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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ケルトの封印(上)」 (シグマフォースシリーズ5)ロリンズ(竹書房)



このタイミングで。
歴史的な文化遺産が破壊される作品はいたたまれない。
三つの大陸で起こった三つの殺人事件。
その事件の影に潜む謎を解明するために
各々の場所で調査にあたるシグマの隊員たち。
事件のを追いながらも、
前巻で生まれたロマンスが育まれていることが知れたり、
家族間での強い想いが垣間見れたりするするところが面白い。
そして、愛憎絡まり合う複雑な感情を持った三人が一堂に介してしまう緊張感にドキドキ。
命を盾にとっての脅迫。
なんてカードを切ってきたの!というところで次巻へ。
他者の犠牲を厭わない、選民意識に凝り固まった人たちは痛い目にあうといい。


組織の規律を守りながらも、
仕事に置いて「自分の判断で臨機応変に行動する」ことって必要だよね。
今回の新人くんの自己判断は豪快だった。
おかげでピンチを乗り切れたわけだけど、
自分があの中に放り込まれることを想像したら……ヤダヤダ。
逃げ切れないなら早々に気絶したい。

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「動物と話せる少女リリアーネ2 トラはライオンに恋してる!」



ギュギュっと詰まった事件とロマンスと冒険の濃密さが半端ない。
最後までドキドキワクワクしっぱなし。
ロマンスの主役は表紙の二頭。
この表紙、とても好き。
好き合っていながらも、離れ離れにされそうなこの二頭を
一緒に留めておくためにはどうすればいいのか?
動物園で働き始めたリリや親友のイザヤ、飼育員のフィンだけに留まらず、
飼い犬ボンサイと飼い猫シュミットまで巻き込んでの騒動に。
結局は二頭の為に案じた策が二人のピンチを救うことに。
ゾウの親子、カワウソの夫婦、動物園の庭師の親子等、
他にも見所が盛りだくさんの一冊。

言葉の通じていないボンサイとシュミットのコミカルなやりとりがとても楽しい。
エラー姉妹の子どもの悪戯レベルじゃない嫌がらせにびっくりだわ。
この二人、これでちゃんと反省できるのかしら?……と思ってたら、あとがきでなんか不穏なこと書いてある~!
ライオンとトラの子どもの「ライガー」
そんなにたくさんいるのかな?と、調べてみたらちょっとやるせなくなってみました。
種の保存を遺伝子が訴えてるのかな?

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「ラブ~キス2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



『キス』続編。
再会を果たした二人の距離感が、リアルというか、ですよね~、というか。
そう都合よくいくわけがない、と突きつけられ、
「四日間だけの恋人」という言葉にハッとさせられた。
二十年近くも一緒にいたのに。
「最初からはじめよう」と言った明渡。
もう一度傷つくのが怖い、なくすのが怖い、という苑の想いを尊重して、
強引に事を運ばず、待てる男になっているところが好印象……なんだけど、切ないね。
日常の積み重ねで再び距離感を縮めていく二人。
最後に辿りついた明渡の願いと苑の想いが素敵。
流れ込んでくる二人の想いに胸が爽やかに熱くなって読了。

自分と境遇のよく似た実留に迷わず手を差し伸べた明渡と、
同族嫌悪と嫉妬めいた想いに翻弄される苑。
鬱屈した感情の発露。そして歩み寄り。
この流れ、とても説得力があった。
久々に読んだけど、やっぱり一穂さん、好き。

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「キス」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



どうしたって噛み合わない二人の想い。
傍に在りながら決して距離を縮めようとしない
苑に対する明渡の想いが切ないなぁ、と思っていた矢先の苑の叫び。
垣間見えた苑の想いに安堵したのも束の間。
まさかの展開に驚愕と涙……ガッツリ抉られました。
言葉で語らずとも、その目線が、皮膚の緊張が、
彼らの想いを伝えてしまうことがやるせない。
そして私は細胞レベルででもいいから覚えていて欲しいと切望していたので、
時間をかけての彼らの着地点に再び安堵。
「何故?」の説明ができなくとも、溢れてくる想いがある。
人の感情って不思議で尊い。


