きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ヘブンノウズ」英田サキ(SHYノベルズ)
母を亡くし、幼い弟と二人、頑張って生きていかねばと、
大学も辞め、一人で必死で頑張って、頑張って。
懸命になんとかやってきたところに差し出された、大人の手。
いとも簡単に自分たちを支えらるその存在の大きさに、
悔しさや嫉妬を感じる気持ちはよくわかる。
だけど、頑張りどころを間違えてしまったら、それこそこの先、後悔する。
そんな渋澤の好意を旭がきちんと受け入れられる子で安心した。
癖のありすぎる多彩な人物たちの紹介的な巻。
それでも、物語にガッツリと惹きこまれる。
事件と幽霊はこの先もセットで展開していくのかしら?
人物もそれぞれ複雑な過去を抱えていそうで、この先の展開がとても楽しみ。
「深い深い眠りは、小さな死に似ている」
多感な時期に、眠っているときの意識は全くないわけでしょ?
死んじゃうってことはこの状態が永遠に続くってことだよね?
と思い、眠るのが怖くなって身体が震えたことがあったけど……とりあえず私は
震えながらもそのままぐーすか眠ってしまえる子供でした(笑)
シリーズ通してお友達からのお借り本。ありがとうございます!
内容(「BOOK」データベースより)
「私はね、君の絵に恋をしたんだ」ベストセラー作家の渋澤征武と知り合ったその日、旭はそう告げられた。半年前にある事件で母を亡くし、ショックから言葉を失った幼い弟と暮らしている旭は、もしあの日、もしあの時…そんな後悔に囚われて毎日を送っていた。けれど、渋澤に会った日から、すべてが変わり始めた!恋人はつくらない主義と宣言する渋澤、男女問わず恋をする薫、執事の宇喜田を始め、個性豊かな渋澤邸の住人たちに、最初は反感を覚えた旭だったけれども―。
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「検事の死命」柚木裕子(宝島社文庫)
故人と距離が近しいが故に、違えることのできない約束。
隠された真実を公にした第三者の決断は、多分正しい。
心に傷を抱えながら生きてきた人たちの枷が外れたことに安堵すると同時に、
彼らの過ごした年数が重くて悲しい。
佐方の検事としての在り方は、父の姿があってこそだということが、
ヒシヒシと伝わってくる。
語らずとも伝わるものは必ずある。
だけど、叶うなら、美味い酒を酌み交わし、語り合う時間を過ごしてほしかった。
彼らの世界で正しく在り続けることは、こんなにも大変なことなのだろうか?
現実的にはそうであってほしくないと思うわけだけど……どうなんだろう?
己の利益を先んじて、国民の生活の安定を蔑ろにしてはいけない、
という会話を今日していたわけですが。
権力を笠に着て真実を捻じ曲げようとする輩が蔓延ってもいけないと思います。
真実をありのままに伝える事。
当たり前のことだと思うのに。なんでみんなあんなに苦労しなくちゃいけないんだろう?
内容(「BOOK」データベースより)
郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が、手紙に託された老夫婦の心を救う「心を掬う」。獄死した佐方父の謎の核心が明かされる、感涙必至の帰郷小説「業をおろす」。大物国会議員、地検トップまで敵に回して検事の矜持を貫く「死命を賭ける」。検察側と弁護側双方の、絶対に負けられない裁判の火蓋が切られる「死命を決する」。全4話を収録した、佐方貞人シリーズ最新刊。圧巻の人間ドラマが、胸を打つ!
「検事の本懐」柚木裕子(宝島社文庫)
検事の仕事が天職であるかのような男の在り方が、
第三者の目線で語られる連作短編集。
人として人と向き合い、検事という職務に真摯に取り組む佐方。
真実を追求することが、誰かを救う。
それが、犯罪者であっても、なくても。
誰に対しても公平で打算のないその姿勢に、背筋が伸びる思いだった。
5作目の短編「本懐を知る」は様々な想いを呑みこみ、秘密を胸に抱えて生ききった人々の物語。
秘匿し続けることは生半可な事じゃなかったと思う。
彼らの根底にあった想いは「恩義」。
そこまでの関係を結ぶことができる誰かと出逢えることは、幸せな気がする。
2016年の読み納めの本。
「本懐を知る」には『検事の死命』で続編があるんですね~。
購入済みなのでもやもやせずにすみます。
世の中には色々なタイプの人がいて、必ずしも付きあいたいと思える人ばかりではない。
仕事で係わっていくのは仕方ないけど、貰い事故みたいに絡まれるのはヤダな~、
というか、怖いな~、と3作目の短編「恩を返す」を読んで思ってみました。
内容(「BOOK」データベースより)
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。
「海賊王の帰還~暁の天使たち3」茅田砂胡(C・NOVELS)
タイトルと表紙からものっすごくわくわくしながら読み始めましたが。
待ち望んだ海賊王はギリギリラストの滑り込み登場で、
しかも本編は不穏な雰囲気と多大なる期待を孕んだまま次巻へ続く……きゃーーー!!!
