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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「オズの魔法使い」



突然のたつ巻でオズの国へ飛ばされたドロシー。
その国で出会った旅の仲間は、かかし、ブリキのきこり、ライオン。
ドロシーは自分の国に戻るために。
仲間たちはそれぞれが抱えた悩みを解消してもらうために。
偉大なるオズの魔法使いに逢うために、エメラルドの都を目指すわけだけど、
その旅の途中でぶつかった困難の中で、
彼等はそれぞれが望むものを知らず、手にしてしまっているんだよね。
全く気付いていないところが微笑ましい。
そんな彼らに対するオズの采配はお見事。
さて。
ドロシーがどうやって自分の国に帰ったのかは読んでのお楽しみ。
ライオンが荷車で運ばれていく絵に私、大笑いでした。


小学校1年生の姪っ子ちゃんにプレゼントするのにはおあつらえ向きの『オズの魔法使い』だと思いました。。
「ポプラ世界名作童話」として刊行されているうちの一冊。
先日は「徳間アニメ絵本」として刊行されている『魔女の宅急便』をプレゼントしたら、
そのラインで出ている他の作品を図書館から色々借りてきて読んでくれてたみたいなので、
『オズの魔法使い』も気に入ってくれたら、他の作品にも興味を持ってもらえるかな?と。
『赤毛のアン』『秘密の花園』『トムソーヤの冒険』『長くつしたのぴっぴ』『十五少年漂流記』
等々……タイトルを並べるだけで、私、楽しくなってしまいます。




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「クヌルプ」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



静かに、とても静かにこみ上げる涙。
ヘッセの物語には濁りがない。
清らかな水のように心に沁みる。
さすらい続けたクヌルプの人生。
彼の魂は孤独を訴えかけるけれども。
彼の周囲は愛にあふれていて、誰もが彼に手をさしのべる。
心からの善意と親しみで。
「死」はいずれ誰しもが直面する事象。
その前に故郷に帰りたいという彼の願い。
辿りつけたことに安堵する。
神さまとの対話で顧みる彼の半生。
あるがままに、思う通りに生ききったのだと、
微笑むことのできるおだやかさが、とてもやさしい。
そして、最後の一文を噛みしめる。
ある意味、理想。

繰り返し読みたい作品。
心の中が清らかになった気がする不思議。(笑)
そして、ここまで読んでくると、時々「ん??」ってなる高橋訳も楽しいスパイス。


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「夜に赦される」英田サキ(プラチナ文庫)



久我が胸の奥底に抱えていた過去。
秋津との間にひと波乱あるんだろうな、という展開ではあったけど、
予想を突き抜けたドラマティックな展開がグサグサ刺ささって涙目。
許せないとは思う。
でも、憎いとも思えない。
悩みに悩み抜いた秋津が対峙しなければならなかったのは、
結局は自分自身の想い。
羽生の生き様も壮絶過ぎたけど、
思うように生ききって、望む様に死ねた彼自身は納得してたんだろうなぁ。
羽生の残したあまりにも重い置き土産に翻弄され続けた秋津たちだけど、
今回の件でようやく、新しい一歩を踏み出すことができたんだと思う。

次巻は秋津の覚悟の程が試されるのかな?
だったら、久我がハラハラしそうな展開になりそう。
久我、カッコいいなぁ……
たとえ、カラオケの選曲がおっさんくさくても!
私も「昴」大好きよ。歌詞見なくても歌える自信ある(笑)
今回もタイトルが秀逸でした。


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「猛き箱舟 下巻」船戸与一(集英社文庫)



裏切りと復讐の連鎖。そして、殺戮。
修羅の只中に突き落とされた一人の男が
冷酷な戦士に成り変っていく様にゾクゾクする。
一度狂いだした歯車は、どこまでも噛み合わないまま軋んだ悲鳴をあげつづける。
男を変貌させたのは周囲の男たち自身。
己に刃を向ける獣を育てたのは自分達だという自覚はどこまであったのか?
優位な立場から追われる立場へと変貌を遂げた男の転落は、
家族のことに関しては、狭量になりすぎたせい。
くつろぎややすらぎを求める資格のない男が、それに甘んじようとしたせい。
血と硝煙の匂いのたち込める戦場こそが、彼の生きるべき場所だった。
雪山で男は、何を思っていたのだろう?