故人がそこに込めた想いの真意は永遠にわからない。
そしてこちらから働きかけることも決してできない。
だから、この世を旅立つ人は、残された人が惑わされるようなものを残しちゃいけないんだと、
個人的には思います。
私は後から聞かされた父親の言葉に悔恨しかなく、
知人は「お前の父親は実は……」というところで息を引き取った母親の言葉に悶々としていました。
生きている彼らの物語を、まだ読めることに胸を弾ませつつ、続編に手を伸ばします。

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「重力ピエロ」伊坂幸太郎 (新潮文庫)



洒落た会話の繰り返し。
だけど、語られる内容はとてつもなく重い。
忌まわしい事件の後に生まれた春。
父も母も泉水も。
誰もが春のことを家族以外の何物でもないと思っていて、
春自身もそのことは疑っていない。
だけど、春の中にはどうしても拭えない怒りと影がある。
泉水と春の兄弟関係がとても好き。
泉水の示した落としどころが最高。
そして、二人の父の懐の広さがあたたかく沁みる。
絆の深さは血縁ではなく、過ごした時間と愛情の深さによるものだ。
とても素敵な家族像がここにある。
紙一重だけど、夏子さんもナイスサポートだった。

登録1300冊目。
キリの良いことに気付いたので、馴染のある場所がふんだんに出てくる伊坂作品を。
一つ一つの間に時間は空くものの、
小説→映画→小説の順に廻ったおかげか、
今回の再読にあたって映画のイメージが大きすぎたのがちょっと残念。
純粋に伊坂さんの小説世界だけに浸りたかった。
まぁ、それだけ映画の印象も悪くなかったってことなんだけど。
地元名物のカスタード菓子。私も好きー!

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「代償」伊岡瞬 (角川文庫)



理解の範疇の外にある悪意に晒された時、
一体どうすればいいのか。
身を守る術、もしくは戦うツールを身に着けておくことって
大事だよなぁ、とは思うけど、じゃあ、何を?となる。
そもそもが謂れのない悪意だから、気づいたときには逃げ場がなくなってしまう。
悪意の連鎖を断ち切るためには
たった一人でも味方がいることって、とてつもなく大事。
一人きりだったらその悪意に呑み込まれ、沈んでしまっただろう。
犯罪を犯すのに年齢って関係ないんだなぁ、と
納得できてしまうところが怖い。
話し合えば理解できる。
諭せばわかってもらえる。
世の中にはそんな相手ばかりではない、と警戒して構えることが自己防衛の一歩?
それはそれで寂しいね。

馳星周の『虚の王』
櫛木李宇の『死刑に至る病』
そして『凶悪―ある死刑囚の告発』
あたりを想起させられる。
「達也」も含めた上で考えると、一番気持ち悪いのはやっぱり「先生」。
絶対に近づいてはいけないのは「栄司」。
「榛村」には気付いたら丸め込まれてる気がする。←ダメじゃんww

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「コーヒーの絵本」



肩肘の張っていない、まったりとしたゆるさがとても好印象なコーヒーの指南書入門編。
……と言いつつ、美味しいコーヒーをいれる目的なら、
これ一冊で十分じゃない?と思えてしまう網羅具合。
気楽に美味しいコーヒーがいれられるんだなぁ、と、こちらの肩の力も抜けます。
味は豆の種類ではなく、豆の挽き方、お湯の温度、落とし方等によって左右される。
つまり、すべてが自分の手腕如何かと思えば、なんだか楽しくなってくる。
基本的にはホットのブラック一辺倒ではありますが、
カフェオレやアイスコーヒーにもチャレンジしたい気持ちがムクムク湧いての読了。


