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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「楊家将 下巻」北方謙三 (PHP文庫)



それは、個人の悲願なのか、国の悲願なのか。
どう考えたって前者だ。
配下の将軍を掌握しきれない帝が前線に出て、何故勝てると思うのか?
挙句は味方だったはずの宋軍に潰された楊家軍。
卑怯者が何故そこで生きている?
と、怒りに打ち震えて号泣。
再読なのに何やってんの、私。
そうじゃない。
何度読んでもそこまでのめり込ませる北方の筆力、恐るべし。
戦場を駆けた楊家の男たちの生き様があまりにも峻烈で、潔くて、胸を打つ。
楊業が耶律休哥のよに自由であったら、という思いが過るが、
楊業はそれを望まなかった。
だから、これが彼の運命。

泣き疲れたので『血涙』はちょっとインターバルを置いてから。
改めて読むと、簫太后カッコいいなぁ。
個人的には耶律休哥が大好きだけど、
肩入れするのは勿論楊家です!←この辺複雑な乙女(?)心。
再読だからもうちょっとあっさり読めるかと思ったんだけど、
そんなことは全然なく、作品世界にめり込んでの読了。

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「あひるの空 THE DAY(1)」日向武史 (講談社コミックス)



かつての大敗から一年。
味わった無力感と悔しさをバネに、戦える力を懸命に身に着けてきたクズ高の彼ら。
だけど、忘れてはいけない。
一年の時間があったのは、大栄の彼らも同じだということを。
彼らとて、進化しているのだと。
その事実を愕然と突きつけられる第一クォーター。
そんな中でも空の表情がずっと変わらないのは良い予兆だと思っていいのかな?
逆に振り回されている千秋がなんだか珍しい。
絶望的な点差ではない。
ならば、第二クォーターでの巻き返しに期待しよう。
結末は覆らない。
だけど、善戦する彼らの姿を目に焼き付ける。

実質的には「あひるの空 51巻」
だけど表記は「Part1」
最初見た時、1巻からリニューアルするのかと思って、え?それでも買わないとだめだよね??
と、ちょっとだけ混乱(笑)
読み始めてから15年。
どんな装丁、どんな出し方になってもついていくよ。

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「楊家将 上巻」北方謙三(PHP文庫)



何故彼らが戦わなければならないのか?
立場が違えば、誰よりも分かりあえたであろう漢たちだと思えるだけに、
愚問と知りつつ、問いかけたくなる。
父楊業の元で結束する楊家の息子たち。
互いを認め合い、足りない部分は補えるようにアドバイスし、
抜きんでたところは心から称賛する。
楊家の男たることに恥じぬように在ろうとする彼らがとても魅力的。
そして、戦場を自由に駆ける白き狼・耶津休哥。
彼の度量の大きさと果敢さが、やっぱり魅力的。
戦い方にそれぞれの性格と才覚が明確に反映されているから、余計に彼らの魅力にのめり込む。
だから辛い。
ドキドキしながら下巻へ。


再読の弊害。
先の展開を知っているから、なんかもう泣けて泣けて仕方なくて。
この巻で泣く要素ってそんなにないはずなのに、
この先の彼らを思って、マジ泣きしたよね。私。
びっくりしたわ。自分に。
『水滸伝』を読まれている方には是非読んでいただきたい。
読まれていない方も是非。


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「飼い犬に手を咬まれるな」夏乃穂足 (キャラ文庫)



陥った窮地は誰のせい?
拗れに拗れた関係の発端はどこにある?
一緒になって心が軋んで大変だったので、
あ、許すんだ、と思ったんだけど。
それは許しではなく愛。
最初から最後まで彼らがそれ以外持ち得なかったもの。
たった一つ、彼らが心の底から欲したもの。
「やり方を間違えた」「何もかもを間違えた」
読み始めた時からずっとそう思ってたから、それを一稀の口から聞けて
この人たちは大丈夫だなぁ、と。
そして、泣くことができた猛に良かったね、と。
すべてを叩き壊しての再生。
この先の二人は、よりしなやかに、強く在ることができるはず。


四年ぶりの新刊!
復帰作としてこんなに読み応えある作品をありがとうございます!
好きな作家さんには、書きたい作品(←こことても大事)を書き続けてくれること。
ただそれだけを願いたい。
そして、この笠井さんの表紙がとても素敵。
猛と一稀。
二人のジェットコースター人生を一緒になって全力で駆け抜けて、
最後白木の存在になんだか癒されました。(笑)

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「贄の夜会 下巻」香納諒一 (文春文庫)



諸悪の根源は勿論犯人。
だけど、命懸けで現場を駆けずりまわっている刑事たちの脚を引っ張りまくった警察上層部!
何やってんの!と言いたくなる為体。
見て見ぬふりをするのは罪。
だけど、上から強要される見て見ぬふりにどうやって抗えばいいのだろう?
だから彼は自ら死を選ぶしかなかった。
だから彼はその警察を辞める決意をするしかなかった。
だから彼は満身創痍の身体を引きずって、自ら銃を手にするしかなかった。
愛に殉じた男と、再び愛を手にした男を描いて物語は幕を下ろす。
男が決意した道を歩みつづけることは茨の道。
だけど、やり遂げてほしい。

