忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「動物と話せる少女リリアーネ1 動物園は大さわぎ!」



動物と話ができ、植物に花を咲かせることのできるリリアーネ。
そのことが原因で数度の転校を繰り返し、
引っ越した先で出会った隣家のイザヤ。
彼もまた、秘密を抱えていた。
突出した能力を持った子供が弾かれるのは何処の国でも同じなのね、と
世知辛く思いつつ読み始める。
偶発的に秘密を暴露しあうことになった二人。
秘密に対して前向きに向き合い、
周囲の人との関係を変えていこうとする努力にまで持っていけたのは、
一人じゃなかったからだろうなぁ。
友だちって偉大だ。
そしてリリと動物たちの交流が微笑ましくて可愛い!
私もクマに救助されたい。←違う。


姪っ子ちゃんが遊びにくるので用意してみた本。
先日動物園の飼育体験をしてきたみたいで、タイミング良かったわ。
気に入ってくれるといいなー。

拍手

PR

「ロマの血脈(上)」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)



何に向かってそこまで懸命に突き進もうとしているのか。
彼らは何を成そうとしているのか。
わからないながらも、子どもたちとチンパンジー・マーサの
命懸けの前進が痛々しい。
それを手助けする唯一の大人が彼であることが、ただひたすら嬉しい。
彼らから遠く離れた場所でグレイたちが繰り広げる死闘。
彼らの戦いの先に在るのは、子どもたちの戦い。
デルポイの巫女の神託からはじまる物語。
特殊な能力を強制的に増幅し、操ろうとするのは冒涜。
人の心の痛みがわからない輩には嫌悪感しかない。
私もマーサにハグされてみたいなぁ、と思いつつ、下巻へ。

チェルノブイリの原発事故からもうすぐ33年。
そして福島原発事故からは8年。
あれから〇年……と、ずっとカウントされ続けていく重大な事故。
人が物を作り出す力はとてつもなく素晴らしいものだと思う一方で、
制御できないものを生み出してしまう恐ろしさも孕んでいるのだとも思わせられる。
今回は薀蓄が少なく、最初から最後までハラハラドキドキしっぱなし。

拍手

「菫の騎士」榎田尤利 (SHY NOVELS)



誤解は言葉を尽くせば解消できるが、
身勝手な悪意はどうしたって振り払えない。
人と人。
信じた分と同じだけの信頼が返ってくるわけではないけれども、
信じることによって良質な変化を来すことは少なからずある。
裏切られるリスクがあるとしても、
アルヴィンは「信じる事」を貫いていいと思う。
理想論だけを述べているわけではなく、
経験から導かれた言葉だからこそ重みがある。
降りかかった火の粉は頼もしい騎士たちがきっと振り払ってくれる。
何より、精霊たちの加護もある。
人は「強い」のではなくて「強くあろうとしているから強くいられる」のだと
改めて噛みしめる。

良質なファンタジーと安定のBLの融合。
ダンテが己を守るために身につけざるを得なかった「強さ」が、
これからはアルヴィンを守るための「強さ」になることが嬉しい。



拍手

「楠木正成 下巻」北方謙三(中公文庫)



わかってる。
わかってるけど悔し泣き。←顕家が都に駆けてきたところで。
朝廷と新田の馬鹿さ加減には怒りしかない。
諦念しかなかった正成。
父に裏切られた大塔宮。
彼らが追い求めたものが、そして築こうとしたものが
幻だったと気づいたときの無力感が半端ない。
自分のことだけを考えていたのなら、もっと穏やかに暮らせただろう。
だが、彼らは考えた。
この国の在り様を。
未来を。
その結果がこれ!?と理不尽に震える。
すべてを俯瞰していた尊氏。
今回初めて尊氏の人となりをかっこいいと思った。
最後の尊氏と正成の邂逅がとても好き。
そして読後には虚しいため息。