本当にこのシリーズ、読んだら即次巻!のエンドレスな旅に誘われます。
一応は一般人のはずのダンが超常現象にことごとく巻き込まれていて、
一般人故の振り回されっぷりがある意味お気の毒様。
一方的に責められるのはちょっと可哀想かな。
秘密基地へと乗り込んで行ったリィとシェラ。
彼らの暴れっぷりと海賊王とのご対面の瞬間に期待をしつつ、次巻へ。
復活のシーンは別に真っ裸でも良かったのよ?と、笑いながら思ってみました。
私の恥じらい、どこいった!?(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「きみのお母さんが生きている」突然アレクサンダーから告げられてダンは呆然とした。しかも「お母さんの復活に伴ってお父さんも蘇ってくる」とは何事だ!?ところがこの“彼”の再生体が連邦情報局によって強奪された!己の中に本物の彼を宿しているルウは困惑し―そして奪われた“彼”を追って連邦に乗り込むが。
「死んでしまう系のぼくらに」最果タヒ(リトルモア)
愛が欲しいと叫ぶあなたは、だったら、どれだけ人を愛していますか?
ちょっと意地悪な問いかけかしら?と思いつつ、それが意地悪だと思う私は、
それなりに歳を重ねてきたのね、と、著者の詩を読みながら思いました。
同じ年頃だったかつての私だったら、
彼女の言葉に共感できたのかしら?と思えることがちょっと悔しい。
傷つきやすくてどこか思い上がった瑞々しい若い感性でしか紡げない言葉。
マイナスの感情を全面的に訴えている彼女の詩が、幸福に満ち溢れた文字を綴る瞬間を垣間見たい。
とても綺麗な言葉の音楽を奏でそうな気がする。
若いな~、と、思った時点で、相容れてないですね。
でも、それでいい。
重ねた人生の経験値が加味されて、感じ方は変わる。
だけど、かつての自分の感性を否定することはない。
あの時苦しかったこと、あの時悩んだこと。
あの時逃げ出したかったこと。
すべてを呑みこんで、今の私がある。
とりあえず、幸せ。(笑)
「ただいま定修中~許可証をください!4」烏城あきら(シャレード文庫)
なんとか同居に持ち込もうと策を練る前原の思惑通りに弘が転がったら
ちょっと面白くないなぁ、と思っていたら。
弘はちゃっかり、そんな前原のちょっと上をいっていました。
そうでなくちゃ。
職場恋愛を秘密裏に続けていく上での、仕事と色恋の線引き。
そこまで明確にきっちりとしたものが必要かな?と思っていたら、
彼らなりに悩んでちゃんと結論出してました。
必要なのはけじめとルール。
これは、日常生活を営む上で、いろんな所で当てはまると思う。
辻本の立ち回り方が玄人過ぎてヒヤヒヤしたけど、
弘は無敵の天然っぷりを発揮して危機回避。
次の波がどんな物語なのか楽しみ。
「働くことは生きることにかなり近い」
カッコイイ言葉だなーと思います。
私の場合は働くことは「手段」だなぁ、と思っているので。
辻本がみつけた弘のイイトコ。
「相当すごいこと」って……キャーー。気になります!
「聖の青春」大崎善生(講談社文庫)
いつから人は、自分が死ぬことを意識するようになるのだろう?
意識した瞬間から、自分の生き様は変わるのだろうか?
