きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「64(ロクヨン)下巻」横山秀夫(文春文庫)
多分、彼はその場所に在ることを選ぶのだと、確信を持っていたので。
「おれの職場はここだ」と言い切った三上と記者クラブとのやりとりは鳥肌モノだった。
意に沿わない仕事と真っ向から向き合い、
その仕事を自分の職務とした三上。
身内であるなしに係らず、彼には人がついていく。
やりがいのある仕事は自ら掴み取るものなのだと、教えられた気がした。
そんな三上の思い描いた未来の時。
互いに認め合った松岡と三上の「その時」の姿を思い浮かべながら、本を閉じた。
一社会人として。
仕事をする上での自分の在り方を、ここにきて改めて己に問いかけながらの読書でした。
犯人に行きついた男の人生が、とてもやるせない。
「事件」は当事者以外の者にとっては「他人事」なのだと。
痛感させられた気がしたけれども。
多分、それは何に対しても当てはまるのかな。
自分に係ること以外はすべて他人事。
だからこそ、やさしさと思いやりと誠実さって大事な気がする。
一連の騒動を通じての広報室の面々の成長ぶりが素晴らしかった。
張り切って他の「D県警シリーズを」と思ったら、他は短編集なんですね~。
横山氏は新しい本に手を出す前に、
まだ感想をUPしていない手持ちの本を再読することにします。
内容(「BOOK」データベースより)
記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件が―。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。
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「64(ロクヨン)上巻」横山秀夫(文春文庫)
「仕事だから」という理由で、人はどこまで自らを殺すことができるのか。
組織に属する以上、上からの命令は絶対。
守るべき家族がいる者は、安易に叛旗を翻すこともできない。
立場も役割も自分自身で決められない以上、
それは「服従」ではなく「任務」だと。
どこまで割り切ることができるのだろう?
感情が納得できない仕事はキツい。
ましてや、三上はプライベートでも心痛を抱えている。
それでも、懸命に職務を全うしようとする三上。
同時に進行する様々な事象。
利害の絡んだ人々の思惑。
それらすべてがどのように交差し、どんな結末へと向かうのか。
終始緊張感を孕んだまま、下巻へ。
会社が仲良し倶楽部じゃないことは重々承知しておりますが。
人間関係がこんなにドロドロしていて、
みんなが意地悪そうな職場……キツイ。
息が詰まりそう。
でも、家に帰ればそれぞれが「家族」の顔をしてるんですよねー。
そういうのも垣間見えちゃうから、色々リアルに迫ってきてやりきれなくなります。
続が気になるので、ワンクッション置かずにこのまま下巻に飛び込みます。
内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
「暁の天使たち」茅田砂胡(C-NOVELS)
一冊まるごと使っての序章。
世界が変わっても、立場が変わっても。
彼らはやっぱり私の知っている彼らだったことが嬉しい。
走り回って、全力でやりあって。
素直に感情のままにぶつかり合う。
前半の大人しさを吹き飛ばすかのような後半の暴れっぷりが
ものすごく楽しく感じられたのは、「あの世界」でそうだったような
全力の殺し合いじゃないからかな?
『デルフィニア戦記』と『スカーレット・ウィザード』を読んでいることが前提の物語。
でも、そういうのもアリかな?と。
彼らと一緒に私も「この世界」での物語を楽しもうと思います。
ゆっくり読もうと思っていたのに、一気に読み切ってしまった。
茅田さん、読み始めたら止まらないですよね~。
さすがに『デル戦』から再読をしていたら日が暮れるどころじゃないので、
自分の感想とWikiのお世話になって物語世界の復習。
記憶が一気にほどける瞬間が楽しい。
ああ、私、ウォルが本当に大好きだったんだわ、と、思い出しました。
ケリーも大好き。ふふ。一貫してますねー。
でもほっとけないのはヴァンツァー。
ワクワクしながら次巻へ☆
内容(「BOOK」データベースより)
デイジー・ローズはお気に入りの薔薇園で3人の天使に出逢った。菫の瞳と輝く銀の髪の、すさまじく丁寧で礼儀正しい天使。宝石のような緑の瞳と太陽の光を浴び黄金に光る髪で、恐ろしく口も態度も悪い天使。そしてもうひとり、黒い天使に―。
「慰安旅行に連れてって!許可証をください!2」烏城あきら(シャレード文庫)
全力で働く方々のお仕事BL。
軽く社員旅行に行く話かと思ったら、タイトルの意味が重い。
重いながらも、ラブがあってキュンがあって笑いがあって。
何より、操業停止にさせるまいと、汚水の原因究明に懸命に励む彼らの姿がとてもカッコイイ。
