きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「寡黙な華」榎田尤利 (SHYノベルズ)
身勝手な執着。子供じみた独占欲。
自分の気持ちだけを押し付けて相手の心を踏みにじったら、愛なんて得られない。
彼のした行為は、許しを請う資格すらないとも思うんだけど。
彼の晒した弱さと本音に絆されてしまった。
千早の言葉に救われた邦彦。
邦彦のおかげで出ることは外の世界へと一歩を踏み出すことができた千早。
幼いころに共に過ごした思い出があるからこそ、
そして、その時から胸に抱き続けていた想いがあるからこそ、得られた今だと思う。
二人にしか紡げなかった絆。
人の持つ弱さと強さ、情の深さが刺さるように伝わってくる作品世界に溜息。→
描き出しが秀逸。
美しく歪んでいて、一気に引き込まれる。
そして雪舟さんのイラストが素晴らしい。
「人間は、できると思ったことしかできない」
この言葉は胸に刻んでおきたいと思います。
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「朽ちないサクラ」柚木裕子 (徳間文庫)
限りなく真相に近い推論での終幕。
その内容のあまりの理不尽に
は?それって許されるの?
というやりきれなさと怒りでモヤモヤモヤ……。
犠牲になって良い命なんてない。
罪のない人の命を奪ってまで守らなければならないものって何?
っつか、アンタたち何様?
そもそも「俺、正義。だから何をしてもいい」的な言い分が気に食わない。
その組織が信じられなくとも、自分の中に確固たる核があれば戦える。
そのために必要な力を得て
立ち上がった彼女が何らかの形で彼らに鉄槌を下してくれることを期待しつつ、
シリーズ化を待つ。このままじゃ終わらないよね?→
うわーん。
悔しくて寝れない。いや、寝るけど。
Amazonの評価はキレイに割れてるけど、私はとても面白かった。
後味悪いけどね。
「囀る鳥は羽ばたかない 5」ヨネダコウ
愛されて感じるのは幸せなこと。
それを罪深いことのように思わないでほしい。
どちらのせいでもない。
ただ、惹かれあっただけ。
と、割り切れないのが人の心。……なんだろうな。
これまで矢代がどうやって自分の心を守ってきたのかが
痛々しいまでの描写で描かれていてやるせない。
百目鬼の想いが勘違いでも刷り込みでもないことが、矢代にきちんと伝わるといい。
竜崎の見せた漢気。
矢代とちゃんと話せてよかった。
そして三角さん、懐が広すぎるのも難儀だね。
「色々大事にしすぎるな」は的確な助言。
目をかけてもらった平田が拗らせなければこんなことにはならなかったのに。
時間の進みが遅い上に、まだ結構続くって喜んでいいのか、苦しんでいいのか。
もちろん、最後まで追いかけます☆
「囀る鳥は羽ばたかない 4」ヨネダコウ
裏切ったら裏切られる。
裏切る人は、その可能性には思い至らないのかな?
自分だけは安泰だって、どうして思えるんだろう?
私は情で生きていきたい。
だからこそ、泣きながら口にした七原の言葉が刺さる。
とはいえ、事態は泥沼。
根源は男の嫉妬(と言い切ったらなんか反論されそうだけど)と逆恨みなのが腹立たしい。
竜崎のうまく立ち回れない不器用さ、嫌いじゃないよ。
変化していった想いを口にしてしまった百目鬼と矢代。
だけど、そこには張りつめた痛々しさと息苦しさしかない。
小冊子から伺える二人の過去の接点。
百目鬼にとってはもう、運命としか言いようがない。
ヨネダさんはアカウントを分ける前にこっちで感想UPしていたので、
引き続きこっちで。
別アカに移すかどうか迷っているうちに巻数が進んでしまった。(笑)
「痣」伊岡瞬(徳間文庫)
平和な分署管内で起きた殺人事件。
犯人が示唆する過去との連鎖。
それらの事件は多くの人の命を奪い、係わる人たちの人生を破壊し、
哀しみを撒き散らした。
そして、事件に係った刑事たちの在り方も変えていく。
次第に鋭さを取り戻していった真壁だけど、
その要因を思えば痛ましさしかない。
真壁と行動を共にした宮下の急成長が唯一の癒し。
コミュ力もスペックも高いから、
揉まれて磨かれて良い刑事になってくれるはず。
殺人の理由に共感できるモノなんて何一つないけど、
彼の言い分の何もかもがクズだった。
事件に救いは欠片もないんだけど、読後の印象がマイナスじゃないのが伊岡さんだな、と。
彼らのその後の文庫化はいつ?
