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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「nez[ネ] Smell and Memory 」榎田尤利(SYHノベルズ)




匂いにふりまわされたわけでも、状況に惑わされたわけでもなく。
素のままで向き合って、相手に触れたいと、抱き合いたいと思ったら?
もう、恋だよね。
鷹目はそれを認めることに悪あがきしてるし、
千里がどこまで自覚的かはまだちょっと謎ですが(笑)。
とはいえ。
千里にとってはなかなかにしんどい巻。
迫り来る悪夢は、対峙しなければならない過去。
向き合って乗り越えていくためにも、鷹目が傍にいてくれてよかった。
傍にいるだけで安心して眠れる存在って偉大だと思うの。
「急ぐが、乱暴にはしない」今回の名言はコレ!
着衣を乱した鷹目はやっぱりカッコいい。→

離婚する父母のどちらにつくか。
父と母のどちらにも愛情を持っている場合、
その選択を子供にさせるのはちょっと酷だと思う。
だけど。
あ、ここからネタバレ……というか、私の推測。
離婚→選択→千里たちに仕事の依頼。
ここまでの流れが実は仕組まれたことだったら?
あんな学校に係った人物だったらそこまでやれるんじゃない?と思えてしまうところが薄ら寒い。
さて。真相はいかに?










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「nez[ネ] Sweet Smell」榎田尤利 (SHYノベルス)



仕事と恋愛(まだ未満?)と事件。
絡ませ方が絶妙すぎて一気読み。
においに惑乱されて
自分の気持ちがつかめずに混乱する千里と、
そんな千里に振り回されて頭突きを食らう羽目になる鷹目。
二人の間に別の一人が介入することで、あんなにおもしろくて色っぽいことになるんですね~。
やっぱり私、鷹目の抱き方がとても好き。←聞かれてません(笑)。
だけど、楽しいだけでは終わらないところが榎田さん。
千里の過去が少しずつ垣間見え、
合間に合間に静かに近づいてくる不穏な影。
そしてとうとう……というところで次巻へ。き、気になる!


ものっすごい気になるところで続いてます。
でも、完結してからの一気読みのうえ、抜かりなく全巻積んでてあるので安心なのです。
←積みすぎててあんまり褒められない……(笑)

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「死に向かうアダージョ」小池真理子(双葉文庫)



自己陶酔もしくは自己憐憫の果ての心中。
詰めが甘いから、その計画は破綻する。
そこから先の展開は、巻き込まれた久里子にとっては悲劇だっただろう。
奔走した彼らの知人にとっても、いい迷惑だ。
だが、彼ら二人に限ってはもはや滑稽としか言いようがない。
自分の運命を相手に委ねた責任は自分自身に在る。
思い描いた通りの結果にならなかったからと言って、
相手だけを詰るのは筋が違う。
「絶対」は在り得ない。
「私だったら、死ぬのも生きるのも、好きな男の人の傍を選びますよ」
青砥夫人の言葉がものっすごい健全に響いた。


「ばっかじゃないの」という言葉を胸の中で呟いて、消化不良のまま読了。
『恋』と同時期に書かれたことに対する私の勝手の期待感が大きかった。
やーん。すっきりしなーい!←そもそもすっきりする内容じゃないんですけど(笑)
心中モノは榊原姿保美さんの『雪うさぎ』が私の中では神作品。JUNE作品なんですけどね。




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「nez [ネ]」榎田尤利 (SHYノベルス)



軽快でテンポのよいバディもの。
そして、二人の軽妙な掛け合いがとても楽しいお仕事小説。
協調性が全くなくて神経質な元・エリート鷹目と、
特殊な能力を持った、だらしなくて人懐っこい千里。
まったく噛み合わないアラサー二人が、
仕事をこなしていくうちにカチリと噛み合っていく様がとても小気味よい。
だけど。
所々に滲む千里の心に秘めた寂しさや空疎観に切なくなったりもした。
千里の抱えた過去は、この先明らかになっていくんだろうね。
想いもよらないことがきっかけで身体を重ねたふたり。
鷹目のセックスがとてもカッコ良かった☆
この先、どんなふうに気持ちが寄り添っていくのかとても楽しみ。

そしてラスト。
やるな、ムッツリメガネ。
と、ニヤリとして読了。
次巻楽しみ!

鷹目の心の中ツッコミがおかしくって、笑いながら読んでました。

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「GIANT KILLING 45」ツジトモ(モーニングコミックス)



鳥肌からの号泣。
神様は本当に彼に厳しい。
どうしてここで?と叫びたくなる。
だけど、刹那の先を見据えた彼の言葉に、精一杯のエールを送りたい。
まだ、走り続けることができる。だから、待っている、と。
花森の背中、寂しいなぁ。
そして、宿命の試合はついに決着。
それぞれの想いを抱えて。
「自分に正直に」という達海の言葉が沁みる。
「我を忘れた牛」っていう、ジーノの村越に対する例えがひどい。←褒めてます。
今は全身で喜べばいい。
彼らには次の戦いが待っている。
その前に、日本代表メンバーの発表が!楽しみ。


子どもって、物事の本質を直感的にちゃんと見てるよなぁ、と
ちょっと感心したコータの台詞。
「今度はどのくらい変わるんだろうって
 ワクワクして連れてきたくなっちゃうけどな」
うん。
その通り。
私もわくわくするよ。
平泉監督と持田の短いことばのやり取りにぐっときました。

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「天使たちの探偵」原尞(ハヤカワ文庫JA)



天使たち。
即ち、子どもたちの係わる6篇が収録された短編集。
人と人。
その関わり方が、どれも少しずつ物悲しくて、胸が疼く。
天使たちの探偵はスーパーマンではないけれども。
誠実に彼らと、そして仕事と向き合い、
絡み合った糸を紐解いていく。
『少年の見た男』聡明さ故に、少年の背負ったもの。この先の彼の人生に影を落としませんように。
『歩道橋の男』人の弱さは他人が計るものではない。彼女はあんなにもしなやかだ。
『選ばれる男』清々しい政治家に久しぶりに出会った。少年の笑顔がただ嬉しい。
あとがきにかえての書き下ろし。
その短さで、その密度。
凄いわ!と、唸るしかなかった。原尞、全力でおススメします!


