きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「あなたが消えた夜に」中村文則(毎日新聞社出版)
書物が醸し出す、圧倒的な存在感。
紛れもなく「中村文則」が生み出した作品なのだと、訴えかけてくる。
そこここで鳥肌が立った。
寂しい人たちが。
悪意に絡め取られた人たちが。
愛に迷子になった人たちが。
少しずつ道を踏み外し、後戻りできなくなっていく。
追っていたはずの犯人の意識の中に、気づけば取り込まれ、
その狂気の狭間に透ける哀しみに塗り込められる。
読み終わるまでは緩まなかった涙腺。
反芻しながら感想を打ってたら、何故かホロリと泣けてしまった。
寂しさと絶望の中に在る光。
それが見えるから、彼の作品は胸を打つのだ。
文庫を待とうと思ったけど、待ちきれずに単行本を買って正解。
冒頭部分から鷲掴みにされてしまった。
この本の凄さをなんて表現したらいいんだろう?
分からないからとにかく読んでみて!と、言いたくなる本。
やっぱり中村さんの作品、好きです。
内容(「BOOK」データベースより)
ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。人間存在を揺るがす驚愕のミステリー!
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「楊令伝4 雷霆の章」北方謙三(集英社文庫)
北と南とで起きた混乱の鎮圧に奔走する国を横目に、彼らはひたすらに牙を研ぐ。
今は力を蓄える時。
いずれ来るその日に備えて。
かつての梁山泊からの仲間達の阿吽の呼吸がたまらなく好き。
そして、新しく育った若者たちと次第に呼吸が噛み合ってくる様が感慨深い。
確実に年月は過ぎている。
ただ、そこに在るだけで彼らの心の拠り所だった母との別れ。
私にとっても大きな存在だったのだと実感した瞬間。
酒を酌み交わす彼らの姿にしんみりしました。
呉用はある意味、方臘の傍で新しく生まれ変わっている最中のように思える。
方臘の在り方は認めることはできても、やり方は好きにはなれない。
童貫じゃないけど、方臘の戦はスカッとしない、というか不気味。
とはいえ、そんな方臘の傍にいて、呉用が前より活き活きとしている様には、
よかったね、と言いたくなる。
それにしても呉用の眼帯は白い貝。
白い貝と呉用。
イメージが合致しない……(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
岳飛、血海紅河を泳ぎ、花飛麟、騎上身を翻す。西の方、胎山には及時の雨、もはや降らず。南を閙がす凄風の宴。
「国民的スターに恋してしまいました」小林典雅(ディアプラス文庫)
常に衆目の眼に晒される仕事は大変だなぁ、と。
セックス事情に関してまでの、微に入り細に入りのマネージャー・樫原の小言(?)
は鬱陶しいけど、昨今のスキャンダル事情を鑑みると、致し方ないのかも?
そんな国民的スターだって恋をする権利がある。
若手の人気俳優・真中旬に惚れられ、そして恋に落ちた会社員・葛生。
恋愛未経験な旬が葛生を好きになり、なんとか関係を結ぼうと頑張ったものの、
徹底的に日本語選択のおかしかったおかげでややこしい事態に。
諸々の誤解が解けて、
恋人同士になってからの葛生の態度は、終始一貫してカッコ良かった。
ラブ可愛く読了。
何を見てもすべてを受け入れる覚悟があるか、
もしくは相手の秘密を突き止めたいと思う強い一念があるか。
そのどっちかの気構えがない限り、約束ナシのサプライズ訪問はするべきではないと
心の底から思ってみました。
サプライズを仕掛けしようとして、自分がびっくりしていたら本末転倒。
私だって、単純に部屋が片付いていない!という理由だけで、
突撃訪問は困るのです。
せめて2時間前に連絡を(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
国民的人気を博す若手俳優・真中旬の、ファンクラブ向けクルーズの添乗をすることになった葛生。同僚の興奮をよそに冷めた態度でいたのに、生身の彼の美しさに思わず目を奪われる。船上でもファン全員に心を配る旬の態度に好感度は急上昇。葛生自身もファンになりかけていた時、ある男性ファンが行き過ぎた行動を起こす。旬の危機を葛生が救ったことから、二人は急接近して?添乗員×スターのシークレット・ラブ。
「GIANT KILLING 43」ツジトモ(モーニングコミックス)
「華がある」とはどんなことなのかが、存分に伝わってくる。
だが、持田の華は毒を含んだ華。
その毒があるが故に、彼自身が孤高の存在となる。
監督に啖呵切ってのフル出場。
彼がぶっ壊れるよりも、チームがぶっ壊れそうでなんだか不穏。
杞憂かな?
