きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「少年は神の国に棲まう」夜光花 (SHYノベルス)
綺麗に着地した完結巻。
叶う恋があれば、叶わない恋もある。
ランスロットの恋心には切なさが残るけど、
思わせぶりな態度を取らなかった樹里は間違っていない。
総力をあげてのモルガンとの決戦。
それぞれの関係性やこれからに気を取られすぎて、
そもそも彼らは何のために戦っているのかということを
途中からすっかり忘れていたことを最後の最後に思い出し、
あ、そうだった!と思った自分にびっくり。
それだけ彼らが魅力的。
表紙がすべてを物語っているアーサーと樹里には祝福を。
二人の子ども、ルーサーとの賑やかな日常を垣間見てみたかった。
終始、ゲームをしているような、不思議な感覚に囚われながらの読書でした。
テンポの良さと展開の速さと意外性故かな?
シリーズ物の醍醐味は一気読み。
まとめて貸してくれたお友だちに感謝。
楽しかった!
そしてモフモフしたクロがとても可愛かった。
PR
「カラマーゾフの兄弟〈中〉」ドストエフスキー (新潮文庫)
敬愛する長老の死に直面し、心を乱すアリョーシャ。
惑いの果てに、彼がある種の天啓を得る場面はとても印象的。
ドミートリィや周囲の人々は、絶好調な俺俺節。
日々、このテンションで生きるのは、
底なしの体力とタフなメンタルが必要だとつくづく思う。
全力で過ごす日々はさぞかし刺激的なんだろうなぁ、とも。
どうしてそこまで自分に都合の良い解釈ができるのかと、
ドミートリィの頭に見えるお花畑。
必死さが裏目に出るというよりも、独りよがりすぎて空回り。
そんな中で起こる事件。
彼の無罪を知っているのは我々のみ。
さぁ、どう展開する?
「酔っぱらっているわけでもないのに、なんてばかげたことばかりわめいているんだ」
ドミートリィを表すのにはこの一文に尽きると、頷くことしきり。
計算や駆け引きが全くできない人なんだなぁ、とも。
意味ありげな記述もあったから、アリョーシャのその後がとても気になるんだけど、下巻の目次にはそれらしい記述がなくてがっかり。
まずはドミートリィの物語を見届けます!【ガーディアン必読 72-2/1000】
「進撃の巨人 26」諫山創
「戦わなければ、勝てない」
だから、戦い続ける。
尽きない暴力。
失われる命。
憎しみの連鎖。
やられたからやり返す。
間違っていないけど、間違っている。
自分たちの国を守る為に正しい選択があるのだとすれば、
教えてほしい。
武器を取り続ける彼らが痛々しいと思うのは、私の感傷。
時間を稼ぐために選んだ作戦。
動き始めてしまった事象。
止められないのならば、突き進むしかない。
物言わぬアニに対峙するアルミンの言葉が刺さる。
何をもってして「勝利」とみなすのか。
彼らの選んだ未来には危うさしか感じられない。
事態は既に泥沼化してしまっている。
だが、これが戦争。
リヴァイがどこまでもリヴァイで、
ハンジがやっぱりどこまでもハンジだったことに安堵する。
「戦え 戦え」
この台詞からは『仮面ライダー龍騎』しか出てこない。
そう言えばキャッチフレーズは「戦わなければ生き残れない」だった。
「少年は神と愛を誓う」夜光花 (SHYノベルス)
どこまでも王らしい気質と性質のアーサー。
彼の選択はいつだって覇者の選択だ。
そんな彼が樹里に対してだけは大人げなかったり嫉妬心丸出しだったりするところが微笑ましい。
自分で考えて自分で行動できる樹里はとてもカッコイイ。
その行動力が招いた危機。
妖精王がとても大事なこと言ってましたよね?
絶体絶命の場面で登場したランスロット。
待ってました!と、とテンションが上がったけど、
以前とは違う彼の在り様に物悲しさがひしひしと……
それだけ彼の自責の念は大きいってことだよね。
樹里の母も巻きこまれ、いよいよクライマックスの次巻へ。
どっちが良いとか悪いとかではなく、それは個性だと思うんだけど。
このページ数にエピソードをギュギュっと凝縮させていながら
ハラハラドキドキしっぱなしで読ませる夜光さんの力量ってすごいと思うわ。
例えば栗本だったら同じ内容を展開するのに倍以上のページ数を使う気がする。
それが栗本の持ち味。
でも、上中下で終わらなくて完結編1・2・3と展開した某氏にはちょっと文句を言いたかったかった。
下巻なのに続くってどういうこと!?という私の雄叫び(笑)
「少年は神の子を宿す」夜光花 (SHYノベルス)
自らの意思でアーサーの元を去った樹里だったけれども。
やはり、己の意思で彼の元へ戻ることを決意する。
ところが、感動も台無しな樹里の勘違いも甚だしい雄叫びと、
何よりアーサーのケダモノ感満載な行為のおかげで
何だかコメディチックな再会に。
まぁ、それがとてもこの二人らしいと思えてしまうからいいのかな。
樹里と母、そしてガルダとモルガン。
二組の対照的な親子関係。
樹里と母がフランクでとてもいい関係なだけに、
愛情ではなく恐怖で雁字搦めにされているガルダがなんだか哀れ。
彼が欲するものが愛だってわかるだけに余計に。
最大の関心事はランスロットか懐妊か。
わくわくしながら次巻へ。
未来は変えられる。
そう信じられる意志と行動力ってとても尊い。
AKIRAの中の台詞で
「私たちにも選べる未来があるはずよ」というキヨコの言葉が私の胸には
ずっとずっと根付いているのです。
「カラマーゾフの兄弟〈上〉」ドストエフスキー (新潮文庫)
俺が俺が俺が。お・れ・が!と、自分全面推しな人たちがたいへん騒々しい。
本当にみんなよく喋る。
男子たちの俺主張にあっけにとられている中、登場した女子が心の癒しになるかと思いきや。
こちらも思い込や、妄想の入った私主張で姦しい。
俺俺主張にも温度差や個性があって、
そこから感じ取れるそれぞれの人間味にひっぱられて読み進めると、
なんだか愉快な会話が展開されていく。
「カラマーゾフ流」とか「カラマーゾフ型の人間」とか。
カラマーゾフ推しがすごい中、カラマーゾフでありながら、
アリョーシャは何色にも染まっていないから、皆彼に心を開きたがるのかしら?
