きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「覇者の魔鏡(前編) 炎の蜃気楼6」桑原水菜(コバルト文庫)
400年間抱え続けた直江の想いをまともにぶつけられ、困惑する高耶。
17年しか生きていない彼に、逃げるなと迫る千秋は身勝手だ。
上杉の夜叉衆の面々が自らの内なる想いと対峙して混乱と苦悩に陥る中、
高耶に向けられた氏照の言葉が胸に刺さる。
大戦からの復興の回想。
計り知れないダメージを被っても、人は立ち上がる術を知っている。
諦めない限り先に進むことができる。
今の直江は袋小路にの中に在る。
凶器にしかならない想いを抱えた己に下した悲観的な結論が痛い。
そして、彼の手の届かない所で高耶の身に起こった出来事に呆然となるのだ。
この巻からリアルタイムで追いかけたので、
次巻を手にするまでの間の悶々としたことといったら。
ドキドキしながら続きを待つのも読書の醍醐味だけど、
続きが手元にある安心感も素敵。
氏照と高耶の対話のシーン。
高耶の台詞はすべて関さんの声で脳内再生。
先に台詞が出てきて文字を後から目で追いかけるような感じになっちゃって……
「鳥の翼」で色々気持ちが揺さぶられた結果、うっかり泣きそうになりました。
内容(「BOOK」データベースより)
日光東照宮から、何者かに盗まれた秘宝、『〓鏡(つつがきょう)』は、人間の魂を封じこめる魔鏡だった。一方、由比子とともにプールに出かけた紗織は、謎の白い腕が次々と若い女性を水の中に引きずりこむのを目撃する。〈闇戦国〉の北条の動きをめぐって、霊が活性化しているのだ。紗織の連絡を受けて〈調伏〉に向かった高耶たちだが、彼らを待っていたのは、練馬城の悲劇の姫・伊都と豊島一族の怨霊群だった。
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「新公安捜査 Ⅰ」浜田文人(ハルキ文庫)
都庁で起きた爆発事件。
10年前、新島で起きた殺人事件。
それぞれの事件の真相を探る捜査一課強行犯三係の面々と、
神奈川県警公安二課の螢橋
派手な立ち回りは全くないまま、展開していく物語。
だけど、男たちの熱い気概は伝わってくる。
「犯人をパクる。俺たちにはそれしかない」
たとえ、どんな手段を使っても。
そんな要がどんどんあがめられていっている様がおもしろい。←褒めてます。
実際の所、公安警察の在り様ってどんな感じなんだろう?と、
この作品を読むたびに思います。
蛍橋のように何もかもを犠牲にしないと成り立たないような職なら
やるせない。
「底なしの純情」
「嫉妬交じりに惹かれた」
「澄んだ瞳」
35歳男子の要に対する男たちの賛辞に、どんだけ~!?と、心の中で叫びました。(笑)
さて。
次巻はあの人の復活です!待ってた!!!
