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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「鏡よ、鏡  眠る探偵2」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)



「世界に引きずり込みたい」
その言葉にゾクリとする。
完全に閉じきった、光の差し込まない世界に。
「引きずられないで」
真音に告げた笑子の言葉は核心をついている。
何故なら、真音は槇の心理を理解しているから。
積み重なる死体は愛の囁き。
「自分を選ぶ」と言い切った槇の根拠はなんだろう?
同録は真音と不破の出逢編。
法知識がないと、こんなに大変なことになるだ!と思うと同時に
逆に言えば、法知識があれば戦える。
大事なのは一人で抱え込まないこと。
不破は真音に見つけてもらえて本当に良かった。
建築現場の描写がとても好き。

1巻にひきつづき本編はどシリアスなんだけど、
同録の過去編が楽しすぎて読後の印象が愉快な感じに。
とりあえず逼迫したドキドキハラハラがおさまったので、
四冊一気読みという事態は避けられそう(笑)

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「人形の爪 眠る探偵1」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



一つの依頼に端を欲した殺人事件。
……かと思ったら、その依頼すら仕組まれたモノだった。
すべては一人の男の執着の証。
敢えて残した痕跡。
戦慄のメッセージ。
まっすぐに向けられる濁りのない悪意がただひたすらに気持ち悪い。
その悪意に屈するまいと、戦う覚悟を決めた人たちがいる。
いや、守る覚悟か。
自分自身ではなく、大切な人たちを。
探偵・市羅木真音や彼を取り巻く人々が個性的で魅力的。
なのに、話の内容自体はとてつもなく重い。
これはヤバイ。
続きが知りたくて、即続刊に手が伸びる。
他が手につかなくなる作品だった。

小さな子どもまで犯罪に巻き込むことを、
彼は何とも思っていない。
むしろ愉しんでいる。
そんな心理は理解できなくていい。
笑子の芯の通った強さがとても魅力的。
誰にも傷ついて欲しくないなぁ。
色々気になってすっごいドキドキする。

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「動物と話せる少女リリアーネ3 イルカ救出大作戦! 」



リリたち家族はいつもの日常から離れ、イザヤも一緒に北海へとヴァカンスに。
イルカたちとの微笑ましい交流。
環境問題へのアプローチ。
家族の中で唯一、動物と話ができるというリリの能力に対して否定的な母親との歩み寄り。
等々、読みどころは色々あるけれども、
一番は広大な海でイルカと一緒に泳ぐ描写のワクワク感!
これに尽きるわ。
任務(?)に忠実なカモメも可愛かった。
ワーカーホリック気味だったママ。
視野もガチガチに固まっていたような感じだけど、
思考は柔軟な方が良い企画が浮かんでくると思うんだ。
みんなと一緒に海に入れて良かったね。

程よい息抜きと適度な柔軟性。
これは忘れずにいたいな。
スロープが作れるスーパーおばあちゃん、すごいよ!
手先の細やかさって憧れるわ。←私、超絶雑。


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「逆説の日本史8  中世混沌編」井沢元彦(小学館文庫)



想像してみる。
もしも、この時代の京の住人だったら?
……無理!絶対無理!と白目を剥きそうになる、カオスっぷり。
自分のことしか考えていないオレオレ主義に端を発した戦いと無責任政治の結果、
土地は荒らされるわ年貢の徴収はキツイわで究める困窮。
そりゃあ、住人は怒るわ。
立ちあがっちゃうよね。
というわけで、もう一度想像してみる。
もしも決起する側だったら?
自分で集団をまとめていく才覚があったら、奮い立つだろうな、と思う。
そんなカオスな時代に現代へとつながる日本文化の礎が築かれたことがとても興味深い。
特に折り紙。
うん。ちびっこたちともっと楽しもう。

あまり馴染のない時代。
読むペースが上がるまでとても時間がかかったけど、
ラストに向かって加速していった。
こんな感じで戦国時代へと向かう素地が出来上がったのか~、と、納得したところで
(自分的)興味の最高潮かと思ったけど、
その後の室町文化の章がさらに興味深かった。
これ一冊の情報量が膨大過ぎて呑み込み切れなかったので、いつかの再読必須。

■読みたい本:『風姿花伝』世阿弥
■行きたい場所:千本釈迦堂・石清水八幡宮・龍安寺・六角堂(京都)
越前一乗谷朝倉氏遺跡(福井)

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「聖夜 -榎田尤利作品集-」 (SHY NOVELS)



人の弱さとしなやかな強さ。
そして想いの深さ。
それらがギュッと詰まった作品。
この2作品を納得して受け入れられるのは、今の歳だから。
若かった頃は反発した覚えがある。
人生って本当にままならない。
時に誰かを傷つけ、自分も傷つき、それでも手放すことのできない想いがある。
かと思えば、苦しい想いをしながらも、出会うことによって成長し、
或は呪縛から解き放たれ、前に進むことができる関係もある。
『名前のない色』がそう。
『聖夜』は10年、20年。後日譚まで入れれば30年愛。
成就したことが奇跡としか言いようがない二人の想い。


手放したと思って買い直したら、
実は手放してなくて、二冊手元にあってびっくり!という何とも言えないダブル買い。
いつ読んでも面白い本もあれば、タイミングを誤ると相容れない本もある。
読書って奥が深い。

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「南三陸日記」三浦英之(朝日新聞出版)