我が家でコーヒーをいれる際に使っている道具は必要な物を網羅していました。
とりあえずペーパードリップで自分でいれたい派ではありますが、
最近手動のミルで豆を挽くのがめんどくさくなってきたので、
電動ミルを購入しようかと。
あったくなったら手で挽く気にもなるかな?←どうだろう?(笑)


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「神さまに言っとけ」榎田尤利 (SHY NOVELS)



花屋にヤクザに天使。
命の炎が消えかかった男が、その命をかけて神から課された試練に挑む。
これ、どんなふうに着地するの?と首を傾げながら読みはじめ、
結果的には大納得のエンディング。
この辺のまとめ方はさすが榎田さん。
愛をせせら笑っていた男が愛に涙するまでに至った心境の変化と、
愛を知らず、孤独に生きてきた彼がぬくもりに包まれる様がとても良かった。
大切な人の為に咄嗟になしてしまう行為は損得なんかでは計れない。
だからこそ、尊い。
本能が知っている。ただ、求めている。
ラスト、一緒になって涙ぐんでしまったわ。

内容はまったく関知しないまま未読の榎田さんの作品を適当に引き抜いて読み始めたら
予想以上に良くて、お得な気分になれた一冊。
荒んだ気持ちが吹っ飛ぶ気がする。(荒んでるときに読んだわけじゃないけど・笑)

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「十角館の殺人 <新装改訂版>」(綾辻行人) (講談社文庫)



引き金になったのは一人の学生の死。
ひとり。そしてまたひとり。
孤島でジワジワと殺されていく学生たち。
彼らの個性がとても魅力的で惹きつけられる半面、
犯人の動機にまったく共感できないので、やるせなさしかない。
挙句は「審判」?何自分に都合の良いこと言ってるのよ?と、
揺さぶってやりたい思いがチラリと。
完全犯罪を目論んでくれた方がまだ納得できた気がするけど、
それだと逆に犯人の動機がブレるのか。
そのモヤッと感も含めて作品としての完成度の高さは文句なし。
頁を捲ったあの一行のインパクトは、何度読んでもガツンとくる。

私の読書記録によると、初読は1995年。
うん。記憶も薄れてなくなってるから、色々新鮮に読めるわ(笑)。
興味深いのは同じ時期に読んだ『占星術殺人事件』の感想で金田一はじめに対して憤っていること。
そっちでネタバレあったのかな?……という気もするんだけど、謎(笑)
以前は色々つまんで読んでたけど、最近ではミステリーはめっきり読まなくなったなぁ。

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「逆説の日本史6 中世神風編」井沢元彦(小学館文庫)



鎌倉新仏教に関する記述がとても面白かった。
基礎知識が薄い分、読むのに時間がかかったけど、
釈迦の仏教と現代日本で認知されている仏教との違いが
分かりやすく説明されているので内容がスッと入ってくる。
仏教を日本独自のものとして発展させた日本人のフレキシブルさが好き。
そもそもが八百万の神の国であり、言霊の国であるんだなぁ、と改めて思う反面、
「空想的平和主義」に危機感を抱いてみる。
そして記述は鎌倉時代を経て南北朝へ。
過去の出来事が現代にまで脈々と影響を与え続けるのも日本独特なのかな?
ものすごい読み応えのあった一冊。


そのうち北方の『岳飛伝』を読む気満々だったわけだけど、
彼の最期がどどーん、と記載されてて、ええ~~!ネタバレ~~!となってみました。
北方はそこのところをどんなふうに書いてるんだろう?興味津々。
一度見ているからこそ、「え、そうだったんだ!」という気づきがある。
薬師寺の三尊像は本書の内容を踏まえてもう一度見に行きたい。

■行った場所:薬師寺(三尊像は再見必須)・永平寺・佐渡■行きたい場所:四天王寺・千早城(大阪)湊川神社(神戸)

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