きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「さるのこしかけ」さくらももこ(集英社文庫)
ああ、わかるわ~、という共感と、
え、そんなことが!?という驚きと、
あ、ないわ~、というドン引きと。
どれもこれもが直球で飛び込んでくる言い回しで、
読んでいてとても楽しいエッセイ。
初っ端の痔の話から笑わせてもらいました。
例えが秀逸すぎ!
旅行にいけば、ネタになる話って絶対出てくるよね。
だから私、人様の旅行の話を聞くのも、自分の話を語るのも好き。
ホーミー!わかる!なんちゃってだけどできる、それ!というのが、自分的盛り上がり(笑)。
人生山あり谷あり。
ガチで楽しんだモノ勝ちだな~、と改めて思った。
「面白いから!」と、義妹のお母様からお借りした本。
自分では絶対手に取らないカテゴリーの本だけど、読んでみたら楽しかった。
こういうの、肩の力抜けるね。
旅の話もだけど、お仕事話を聞くのも好き。
義妹のお父様のお仕事話はかなり強烈だったのよね。
そんな素敵な方々とご一緒に、今度の週末に食事会。
楽しみ♪
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「コイシラズ」定広美香&栗本薫(白泉社)
これほどマッチングする原作と漫画ってそんなに多くはないだろうなぁ、と。
栗本薫の世界であり、定広美香の世界でもある。
暴力と紙一重のセックス。
狂おしいまでの情愛。
突き抜けた才能故に、苦悩する姿。
或は、その才能に惑わされる周囲。
彼らの魂の慟哭が胸に刺さる。
そんな中でキラリと光る、一途で純粋な想い。
恋を知らなかった天使が恋を知り、
より深みのある音を奏で、やさしく愛を語る。
奪うことしか知らなかった野生の獣は、
守ることと失うことの強さを知る。
彼らの奏でる艶めかしいハーモニー。
ガツンとくる読み応えがたまらないお借り本。感謝!
かつての私が浸りきっていた懐かしくて切ない世界観がそこに在る。
先陣を切ってその世界を築き上げた彼女はいまはもう、いない。
あ、泣きそう……。
好きとか嫌いとか、そんな範疇を飛び越えて、ただただ凄い人だったと。
心から思える。
「いつもの朝に 下巻」今邑彩(集英社文庫)
死者の残した言葉に振り回される子どもたち。
朽ち果てた家で相手の命を繋ぎとめようと懸命に発せられたふたりの言葉に、
ほら、あなたたちは正真正銘の兄弟なんだよ、
と、叫びたくなった。
「あなたの子供」
この言葉が、こんなにも悲しく突き立てられた作品は他にない。
沙羅の桐人に対する愛情深い言葉と態度が胸に響いた。
彼女はまぎれもなく、二人の子どもの母親なのだと、揺るがない想いに安堵する。
突き刺さったやるせなさは、最後まで抜け落ちることはなかった。
真実は、時として誰かの運命を瓦解させてしまうほど残酷だ。
だけど、家族の絆はその崩壊を食い止めることができるのもだと信じたい。
初読の時は、語れらなかった優太と桐人のその後を色々と思い描いていたせいか、
今回再読して作品の進行と自分の妄想(?)の中での出来事とが一瞬混同して混乱。
それだけ思い入れがあったんだろうなぁ。
『エデンの東』に取りかかろうとしているタイミングで読めたことに感じる巡り合わせ。
この作品は読メを始めてからずっといつか再読を!と思ってきたので、
それが叶って満足なのです。
「いつもの朝に 上巻」今邑彩(集英社文庫)
ひたひたと迫り来る真実。
それを”悪意”と読み取ったとしても、異論は許さない。
もしも彼が生れてくる子供をその腕に抱くことがあったら、
こんな手記を残しただろうか?
懸命に真実と向き合おうとした子供たち。
彼らは本当のことを知りたかっただけ。
手繰り寄せた糸の先に絡みつかせてしまったのは、
まったく悪意のない爆弾。
どこかで彼らの秘め事を彼女に打ち明けるタイミングさえあったなら、
こんなことにはならなかったのに。
ヨシさんの言葉が私の胸に深く深く突き刺さる。
半泣きになりながら、下巻へ。
彼らの笑顔を奪わないで。
ちっとも冷静な感想かけてない(苦笑)
結末を知っている私は、涙をこらえるのに大変だった。
わ~~、再読ツライ!でもこの作品好きなの。
「恋人までのA to Z」マリー・セクストン (モノクローム・ロマンス文庫)
山場は二つ。
ふたりの想いが通じるまでと、通じてから。
境目の前後でふたりの気持ちの変化がはっきりと見て取れて、どちらも読みどころ満載。
無味乾燥な日々をほぼ惰性で送っていたザックがアンジェロと出逢ってからの気持ちの変化。
人間に対する不信感と警戒心が拭いきれないアンジェロがザックと共に過ごすようになってからの気持ちの変化。
積み重ねた日常と会話の中で、時にぶつかりながらも歩み寄っていく二人。
その距離感にいっしょになってドキドキした。
凝り固まったアンジェロの心を解きほぐしていくザックの懐の広さがとても素敵。
愛を囁く言葉を口にできてよかったね。
これを言ったところでナンセンスなんだろうけど、
どーーしても突っ込みたい。
あのゲス男、何をしにコーダへ?
