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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「脱北航路」月村了衛(幻冬舎)

命がけの二日間。
辿り着いた日本海。
それなのに……「恥を知れ!」と政府の対応に吐き捨てたくなるけれども。
忘れなかった後悔。
諦めなかった思い。
やってくれると疑っていなかった、還暦を越えた男たちの雄姿に胸が熱くなる。
一人一人はやさしくても、
多分、この国はやさしくない。
これからが大変だとも思う。
それでも。
お帰りなさい、と。
よくここまでみんながんばったね、と。
全てを捨て、身一つで海を渡ってきた彼らに思う。
何のための国家か。
誰のための治世か。
あの国を統べる人には、届かない問いかけ。


『土獏の花(月村了衛)』の展開を思いだしてドキドキしたけど、
『土獏の花』よりは抉られなかった。(自分比)
そして、潜水艦つながりで『沈黙のローレライ(福井晴敏)』を手に取りたくなったけど、貸し出し中だった!
あ、残念。
貸した友だち曰く、朝ドラ「ブギウギ」に『ローレライ』と被るところがあったそうです。
私は「ブギウギ」を観ていないのでわからないのが残念。
「タイムリーだったわ~」と友だちが言うのを聞いていて、
本を読むタイミングってやっぱあるんだなーと思う瞬間。
そんな会話をしたあとに、私がこの本を読んだのもタイムリー。(笑)

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「の、ような。6巻」麻生海 (ラバココミックス)

子どもの可愛さに癒されて、大人の会話に気づきがある。
ソファで眠り込んだキナに布団をかけてあげるハルの優しさがホント嬉しくて可愛くてだし、
そんな彼にちゃんとお礼を伝えるキナが素敵だ。
愁人の会社トラブルではきっちり謝罪をするべき事象とタイミングがあることを教えてくれる。
感謝の謝意。
謝罪の謝意。
どちらもきちんと口にすることのできる大人でありたいね。
家族との向き合い方に対する愁人の考え方が変わり、冬真も思いを口にできるようになってきた
中、ハルが笑顔で幼稚園卒業。
「家族」と言う在り方にまだまだ向き合っていく彼らをこれからも見守っていきたい。

「やってもらってあたりまえ」と言う感覚は持っちゃいけない。
やってもらったらありがとう。
そして「ありがとう」の気持ちはきちんと言葉にして伝えること。
言えてる人が多いから、逆に言えない人が気になってしまう社内。



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「VIP 瑕」高岡ミズミ (講談社X文庫)

読んでる途中はイラっとしたりモヤっとしたり。
でも、結果的にはそういう選択もありなのか…と、なんか色々考えさせられてしまった。
でも、やっぱりそれでいいの?という思いは拭えない。
弁護士!
まず弁護士同席させよう。
胡散臭いと思うなら、相手のこともちゃんと調べよう!
ってか、私だったらそうするよ?
そもそも、お金ないのに興信所雇うって矛盾してない??
わー、この先嫌な展開になりませんように!
今回は甘え甘やかしな久遠と和孝の会話と行為の応酬がとても嬉しい。
漂う緊張感も含めて、この二人の距離感、好きだなぁ。


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「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身XII」」香月美夜 (TOブックスラノベ)

最終巻。
色々色々、本当に色々あったけど。
これ以上ない幸せなエンディング。
最後に一番見たかった光景を見せてくれてありがとう。
彼等が一つ所に集まって笑いあう姿を見せてくれてありがとう。
もうね、感想はこれに尽きるわ。
私本当に彼らのあの姿が見たかった。
言葉に裏表のない彼らが本当に好き。
とはいえ、エーレンフェストの皆との別れのシーンはとても寂しかった。
全部を同じように変わらないまま抱えつづけることはできないんだよね。
それでも、共に育んできた絆は変わらない。
「またね」の言葉に幸せに読了。



読み始めたのが2020年1月4日。
全巻読破したのが2024年1月1日。
きっちり4年で完走。
勧めてくれた友だちにめっちゃ感謝。
夢中で読んでいたら昔からの友だちが気づけば何人もこの作品を読んでいて、
色々話せたことも嬉しかった。
読友さんたちとも語れたことも嬉しかった。

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「VIP蠱惑」高岡ミズミ (講談社X文庫)

和孝に足りていないのは、意地の張り所を見極めること。
久遠に足りていないのは言葉。
不足が重なったおかげで招いた危険。
とはいえ、事の発端は逆恨み。
目先のごたごたは収まったけど、これは始まりにも過ぎない気配ムンムン。
自分を認めさせることと、相手を陥れることってイコールじゃないと思うんだよね。
自分を磨く努力よりも相手を蹴落とすことに件名になる輩は
自らの掘った穴に埋まってしまえば良い。
お互いに離れられないことはわかっているけれども、ある程度の距離感を必要とする久遠と和孝。
きな臭い事象と、二人の関係がこの先どうなるのか。続き気になる~。


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「ボーイフレンドをきわめてみれば」 (モノクローム・ロマンス文庫)

