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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「杉原千畝: 情報に賭けた外交官」白石仁章 (新潮文庫)




『六千人の命のビザ 』を読んでから本書。
もしくは映画『杉原千畝』を観てから本書。
その流れでいった方が、より杉原千畝を理解できるのでは?と思いました。
一般的な読み物、というよりも、学術書に近いかな?
終始一貫して杉原千畝を研究してきた著者の視点で綴られているので、
ノンフィクションと言いつつ、随所に彼の主観が入ってくるのが、
個人的にはうるさかった。
大戦時の異国の地で自らの肩にのしかかる責任の重さと大きさは、
地球上のどこにいても簡単に連絡の取れる今とは計り知れない程違うだろう。
そんな状況下で自らの判断で「命のヴィザ」を出しつづけた杉原。
何故彼はそれを成しうることができたのか?
それを知るには適した書ではあると思う。



時代を知ること。
現状を知ること。
情報を知ること。
それを活かすこと。
その大切さはヒシヒシと伝わってくる。
そして、自分は日本の歴史についての基礎知識がスカスカだなぁ、とも改めて。

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「硬い爪、切り裂く指に明日」菅野彰(河出書房)



たとえばそれが黒だったとしても。
あんなふうに愛情を向けられた相手に対して、
正しさをまっすぐに突きつけることが、私にはできるだろうか?
彼は誰?
自分はどうしてここにいるの?
際限なく向けられる無償の愛を受け止めながらも、
その愛を与えてくれる相手が簡単に消えてしまう可能性が否めない怖さ。
平良はよくもあんなに真っ直ぐに育ったと思うけれども、
逆にそれは、その年で抱えなくてもいいものを抱え込んで、
懸命に読み解こうとしてきた彼の歪み。
消えない。消せない。
それが真実。
与えられた愛情は本物だった。
それだけが信じられればいいと。
心の底から希う。→


あまりにも身近すぎる街。
良く知りすぎている学校。
未曽有の大災害。
引き裂かれた家族。
そして、眞宙と平良。
最初から最後まで突き刺さってくる菅野さんの優しさと憤り。
他の作品でも語られてきたことが、ぶれずにここでも描かれていて、
私は彼女の作品を読みつづけていくんだろうなぁ、と、しみじみと思いました。






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「アドリアン・イングリッシュ (5) 瞑き流れ」 (モノクローム・ロマンス文庫)



最終巻。
読み終わって本を閉じる。
ジワジワと込み上げてくる想いを噛みしめる。
改めてタイトルを見る。
読む前に感じた違和感に納得。
そして、ちょっとこの先は!?と、叫びたい衝動に駆られました。
圧巻の読み応え。
リアルに突きつけられる彼らの想いや苦悩がたまらなくて、
だからこそ、得られた幸せが心に響く。
「お前を見たその瞬間」
「あの時お前に出会うまで」
アドリアンの気持ちを尊重して、決して押し付けることなく時を待ち、
漸く告げられたジェイクの真摯な想い。
そこからの展開が……心拍数があがりました。
名作。

ペーパーは表裏に一作品ずつ。
とても切ないSSと、羽根でシルクなSSと。
おもしろかったけど、読了後すぐに読んだのは、私的にはちょっと失敗。
読後のやるせない感覚にしばらく浸っていたかった。






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「覚醒―孤拳伝 4」今野敏 (中公文庫)



全国を(主に山の中を)渡り歩き、
それぞれの道を究めた男たちと出逢い、学び、戦って人としての成長を遂げた剛。
一人の師の元でストイックに己を磨き上げる松原。
裏社会で一から出直すことを決めた宋陵元。
師に武道の在り方を解くまでになった蜂須賀。
かつて、闇試合で戦った男たちは、それぞれに成長し、己の歩む道を見出していく。
だが、誰もが道半ば。
その先の彼らを思い描く楽しみが読後にはある。
本当に必要な強さとは果たして何なのか。
終始、投げかけられていた問い。
シリーズを通して読めば、自ずと答えは見えてくる。


実は私、極真空手の体験入門をしにいったことがあります。
一週間通って、とりあえず無理!と思って正式な入門はやめました。
うん。
向いてない(笑)
友さんから譲っていただいた作品。
楽しく読了しました♪
ありがとうございます。


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「海賊王の死 ~アドリアン・イングリッシュ 4~」 (モノクローム・ロマンス文庫)



長い、とても長い航海の果てに辿りついた、真実の港。
それなのに、とても胸が痛い。
皆ちょっとずつ身勝手で、ままならない想いを抱えている。
ジェイク。
どっちもを手にすることはできないんだよ。
選ぶこととカムアウトすることが
同義な状況になってしまったのは酷だけど、
そこまでの状況にならなかったらあなたにその選択ができたかどうか。
でも、それほど大きな決断だってわかっているからこそ、
ラストの展開に涙。
アドリアン。
一度は告げる必要のあったさよなら。
その決断がジェイクにとってどれほど重いモノなのかを
一番知っているのは彼だから。
やっぱりラストの台詞に涙。

もがき苦しみながら、それでも歩んでいく彼らの人生が、
リアルに突き刺さってくる感じがたまらなく好き。
だから、彼らと一緒に一喜一憂して、感情が揺さぶられる。
次巻でとりあえず本編は完結。
見届けなければ☆

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「シンドラーのリスト」トマス・キニーリー (新潮文庫)



