。
あらゆる物事が思いのほかスムーズに進み過ぎるところがなんとなくひっかかるけど、そこはご愛嬌。
ザッツエンタメ。楽しんだモノ勝ち。
まさかの北朝鮮での戦闘にまで発展するとは思わず、彼の国の惨状に眉を顰める。
ダークマターまで話は広がり、大風呂敷を広げきったところで次巻へ……だと思いたい。
これ以上広がったら大盤振る舞い過ぎると思うから。
馴染んだキャラたちは相変わらずでとても楽しい。長編読みの醍醐味。


読めば読むほど北方の『チンギス紀』が気になってくる。
史上最大の帝国を築いた彼の生涯を、北方はどう記しているのだろう?
完結して文庫になるのを待って……って言ってたら、読めるのいつになるのかしら?

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「世界のまんなか~イエスかノーか半分か 2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



喧嘩をしてもすれ違っても。
計の潮に対する絶対の信頼は揺らがない。
それが伝わってくることが心地良い。
どんなことがあっても帰れる場所がある。
素の自分で寛ぐことができる場所がある。
そう思える寄り処があるのって、とてつもない力になる。
一人で抱え込んで頑張って頑張ってきた計が潮の前で弱音を吐くシーンがとても好き。
この人の前では素直になれるのね、という泣きたいような安堵。
だけど、その後のびっくり展開。
戸惑う潮の姿に胸が痛くなるものの、
ぐらついた潮を「浮気だ」と詰る計に爆笑。
ああ、本当に元に戻ってよかったよ。
周囲の人たちが計の頑張りを理解してくれてるのが嬉しい。


仕事で「できない」って言いたくない気持ちはよくわかる。
水面下の頑張りはすべて押し隠して「できましたけど」と涼しい顔をしていたい。
でも「わからない」はちゃんと言う。
「わからない」で進めてしまったら迷惑にしかならないから。



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「イエスかノーか半分か」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



再読。読んだのは5年くらい前。感想を書いたのも5年前。
だけど、その時の自分の感想、ほぼ言えるわ~、っていうくらい、
思ってることは一緒だという自信の元に
当時の感想を確認してみて、まんまその通りで笑う。
今言いたいこと、当時の感想に全部書いてあった。
色々ブレない好き作品。
初読の一穂さんがこの作品で、
結局一穂さんの作品世界そのものにハマって既刊全部集めた思い出。
なのにまだ全部読みきれていない残念さ。
この作品も番外と短編集の未読分があるので1作目から再読。
楽しかった!

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「生まれいずる者よ 金の髪のフェンリル」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)



革命の象徴でありつつも、最前線で戦う金の狼の姿に奮い立つ。
「感情で動きたい」と言い切ったフェンリル。
だから人々は彼に希望を託す。
傍らのタウバの存在が何とも心強い。
感情を排したユージンとはある意味対極。
他者に自分の理想を押しつけることは、歪みと不幸せしか生み出さないんだよ、
と、セシルには言いたい。
運命に導かれるように出逢うべくして出会う者たちが出逢い、
彼らの未来への道筋が整えられていく。
シティとDエリア。
あまりにもかけ離れた二つの世界。
統合される日が本当にくるのか。
ならば、どうやって?
逸る想いを抱きながら、次巻へ。


「何が人を変えるのだろう?」
深い問いかけ。
経験と環境。あとは?
サラの父・マーロン博士の存在感が本当に大きかったんだなぁ、とつくづく思う。

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「砂漠の王 金の髪のフェンリル」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)



ぐらついた土台の上に築いた建物は脆い。
些細なことで跡形もなく崩れてしまう可能性は否めない。
だから、フェンリルには自分と向き合う時間が必要だった。
現在の己を知るために。
進むべき道をまっすぐに見据えるために。
「金の狼」としてではなく、ただのフェンリルとしていられるタウバの傍での
年相応の少年らしい振る舞いに安堵するとともに、課せらた運命の重圧を禁じ得ない。
一方で幼少期のサラの溌剌さと愛らしさは、それを奪ったこの先の彼女の人性の過酷さを知らしめる。
「世界が変わるのではなく自分が変わるのだ」
この言葉に奮い立つ。
同じ言葉を胸に刻んだ二人。
出逢ったその先の未来が知りたい。


最初から最後までのめり込んで読み進めたけど、
特に後半の展開にドキドキが止まらなかった。
アラビアコーヒー……挨拶に行った仕事先で初めて頂いたんだけど、
沈む粉に戸惑い、一体どこまで飲むべきか聞くこともできず、ものすごーく悩んだことを思い出しました。
ハードル高かったよ(笑)