そしてやっぱり言いたい。
おじいちゃーーん!と。
ラストがあそこで終わりって言うのがものすごく納得がいかない。
これは、誰の物語だ?
誰が夢で見た箱舟だ?
面白かっただけに、そこだけが残念。
とはいえ、さすがの船戸与一。面白かった。





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「猛き箱舟 上巻」船戸与一(集英社文庫)



望んで飛び込んだ、血と暴力の世界。
その男には思想も矜持も守るべき者もなく、
男をその場所に駆り立てたものは、享楽的な野心だった。
革命のために命がけで戦った人たちには意味不明すぎただろうね。
灼熱の砂漠での作戦行動。
そこで受けた手酷い裏切り。
彼が裏切った相手をただ恨み、逆恨み的な復讐心に燃え滾ったのなら、
ちょっと興ざめだったかもしれない。
頼まれもしないのに危険に足を踏み入れたのは彼自身の意思だから。
だが、自らの行動の結果と、辿るべき運命を受け入れた上での
「血の匂いのぷんぷんする大きな貸し」
この台詞はぐっとくる。
次巻で男がどう化けるのか。気になる!


「何年かして僕が死んだら、おじさんを僕が天国から見守っててやるよ」
逃れられない運命を受け入れた子供の言葉に泣きたくなった。
だからこそ、シャリフの叫びが重く刺さる。
「どんなことがあったって生きなきゃなんねぇ!」
その通りだよね。



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「夜が蘇る」英田サキ(プラチナ文庫)



心の中に喪失と虚無を抱えた秋津。
そんな秋津が久我という存在によって少しずつ垣間見せていく変化。
さながら、萎れた花が息を吹き返すかのように。
秋津に対する久我の言葉、「おまえの夜を全部俺にくれ」。
そしてタイトル。
全てが絶妙に融合していく様が素晴らしい。
言われて真珠を抜いた久我に、秋津に対する本気を見ました!←そこ!?
アホかもしれないけど、半端なくカッコいい。
秋津の過去ごと抱いてやる、と言った久我の度量の広さがとても好き。
蘇った夜は、色を取り戻した夜、と同義。
スタートラインに立った二人の今後に期待して、次巻へ。

理性ではよくないとわかっていても、感情が自分の行動を止められない。
ズルズルと続いた羽生との秋津との関係は、最悪の形で破綻する。
「おまえの腕の中で死なせてくれ」
死にゆくものは、それでいいかもしれないけれども。
腕の中で血に染まり、冷たくなっていく骸を抱く側の気持ちを思えば、
どうしたっていたたまれない。
その時の想いは傷となって残る。永遠に。
その傷を抱えたまま久我と向き合う秋津と、傷ごと秋津を抱きしめる久我。
先の展開にドキドキします。


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「去年の冬、きみと別れ」中村文則(幻冬舎文庫)



「去年の冬、きみと別れ」
タイトルの言葉が作中で出てきた瞬間、走った鳥肌。
あくまでも主観ですが、私の中に巡った単語は「逆転」。
深沼にはまり込む様に一気に読み切って、
誰ひとりの狂気にも寄り添えなかった自分に安堵する。
彼らの愛情や執着はあまりにも一方的で、あまりにも押しつけがましく、
あまりにも自分本位なんだけど、どこか一途。
そして彼らの憎悪はある意味正しくて、だけど激しく間違っている。
どこに進むかを選択できる側はいいだろうけれども、
巻き込まれる側に選択肢がないことに感じる引っ掛かり。
ラストの男の言葉に「気取ってんじゃないわよ」と、
小さく胸の内で呟いてみたところで、その引っ掛かりは飲み下せそうにもない。

個人的な事情により、本読んでる場合じゃないのに!
最初の一ページ目をチラッと見たら、そのままつかまってしまった。
わーー、明日後悔……しないな。これも私の選択(笑)




内容(「BOOK」データベースより)

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は―。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!