もう、これ以上悪くなることはない。
現状を凌ぐことができれば、どうにかなる。
きっと。きっと。
そんな彼らの祈るような想いを他所に、
事態は更に想像を絶するような方向へ悪化していく。
第二次世界大戦。
ユダヤ人の身に降りかかった理不尽すぎる惨劇。
彼らを救うために手を尽くしたドイツ人、オスカー・シンドラー。
ノンフィクション・ノベルという形態で淡々と綴られる彼の生涯。
彼が戦時下を生き延びることができたのは、
巧みな処世術と、人間的な魅力。そして、周囲の人たちの尽力があってこそ。
誰しもがシンドラーに成り得るわけではない。
だけど、繰り返してはいけない歴史があることを忘れてはいけない。→

基本的に一人行動ができない人なので、
映画も大概は友だちと一緒に観に行きます。
だけど、この映画は一人で映画館に観に行って、
泣いて泣いて映画館で泣きやむことが出来なくて、
仕方なく泣きながら外に出たら、
元カレにばったり出くわすというびっくりで涙が止まった思い出……
いや、そうじゃなくて。
感想では敢えてナチスには言及しなかったけど。
全体主義の恐ろしさを改めて突きつけられました。
【ガーディアン必読 76/1000】






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「悪魔の聖餐 ~アドリアン・イングリッシュ 3~」 (モノクローム・ロマンス文庫)




折り合えない自己の内面と向き合うのは苦しいよね。
認めることのできないゲイである自分。
ジェイクは最所からアドリアンに嘘はついていなかった。
でも、葛藤の末に選んだ選択に茫然。
わかっていても、ちょっとぉぉぉ!と叫びたくなるのが人情です。
人生山あり谷あり。
次第に甘さのなくなっていくセックスがとても哀しい。
これはもう、ジェイクが行き着くところまで苦悩するしかないんだろうなぁ。
このままだと一緒にいても苦しいだけ。
カルトの問題は闇が深い。
巻き込まれ体質のアドリアン。
平穏で穏やかな日常が早く訪れるといいね。

読み終わって表紙を見てため息。
うん。
だから、わかってたわよ!と、言いたくなる。
甘いだけが人生じゃない。
苦悩の先に笑顔と小さな幸せがあるといい。

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「GIANT KILLING 49」ツジトモ (モーニング KC)



ブランの監督としての在り方が効果的な役割を果たし、
着実にまとまりつつある日本代表。
効果が結果として表れているところが頼もしい。
孤高のエース・花森が、椿と窪田の若い二人に
かつての自分と持田を重ねるシーンに涙目。
絶対的なエースですら進化する。
城西の期待を外さない優等生的な活躍も好き。
花形だけでは成り立たないのがサッカー。
土台をしっかりと支える役割を担う人も必要。
そして、中国代表にも個性的な監督がいたわ。
彼の言葉は奥が深い。
試合外の選手の姿が垣間見られる
巻末の「アジアカップの日々」がとっても楽しかった。


アジアカップも読んでいてとても楽しいんだけど、
ジーノ不在が続いてなんだか禁断症状気味になってきました。
そして、花森にだんだん愛着が湧いてきて困る。←何で?(笑)
リアルでは地元のチームがJ1残留を決めてほっと一息。



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「カンディード」ヴォルテール (光文社古典新訳文庫)




作中で繰り返し唱えられる最善説をあざ笑うかのような残虐非道な行い。
コミカルな表紙とは真逆の行為。なのに鬱々しさがない、軽妙な文体の不思議。
降りかかる災厄をスルリスルリとすり抜けて、カンディードは旅をする。
無一文から始まった旅はカカンボという友を得、たどり着いたのはエルドラド。
だが、彼らは安寧に落ち着くことなく、愛しい人のもとへと踵を返す。
不幸とは?幸せとは?最善とは?
繰り返し論じながら彼らが選択したのは、地にしっかりと足の着いた生活。
本編を踏まえた上で、一緒に収められた『リスボン大震災に寄せる詩』を読み、
気持ちが一気に引き締まる。
時間をおいて再読したい。

「働くことは私たちを三つの不幸(退屈と堕落と貧乏)から遠ざけてくれる」
説得力のある言葉。
「そんなひとでも自分が災難にまきこまれると途端に人間らしく泣きわめく」
だよね~、と納得の言葉。
綺麗事や説教めいたことを言っていられるのは他人事だと思ってるからって部分は絶対にある。
それにしても、18世紀の作品とは思えないのは、翻訳の妙なのかな?
出逢えてよかった作品は、読メ登録1234冊目でした。
【ガーディアン必読 75/1000】

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「死者の囁き ~アドリアン・イングリッシュ 2~」 (モノクローム・ロマンス文庫)



「これが僕の生まれた形だ」
自分の性癖を揺らぐことなく肯定するアドリアンのまっすぐさが好き。
一方で、己の性癖を素直に受け入れられず、差別的な発言すら口にするジェイク。
肌を重ねることのない恋人同士。
未来に不安を覚えたアドリアンが逃避した先で巻き込まれた事件。
自らの意思で彼を追ってきたジェイク。
二人で生活していく中で、ジェイクの気持ちが次第に
アドリアンに傾倒していく様が微笑ましい。
そして初めてのセックス。
ジェイクがアドリアンに対してとてもやさしかったことが嬉しい。
……って、初読の感想にも書いてあったわ。
まだひと悶着ありそうな二人の関係。次巻へ。


再読。
1巻目と違ってびっくりするくらい内容を覚えていました。
そんな自分に拍手。(笑)
続きが気になって仕方ないのに、初読の私は何故ここで止まったんだろう?
間をあけると積んでしまうあるある。
一気読みバンザイ(笑)

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