内容(「BOOK」データベースより)
都庁で爆発事件が発生。都知事、石橋太郎の檄文を聞き、警視庁の捜査会議は色めき立った。都民の人気は絶大だが、企業や営利団体の反感を買っている都知事。捜査一課強行犯三係の児島要は、鹿取警部補のアドバイスを受けて、都知事との面談に向かう。一方、神奈川県警公安二課の螢橋政嗣は、かつて捜査対象者だった男の白骨死体の発見で、一人新島を訪れていたのだが…。北朝鮮シリーズに次ぐ、待望の書き下ろし新シリーズ第一弾。
「青く清く」小杜蕗シンジ(H&C Comics )
手放しで絶賛。
とても素敵な物語だった。
高校生の真摯なラブストーリー。
「好きだから一緒にいたい」
根底にあるのはこの想い。
そして、好きの意味合いが合致しないからこそ、
「好きだから触れたい」
「このままでいたい」
「好きだから辛い」
「好きになってごめん」
そんな想いとの間で揺れ動くことになる。
シュウからの告白を逃げずに流さずに真剣に受け止め、
どうあるべきかを考え続けたナツ。
彼らの悩みを受け止めて相談に乗り続けたハルとトウヤ。
心理描写が丁寧に描かれている上に、その気持ちを裏付ける表情がとても素晴らしくて。
彼らと一緒に胸がギュッとなりました。
BLでくくって読む方が限定されちゃうのはもったいないくらい素敵な物語だった。
(とはいえ、Hしちゃってるので苦手な人には薦められませんが^^;)
この子たちの表情が本当にいい。
そして、覚えのある気持ちに一緒になって嬉しくなったり哀しくなったりします。
お友達からのお借り本。
これ、私も手元にお取り寄せするわ~。←私も友達に貸したい(笑)
「ジャイアントキリング 41」ツジトモ(モーニングコミックス)
切磋琢磨。或は、好敵手。
そんな言葉が終始脳裏を過る。
競い合ってこそ、チームも選手も成長する。
かつてのチームメイトが在籍するチームとの対戦。
お互いに敬意を持って全力で闘い抜いたからこそ、
試合が終わってからのスタンドからのエール。
ETUサポからの石浜コールには胸が熱くなりました。
そしてモッチー!待ってた!絶対的王者の復活。
怪我に泣かされながらも、自分の立ち位置を認識していて、
今何をなすべきかをわかっている。
期待された以上の成果を出すことは、生半可なことではできないだろう。
だが、それを、やってのけてしまう強さが持田にはある。
いつまでもギラついた彼であってほしい。
うつむきかけた石浜に対する達海の言葉。
監督としての達海の言葉と影響力は半端ないと、改めて思った。
持田の言葉はブラフじゃないから、説得力があるし、
彼の勝ちに対する貪欲さは、誰よりも勝っている。
それは、自分の脚がいつ壊れるかわからない刹那の中で戦っているから……
と、語ってるうちにだんだん妄想入ってきました。(笑)
東京ダービー、楽しみです!
「誘惑の天使」ジョアン・ロス(MIRA文庫)
施設で育った二人の少年。
大人になり、諜報員と医師へと道が分かれても、家族のように慕いあう二人。
国内が混乱に陥っている因縁のある国への潜入は、囚われた親友を助けるため。
残虐な将軍が自分を殺そうと待ち受けていることがわかっているのに……と。
ここだけ抜き出すとハードボイルドな展開かと思いきや、
そこに「天使」という要素が加わると、素敵なロマンス小説になります。
意志が強くて、まっすぐで、美しく聡明なレイチェル。
彼女もまた、過去や自分自身の存在そのものに大きな秘密を抱えていた。
そんレイチェルとジェイドのラブロマンス。
頑ななジェイドの気持ちが、だんだんとレイチェルに傾いていく様がとても良かった。
一言苦言を呈すなら☆
服をビリビリに破くのはダメだと思うの。
脳内でハードボイルド展開を想像して、あ、ロマンスだとそっちにいくのねーと
分析している自分が面白かった。(笑)
読友さんからのプレゼント本。
楽しく読了しました。
ありがとうございます。
内容(「BOOK」データベースより)
凍えるほど寒いある冬の日、両親に捨てられ施設で暮らす少年ジェイドは、施設裏の湖に誤って落ちてしまった。息もできず薄れゆく意識の中で少年が見たのは、天使のような女性の幻覚。そして目覚めたとき、どういうわけか彼は助かっていて、医務室に横たわっていた。あれから20年近く経ち、諜報員となって暗躍するジェイドは今、大切な友人を助けるため人生で最も危険な任務に就こうとしていた。そんな彼の前に現れたのは風変わりな修道女。彼が気づくはずなかった―彼女が遠いあの日の天使と瓜二つなことにも、彼女の正体にも。
「さよなら、ベイビー」里見蘭(新潮文庫)
肉親との死別。
思いもよらなかった事態との遭遇。
迫られる対応。
それは、誰にでも起こり得るもの。
対処の仕方がわからなくなって、途方に暮れた時こそ、
これまで培ってきた人生の経験値が生かされる。
自分だけが特別なわけじゃない。
みんながそうやって生きている。
そして、助言や助力を与えてくれる人がいなければ、
多分、危機を乗り越えることは難しい。
雅祥には色々言いたいことはあるけど、
ひきこもりでありながら、生後数か月のタカヤと
懸命に向き合った姿は評価したい。
彼らの接点は?