馬鹿だなぁ、私。と思いつつ、顕家を思って号泣。
そして正成と大塔宮の諦念を思ってまた涙。
地図があったら良かったなーと、関西方面の土地勘が全くない私は思いました。
尋ねてみたい場所がいくつか。特に千早城。
それは今後の旅のお楽しみに。

拍手

「君だけが僕の奇跡」千地イチ (ラヴァーズ文庫)



白黒のモノトーンしか認識できない視界の中で生きてきた慎吾の眼に飛び込んできた極彩色。
それは世界がひっくり返るだろう。
その色を与えてくれた武にすがるように執着するのも理解できる。
そんな色を慎吾に与えた武は、過去の出来事に囚われたまま、
世間から身を隠すように生きてきた。
慎吾の歌声はそんな武の閉ざされた世界を解き放っていく。
ミュージシャンと画家。
二人が出会った瞬間から織り成される奇跡の物語。
子どもたちや仕事仲間、友人知人。
彼らが多くの人との接点を持ちながら成長や変化を遂げていく様が良かった。
とても綺麗なおとぎ話。
なんだけど!→


基本的にはあるがままを受け入れる派だし、
リバも気にしない。むしろウェルカム。
でもどういうわけか、この作品に限っては読み進めるうちに右左勝手に固定化されちゃって、
ああ、私の中では逆だったの~~!と、呆然。
うっっっ、私が悪い。


拍手

「ドリアン・グレイの肖像」ワイルド (光文社古典新訳文庫)



彼の人生における分岐は二つ。
一つはヘンリー卿に出逢ったこと。
ドリアンが自らの言葉に影響される様に悦びを見出し、
彼の精神を意図的にコントロールしようとし、それを楽しむ嗜好に
込み上げる腹立たしさ。
もう一つはそのことに気付きつつも、
ドリアン自身の意志でヘンリー卿の示した在り様に甘んじたこと。
その瞬間、彼の運命はすべて己自身の選択の上に積み重ねられていく。
彼の悪行を写し取って歪んで行った肖像画。
たった一度の善行で、何故今まで積み重ねてきた悪行が消化されると思ったのだろう?
変わらない絵に絶望したドリアンにはやるせなさしかない。


ヘンリー卿に天罰が下ればいいのに、と、
ギリギリとした想いを噛みしめた読み始め。
破滅に至ったのはドリアンの精神の弱さかな。
ヘンリー卿並み、もしくはそれ以上の精神力があったら、
全ての悪行を背負って微笑みの仮面をつけたまま生きていけた気がする。
思っていたほど練ったり凝ったりした文章じゃなく、
読みやすかったのは想定外。
これはまた再読したい。
その時はもっと時間をかけてじっくりと味わいたい。
←初読の時はどうしても先へ先へと駆け足になっちゃうので。
【ガーディアン必読 80/1000】


拍手

「華の闇」榎田尤利 (SHYノベルズ)



「幸福になる勇気」という言葉が刺さる。権利ではなく勇気。
吉原で暮らす遊女たちの生き様はあまりにもやるせない。
男遊女として吉原に身を置く華嵐とかつて想いを寄せた貴師との再会から始まる物語。
離れ離れになってもそれぞれの心に熾火のように残っていた想い。
立場の違いも相俟って、
歪にゆがみ、素直になりきれず、露悪的に振る舞って強情を張る。
そんな二人の想いが次第に浄化されて濁りのないものになっていき、
ただ純粋に愛しさ吐露して永遠の愛を誓う。
そこに至るまでの二人の在り様が見事に描かれていた。
雪の中での貴師の告白、良かったなぁ。
ああいった形での男の弱音の吐露。
胸キュン以外の何物でもない。

一度読んで手放して、買い直しての再読。
内容全く覚えてなくて、どんな読み方してたんだ?自分?とガッカリというか、びっくりというか(苦笑)
おかげで楽しく読めたのは……いいことってことにしておこう。
宮木さんの『花宵道中』が読みたくなる。