町を破壊するほどの自然の猛威があるということ。
一瞬でたくさんの人の命が奪われてしまう災害があるということ。
どんなに瓦礫に埋もれた町でも、懸命に頑張っている人がいる限り、
やりなおすことができるということ。
文章を追いながら、色々な思いが込み上げてくる。
「生きることの意味」
それは人それぞれ。
自分が見出した生きる意味のために、
或は、その意味を見出すために今日を生きる。
写真に写った人々の笑顔を見ながら、
日々を頑張っていこうと、改めて噛みしめる。
忘れないために、ではなく、生きていくために。
読み継がれていくべき本だと思う。

「おうちに帰ろう」
うちは建物ではなく、家族が待っているところ。
この言葉、心に沁みた。
真新しい建物が立ち並ぶ南三陸を訪れたのは先週。
南三陸に限らず、海の傍の建物はどこにいっても新しい。
何が起こったのか。
今、どうしているのか。
時に立ち止って見つめ直す時間はあっていい。
明日、今日より少しだけいっぱい頑張れる気がするから。

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「少年はスワンを目指す」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



新装版との読み比べ。
意識的に読んだおかげか、
初っ端の靭帯の手術痕の件から、ああ、最先端になってる!となってみました。
言葉づかいで櫛形がより帰国子女っぽくなってるのが伝わる。
一番は顕著なのは携帯の使い方かな。
だからこその、新装版のカバー下。
まぁ、いまだにLINEを使っていない私が言うのもなんですが。
キャラが黒井さんの挿絵で固定した直後に読んだおかげで、
寿さんバージョンは誰も彼もがセクピスファミリーに見えてくるという弊害が(笑)
それも思わぬお楽しみのひとつ。

読友さんのレビューがなかったら、旧版は読まなかったと思うので、
なかなか味わえない読書体験をさせてもらって感謝。
新装版の方の書き下ろしは、個人的には読めて良かった。
人生は順風満帆じゃないと思っているので、
彼らの人生がよりリアルに感じられた気がするから。
まぁ、だからと言って、波乱万丈を望んでいるわけではないんだけどね。

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「津軽」太宰治(新潮文庫)



時に卑屈に、時に溌剌と。
時に皮肉に、時に素直に。
時に傲慢に、時に謙虚に。
綴られる言葉の随所に滲むのは、
故郷に対する、そしてかつてその地で交流を持った人々に対する彼の深い思い。
あたかも彼と一緒に旅をしているかのように、
「津軽」を巡る幸せな読書時間。
実際に訪れたことがあるからこそ、情景がリアルに浮かぶ。
土地の人たちのイントネーションが恋しくなる。
こんなにも魅力的に「津軽」を綴った作品は、他に知らない。
旅の終わりに心の平和を与えてくれる人の元へと帰り着く。
そこで記されたラスト一文。
「元気で行こう。絶望するな」
この余韻が刺さったまま抜けない。


卵味噌!文中に出てきた卵味噌で脳内がいっぱい(笑)
幼少時、風邪をひいたら作ってもらえたこの卵味噌がとても好きでした。
「具合悪くないけど、卵味噌作って」と今度母に可愛くお願いしてみよう。
三厩の義経寺は機会があったら行ってみたい。
合浦公園は幼少時のお散歩場所。
近所のお兄ちゃんとお兄ちゃんの犬と一緒によく行ってたなぁ。
6月に太宰を!という趣旨で選んだのがこの一冊。
最初は『斜陽』にしようと思ったんだけど、本棚になかった。あれ?手放した??
けど、GWに青森に行ったタイミングだったので、本書で正解。

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「少年はスワンを目指す」榎田尤利(リブレ)



一人の転校生が彼らの高校にやってくることから始まる物語。
王子様外見なのに口の悪い櫛形は好みドストライク。
見た目ハードボイルドでも中身はやさしい原もやっぱり好み。
タカアキが思った以上にツボ。ってか好き。
そんな彼らが自分の心情に加えて突っ込みやボケを放り込んでくる一人称の文体が
作品世界と見事にマッチングしていてとても楽しかった。
でも楽しいだけじゃないところが榎田さん。
挫折と再生。その時しか味わえない一体感。
友情から転じた恋情が生み出した苦悩と幸せ。
時の流れの中で語られていたのは、間違いなく彼らの人生。
読み応えありました。


榎田さんの生死観。そして北方の生死観。
それぞれ100冊近くも読んでくると、近しいところで一貫しているなぁ、ということが
しみじみと感じられる。
そしてその一貫性が個人的にはストンと胸に落ちてくる納得のいくもので、
「今生きている」ことを強く実感させられる。
そして、今を大事に生きよう、と思えてくる。

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「時計館の殺人」綾辻幸人 (講談社文庫)




ねっとりと絡みつく重苦しい空気。
逃げ場のない館の中で繰り返される殺人。
閉じ込められた彼らの心理に引きずられ、
リアルに気怠さと息苦しさを感じ始める頃には
「誰」が浮かんできても「何故」がわからない。
複雑に絡み合う心理。過去の柵。
狂気と妄執に偶然が加味されるとこんな顚末になるのか……
と、ゾワリとし、
「時間」という概念の確固たる様と曖昧さの両方を突きつけられる。
600頁越えだけど、一息つけるようになるまで手を止めることが出来ずに一気読みだった。
この先は完全に好みの問題なのでコメ欄へ。


鷲掴みにされて作品世界に呑み込まれていたのは、彼が語り出すまで。
そのパターンで真相解明かぁ……と、がっかりしてしまった。
原尞の『私が殺した少女』のレビューで記載したのと全く同じ理由で、個人的に興醒め。
まぁ、こは完全に私の好き嫌いだからなぁ。ホント残念。

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