この子は誰の子?
そんな疑問を内在した時系列の運び方が秀逸。
おかげでノンストップで読み切りました。
「愛し愛されるためにやってきたこども」
このフレーズがとても響きました。
全ての子供達がそうであることを願いたい。
内容(「BOOK」データベースより)
見知らぬ赤ん坊を連れてきた父親が、まさかの突然死。母亡き後ひきこもり歴4年の雅祥が、いきなり育児を任されることに。この時から地獄の二人暮らしが始まった。ミルクを飲ませても、おむつを替えてもタカヤは泣き止まない。母親はいったい誰…迎えが来る日まで、あと1日。だが、まあくんとタカヤと母親の人生は驚愕の真実へと急転直下する!胸に染みる、痛快青春ミステリー。
「流刑の街」チャック・ホーガン(ヴィレッジブックス)
義勇軍を気取った退役軍人の彼らは、
この世界とどうにか折り合いをつけて、
楽しく真っ当に生きようとしただけなのに。
知らぬ間にはまり込んでいた泥沼。
後戻りできない道。
生き残った者も心に深い傷を負い、
その傷を抱えたまま、歩き続ける。
裏切った者は裏切られる。
彼が最も軽んじたであろう者に。
冒頭から鷲掴まれた物語の中に、ガッツリ引きずり込まれた。
そして、めまぐるしく展開していく物語をドキドキしながら追い続けた。
彼を最後まで突き動かした想いが哀しい。
この結末でメイヴンは救われたのか?
願わくは、彼の瞳に再び光の宿らんことを。
「明日の男理論」これはとても素晴らしかった。
「昨日の男」にしてほしかったことを、「明日の男」のために実行しろ。
「男」を「自分」に置き換えて、この部分を何度か反芻しました。
【ここからネタバレ】
諸悪の根源は男であって、言葉には罪はない。
それでも、弁舌巧みな男の言葉に拍手喝采を送りたくなった自分を、
後で罵りたくなるわけなのです。
ホント、イイこと言ってるだけに……ね。
こうやって人心を掌握していくんだわーと思うと、なんだかやるせない。
内容(「BOOK」データベースより)
ボストンの駐車場で夜間警備員として働く、若きイラク帰還兵メイヴン。ある晩、強盗に襲われた彼は、反撃のすえ相手を殺しかけてしまう。その翌日、メイヴンは一人の美しい女からある人物に連絡するよう伝言を受ける。メイヴンを待っていたのは元軍人だという謎めいた男ロイス。彼はメイヴンに自分のチームで働かないかと言ってきた。除隊後鬱屈した日々を送るメイヴンのような男たちを集め、麻薬組織を襲撃して街を浄化すること―それがロイスの“仕事”だった。戦場を思い起こさせる仲間たちとの絆と多額の報酬、すべては完璧に思えた。ある日歯車が狂いだし、街に血が流れ始めるまでは…。
「公安捜査3 北の謀略」浜田文人(ハルキ文庫)
殺人事件の容疑者として身柄を拘束された鹿取。
蘇る過去の因縁。
要たちの心配を知りつつも、蛍橋と犯人を追う鹿取。
この二人の会話がなんだか軽妙でおもしろい。
そして散々振り回され、頬を膨らませて拗ねる36歳、児島要。
なんだかんだ可愛がられている様がおもしろい。
鹿取を拘束した神奈川県警の近藤と坂井。
蛍橋といがみ合いながらも、結果的には認め合う間柄がいいな、と思う。
事件よりも人と人のつながりを追うのが面白かった本巻。
一巻から引きずってきた政治家との攻防はここでひとまず一段落。
幕引きにはヴェールの向こう側にいた彼が表に出てきます。
因縁の相手を仕留めたのが渾身の頭突きだったことに吹きました。
いいね、その泥臭さ。
そして、田中さん……機龍警察の誰かさんと被るんだよね。
内容(「BOOK」データベースより)