まったく意味がわからず、ポカーンとなってみた(笑)
彼を介入させずに違う展開での進展をみたかったかも……って、それこそナンセンスか。
マットとジャレドの暮らしが垣間見れたのも良かった。
スピン元を読んでいるが故の特典。
一人称の交互視点は昔大好きだった作家さんの得意手法なので、個人的に読みやすかった。
そして合間合間の映画の引用がとても楽しかった。
映画を観ているとちょっとお得感がある……かも?←今はさっぱりなので、意外と見ていた自分にびっくり(笑)
「異邦人」カミュ(新潮文庫)
あなたは誰?
終始付きまとっていた問い。
それが判明した瞬間から最後までの記述を追いながら、
これまで示されてきた彼の冷静さと客観性、
そして見え隠れする情愛がじわじわと沁みてきて
うっすら涙が滲んだ。
ペストという猛威が蔓延し、外界から隔離された過酷な環境の中で
ペストと戦いつつ、自分自身の抱えた問題とも向き合った人たち。
自身への問いかけに対して各々見出した答えには、
驚愕、感嘆、共感、苦悩等々の想いを抱いた。
病との戦いの終息は、新たな脅威のはじまりなのか。
疲れ切った医師にひと時の安息が訪れることを切に願う。
「なにも幸福である必要はないんですわ。もう一度やり直すためには」
「希望失くして心の平和はない」
そしてもう一つ。
「まず第一に健康です」
今回心に残った言葉。
海のシーンが強烈に印象的で、切ない。
一人一人の苦悩と答えに対してあーだったこーだった言いたいけど、
ネタバレになるので回避。
心の中で見上げたオランの空は、終始どんよりと灰色に染まっていました。
【ガーディアン必読 66/1000】
「凍る月~瑠璃色の夜明け~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)
完結巻。
人も、獣人も。
そして、人の中にあっても、獣人の中にあっても。
それぞれの寄る辺があって、それぞれの正義がある。
だから争いが起きるし、こうして歩み寄ることもできる。
そして、対話と駆け引きの果たす役割の重要性。
見事に書ききってくれたと思う。
迷わず手首を切り落とそうとした巴の行為には、
傷つけられることが日常にあった彼の過去が透けて痛々しかった。
ラスト間際の深刻なシーンでの光陽の発言には、
え?そうくる!?と、緊張しっぱなしだった気持ちが笑いでほっとゆるんだ。
光陽らしくていい。
闘い抜いた彼らが手にした瑠璃色の夜明け。
楽しく読了!
私、夜光さんは「花シリーズ」で(エロ過多すぎて)なんじゃこりゃ!?ってなって
しばらく遠ざかっていて。(でもドナってない・笑)
「薔薇シリーズ」をお友達が貸してくれてすごい面白い!ってなって。
結局自分で今回の「凍る月のシリーズ」を買い揃え……という流れに至っています(笑)
「花シリーズ」で終わらなくて本当によかった。
面白かった。
「凍る月~七色の攻防~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)
殺伐とした展開が続く中、
光陽がひたすら心の癒しだった。
あの状況で戦いを回避することを訴え続けることは簡単じゃない。
だけど、それを貫いた光陽は強い。
一方で、銀のやり方は納得できない。
望んで集ってくる人は率先して巻き込めばいい。
だけど、あんな形で他人を戦いに巻きこんじゃいけない。
自分のやらかしたことの結果をどう受け止めているのかな?
光陽の言い分に全く耳を貸さなかった銀とは違って、
須王たちは話を聞いたうえで妥協案を示してくれた。
だけど、動き始めてしまった事態は加速度的に悪い方へ。
スケールの大きさに圧倒されて、最終巻へ。
帰ってきた亨の頼もしさに安堵。←彼も癒しだった。
梁井はちょっとヘタレてるくらいがカッコイイと思います。←褒めてる。
須王には変わらずにいてほしい。←大好き。だから銀に対して厳しくなるのかな?
どっちかの息の根を止めるしかない獣人vs獣人の幕引きよりは、
獣人vs人間の方が上手い着地点が見い出せる気がするんだけど、どうだろう?
続が気になりすぎてドキドキするわ。
「日本に自衛隊がいてよかった 自衛隊の東日本大震災 」(産経新聞出版)
誰も予測なんてできなかった。
だからこその未曽有の災害。
津波に襲われ、或は原発事故が起こった現場で
人々の救助にあたった自衛隊の方々。
彼らだって被災者だった。
けれども、自らのことを後回しにして
懸命に救助にあたってくれた彼らの存在を忘れてはいけない。
「訓練」という日々の彼らの努力の積み重ねがあったからこそ、
ここまでの対応ができたのだということも。
だからこそ、最後に突きつけられた大きな問題が胸に刺さる。
目を背けることも、目をつむることも許されないだろう。
私たちは考え続けなければいけない。
日本という国の国民として。
梁山泊で繰り返し行われていた調練。
そして後方部隊の者たちが懸命に確保しようとした兵站。
戦いに勝つために、すべて必要なこと。
逆に、どちらかが欠ければ、勝機を失う。
この本を読みながらそれらのことが頭を過った。
災害だけではない。
問われる日本の防衛力。
何もできなくても、せめて、問題を見据えることだけは忘れないようにしたい。
色々なことを突きつけられた本でした。