対するETU。
華と言えば、王子も負けずにキラキラしてた!
こっちは煌びやかな華。
夏木に対する住む星が違うくらいの上からの物言いが楽しい。
言われっぱなしは私が死ぬほど悔しいので、
村越には相手がぐうの音も出ないような仕事をしてもらいたい。
次巻、後半戦。
メンタルはもう負けてない。
城西の苦悩に大笑い。
うん。疲れてるんだよ。
ジーノが夏木を言いたい放題言うのは全然かまわないけど、
夏木に「キザ野郎」とか言われると、何だか腹立たしい私です。←単なるジーノ好き(笑)
「城」カフカ(新潮文庫)
本題に関してはびっくりするぐらい何も起こらず、
恋愛に関してはびっくりするぐらい急展開で事が進行し、
結果、この人はいったい何をしにここに?と、ぽかーんとして読了。
恋に落ちるのは早いし、たとえそれが勘違いだったとしても結婚を決意するのは早いし、
別れるのも早いし。
かといって、肝心なことは一切進展せずに物語は終幕。
お城!お城が遠いよ!
なのに、不思議と読みつづけてしまう物語。
閉鎖的で排他的な村にKが拘った理由が、わからないようでわかる。
村そのものじゃなく、自分の存在意義に拘ったんだろうなぁ。
それが幸か不幸かは私が決める事じゃないけど、
私だったらとっととUターンしてるわ。
『虐殺器官』の作中で「カフカの『城』」というセリフがなかったら、
読むのはもうちょっと後になっていたかも?
クラムの存在は『闇の奥』のクルツと重なった。
名前、似てるし(笑)
とりあえず私、この村には住めないと思ってみました。
内容(「BOOK」データベースより)
測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な“城”は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない…。職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。
「ルール」水壬楓子(リンクスロマンス)
自ら誘って、身体から始まって、そして好きになって傷ついて。
学習しないなぁ、高森、と思ってみるわけですが。
今回は篠宮もちゃんと高森のことを好きになっていたところが、前回とは違います。
とはいえ、その執着、その恋情、わかり辛いわっ!
と、言いたくなるご無体な仕打ち。
この人たち、何が足りないって、決定的に言葉が足りない。
とはいえ、「私が最初にあなたを抱きたかった」は殺し文句です。
相思相愛になった後に降りかかってきたのは家庭の問題。
ゲイだってばれちゃった!どうしよう!って展開かと思いきや、
予想外の爆弾が降ってきて、胸が痛かった。
最後は篠宮の「誰にも渡しません」の台詞での幸せエンド。
ストレートに書いちゃいますが☆(下系苦手な方はスルーで)
精液で汚れたままのパンツ、むき出しのまま公共のトイレに普通に捨てていいの!?
ってとこで、目を剥きました。
いや、名前書いてるわけじゃないから誰のかわかんないけど。
誰が拾うわけでもないけど。
なんだかいたたまれない><
シリーズ楽しく読了☆
で、余計なお買い物もしちゃいました(笑)←旧版の『スキャンダル』を買いそろえた人がここに……
内容(「BOOK」データベースより)
警視庁に勤めるキャリア警察官の高森は、失恋の痛手から立ち直れずにいた。ある日、酔ってハッテン場に入り込んでしまい、危ういところを恋敵の秘書である篠宮に助けられる。篠宮の自宅に連れていかれた高森は、自分が失恋から立ち直るまで身体も含めた面倒を見て欲しいと篠宮に詰め寄ってしまう。篠宮と過ごすやさしい時間が増え、徐々に彼に惹かれていく高森だったが、彼は仕事のためだけに自分の相手をしてくれていただけだと知り…。
「リスク」水壬楓子(リンクスロマンス)
久賀の真意がわからずに、誘われるまま高森を抱いてしまった城島。
城島の不安をわかっていながら、余裕の態度を崩さない久賀。
高森もすべてをわかった上で始めた関係。
大人の駆け引き……とはいえ、ちょっと不実じゃない!?