重い病気を抱え、幼少期から死が身近にあった彼。
棋士を目指すことに対する両親の理解と支え、良き師匠との出逢い。
彼の目標となり、高みへと誘う将棋界の棋士たち。
多くの人に支えられ、全力で生ききった「村山聖」という棋士の29年。
在るがままの自分を受け入れる強さ。
目指した道を着実に極めようとする強さ。
そんな彼の強さが胸に刺さる。
どの瞬間に死んでも、多分、悔いは残る。
全力、とは言えなくても、それなりにやりきったって言える自分でありたい。
あとがきに寄せられた父、伸一氏のまっすぐな言葉が胸に沁みました。
自分がしんどい時って家族にきつくあたりがちになるよなぁ、と、ちょっと反省。
読了後『3月のライオン』ではなく、何故か『ヒカルの碁』が無性に読みたくなりました。
←すぐ出せるところにあるから危険。
内容紹介
重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖(さとし)。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作(講談社文庫)
「神々の憂鬱~暁の天使たち2」茅田砂胡(C・NOVELS)
科学技術の発達した世界と、魔法や超常現象の飛び交う世界の見事な融合。
私たちの感覚で「あたりまえの事象」を、別な視点から説明する言葉の巧みなこと。
面白いなぁ、と思う。
リィの育ての親のシルヴィと生みの親のアーサーの会話はとても良かった。
そして、リィからのアーサーに対する抱擁と言葉でアーサーと一緒に涙ぐんだはずなのに……
直後で吹き出してしまうところはさすがです、茅田さん。
「目指せ一般市民」という言葉がどうにも胡散臭い四人組。
確実に逸脱するでしょ?という方向で期待しています。
最後の最後で落とされた爆弾に、ここで来た!とテンションあげつつ次巻へ。
最後の爆弾の落とし方が本当に上手い。
どうしても「つ、続き~~!」と唸ってしまうのは、このシリーズではお約束。
作中でウォルについて言及してくれたのが、とてもとても嬉しかった。
場所が変わってもブレない彼らの在り様が好き。
内容(「BOOK」データベースより)
異世界から来たシェラにとって“この世界”は魔法に満ちていた。科学という“誰にも平等に使える魔法”が、人の代わりに何でもやってくれる。しかしシェラは知っていた。“限られた者たちにしか使えない魔法”の存在を。―魔法惑星ボンジュイの存在を。ついに黄金の太陽リィと銀の月シェラ、そして闇のルウの3人が集う。この世界―宇宙に何が起きるのか
「進撃の巨人 21」諫山創(マガジンコミックス)
私にとってはとてもとても辛い選択だった。
地獄からの解放と、背負う新たな使命。
「後悔させるな」
その決断に、その行為に。これから起こりうることに。
誰もが自らの責任を負い、誰のせいにもしてはいない。
だからこそ、それは誰に対しても、重い言葉だ。
エルヴィンの果たした約束が、リヴァイを縛る。
彼をその先へと駆り立てる。
彼らにしか分かち合えない絆がそこにある。
数多の犠牲を払って辿りついた地下室。
そこで紐解かれる事象には
「人類の歴史は戦いの歴史」という言葉を想起させられた。
身を削りながら近づきつつも、真実はまだ遠い。
次巻。早く!!
わかっていたから、買ってから頁を開くまでにずいぶん時間がかかってしまった。
だからって、描かれている内容が変わる訳じゃないのにねー。
彼が切望した真実を、しっかりと見届けます!
だから、安らかに。(涙)
「嵐を呼ぶ台風 ~許可証をください!3」烏城あきら(シャレード文庫)
地に足の着いたお仕事小説であり、恋愛小説。
「ダメなところまで来てしまった」二人の心は
揺れに揺れているわけですが、そういう揺らぎは恋愛の醍醐味。
汗にまみれ、水にまみれて働く姿はとてもかっこよく、
仕事中にも相手を前にして蠢く情動が艶っぽく……楽しく読了。
男同士であること、長男であること。
そういうことをちゃんと真剣に受け止めて考える弘のまっすぐさが好き。
そして彼の出した結論にぐっときました。
ああ、やっぱりカッコいい。
無駄なところに器用さを発揮する前原がなんだかおかしくて……(笑)
今回垣間見えた前原の苦悩する姿が色っぽくて、個人的に萌ポイントでした。
水不足対策に対して「もっと早くにやっておけば」と言った弘に対して
「もっと早くに、ではなくて、やってて良かった、
ギリギリ間に合った!って考えるもんですよ」
と返した矢野の考え方はとても大事。
そして、間に合わなかった時のことをきちんと考えて手を打っていた彼に脱帽です。
うん。
仕事ってそうやってするものだよね。
ジュウゴウさんをサラリと汲み取ったところはさすが弘の父親。
烏城さん。他の本も気になってきました。
これは作家買い!?←する気満々(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
八月、喜美津化学はかつてない渇水に見舞われ、製品が納期に間に合わないかもしれないという危機に直面していた。前原が試作していた冷却器まで持ち出し、盆休み返上で生産を試みる製造部の面々。しかし品証の弘に手伝えることはなく、自宅で通常通りの夏期休暇を取ることに。そこへ工場に詰めているはずの前原が現れ、好き放題した挙げ句、弘を手製の拘束具でベッドへ繋いで消えてしまう。驚き慌てる弘のもとへ、北海道にいるはずの両親が突如乗り込んできて…。書き下ろしは台風一過の朝、パワーアップした拘束具によって再びピンチを迎えた弘のその後。二人の関係にも展開が?「働く男」の真骨頂、好評シリーズ第三弾。