きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「獣―ケダモノ―」綺月陣 (ガッシュ文庫)
久々に筋金入りの極道に出会いました。
BLなのに(笑)
愛に開眼した瞬間が、え?唐突!?と、一瞬思ったけど、
本能で生きてる人たちはそれでいいんだわ、と思い直してみた。
嘘がない分、いっそ清々しい。
激しく貪りあっている最中だというのに、なんかキラキラ飛んでいる星が見えました。
意に沿わないまま組長の座に祭り上げられた廉だけど、
ケジメのつけ方があまりにもお見事。
あれは人がついてくる。
そして、ついてきた人は裏切らない。
廉の傍らには怪獣若頭・久堂。
平穏な先行きなんてちっとも浮かばないんだけど、
だからこそ、先が気になって仕方がない。
とっても個人的な例えですが。
榎田さんの書く極道が北方謙三なら、綺月さんの書く極道は花村萬月。
うん。
私的には納得の例え。
力ずくで奪う愛し方かぁ……とっても体力勝負。
それにしても、久堂。この人、人間としてとっても規格外でした。
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「リバース」湊かなえ(講談社文庫)
進行する物語の一幕一幕を取り出せば、理解も共感もできる。
自分以外の人間を100%理解する事なんて不可能だし、
語る人間によって浮かび上がる印象が変わるのは当たり前。
大学時代の適度な距離感を持った人間関係。
心に秘めた劣等感と嫉妬心。
良かれと思ってやったことが、仇になってしまう事実。
流れとしてはスムーズ。
だけど、一つの作品として俯瞰すると、冷めた感じで眺めている自分がいて、
どうにものめり込めない。
結末に向かうためのプロットありきの物語だからかなぁ、と、
後書きを読んで自分なりに納得してみました。
というわけで、特に驚愕することもなくあっさり読了。
楽しみにしていただけに読後の残念感半端ない。
なんでだろう?
国の未来を思い描いて闘ったり、理不尽な暴力振るっちゃったりする
人たちの話ばっかり読んでいたから?←多分関係ない。
「書きたいから書いた」というより「技巧(プロット?)に寄りすぎた」感じがするからかなぁ。
「龍と竜 ~啓蟄~」綺月陣 (ガッシュ文庫)
学業に打ち込める学生生活に同年代の友人との忌憚のない会話。
かつて、体験し得なかったものを、いま、謳歌する竜城。
だけど、それはもはや自分には望むべくもないものだと突きつけられる現実。
龍一郎の執着と嫉妬も強烈だったけど、戦った竜城の根性も立派。
龍一郎の行為はそれはないよ、と思うんだけど、
吐き出された弱音に竜城と一緒にほだされてしまった。
なんか悔しいなぁ。(笑)
生粋の極道である素地を見せながらも、颯太のために一般人であろうとする龍は
なんだかんだカッコいいと思うの。
「勿体なくて軽々しく手を出せねぇ」
50男の本気の恋を垣間見た気がした台詞。
颯太は十分大事にされてると思うの。
シリーズ楽しく読了!
勢いづいてさらに先に進むべく、関連シリーズにと飛び込みます。
読メをやっていなかったら、出逢えなかった作品。
幸せのおすそ分け、ありがとうございます。
「楊令伝13 青冥の章」北方謙三(集英社文庫)
自らの力で天下を取りに行く気概のない者が、天下を語るな、と。
ふとした瞬間に言いたくなる。
夢は共に見るものではあっても、押し付けるものではない。
一枚岩じゃないから、付け入られる隙が出てきてしまう。
とは言え。
時間は移ろうもの。
模索しながら進んでいくしかないのだ。
そんな中での漢たちの腹を割った話し合い。
呼延凌が宣賛に言い放った言葉がいい。
楊令と岳飛は同じ飯を食らうも、戦場で見えることを確信して場を離れる。
護国の剣を手にした男の最期の戦い。
「ひとりで立て。それが、男だ」
忘れられない言葉になった。
今回のことで侯真の気持ちの在り様に柔軟性が備われば、
より強い男へと成長できるだろう。
花飛燐と秦容のちょっと微笑ましいやりとりがとても好き。
王貴も顧大嫂に叩きなおされてしゃんとするのかな?
子どもたちの成長が頼もしい半面、
かつての同志の元へ旅立って逝く者がいる。
李英はどう動くのかな?
チラリと脳裏を過った彼のようであってほしいと思うのは……期待しすぎかな?