と、もやっとしたものを引きずったまま読み進め……
このクソジジィ、カッコイイじゃないの、と、
城島と同じく、久賀の手管にまんまと乗せられてしまった感満載で読了。
高森の引き際は半端なくカッコよかったけど。
胸中を思うとちょっとやるせない。
大人ムード満載だった表題から一転、同時収録には大笑いしながら読了。
気持ちはわかる。とてもわかるけど……
寝てる人の髭、勝手に剃っちゃったら駄目だと思います。
そんないたずらっ子には納得のお仕置きでした。
前作「スキャンダル」の作中での事件を別の視点から追っていく感じが楽しかった。
それでいて、しっかり彼らの物語になっている。
同時収録の話があまにも楽しすぎて。
読後の感想は「馬鹿だわ、この人たち」
この一言に尽きました。
30代と50代のカプ。何やってるんだか……(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
捜査二課に身を置く城島高由は、政財界にかなりの影響力を持つ政治家の久賀清匡と8年前から身体の関係を持っていた。先も見えず、愛されている実感も持てない愛人という立場―進展のない二人の関係に心痛を覚え始めた城島は、誘われるまま、上司でキャリアの管理官・高森一穂を抱いてしまう。その後も度々誘いを受け、好意を向けられるが、片時も久賀のことが頭から離れずにいた。そんな中、城島は久賀が他の男を抱いたことを知ってしまい―。
「スキャンダル 下」水壬楓子(リンクスロマンス)
久賀の導いた落としどころは、厳しいけど理にはかなっているよなぁ、と納得。
凌辱を受けること、見られること。
相手の立場に立ってみなければ、その気持ちはわからない。
祥彰と佑士の二人だけだったら蟠りを解くのにもう少し時間がかかったかもしれない。
トラウマを克服するため、そして、気持ちを改めて確かめ合う為のセックス。
瑞妃が目にした幸せな光景のイラストでのエンドは申し分なし。
後半は政界の重鎮久賀と刑事城島の物語。
18歳の歳の差はあれど、安定の大人カプ。
久賀の策士っぷりと余裕と貫禄が大変素晴らしい。
年上が年下を甘やかす話は好物です。
某バンドのギターの方のおかげで「城島」と見かければ読み方は「ジョウシマ」。
今作の「城島」は「キジマ」さんでした。
内容(「BOOK」データベースより)
養父である代議士・秋津祥彰の政敵に誘拐され、輪姦・凌辱されつづけていた佑士は、祥彰の手によってようやく助け出された。しかし、ぎこちない祥彰の態度を誤解した佑士はこれ以上迷惑をかけたくないと家を出てしまい…。互いに相手を想いながらも擦れ違う、切ない恋を描いたスキャンダル・ラブ、遂に完結!捜査二課の城島高由が、政界の重鎮・久賀清匡に翻弄されるリスク・ラブ『プロローグ』に、佑士と祥彰の書き下ろし掌編も収録。
「スキャンダル 上」水壬楓子(リンクスロマンス)
我が身を振り返って落ち込んで反省するくらいなら、
最初から手を出すな。
そこは、内心の葛藤を呑み込んで、ぎゅっと抱きしめるとこだよね!?とは、
当事者じゃないから言えることかな。
ああ、でも祥彰!
なんであそこで佑士のことあんな抱き方しちゃったのよ~、と、
叫びたくなってみました。
お互いに好きあってるのに自己完結しちゃってるから気持ちが伝わらない。
でも、言えない気持ちもわかる、と、私がジタバタしました。
瑞妃の存在が本当に光。
とてもバランスの良い三人だと思うのです。
過去形の呟きに泣きそうになりながら、次巻へ。
『スキャンダル上・下』→『リスク』→『ルール』。
シリーズ物は初めから。途中からは読まない!が鉄板のはずの私の手元に何故か『ルール』だけがあったので(いつ、何故買ったかも覚えていないダメパターン・笑)
シリーズ全部揃えて読み始めましたが☆
これ、下巻が手元になかったら、続きが気になって眠れなくなるところでした。
私、グッジョブ(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
養護施設で孤独に暮らしていた中野佑士は、セックスの相手をするかわりに不自由ない生活を手に入れる―そんな取引で代議士・秋津祥彰の養子となった。無垢な身体を開かれ蹂躙されながらも、どこかやさしい祥彰の腕に孤独だった佑士の心は癒されていく。祥彰との生活にも馴染み始めていたある時、佑士は祥彰の政敵に誘拐されてしまう。見知らぬ男達から輪姦・凌辱され、佑士は祥彰の政治生命を断つために嘘の証言を迫られるが…。