誰かと関わることでこんなふうに変わっていける。
こんなふうに愛を育んでいくことができる。
恋人として、親子として、兄弟として、親友として。
作中にはいろんな愛が溢れていて、皆をハグしたくなる読後。
とりわけ、マイロの自分との、そして周囲の人たちとの向き合い方には敬意しかない。
逃げずに自分と向き合って育ててきた芯の強さが伝わってくる。
自閉症で生活ペースを掴むのに人より少し時間のかかるマイロに対するギデオンの向き合い方も素敵。
二人の間の恋愛感情だけではなく、家族との関係もより強いものへと再構築させていく物語。
とても良かった。

家の中での過ごし方は人それぞれ。
マイロは真っ先にズボンを脱いでパンイチになるし、
私は部屋着に着替えます。
裸で寝るのが日常だった友人(男子)は
社会人合宿の雑魚寝状態で就寝後の布団の中で無意識に着衣を剝ぎ取って真っ裸になっていたらしく。
明け方みんなが目覚める前に目を覚まして肝が冷えたと言っていました。
ちなみに帰省した実家では寝落ちした居間で素っ裸になっていたそうな。
習慣って恐ろしい……(笑)

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「平原の町」マッカーシー (ハヤカワepi文庫)

『国境三部作』の完結巻。融合する二つの物語。
住まう場所があり、仕事があり、仲間がいる。
身一つで馬を駆り、命がけの流浪の旅をつづけた彼らを知っているからこそ、その姿に安堵する。
けれども。
その安寧を捨て、何故に彼は険しい道を選んだのか。
いや、諦めるという選択肢がなかった以上、彼にとってはその道しかなかった。
愛するものと共に生きるか、死ぬか。
殺すか、殺されるか。
神に向かって「これを見ろ」と叫んだビリーの姿は、何故かロドリゴ(『沈黙』遠藤周作)の姿と重なっていたたまれなかった。


「こいつをはめてた女は美人だった。でもそんな外見なんて人間の中身と比べたらなんでもなかった」
亡くなった妻のことをそう語るマックがとても素敵だ。
私のメキシコのイメージはマッカーシーとウィンズロウの色に染まっていることに気づいてみました。
多分偏っている。(笑)

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「越境 」コーマック・マッカーシー(ハヤカワepi文庫)



一連の出来事の発端をどこに見出せばよいのだろう?
だが、それを突き止めたところで、意味はない。
彼は既に、国境を越えてしまったのだから。
僅か10代の少年の3度の国境越え。
国境を越えるたびに彼は何かを失い、悲しみに見舞われ、そして何かを背負い、生者としての深みを増す。
理不尽に翻弄されながらも、損なわれることのなかった矜持。
それがひどく痛々しくも、眩しくもある。
個人的に一度目の越境の時の理不尽が一番許せなかった。
ああ、もう!と、胸をかきむしりたい読後。
だけど、それがマッカーシー。
中毒患者は次作に手を伸ばすのみ。

読んでる途中で注文していたBL本がドサドサッと届いた。
気になる。開封したい。
一般書の併読はできないけど、一般書とBLの併読はできる私。
楽しみにしていた新刊だから、
開封しちゃったらBLに手を出しちゃうのはわかってる。
だけど。
今回に限っては、本書を読み終わるまでこのストイックで野性味を帯びた世界に浸っていたい、いや、いなければ、という思いの方が勝って、読み終わるまでBLは封印。
その判断は間違っていなかった。

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「八十禍の王子と最後の魔女」沙野風結子 (一迅社ノベルス)



どうしよう……と思いつつ、正直に。
作りこまれた世界観は素晴らしいし、設定もすごく興味深い。
一人一人の人物描写も色々想像力が掻き立てられて素敵。
先が気になる展開に、ワクワクしながら読み始めたんだけど……途中でトーンダウンしてしまった。
理由は自分の中では明確なんだけど、それを書くと完全にネタバレになっちゃうので内緒で。
わーん。
沙野さん好きなのよー。
未読本まだいっぱい積んであるから、次の本に期待。

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「上海」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



高潔で慎ましやか。儚げでありながらも垣間見られるのはしなやかな強さ。
どこまでも清涼感の漂う作品の雰囲気はエドワードのイメージ。
もちろん、レイモンドの存在感も各所に漂っている。
時代の変遷と共に彼らの運命を翻弄した上海、香港、そして英国。
戦禍の中、貫き通した純愛。
しっとりとした余韻にしばらく浸ったまま、彼らに想いを巡らせる読後。
とても良かった。
別れ際のレイモンドの言葉は、結果的にはエドワードの命を繋いだワードだったと思う。
繋いでくれてありがとう。
探してくれてありがとう。
諦めないでいてくれてありがとう。
そんな思いでいっぱいになってしまった。





文庫で購入して良かったと、心から思う。
ノベルズには入っていない書下ろしが読めたから。
書下ろしがなかったら、その後の二人が気になって気になって
眠れなかったと思う。(多分寝られたとは思うけど、そのぐらい気になったってことで・笑)

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