きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「マギの聖骨 上」 (シグマフォース シリーズ1)ロリンズ(竹書房)
殺しの訓練を受けた科学者たち。
即ち、シグマフォース隊員たちが悪と謎に立ち向かい、全力で疾駆する物語。
めまぐるしい展開にこっちまで息切れしそうになりながらも
一気に読ませる筆力に圧倒される。
ドイツの大聖堂で起こった凄惨な殺人事件の謎を紐解いていけば
中世ヨーロッパ、果ては古代エジプトまでその因果は遡る。
ここまで来ると、もはやロマン。
裏切り者が潜む中での捜査で命の危機に晒されながら、
彼らはこの局面をどう打開するのか?
歴史、宗教、化学、アクションそしてロマンスが絶妙に絡み合う、
何とも贅沢な物語なのです。→
ストーリー展開は大枠を覚えている程度だったので、
再読でもかなり新鮮に読み進めることができました。
そして、初読の時には持ち得なかった知識を今は持ち合わせていた自分にちょっと感動。
それはこの5~6年の間に私が見聞したことが、それなりにでも身についていたってことだよねぇ、と。
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「猫はいつでも甘やかされる 」榎田尤利(SHYノベルズ)
大人の余裕があって、包容力があって、
時に叱ることもできるし、甘やかし上手で気配り上手。
そんな男が垣間見せた嫉妬と獣めいた情動。
きゃーー!ときめかないわけがない!←どストライク。
私の好みはさておき。
心に深い傷を負って日本に来たシュウ。
彼の日本嫌いと日本の高校生に対する嫌悪、父親との確執が
日本での出会いと体験を通して薄らいでいく様子がとても丁寧に描かれている。
ガチガチに纏った鎧を脱ぎ捨ててみれば、
なんとも甘ったれで危なっかしさを添えていたシュウ。
愛することと甘やかすことが直結する春彦にがっつり可愛がってもらうといいと思います。
「おとといきやがれ!このすっとこどっこい!」
この日本語を英語に「訳せ!」という無茶ぶりに笑う。
図抜けてよかった国語。
意外とよかった数学。
そして壊滅的な英語。
「つぶしがきかない……」
私のテスト結果に頭を抱えた担任の姿を思い出してみました。
わはははは。
受験は何とかなったから結果オーライ☆
「放蕩長屋の猫 」榎田尤利(SHY NOVELS)
アイツ、最低だよ。
あの人、やめときなよ。
周囲がどんなにそう言っても、自分の心が求めるなら、恋をするのはその人しかいない。
付き合うのは外野じゃなくて自分。
たとえ遊真がどんなにダメ人間だったとしても。
まひろの心は彼を選んだ。
選択権はまひろにあって、流されたわけでも強要されたわけでもなく、
自分の意志で遊真がいいと。
それにしても、遊真、バカだね。
バカだけど、嘘が透けて見える辺りや駆け引きができないところがまだ可愛げがある。
小狡く立ち回れる男だったら、多分まひろは許さなかったんじゃないかな?
四人でお好み焼きを食べる関係になれてよかったね。
ああ、でも私は春彦とまひろが一礼しあって背を向けたシーンで泣きそうになってしまった。
別に二人にくっついて欲しかったわけでもないんだけどなぁ。
紺野さんの絵が大好きなので、紺野さんの漫画が久々に読みたくなりました。
そのうち再読しよう。
その前に続編♪
「ロマンス作家は騙される」榎田尤利 (SHY NOVELS)
続刊は面白かった!
安定とはまだまだ程遠いながらも、作家としての生活を確立した羽根。
そんな羽根に対してあまりにも身勝手な理由から向けられた悪意。
その事件に向き合った羽根・千疋・神楽坂・ひかりちゃん・美空の態度と、
首謀者に対して言い放った彼らの言葉がとても好き。
そして羽根と神楽坂・千疋との関係は落ち着くべきところに落ち着いた感じかな。
まぁ、羽根がどちらもを選べない限り、この二人が羽根のまわりをウロウロするわけで、
そうすると二人の接点も増えていく。
その結果の愉快な会話と不審な行動がとても楽しい。
このままの関係でいってほしい三人なのです。
前巻『ハードボイルドに触れるな』の感想で千疋に対してウダウダ言ってたけど、
原因が分かった時点で気にならなくなってみました。
(正確には視界に入れないようにした・笑)
神楽坂と千疋のショットがもっと見たい。←
「ハードボイルドに触れるな」榎田尤利 (SHY NOVELS)
私にしてはとってもとっても珍しい現象なのですが。
感覚的に千疋がダメで……ダメでした。
作中の彼にダメなところはないんだけどなぁ。
むしろ、羽根にとってはプラスの影響しか与えてない。
続刊読んでないからなんともなんだけど、
多分羽根は千疋も神楽坂も選べない気がするのよね。
3人でハピエンは個人的には全然ありなんだけど、
千疋が……と、ぐるぐるしてしまった。
ごめん、千疋。
あ!以前、ウチの近所の整体師が猥褻で捕まったのと関係ある?
色々あったからそれでイメージ悪いとか!?
美空ちゃんと一緒で「怪しいじゃん!」と私も思ったからなぁ。
とばっちりだ!
なんかもう、感想になってないけど、これ以外書きようがなかった(笑)
千疋の例えがメフィスト先生ってところでメッチャテンションあがったんだけどなー。
メフィストにバンコランなんて!
イメージ悪いはずがないのに!!
ってか、千疋しか語ってないな、私。
ちゃんと続刊も読みます!