「二週間に刑事を辞職する」というカバーの文言から、
勝手に還暦を迎えた主人公かと思っていたら、全然違ってて、
私より全然若くて、ちょっと戸惑った読み始め。
まぁ、すぐに脳内情報書き換えたけど、思い込み、よろしくないわねー。
ランエボと言えば京一!(@頭文字D)カッコよかった。
愛人になりたい!と意味不明なことを叫んでいた若かりし頃(笑)
「サイメシスの迷宮 忘却の咎」アイダサキ (講談社タイガ)
あっさりとした頁数なのに、かなりヘビーな読み応え。
一人の人間に対して、あれだけの時間と労力を使って
あんな接し方をしてくる犯人の意図と狙いが不明確にもかかわらず、
粘質的なことだけは嫌ってほど伝わってくるので気持ち悪い。
神尾は羽吹に対して口やかましく世話を焼きつつ、
時々子どもっぽい感情を垣間見せるところが可愛い。
事件を通して語られる、それぞれの人間模様。
バックグランドが垣間見える程、やるせない気持ちになる。
幸せに塗れて生きていければいいけど、そうはいかない。
そして、衝撃的なラスト。
咎を負うべきは羽吹ではない。
諦めても、絶望してもダメだよ。
あっちもこっちも疑わしすぎて、どこまでが悪意によって仕組まれたもので
どこからが自然のなりゆきでそうなったのか、
突き詰めて考えていくと人間不信になりそう。
なので、真っ白な気持で続刊を待ちます。
「進撃の巨人 28」諫山創(講談社コミックス)
リヴァイがカッコよすぎて震える。
そして、彼の胸の内を想って涙が出そうになる。
彼の口からエルヴィンの名が出てきたことが辛いけど、嬉しい。わー、複雑な私。
ジークの傲慢に過ぎる思考。
死ぬなら一人で絶望を抱いて死ねばいい。
道連れの安楽死なんて誰も望んでいない。
誰もあなたになんて未来を託してなんかいない。
エレンがミカサにぶつけた言葉が本心だとは思いたくないなぁ。
「解放」だと思いたい。
忌まわしい習性からの。
娘を殺した敵を前にしてのサシャの両親の態度には頭が下がる。
着々と動いている物語。
行き着く先は、破滅か、平穏か。
「無知ほど自由からかけ離れたものはない」
刺さるなぁ。
知らない方が幸せな事ってあると思うけど、
自らが進むべき道を選択して判断するためには、
無知であってはいけないんだね。
エレンの「自由意思での選択」
最後まで見届けなければ。
「進撃の巨人 27」諫山創(講談社コミックス)
語らないエレンは、心の中で何を思うのか。
「ほかのやり方があったのなら教えてほしい」
それは彼の心からの叫び。
これまで共に戦ってきた仲間たちと一線を引いてしまったエレン。
未来への道筋を彼らと共有できないのは、何故なのか。
ピクシス司令やハンジと義勇兵との対話にも何らかの意味がある。
サシャを間に置いての、マーレ人とエルヴィア人との交わりが哀しいけどあたたかい。
こんな僅かな絆から大きく広がることを期待したくなる。
殺し、殺される、殺戮の連鎖を断ち切るためには何をすればいいのか。
子どもたちの問答が刺さる。
与えられた問題提起は果てしなく重い。
一年前の彼らの姿が描かれているからこそ、
無表情に徹したエレンが余計に辛い。
このタイミングで行動を起こしたことに、どんな意味があるのか。
何をしようとしているのか。
「GIANT KILLING 51」ツジトモ (モーニング KC)
椿と窪田。
伸び盛りの若手二人と、絶対エースの花森との絡みが愉快で楽しい。
ボケ3人でなんだかプラスの相乗効果。
とはいえ、どんなに仲間から弄られていても日本代表のエース。
負けん気の強さとここぞという時の言葉の頼もしさったらないわ。
ジャッジには期待しない。
問答無用の得点で試合を勝ち取る。
そんな、あるべき形を再確認。
試合の流れと自分の立ち位置をきちんと考えて把握している椿の成長が頼もしい。
そして花森の言葉に震える。
51冊読んできても、まったく衰えないワクワク感。
この試合の最高のクライマックスを期待して次巻へ。
読みながら、この試合展開と彼らの想いに鳥肌。
最後の数ページが特にすごかった。
衰えない面白さが素晴らしい。