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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「天使の影 ~アドリアン・イングリッシュ1~」(モノクローム・ロマンス文庫)



身近で起こった殺人事件。
掛けられた容疑。
置き捨てられた猫の死骸。
次々と明らかになる近しい人たちの死。
ジワジワと迫り来る魔の手。
果たして、犯人は?
途中で放り出していたシリーズを読むために再読。
途中まで犯人をきれいさっぱり忘れていた自分に拍手。
ゲイである自分を受け入れているアドリアンと、
認めながらも受け入れきれていないリオーダン。
それ故のアドリアンに対するリオーダンの攻撃的な態度がどこか痛々しいのと同時に
腹立たしくもある。
アドリアンとの出逢いが彼にどんな影響を及ぼすのか。
一巻の終わりでようやくスタートラインに立った二人の物語はこれから。
楽しみ。


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「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)



強さの持つ意味は?
何を持って強いと成す?
自分の欲する強さは?
彼が会得した強さとは?
「強さ」の受け止め方は人によって違う。
その体現の仕方も。
人殺しも辞さなかった蜂須賀が身に着けた深みと穏やかさ。
それによって手にした新たな境地は、緋田の存在があってこそ。
実戦経験のなかった松原が、守るべき人の為に振るった拳。
彼もまた、師匠の元でもっともっと強くなる。
そして、擬似的にでも母のぬくもりを知り、女の肌の優しさを知った剛が、
夕陽の美しさに心を震わせるシーンが印象的。
その感性がある限り、獣道に堕ちることはない。
剛もまた、二人と同じ道に辿りつこうとしている階。

それにしても……剛、自分の生い立ちを行く先々でよくしゃべるわ。
そして「人を殺した」と聞かされてもスルーな人たちの多い事。
まぁ、一筋縄ではいかない人たちの巣窟みたいな作品なので、いいのかな?
色ボケした組長に従う和泉の苦悩がお気の毒。
次巻で完結。個人的には緋田センセと蜂須賀のこれからと、
松原の恋の行方がとっても気になるところです。


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「隣人は恋人のはじまり」月村 奎(SHYノベルス)



愛情に餓えていた堂島の隣人は、
ソツなく振る舞える歯科医だった。
二人が近づくきっかけになった恋人代行の勘違い。
噛み合わないなりに会話が噛み合ってしまうのは、
小野の立ち回りが上手いせい。
そんな彼は甘やかし上手。
逆に人付き合いが苦手な堂島が果敢に懸命に策を弄する姿は
だんだん痛々しくすらなってくる。
小野に見事に誘導されて決まったリターンエースに思わず拍手。
自虐的で露悪的な言動が多い堂島だけど、
根はいい人だってことが、周りがわかってくれているところが嬉しい。
足りなかった愛情を小野に存分に与えてもらうといいと思うの。

堂島がいつか母親に会いに行ける日がくるといいと、
心から思ったお借り本。
宮村と篤史の安定した恋人っぷりに幸せのおすそ分けを存分にもらった気持になってみました。
月村さんの作品は気持ちがやさしくなります。

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「きみはまだ恋を知らない」月村奎(SHY NOVELS)



「きみはまだ恋を知らない」からの「きみはもう愛を知っている」。
タイトル通りの流れを綺麗に描いた作品。
母親の影響で人と触れ合うことに嫌悪感を覚えるようになってしまった司。
そんな司にひと肌の心地よさと愛しあうことの幸せを教えた藤谷。
貧しいながらも母に愛されて育ってきた司。
身の回りのものに不自由せず育ってきたと思われた藤谷が抱えた孤独。
何が幸せなのか。何が不幸なのか。
外から見ただけではわからないものを人は抱えていると、改めて思い知らされる。
司の幸せの宝箱がとても微笑ましい。
もっともっと幸せになれるんだってことを藤谷は必ず伝えてくれるよね。

志水さんの挿絵がとても素敵なお借り本。
藤谷メッチャかっこいいわ。
勿論、ストーリー自体も楽しく読了☆




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「漆黒―孤拳伝 2」今野敏 (中公文庫)



はき違えた強さの探求。
戦えば闘うほど失われていく人間らしさ。
読み進める程に自分の気持ちまでが殺伐としていって、
荒みきったところで一度本を閉じて、癒し補給。
剛を修羅に代えたのは蜂須賀。
だが、彼は戦いでの敗北と、緋田との運命的な出逢いによって人間らしさを取り戻すこととなる。
この気づきはとても良かった。
一方、山中でひたすら自己鍛錬に明け暮れる三人の男との出逢いによって、
剛も再び人間らしさを取り戻していく。
「強いだけではない男の存在」
剛と蜂須賀が変わるきっかけになったワード。
己の在り様を考えることも己の成長の大きな糧になる。



松原と劉の師弟関係。
李と宋の主従関係。
蜂須賀を変えた緋田。
剛を導く男たち。
人と人。
係わることで良い方向へと導かれ、或は変化していく関係が興味深い。
蜂須賀も剛もまだ「獣」から「人間」へと生まれ変わったばかり。
他の男たちも含め、この先どう成長していくのかが楽しみ。

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「ドラッグ・チェイスシリーズ1 還流」 (モノクローム・ロマンス文庫)