「白日」北方謙三 (小学館文庫)
彼がその村で費やした時は身の内のエネルギーを満たすために必要な時間。
漁も、ルアー作りも、料理も。
船も三科も、一夜限りの女も令子という存在も。
全てが糧となり得るものだった。
彼が再び鑿を手にするために。
小手先ではなく、魂で作品を創造する芸術家が向き合うのは己の内面。
吐き出すのは自らの魂。
他人の才に打ちのめされた芸術家が再び創作に携わるとき。
彼が生み出す作品はより凄みを増し、他者を圧倒するほどの情念が籠り、魂が宿る。
全てを吐き出した芸術家は再び沈黙の時を過ごす。
いつかまた、その手に鑿を握る瞬間が訪れるまで。
北方仲間の読友さんたちご推薦作品。
うん。
期待通り面白かった!
グイグイ引き込まれたよ。
三科の家がとても気になった。
外装は市販の安物で、内装にお金をかけた建物。
それだけでもそそられるのに、
東側の壁面が本棚で全部本で埋まってるって!
素敵すぎる。
良いルアーの根拠が「俺が食らいつきたくなった」っていうのがイイね。
闇に哭く光 Undercover Cop 上 (アクアコミックス)
一方から見れば魔王でも、一方から見れば神に等しい創造主。
接する相手によって態度が変わるのは当然。
故に、多面性は誰にでもある。
外界から隔離されて育った籠の鳥。
籠の中の世界の幸を思って生きる鳥を
不憫に思って外の世界に出すのは、不憫と思った人間の傲慢。
生きていく術をどんな責任でもって教えていくつもりなのか。
主目的を見誤ったら足元を掬われる。
青砥。マリア。そして唐橋。
それぞれに曰くのある過去を背負った三人の行く末は?
こうあって欲しいと、こうなるんだろうなぁ、がイコールにならない歯がゆさ。
ラブ要素はなくてもいいので次巻が早く読みたい。
タイトルにUndercover Copが入っていることに、二度目を読了して気付いたわ。(遅ッ!)
「バカなの?」というペーパーが好き。
菅野さん棚に収納するためにこちらに登録。
この作品を読みながら、とある街のとある区からの候補者を選挙に当選させるために、
その街に信者をまるごと居住させた宗教の話を思い出してみた。(怖ッ!)
『ブリジット・ジョーンズの日記』 (角川文庫)
感情表現豊かに綴られるブリジットの日記。
日々これだけ大騒ぎしていたら、
人生退屈することはないだろうなぁ、と思いつつ。
お友だちになりたいか?と問われたら、
ちょっと距離を置いて見守りたいタイプ。
何事も全力で一生懸命なところは称賛に値するけど、
努力の方向が間違ってるよ?と言いたくなることも暫し。
まぁ、結果オーライで良かったね。
むしろ、彼女の母のぶっ飛び具合の方が興味深かった。
ヒロインに共感した世界中の女性の一員になれなかった私は、
次は死線を潜り抜けるガチンコ武闘派的な作品を読もうと思います。(疲労困憊)→
この二人、この先どうなるの?と続刊のあらすじを追っていった結果、
「えええ~~!!??」と思わず目を見開いてしまったのが一番の驚愕だった。
マジですか……【ガーディアン必読 78/1000】
「さいはてのゆき」いちか凛 (SHY文庫)
穢れのない純白のパウダースノウ。
もしくは、どこまでも透き通った澄みわたる世界。
そんなイメージが終始付きまとう。
純度の高い……というよりも、不純なものの一切混ざっていない二人の想いを
適切に伝えられる言葉が見当たらない。
7歳の時に山の事故で両親を失った渓。
彼の負った心の傷と、周りの人たちとの係りの中での立ち直りが丁寧に描かれている。
そんな渓に対して大切に真摯に接してきた貴之。
三年の空白を経ての再会。
今の二人を見れば、それは必要な時間だったんだなぁ、と思う。
繊細に過ぎる二人を取り巻く
山男たちが健康優良児過ぎて頼もしかったお借り本。
山初心者の私に下った指令が「上高地、現地集合」。
どうやっていくの?から始まったミッションは槍ヶ岳登山。
というわけで、自分の体験と被るところもあったおかげで
情景がものすごくリアルに浮かんで山の雰囲気も堪能しました。
ハードだったけど、ただひたすら楽しくて、壮大な景色が美しかった思い出。
「逆説の日本史3 古代言霊編」井沢元彦(小学館文庫)
第一章を読むと、従来の弓削道鏡像とは違った彼の姿が浮かび上がるはず。
道鏡?誰それ?と言うくらいのポンコツぶりを発揮した私が
この巻を読み終わった感想は
「面白かった」ではなく「凄かった」の一言。
勉強になったし、納得したし、ちょっと首をひねって、考えさせられた。
あくまでも諸説の中の一説であると認識した上でも、
日本の歴史を学ぶと同時に、
現代社会に生きる身として考えていかなければいけないことが書かれていると思う。
「安全神話などではない。安全願望である」
原発事故の後に言われたこの言葉に、無意識下の言霊信仰を垣間見た気がする。
著者曰くの「藤原氏寄生虫説」が私の藤原氏のイメージと被ってるんだけど、
私、何を読んでそう思ったんだろう?
小説か漫画以外在り得ないんだけど、何の本かがさっぱり思いつかない。
これも解明できない謎だわ(笑)
◆行った場所:比叡山延暦寺
◆読みたい本:『水底の歌』梅原猛/『炎立つ』高橋勝彦