拍手

「暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出」綾瀬まる 新潮社



どんな災害に見舞われたとしても。
命ある限りその過酷な状況下で人は生活していかなければならない。
当たり前のものが当たり前でなくなった瞬間は、ただ必死だ。
明日に命を繋ぐために。
当時の状況を著者が見たまま、体験したままに綴られるノンフィクション。
自分のことで手一杯な時にでも、持てるものを誰かと分かち合おうとする人の優しさがあたたかく染み入ってくる。
その一方で、情報を隠蔽したり、差別をしたりといった行為も後を絶たないことがやるせない。
人は「自分の身に降りかからないとわからない」。
だからこそ、語り伝えていかなければならないことがある。
知ろうとしなければいけないことがある。

今年の震災関連本はこの本をチョイス。
そのタイミングで「あの日の星空」というドキュメンタリー番組を放送していて、
引き合うものってあるんだなぁ、と表紙を眺めながら思ってみました。
震災後しばらくはガソリンは1/3を切ったら給油していたんだけど、
最近はもうちょっと減らしちゃうこともあるので、そこはちゃんとしようと思った。
いざって時のガソリンの有無は生死を分けるくらい重要。
ウチはタイミングよく満タン近く入ってたから必要な時に車が使えて助かった。
そうやってちゃんと備えはする。
だけど、もう二度と、遭遇したくはないよね。




拍手

「愛に跪く時」英田サキ (ビーボーイノベルズ)



素晴らしい筋肉!素晴らしい肉体美!
そのふくらはぎ……触りたい。
と、特別に筋肉フェチでもなかったはずの私にも眼福のイラストにうっとり。
古代ローマを模した時代に生きる剣闘士・ドミナトスと貴族・ルキアノスの物語。
そもそもが意地の張り合いから本心を押し隠して始まった関係は
なかなか甘い雰囲気に至らずにやきもき。
言葉足らずで自己内省ばかりの二人は過酷な環境下での擦れ違いから
今生の別れかっ!という危機に瀕するけど、
いろいろと間に合ってよかった。
死を覚悟したドミナトスがルキアノスの寝所に忍んでくるシーンが好き。

北方脳な私は、過酷の旅での馬の大切さは良くわかってる。
馬が倒れたらその先には思うように進めない。
だから馬と自分を比べる必要なんてないんだよー!
と、声を大にして言いたかったお借り本。
でも朝ごはんは一緒に食べてあげようよ、とも思った。
二人いるんだから一人で食べるのは味気ないよ~。

拍手

「楠木正成 上巻」北方謙三(中公文庫)




北方フレーム(命名・私)ってあるよなーと思う。
国が潤い、人が生活をしていくために必要な物は何なのか。
戦うためにどんな準備をすればいいのか。
どんな想いをその胸の内に秘めているのか。
こういうテンプレがぶれないから、どの国どの時代の作品を読んでいても、
ああ、北方だわ~~、というホーム感がある。
鎌倉末期から南北朝へ時代が動く。
自らの在り様を見据え、どうすれば生き延びることができるのかを考察する悪党たち。
その在り様がたまらなくカッコいい。
熟考を重ね、市井に混じり、時代を読み続けた楠木正成の決意が明確になったところで次巻へ。

北方中国史は予備知識ゼロでものめり込めるけど、
本書は日本史に関する予備知識があった方が断然入り込める。
この本、積みっぱなしのまま何年も放置しちゃったけど、
『逆説の日本史』を鎌倉時代まで読み進めたらどうしても読みたくなって手に取りました。
うん。
言葉は関係性や背景が理解できるようになっていたので、そのタイミングで正解。
この勢いで『悪党の裔』と『道誉なり』も読みたくなる。
そして、公家が顕家にやらかしてくれたことを反芻して憤り……私、どんだけ顕家が好きなんだろう(笑)

拍手

  

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
2 3 6
8 10 11 13
15 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]