彼らのエネルギーに圧倒されたまま次巻へ。
もっと重厚で物々しい雰囲気の作品だと思っていたけど、
蓋を開けてみれば狂騒曲。
とはいえ、今後はスリリングな展開になるはず。
宗教観については感じたことがあるけど、
的を射ているのか外れているのかわからないのでとりあえず割愛。
ロシア人の語るキリスト教って、あんまり触れてきたことなかったなぁ。
【ガーディアン必読 72-1/1000】
「少年は神を裏切る」夜光花(SHY NOVELS)
ドキドキわくわくが止まらないシリーズ4作目。
人間、妖精王、魔女に神獣。
剣に魔法についでに濡れ場も盛りだくさん。
諸々が入り乱れ、息つく暇もない展開が半端なく面白い。
持つべき者の手に渡ったエクスカリバー。
王となるべき者の元に揃った勇者たち。
さぁ、これから!と思った直後の必殺技はまさかの『王家の紋章』。←読んでもらえれば絶対納得してもらえると思う(笑)
そしてラスト、わかっていたけど、そう来ましたか!
それにしても、魔女モルガンはジュリなんかお話にならないくらいの強敵だったわ。
このジェットコースター感覚。とても楽しい。→
ここで折り返し地点。
残り三冊。
一気に読みたい気持ちと、もったいないからゆっくり冒険したい気持ちとが
せめぎ合っているわけだけど、とりあえず『カラマーゾフの兄弟』へ。
久々にツボにはまったファンタジー。
「浄夜」花村萬月 (双葉文庫)
なんだろう、この吸引力。
汚物や汚泥に塗れた据えた臭いが充満する世界を
息苦しさを感じながら浮遊している気分になるわけだけど。
どうしたって目が離せない。
嫌悪感を抱く汚物の中にハッとさせられるものがあったり。
時折キラリと光る綺麗な言葉に胸を付かれたり。
結局、彼らの流れ着くところが気になって、読み続けてしまう。
過食嘔吐にもサドマゾにもネクロフィリアにも同調できない私は、
どこまでも編集者だった桐島の視点に安堵する。
桐島が置き捨てられた山の中で、寿命に想いを馳せる場面がとても印象的。
いつかは尽きる命。
どう生きるかは結局は自分次第だ。
感覚が麻痺したのか、笑ってる場合ではない場面で
何故か笑ってしまった不謹慎さ。
私だけかな?
カルチャースクールの小説教室が舞台の一つになっていて、
小説って習って書くモノなの?と終始思っていたわけですが。
「習うもんじゃない」というのが著者の見解でちょっと安心した。
「少年は神の生贄になる」夜光花 (SHYノベルス)
前のめりになるように読み切って、続き~~!と吠えた三作目。
合点がいった部分と、この先を思うと不安になる部分と、でも大丈夫よね!と
勝手に期待する部分と。
伝説の剣、エクスカリバーを見つけて、神の子の威厳形無しで無邪気に喜んでいる樹里の姿が
後になって思えば本当に微笑ましかったと、しみじみ思う急展開。
悪意しかないジュリの戦い方はえげつない。
アーサーに対する想いをついに自覚した樹里。
どさくさに紛れての告白に対するアーサーからの応え。
「そのままのおまえが好きだ」
自分の存在意義について揺らぐ樹里にとって、これ以上の言葉はないと思う。
樹里自身が剣を手にして戦う姿を見てみたい。
と思ってしまうのは、北方脳たる所以かしら?
そして告白☆
実際のアーサー王ではランスロット推しの私ですが。
この作品では私、アーサー推しで揺らがずに最後まで行ける気がします。
私の好きなタイプの俺様~~~(*≧▽≦*)キャッ
「殺人者の顔」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)
過疎の田舎町で起こった凄惨な殺人事件。
その事件解決に奔走する警官にも、日常の営みがある。
家族の崩壊。
親の介護。
淡いときめき。
仕事での一喜一憂。
病魔との闘い。
人生の苦悩。
日常の悩みを抱えながらも、懸命に仕事をこなす彼らの姿には、
どこか親しみを覚える。
そして、人が生活する社会には様々な問題が内在していることもまた、突きつけられる。
高齢化社会の他に
本書が描かれた当時の欧州よりも、今の方がより深刻な問題と化している移民問題。
差別的な思想から、痛ましい事件が起きてしまう。
一冊の本に多くのことがギュッと濃縮された作品。
冒頭で、年老いた夫が、隣で眠っている
長年連れ添った妻の吐息を確認するシーンがとても印象的。
「一人になってしまったわけではないのだ。まだ」
読了後は事件解決の爽快感ではなく、もの淋しさを噛みしめる。
誰にでも、いずれ別れが訪れることを知っているから。