「龍と竜 ~虹の鱗~」綺月陣 (ガッシュ文庫)
叶わない想いを捨てられないのも、心が自分にない相手を恋しく思って抱くのも、
誰かを想いながら別の男に身体を預けるのも。
そして、一切の言い訳をせずにただ待つことも。
全部自分の選択。
その役割を強制されている人がいないから、
彼らの想いの痛々しさの中に、愛おしさを感じてしまう。
竜城の存在感というか、貫禄が半端なかった。
颯太をただ甘やかすだけではなくて、
次郎にむかって突き飛ばしたのはお見事。
双方に対する信頼がないとできないこと。
年齢も価値観も違いすぎる次郎と颯太はまだまだ波乱がありそうだけど、
ぶつかりながら乗り越えていける……よね?(笑)
ますますもって気になる黒崎医師。
次郎は猛犬って言うよりは狂犬。
真藤には可愛い彼女or彼氏と幸せになってもらいたいなぁ。
「龍と竜~銀の鱗~」綺月陣(ガッシュ文庫)
次郎と颯太の歳の差カップル(まだ未満)。
甘えの延長にある幼い恋心かと思って読み始めたけど、
その気持ちの底にはもっと深い事情があったことが、しっかりと伺える。
颯太がうっかり覗き見てしまった龍一郎と竜城のセックス。
愛し合う二人の目線の間に自分がいない疎外感。
ふわっとした展開ではなく、しっかり地に足のついたリアル感は読みごたえ十分。
強面ヤクザの次郎の苦悩はなんだかお気の毒。
次郎の腕の中の颯太が竜城と龍一郎がやりとりをしたメール。
この三人はまぎれもなく親子なんだと。
実感できる愛情に溢れていて、とても良かった。
龍一郎との養子縁組を断った竜城の主張がとても好き。
「じろちゃんじゃなきゃイヤ」ではなく「じろちゃんしかイヤ」
これ、ホント最強の殺し文句。
私はちっちゃい子供に「多分絶対に無理だってわかってるけど、
サンタさんにどうしても欲しいってお願いしたいものがあるの」
「なに?」
「みやこちゃん!」
と言われてメロメロになりました。
そんな内心を押し隠した私の返事は
「あ、それは無理だね。二番目のお願いにしておこうか」でしたが(笑)
「進撃の巨人 23」諫山創(講談社コミックス)
壁の向こう側の正義は「鎧の巨人」を主軸に置いた物語。
何のために戦うのか?
もはや、問いかけることに疲労感を覚える。
殺したいから戦う人間はそうはいない。
守りたいもののため。自由を勝ち取るため。
虐げられた国の民のため。
それを手に入れるために必要なのは、「敵」と認識した者たちの命。
「向こうにいる敵、全部殺せば俺たち自由になれるのか?」
とは前巻のエレンの台詞。
「あの島に住む悪魔共さえ消えてくれればみんな幸せになれるのに」
とは今回のライナーの母の台詞。
どうにもやるせない想いを抱えたまま、次巻へ。
漫画を読んでいる気軽さは微塵もなく。
イロイロ考えながら読まされました。
これは彼らの物語。
双方向からの言い分を突きつけられれば、
何が正しいとか何が悪いとか私が結論付けられるわけもなく。
ただ次巻を手に取る日を待つしかないのよね~。
とりあえず私はリヴァイに逢いたいです。
「龍と竜~白露~」綺月陣(ガッシュ文庫)
竜城を力でねじ伏せようとした龍一郎には腹が立ったけど、
ヤクザの流儀の中で生きる彼の最大限の譲歩を見せられ、
彼の竜城との恋愛に対する本気度を理解する。
とはいえ、読み進める程に棲む世界が違う相手との恋愛がどういうものなのか、
しみじみと身につまされる。
理解することと感情が受け入れる事とは全く別で、
それでも、ヤクザの龍一郎と添い遂げようとする竜城の覚悟。
お互いに向けあった愛情ありきの覚悟に感じた漢気。
龍一郎を理解しようと揺れる竜城の心の動きが丁寧に描かれていて、
思いっきり感情移入してしまった。
この先は波乱万丈でもバカップルでいてほしい。
母親は選べない。
そのことを不幸だと感じる子どもがいること。
そして、そんな子どもが母親に愛されたいと願う描写は何処で何度読んでも辛い。
個人的にはカフェの件はちょっと都合が良すぎるかなぁ、と思いつつ。
心にひっかかりがあったら、電話するかなぁ、とも思いつつ。
若干モヤモヤを引きずりつつ、ああ、でも良かったね!というところに着地しました。
「楊令伝12 九天の章」北方謙三(集英社文庫)
今、自分が二本の脚で立つ現を夢となぞらえる彼の言葉が、
なんだか淋しい。
彼が願ったものは、今在る現の継続。
憂慮を断つために、彼は夢に想いを託して逝ってしまった。
北でも南でも燻る火種。そして暗躍。
真の安寧は遠い。
かねてからの同志が一人、また一人と旅立っていく。
この戦乱の世を全力で生ききったのだと、自らに胸を張って。
抱えきれないほどの想いを託され、
その想いに過分に応えつづける器の大きさと力量を備えていたことが、
楊令にとってどんな意味を持っているのか。
それを決めるのは、もう少し後の時代を生きる者たちなのだろう。
食事の作り方、トイレ事情、そういったところまで語られるから、
彼らがより身近に感じられてならない。
物語は終盤。
読み終えることが淋しいような気持ちを抱きつつ、
彼らの物語を見届けます。
「地下室の手記」ドストエフスキー(新潮文庫)
なんてめんどくさい男なんだろう、と思いつつ読み進める。
人生を息苦しいものにしてしまっているのは、自分自身。
見栄を張ることも虚栄心を持つことも負けん気の強さを発揮することも時には大事。
だけど、度が過ぎるとただひたすら鬱陶しい存在になるだけ。
そして気づけばひとりぼっちになってしまう。
時に一歩引き、或は素直にならなければいけない局面もある。
俺が俺が俺が!が全面押しだと、理解しようという気持ちが萎える。
自尊が高いくせに自己を卑下し、他人を見下しつつ、
構ってほしい、認めてほしいという気持ちが抑えられない。
そんな孤独な俺様が記した手記。
「え?別に…」「ん?だから?」「御勝手に」
私からのレスポンスは一貫してこんな感じで、
投げかけられる問いにまったく相容れなかった。(笑)
素直になれなかったり、思ったことと逆のこと言っちゃったり。
それは私にもある。全然ある。
だから理解できる部分がないわけではない。
でも極端すぎて「あ、めんどくさい」と、なりました。
【ガーディアン必読 55/1000冊】