「残念ながら、探偵は無口なのです」
この台詞でなぜか「おしゃべりな殺し屋」を連想した。
原尞と北方。ハードボイルドつながりの、佐賀つながり。

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「交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~」 榎田尤利(SHYノベルス)



今回は『夏のリング』のみ再読。
久留米と魚住のその後を書いてくれて、本当にありがとう!
シリーズ一作目から再読をはじめて、
ここまで読み切って改めて幸せに泣けました。
長い長い遠距離恋愛の終焉が
まさかあんな形での着地になるなんて、思ってもいなくて。
びっくりして、嬉しくて。
ジワッと泣けました。
作中で彼らは38歳。
全く変わっていないと思っていた彼らの在り方だけど、
久留米の想いも、魚住の想いも、更に確固たる方向へ変わっていて。
一歩踏み出した魚住の変化が、私とても嬉しかった。
サヤカと良樹のカップルも可愛らしくて素敵。
みんなお幸せに☆

記念本らしく様々なカップルが登場しますが、
私やっぱり轡田さんとユキが大好きです。
この流れだったら次は『ラブ&トラストシリーズ』か?って感じですが。
次は未読で積んである『nez【ネ】』にいきます。(笑)

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「黒龍の柩 下巻」北方謙三(幻冬舎文庫)



時代の波に乗り切れなかった近藤勇。
滲む彼の諦念が、とても哀しい。
そして土方は、時代と共に駆け抜けたのか、
或は、時代に抗ったのか。
いや、彼は最後の瞬間まで彼の人生を駆けていた。
夢のかけらをその胸に抱いて。
かけらが砕けて散った時、彼は別な男へと生まれ変わる。
男たちは掲げた夢のために一丸となって戦っていた。
一刻を争う激動の時代において、
時を待とうとしたことが夢を壊した。
これは、時代の波に乗り切れなかった男たちの物語。
そして、移り変わる時代を精一杯生きた男たちの物語。
ハードボイルドな幕末小説。
北方浪漫、ここにあり!


「戦に、限界があると思っているのか。
あるのは、勝つか負けるか。
生きるか死ぬか。
それだけだ」
彼を迎え入れるためにそこまでの覚悟で戦っている男たちがいるのに。
「待つ」ことを是とした彼。
だったら何故北を目指した!?と、言いたくなったけど。
彼にはほかの誰もが担えない責任と思いがあった。
ならば、「無念」という言葉は彼にだけは口にしてほしくなかった。
こうなることを選んだのはあなたなのだから。

そんな時「BAKUFUって統べろう!」を思い浮かべてみたら、憤りも消えました。←色々台無し(笑)

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「I’m home―魚住くんシリーズ・メモリアル」榎田尤利(光風社)



魚住くんシリーズ完結記念本。
アメリカに留学した魚住と日本に残った面々とのメールのやりとりが
あたかも彼らがそこにいるかのようなリアルさで、
思わず口元が緩んでしまいます。
各々のメールの文面が彼ららしくて、その存在感が半端ないの。
表紙絵にはじまって、茶屋町さんのイラストを
ひたすら眺めていられるのも嬉しい。
おまけに漫画まで!
動いている彼らが見られるってとても幸せ。
ホントこれだけでも私、満足です。
あとはキャラ紹介や、作品ダイジェスト(これも茶屋町さんのモノクロイラストが秀逸)
榎田さんへのインタビュー等々が収められています。



これ、出版時にちゃんと買っておけばよかったっとちょっと後悔。
あの時は、ま、いっか、って流したんだよね。
結局、手に入れるのに3倍近く払ったけど、それに関しては後悔はまったくなし。
ただ、短編が収められているわけではないので、
これからの入手を検討される方はそこだけは要注意です。
……と打ちつつ、今Amazon見たら、売値の桁が違っててびっくりした。
どゆこと!?



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「シッダールタ」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



この世界に在るものの、一切の肯定。
そして、あるがままの我々の在り方の肯定。
一度は世俗に塗れたシッダールタの、否定の一切ない、
あたたかく愛に満ちたまなざしが胸に沁みる。
そんな彼とて、完璧ではない。
彼は父を顧みず、或は、息子を縛る。
痛みを知り、挫折を知り、哀しみを知る。
だからこそ、他者にやさしく、どこまでも寛容で在れる。
シッダールタの人生を例えるなら、まさしく「川」に他ならない。
たゆとう流れの中で、多くのことを知り、或は習得する。
流れの中で出会った他者との対話を通して、さらなる高みを極めていく。
ヘッセ自身が解脱者であるかのような壮大な物語。
その世界の美しさに、ただ、溜息。

今回の高橋氏のツボ訳は「ひげぼうぼう」でした。
ヒゲボーボー……原文、気になる(笑)
これは二度三度読んで身になる物語だと思いました。
完成度の高さ(って言うのかな?これだっていう言葉がみつからない)半端ない。

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