「慟哭」からの「暴走」。
これ以外はない決着なんだろうなぁ。
くっそー。
ギリギリした気持ちが込み上げる。でもこのやるせなさ、嫌いじゃない。
打ちひしがれて弱りきった時に受け止めてくれる人がいた大河内は幸せだ。
拠り所のない人たちは、ただひたすらその苦しみを耐え抜くしかないのだから。


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「眠る探偵」榎田尤利 (ジュネノベルズ)



『眠る探偵シリーズ』の絵画的に言ったら習作。
勿論、そんなつもりで書いたわけではないと思うので、
あくまでも絵画的に言ったら。
シリーズ全巻を読んだ後に戻り読み。
これを踏まえて、あのど迫力な作品が出来上がったんだなぁ、という感慨深さ。
もちろん、こちらの作品自体もとても面白かった。
収録されているのは、どれも「家族」に視点があてられた3編。
近しい人だからこそ、泣き言が言えない。強がっていたい。頼れない。
なんかわかるな。
でも、崖っぷちでどうにもならなくなった時に手を差し伸べてくれるのは家族。
差し伸べることができるのも家族。
そうでありたい。

ここで打ち切らせないで、リテイク(リメイク?)してくれたことに感謝。





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「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



彼はたくさんの人を殺した。
罪のない人たちを、身勝手な理由で。
どんな孤独の中にあっても、寂しくても。
愛を欲して気が狂いそうになっても。
誰かを殺していい理由になんかならない。
これ、同調したら絶対ダメなヤツ。
そう思ったんだけど。
言い聞かせてる時点でダメだよね。
一緒に心が潰れそうになって泣いてしまった。
彼を模倣した男の姿に、彼の愛がいかに大きくて深くて孤独だったのかを知る。
そして訪れた平穏。
だけど、心に疼きは残る。永遠に。
だからこの先、彼を語ることのできる彼らが離れ離れになることがありませんように、
と、願いつつの読了。


圧倒されすぎて呆然。
読み応えがあるとか、おもしろかったとかじゃなく、凄い作品を読ませてもらった。
そんな感じ。
あとがきを読みつつ、イエモンのCDを持っている自分を褒め称える。
『JAM』。聴かねば。


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「贄の夜会 上」香納諒一 (文春文庫)



え?嘘でしょ!?と叫んだところで上巻終了。
完全に作品世界に呑み込まれてしまった。
二人の女性が殺された事件を契機として、
幾人もの人間が、そして幾つもの事件が絡み合っていく。
そんな中で浮かび上がってきたのは、かつての殺人の真相と、
この事件に係りのある男たちの生き様。
息をつく間もない展開の中で、どうしたって惹かれてしまう男がいる。
かつては少女のために銃を握り、今は妻のために見えざる敵を弾こうと決意する男が。
この先は男の復讐譚となるのか。
犯人を追う警察の尽力に迫るのか。
絶対悪の素性が割れていないだけにゾワゾワとした気持ちが落ち着かない。

このボリュームにこの読み応え。
それでもまだ半分。
加速する期待感が失速することなく最後までいけるといいなー。

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「儡の巫女 眠る探偵3」榎田尤利(講談社X文庫 ホワイトハート)



殺戮を繰り返す槇の願いは、きっとこれなんだろうなぁ、と思っていたことが的中……
しただけじゃ終わらなかった。
毀れた執着は更にタチの悪い方向へと軌道を変え、加速していく。
愛を押しつけないで。絡め取らないで。勘違いしないで。
そう言いたいけど。
込み上げるこの不安感はどこからくるんだろう?
疲弊しきった心を和らげ、安寧の日を得るためには、
彼らは槇という狂気と再び対峙しなければならない。
だけど、みんな槇に引きずり込まれた沼にどっぷりハマって雁字搦めになっているし、
この先も誰かが傷つきそうで怖い。


自分のオーラの色ってどんなふうに分析されるんだろう?
知りたいような、知りたくないような、やっぱり知りたいような(笑)
人のオーラや他人の夢等々、
余計なモノは見えない方が生きやすいんだろうなぁ、と、
改めて思った。
利用されるのはごめんだし、そのせいで家族が崩壊するのは耐えがたい。


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「戦争の悲しみ」バオ・ニン(めるくまーる)



砲火を浴び、銃弾が飛び交う戦争は終わっても、心の中の戦争は終わらない。
淡々と綴られる文章から、そのことを突きつけられる。
戦地に赴くことを拒む権利のない彼らは、
その意思に係らず、銃を握らされる。殺し合いをさせられる。
目の前で人が死ぬのを見続ける。
自らの命が尽きる恐怖に晒されながら。
そんな過去は彼らの心に深い傷を残し、終わらない哀しみを植え付けた。
そして「あの時に死んだ方がよかったのよ」
という彼女の言葉を理解した時に込み上げた憤り。
戦争は人間を獣にも変える。
だけど、誰かの命を救おうと躍起になれるのも人間。
色々やりきれない。

ベトナム戦争に対す知識不足を痛感。
辛うじて持ってる知識はアメリカ側からの視点の比率が遥かに大きい。
歴史をもう少し詳しく学んだ後にもう一度読み返したい。
「And who was wrong?
And who was right?
It didn't matter in the thick
Of the fights」
@Bolly Joel 「Goodnight Saigon」
【ガーディアン必読 83/1000】

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