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「HARD LUCK 1」菅野彰 (ウィングス文庫)



過去に抱えた傷に囚われ、
息苦しい世界の中で懸命に生き方を模索する大人になりきれない大人、タクヤ。
そんな彼に振り回されながらも、
彼の寂しい嘘と孤独を理解し、いつしか寄り添うようになっていくエド。
テンポのいい会話に笑いながらも、
時々零される呟きに抉られる。
自らの命を投げ出すような勢いで、犯罪に立ち向かっていくタクヤ。
彼のその危うさの根底にあるものは序章で示されているから、
笑いながら口にする彼の台詞の裏に、どんな想いが隠されているのかが
透ける瞬間がいたたまれない。
1巻自体が壮大なプロローグ。
再読なので慌てず焦らず次巻へ。

『HARD LUCK』
同人誌1993年→新書版1997年→文庫版2011年。
菅野さんが好きすぎて、出るたびに買ってました(笑)
イラストを描かれる方が都度変わっていますが、
一番印象深いのは新書版の松崎さんかな?
保管場所の都合で新書版は手放しちゃったけど、ちょっと後悔。
個人的にこのシリーズはサイバーフォーミュラと直結するわけで、
当時は遥か未来だった2015年がとっくに通り過ぎたことが感慨深いです(笑)
そして、2011年の『HARD LUCK 5巻』で止まってるのは気のせいですか?
気のせいじゃないですよね??
慌てず再読が終わるころに6巻が出てくれたらミラクルだわ。





内容(「BOOK」データベースより)

ロス市警のエドワード・ラング警部補のもとにやって来た新しい相棒は、タクヤ・コウガミと名乗ってその手を差し出した―。日系人で、子リスのような風貌とは裏腹に、タクヤは、無鉄砲で後先顧みずトラブルを巻き起こし、瞬く間に始末書の山を作る。だが、やがてエドワードは気づく。彼が心の中にそっとかかえるいくつもの深い傷。彼が警察官となったのは、復讐のためなのか、それとも―。エドとタクヤのバディ・ストーリー、装いも新たに復活。

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「王国」中村文則(河出文庫)



神を気取っていた男が人間に成り下がった様を見た気がした『王国』。
踏み越えたかったのは、本当におまえだったのか?
歯噛みするしかなかった理不尽はどこにいった?
とは言え、木崎に絶対的な悪であってほしかったわけではなく、
絶対悪のまま、運命に翻弄された者達の手による鉄槌が下ってほしかった。
それこそが、抗いの証。決められた運命に対する反逆。
そうはならないのが、世の中……なのかな。
つまりはやっぱり理不尽。
月は最後まで傍観者であってほしかった。
蒼く怜悧に高みから地上を見下ろして、
決して人間の事象には介入しないままでいてほしかった。
描写が美しかった故に、孤高の存在であってほしかった。

とりあえず、もう一度『掏摸』を読みたくなりました。(笑)
『掏摸』と同じものとして捉えたら、多分ダメなんだね。
そっちはそっち、こっちはこっち。
著者の言う通り、独立した物語。
わー、悔しい!


内容(「BOOK」データベースより)

組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作ること、それがユリカの仕事だった。ある日、彼女は見知らぬ男から忠告を受ける。「あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ」男の名は木崎。不意に鳴り響く部屋の電話、受話器の中から語りかける男の声―圧倒的に美しく輝く「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった。世界中で翻訳&絶賛されたベストセラー『掏摸』の兄妹篇が待望の文庫化!

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「掏摸」中村文則(河出



立ちはだかるのは、「木崎」という、圧倒的な理不尽。
抗う隙間がないことに苛立ちとやるせなさと諦めとを噛みしめながら、
暗雲の中に呑まれようとした瞬間に生じた誤差。
浮草のように漂っていた彼が示した、この世界への執着。
その先を想像することを許されてはいるけれども。
私は何も考えまい。
姉妹編、『王国』を読むまでは。
この世界観、この描写。
ジワジワと押し迫ってくる感じがたまらない。
一気に読み切って、溜息。
自らの手で切り開くことができるのが、運命なのだと。
神を気取った男に、どうしたって抗いたい。

読友さんのレビューで『王国』につながることを知ったわけですが。
慌てない、慌てない。ちゃんと積んでました。(笑)
彼と子供とのやりとりがとても好きだった。
ちゃんとした服を着て、お菓子を食べて。
まっすぐに育ってほしい。

内容(「BOOK」データベースより)

東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。

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