労を厭わず、率先して現場を動かす前原に
「負けたくない」と叫んだ阿久津。
阿久津の打ち出した提案に対して「っくそ!」と闘志を燃やす前原。
この二人、切磋琢磨しながらホント、イイ仕事していきそうですね~。
前原の仕事ぶりと肉食っぷりが相変わらずカッコイイ。
そして、受け身なだけじゃない阿久津もまたカッコイイのです。
阿久津のストレス解消に思いっきり爆笑。
彼の才能(?)は仇名付けだけじゃなかったのね~。
「藤井部長(仮名)」のことを影ながら「藤ブー」と呼んでいたウチの主任。
会社の人の結婚式の席でしたたかに酔っ払い、ご本人に向かって「藤ブー」を連呼してて、
周囲の私たちが青ざめた珍事。
余計なあだ名はつけない方が賢明かも(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
喜美津化学五年に一度のビッグイベント、慰安旅行の幹事を任された弘だが、工場排水の水質悪化というアクシデントに見舞われ、その対応で寝る間もないほどの忙しさに追われることに。さらには将来のために大学の通信課程を受けるよう前原を説得して欲しいと、会社から頼まれごとまでされてしまう。しかし、前原が漏らしたとある一言がきっかけで、弘は「君とはもう寝ない」と宣言し、絶縁状態に!?地方の化学薬品工場を舞台に、四大卒のホープ、品証の弘と製造部の若頭、前原が繰り広げる、濃密&おとぼけワーキングデイズ。ボリュームたっぷりの書き下ろしつき、好評シリーズ第二弾。
「ファイト・クラブ」〔新版〕パラニューク (ハヤカワ文庫NV)
出逢うはずのない二人の出逢い。
いつしか生じる支配と服従。束縛と依存。
盲目的な崇拝の根底にあるものは、徹底的な自己破壊のはずだった。
だが、内に向けられていたはずの破壊衝動が外に向けられていると気づいた時。
後戻りなどできない程雁字搦めに縛られた現状に気付いた時。
生じた彼の驚愕と戦慄は、私のものでもある。
到底理解し得ない彼の歪み。
その歪みが生み出したものに追随する者が増え、
いつしか制御不能になっていく様は、在り得ないことではなくてゾワリとする。
例え生き方を変えるにしても。破壊せずに前進する術を模索したい。
何度か読もうとして手に取って開いて、なんとなく頁を閉じて……を繰り返した本。
私にしては珍しい。
読み終わってみれば、上手いなーと、うならずにはいられない構成でした。
読み進めるうちに途切れ途切れに脳裏に浮かぶ映像。
で、思い出しました。
私、映画を断片的に見ているんですね。
断片的なのは部屋で他のことをやりながら片手間に見ていたから。
誰に薦められたのかまで思い出しました。
記憶って連鎖して蘇るんですよね~。
内容(「BOOK」データベースより)
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する―人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。
「制裁」 ルースルンド&ヘルストレム(ランダムハウス講談社文庫)
読後のやりきれなさが半端ない。
でも、こんな重苦しい余韻が残る話は好き。
バッシング覚悟で
正しい裁判を執り行おうとしたオーゲスタムこそ英雄だと思った。
フレドリックのしたことを間違いだとは言いたくないし、
心情的には彼の行動に寄り添える。
だけど、社会の中に在る以上、彼は悲劇の英雄にしかなり得ない。
人は法に縛られる。
はみ出した世界に秩序はない。
便乗した馬鹿たちが皮肉にもそれを証明している。
だから、納得はしている。
だけど、感情的にはどうしたってやるせなくなってしまうのです。
同害報復を実行する組織の話を思い出した。
自らの欲望のために少女たちをレイプしたルンドこそ、
彼女たちと全く同じ目にあってみるといい。
目に目を。
まぁ、あくまでも物語世界的な話ですけど。
オスカーションの秘密って何かしら?何かしら?と思っていたわけですが。
うっそー!?となる秘密でした。腐的にちょっとテンションあがります。
次作は「ボックス21」
うまく入手できるかしら?
内容(「BOOK」データベースより)
スウェーデンのとある町。古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。それから四年後―。作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。
「ハピネス」崎谷はるひ(ルチル文庫)
子供の恋愛めんどくさい……(笑)
大人だったらもうちょっと上手く立ち回るんだろうけど。
にっちもさっちもいかなくなった恋情をどう封じていいのかわからなくなった10代は
結果、養い親に対する突然のシャットアウト。
いままで大切に育ててきた子供から
強烈な爆弾を喰らったような20代はそれは衝撃大きいわ。
理由もなく相手に拒絶されるのは、本当に辛いんだよ?