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「罪の声」塩田武士(講談社文庫)



31年前に起きた未解決事件。
闇の彼方に潜む真相を掘り起こそうと向けられた二方向からのベクトル。
一方は新聞記者、一方は事件関係者の家族。
地道な努力と丁寧な聞き込みで少しずつ少しずつ垣間見えてくる真相の断片。
犯人たちはもう、ほとんどここにはいない。
真相が明らかになることによって影響を受けるのは、犯罪加害者の家族であることが、
突きつけられ、なんだかやるせない。
「あなたには正義がない」
と言った阿久津の言葉に感じた違和感。
暴こうとしていたのは犯罪の真相のはず。
彼はそこにどんな正義を求めていたのだろう?
人は感情の生き物。
冷静な傍観者であることは難しい。


ザラザラとした後味の悪さは、殺された人がいること。
殺した犯人が裁かれていないこと。
金の行方がわからないこと。
あたりにあるかな?
爽快感を求める作品ではないことはわかっているから、この読後感で間違ってないのかな。
私の心のオアシスは堀田さん。スーパーアドバイザー過ぎて素敵だった。

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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習いIV」香月美夜



冬が終わってようやく家族の元へ帰ることができたマイン。
だけど、気持ちの整理をする準備期間もないまま、唐突に訪れた別れの時。
先回りをして色々な手を打っていたジルヴェスターやベンノのおかげで、
守ることができたものがあるし、家族との縁が完全に縁が切れたわけではないけれども。
これまでのあたたかな関係性の完全な消滅。
辛いわ。
だけど、書き下ろし短編集はありがたかった。
事後のことを語る彼らと一緒にだんだんと前向きな気持ちになれる。
まさかの関係性が発覚した人たちには驚いた。
なんだかんだベンノがうまく立ち回ってくれそうな気がする。
大丈夫。
絆は完全に断ち切れたわけじゃない。

泣くか、読むか。
という選択を迫られながら読んだよね。
みんな「守りたい」一心だったんだけど、
結果は別れを早めることになってしまった。
次巻からは新展開。
どうなることやら。

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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習いIII」香月美夜



ジワリジワリとにじり寄ってくる貴族の影。
今のところ直接マインと関わりを持つ貴族はいい人(or変な人)ばかりだけど、
本気で害意をむき出しにした貴族が対峙してきたら相当めんどくさそう。
家族と共に暮らすことを誰もが望んでいるマインたちだけど、
もらったお守りの件も含め、
この状況だとあと2年平穏無事でいることは難しい気がする。
ジルヴェスターとベンノの間にどんなやり取りがあったのか気になる。
これはそのうち明らかになるかな?
手土産を口にする作法等々、細かいところまで作り込まれていて世界が確立されているから面白い。

この人、なんで神殿長やってるんだろ?
と、首を傾げる人選なんだけど、そんな理不尽いっぱいあったよねー、と、
これまで読んだ本のいろんな方々のイメージ映像が脳内を通過していきました。
迷惑さのカテゴリーは違うけど、真っ先に浮かんだのはトリューニヒトだった。
ホント嫌いなんだな、私。

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「夜を走り抜ける 2」湖水きよ&菅野彰 (enigmaコミックス)



晴生を主軸に巡る愛憎。
いや、憎しみはないか。
みんな、晴生を心配したり愛したりの一方なんだけど、問題は愛情の示し方。
考えることもやることも、お金持ちのスケール半端ない。
その一方で、取引材料は自分の才能。
そんな立場で、虎一はできることを頑張った。
やっぱり彼の立ち回り方、好きだなぁ。
まっすぐで潔くて嫌みがない。
晴生の心の傷はそう簡単には癒えることはないだろう。
だけど、夜に眠ることのできなかった晴生が虎一の傍で眠れるようになったことに安堵する。
読み返すほどに私の中で上がる虎一の株。
結果的にみんな良い人だった。


本筋の感想からは外れるけど、
「芸術家は死ぬが、芸術はいつまでも生き残る」
この言葉、胸に刻んでほしい。
破壊行為で壊された美術品は元に戻すことができないんだよ。
どっちが真作でどっちが贋作なのか。
唸る彼らの姿に笑う。
一枚の写真を見て自分の写真なのか双子の兄の写真なのか。
本気で苦悩して結局結論の出なかった友だちの姿をなんとなく思い出してみました。

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