過去の出来事によって心に傷を負った二人が、出逢って恋に落ちる物語。
受け攻めが固定化されないフレキシブルな関係ってやっぱり好きだわ。
スリリングな潜入捜査の描写にグイグイ引き込まれながら、
次第に明かされていく二人の過去に胸が苦しくなる。
そして、少しずつ近づいていく二人の距離感が、
警戒心剥き出しの野生動物が寄り添ってぬくもりを分かち合うようで何とも微笑ましい。
眠れない夜に傍にいてくれる人がいる。
間違った方向に揺れそうな時に引きとめてくれる人がいる。
そして、姿を消した時に探してくれる人がいる。
辛い過去を経験した二人だからこそ、幸せになってほしい。

シリーズ第一弾。
残念なことに続きはまだ翻訳されていないんですよね~。
英語の文章を楽しむ読解力はないので、翻訳されるのを心待ちにしています!
翻訳こんにゃくがとてもとても欲しい(笑)

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「復讐―孤拳伝 1」今野敏 (中公文庫)



香港の暗黒街で、文字通り命懸けの日々を生き抜いてきた少年、剛。
彼を生き延びさせてきたものは、独学で身に着けた中国武術の一つ「崩拳」。
これが、彼のその後の人生に、大きくな影響を及ぼしていく。
字を読めなかった剛が文字を覚え、
人を倒すためだけの拳が、師を得て違う意味合いを帯び始める……
はずだったんだけど。
ちがう。
そっちじゃないんだよ!
と、言いたくなる方向へと彼を押しやるのは、運命なのか、彼自身なのか。
涙と流しながら横浜の待ちをふらつく剛のこれからが気になりつつ。
武術に関しては優等生な松原が一皮剥ける姿が見てみたいとも思った私です。



昨日「この辺りまで行ったら、あとは何処がおススメですか?」と聞かれたので、
「横浜に是非!」と横浜激推ししてきた私ですが。
奇しくも舞台は横浜。
自分がメッチャ行きたくなりました。
読友様からの頂き本。
わくわくしながら次巻へ。

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「月への吠えかた教えます」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



再起をかけたラストチャンス。
そう心に決めてティムが移り住んだ町は、
犬に姿を変えることのできる人たちが暮らす町だった。
町の保安官・ランスとの誤解を生んだ出逢いからの
二人の風変わりな交流が微笑ましくてあたたかいながらも、
ティムの負った心の傷に胸が痛む。
言いそびれた真実。
それが、相手の不利益になるような隠し事になってしまったら、
露見した時に手痛いしっぺ返しを食らうことになる。
打ちひしがれたティムの姿が辛かったけど、
ランスの百聞は一見に如かずの在り様は、この上ない真実の告白だったと思う。
シリーズ第一作。次作にも期待大☆


もうちょっとライトなノリの話かと思いながら読み始めたら、
思いのほか深い話で思ってた以上に良かった。
「ホットな保安官」という表現とセクシーな胸毛描写がロマンス的で素敵。
このレーベルの既刊24冊に対してこれで既読が17冊。
ホントに外れがなくて安心して読めるわ。
未読の7冊は年内中に。
楽しみ!

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「しゃぼん玉」乃南アサ(新潮文庫)



人が人を変える。
人をダメにするのも、心根を入れ替えさせるのも、人。
腐りきった翔人を変えた、老齢の彼らと過ごす日々。
その日々がいくら穏やかに過ぎようとも、
過去はなかったことにはできない。
「行かなくていい」とは誰も言わなかった。
人生をやり直すためには、償わなければならないことを、誰もが知っている。
彼らは引きとめるのではなく、居場所があることを彼に知らしめる。
婆ちゃんの「待っちょる」
そして、シゲ爺の「行ってこい」
彼にとってはこれ以上の言葉はなかっただろう。
出逢いは、文字通り奇跡。
奇跡的に出会えた人たちとどう係るかは自分の在り様と努力。
大切にしたい。

祖母に会いたくなりました。
もう、絶対に会えないけど。
著者の作品で既読は『風紋』と『晩鐘』。
半端なく抉られるけど、とても好き。
今回の『しゃぼん玉』もとても良かった。
未読の既刊がたくさんあることが嬉しい作家さん。



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「夷狄を待ちながら」J・M・クッツェー (集英社文庫)



実体の掴めない夷狄に……というよりも、
帝国の治安警察に振り回される辺境の町の住人たち。
そして、退官した後の平穏な生活を願う初老の民政官もまた、
治安警察の在り様に振り回され、或は巻き込まれ、
彼自身の生活が崩壊していく。
意図せずして窮地へ追い込まれる怖さはいつの時代にもある。
謂れのない拷問を見て見ぬふりをしていればよかったのだろうか?
力を振り翳す者からの理不尽な危害を受けないためには、
目を瞑っていればよかったのか?
彼の立場を自分に置き換えた時のこの自問には、いつだって答えられない。
ラスト四行で押し迫る物悲しさが、何とも形容しがたい程やるせない。

読み始める前は『夷狄を待ちわびて』だと思っていたので、
異文化交流的なホンワリした話かと思いきや!
正しいタイトルは『夷狄を待ちながら』。
のっけからの拷問シーンに何ごと!?と、ガツンとやられました。
思い込みって怖いわ~~。←読む前にあらすじは読まない人です。
【ガーディアン必読 74/1000】


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