とはいえ、根底にあるのは憎しみではなく恋情なわけで、
歳の差カップルは周囲を盛大に巻き込んでの大団円。
原野と朱美さん、いい人だったわ~。
この二人、くっついちゃえばいいのに。
とりあえず、社会人。
お仕事はちゃんとしよう。
そんな理由での欠勤は、二日酔いで会社に行けないよりダメだと思います(笑)。
なんだかんだ崎谷さんはコンプリ目指して買っちゃうんですよね~。
蔵書は65冊前後あるかな?
積読もあるので、読んでいない本は何を所有しているのか全く把握できていないので、
購入時は要注意なのです。
内容(「BOOK」データベースより)
流水純司が二十二歳のとき、友人の忘れ形見・日置裕太を引き取ってから七年が過ぎ、裕太も高校三年生に。流水が若くして課長になれたのも、裕太を育てるため頑張って働いた結果だ。健やかに成長した裕太は流水唯一の自慢。しかし、次第に流水と距離を置きはじめた裕太が、家を出ようとしていると知り、流水は…!?商業誌未発表短編も同時収録。
「最後の証人」柚木裕子(宝島社文庫)
罪を公平に裁くべき警察や検察が、その罪そのものを隠蔽してしまったら。
被害を被った一般市民はどうやって戦えばいいのだろう?
そもそもの事件の発端はそこにある。
というか、そこにしかない。
リアルにこんなことあったらヤだなぁ、と思いつつ。
でもやっぱりあるのかなぁ、と思いつつ。
太刀打ちできない現実を打破するための最後の手段が、命を賭した復讐。
彼らをそこに駆り立てたのは法に立つ側の人間だ。
佐方のような弁護士に出会えたら良いのだろうけど。
弁護士だって保身に走る。
何を信じたらいいのかわからなくなるような、薄ら寒い思いを抱えながら読了。
あ、作品としては一気読みの面白さでした!これは断言しておきます。
でも怖い。
「人間の絆で一番強いものは何か、って聞かれたら同志だって答えるわ」
美津子の言葉に、気持ちはしつこく梁山泊へ。(笑)
あなたの余命はあと一年です。と、宣告されたら自分は何をするのかな?
時々考えることは大事。
逆に、あと20年後の自分のために今何ができるのかな?も大事。
内容(「BOOK」データベースより)
元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。
「黄泉への風穴 後編 炎の蜃気楼14」桑原水菜
開崎の中にチラつく直江の影。
その絡繰りは、男の最後の言葉で合点がいく。
精神をすり減らして疲弊しきっていた彼を思えば、
落ち着きと安定と達観が得られたような今の言動を見る限り、
距離を置いたことが彼にとっては良かったのだと思えてならない。
「この世には神も仏もおらぬ。
己を救うのは、仏ではなく己自身じゃ」
選択は間違えたと思うけど、三浦義意、良いこと言うなぁ。
織田に取り入るために里見たちが必死に成そうとしていたことが、
信長にとっては失敗したところで鼻で笑ってすむ程度だったことが物悲しい。
そして信長の現世での姿が明らかに。
派手だな~。
「敦盛」と言われると問答無用で「敦盛2011」が脳裏を巡ります。
こっちの信長も派手だけど、斯波のような威圧感はないわね。
そして次巻から舞台は熊本へ。
くまモーン!←出てこないです(笑)
「あなたのそばにいく。----待っていて」
待ちわびているのは私も一緒なのです。
内容(「BOOK」データベースより)
色部に連れられ、鎌倉に出向いた千秋は、意外な人物に出会った。それは荻城での事件以来、姿を消していた《軒猿頭》八海だった。八海は、謙信からの命令で秘密裏に行動していたことを告げる。一方、開崎に連れさられた高耶は、里見一族に拉致されていた。だが《力》を封じられ無力な高耶に「あなたのそばに行く。待っていて…」と開崎が語った言葉は、死んだはずの直江のものだった。
「傷だらけのカミーユ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
息をつく間もない程めまぐるしく、そして重苦しく展開する三日間。
「運命は容赦しない」という言葉で始まる冒頭。
だが、あまりにも過酷な三日間を過ごしたカミーユは、こうつぶやく。
「結局のところ、自分の運命を決めているのは自分だ」
運命を恨んでも誰しもが納得するであろう状況に陥りながらも、
そう言えてしまうカミーユの強さが眩しくもあり、苦しくもあった。
嘘を嘘で塗り重ねていく展開については、
組織に属する社会人として首を傾げざるを得なかったのが正直なところ。
とは言え、三日目はそんなことがどうでもよくなるくらい一気に読ませられました。
読後の余韻はただただ切ない……
最初から掛け違えていた釦を手にしての奔走。
だけど、どこかに真実だった瞬間もある。
そう、思えるだけの絆は確かにあったと思うの。