鹿取刑事から呼び出された神奈川県警の公安刑事・螢橋政嗣は、鹿取の待つマンション近くで不審な人物をはねてしまうが、男は搬送先の病院から忽然と姿を消す。一方、鹿取は落ち合うことになっていたマンションの住人・佐藤友子殺しの被疑者として身柄を拘束されてしまう。鹿取は彼女の何を探っていたのか?そして姿を消した男と事件の関係とは?やがて事件の裏に、対北朝鮮利権に絡む売国的政治活動が浮かび上がってくるのだが…。好評の公安シリーズ第三弾。
「最愛のあなたへ 炎の蜃気楼 断章」桑原水菜 コバルト文庫
小百合姫と成政の悲恋。
かつての成政の苦悩に己の姿を重ねる直江。
ぶつけられる激情に戸惑いながらも、
まっすぐに向き合おうとする高耶。
真っ正直に吐き出した言葉は直江の胸を射抜き、
彼の仮面を剥がし取る。
潜んでいたのは、狂おしいほどの愛情と、引き裂かれそうな憎しみ。
ただ孤高に。
ただ正しく。
凛としてそこに在る存在を、ひたすらに、求めて。
「断章」という位置づけでありながら、「本編」である本巻。
一気に引きずり込まれます。
後半は中学時代の高耶と譲の物語。
人の強さって喧嘩の強さや腕力じゃないよなーと、しみじみと思い知らされる。
この巻まで一気に買って読んでドハマリし、あとは順次発刊待ち。
あいだあいだが本当に待ち遠しい作品でした。
内容(「BOOK」データベースより)
奈良の事件を解決し、かつての上杉家の古戦場を訪ねた高耶と直江。だが、そこでも闇戦国の怨将の陰謀が渦巻いていた。佐々成政を狙う早百合姫の秘密とは。「最愛のあなたへ」。母に去られ、酒乱の父に反発しながらグレていた中学時代の高耶。孤独な彼の心を救ったのは、そばにいる譲の存在だった。そんな時高耶が無実の罪に問われ。「凍てついた翼」。大人気「炎の蜃気楼」シリーズ番外編登場。
「公安捜査Ⅱ 闇の利権」浜田文人(ハルキ文庫)
「腐ってやがる」
やくざにそう吐き捨てられる警察。
だが、その警察の腐敗を暴こうとしているのもまた、警察だ。
不審車両を追走中に殺人事件の現場に居合わせた蛍橋。
偶発的なようで、彼が追っていた事件は、その殺人事件とも無関係ではなかった。
上からの指示で単独捜査を進める蛍橋を全力でサポートするのが、三好組の面々。
組長である三好が底抜けにかっこいい。
彼の貫いた漢気には惚れ惚れする。
組織には内緒で蛍橋に協力する要と鹿取も
だんだんと個性が際立ってきて、おもしろさが加速するシリーズ第二弾。
とはいえ、弱者を食い物にした事件の真相には、
そして、保身のために真実を探求する者を死に至らしめた者達の存在には
憤りを感じるばかりだ。
要のことを「人タラシ」と私の友達は断言しましたが。
すれ違っただけの三好さんに「あんな男と呑めば情に締まりがなくなる」を言わしめて、
既にその片鱗を見せています。
ガラの悪い蛍橋に「すまん、ガラの悪いほうが来てしもうた」と、
やくざに向かって頭を抱えさせる鹿取もいい味出してます。
そして、やくざ者なのに強烈な好印象を植え付けてくれた三好さん。
大好きです!←聞かれてない(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
北朝鮮からの覚醒剤密輸事案を内偵中だった、神奈川県警公安二果の螢橋政嗣。監察対象者を追うさなか、螢橋は殺人の現場に遭遇してしまう。殺されたのは麻薬取締官・四角哲也。彼は、広域暴力団仁友会の小山こと在日北朝鮮人・申勲を内偵中に妻を殺され、復讐に燃えていたという。螢橋はやがて、とある病院と老人ホームへたどりつく。北朝鮮との闇のつながりとは果たして何なのか?大好評のシリーズ第二弾。