きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「結婚相手は抽選で」垣谷美雨(双葉文庫)
突如施行された「抽選見合い結婚法」に振り回される人々の物語。
25歳から35歳までの男女は強制的にお見合いをして結婚しなければならず、
3回断ったらテロ撲滅隊送りになるというトンデモ法律。
設定は斬新だし、登場人物たちの語り口も面白いしで、楽しく読める物語ですが、
見合い相手が善人だけとは限らないことを思うと、ちょっと怖いかな、と。
弱みに付け込んで、とか、力任せに、とか。
まぁ、マイナスのことを考えるとキリがないので割愛。
結局は廃止される法律なんだけど、少子化、晩婚化、未婚率の上昇など、
リアル社会で取りざたされる諸々とあわえて考えさせられます。
とはいえ、この物語の登場人物たちは自分のことに必死でそこまで深く考えていないんだろうなぁ……と。(笑)
でも、それでいいのかもしれない。
自分のことに必死になれるのは自分だけ。
結婚相手となれば、この先の生活の全てが係わってくるだけにそれは必死だよね。
そして自分だけではなく、親も係わってくるからよけいにややこしくなる。
お見合いを断らせようとしたり、どうにか結婚までこぎつけようとしたり、
すったもんだする中で登場人物たちの成長が垣間見れたのが好ましいところ。
「何のために結婚するのか」
「何故その人と結婚するのか」
明確に自覚することは大事だと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行されることになった。相手が気に入らない場合は断ることができるが、三回パスしたらテロ撲滅隊送りになる。だが、この強制的な見合いに、モテないオタク青年は万々歳、田舎で母親と地味に暮らす看護師は、チャンスとばかりに単身東京へ。慌てて恋人に結婚を迫るも、あっさりかわされてしまう女性もいて…。それぞれのお見合い事情をコミカルかつ、ハートウォーミングに描いた長編小説。
「青狼 男の詩」浜田文人(幻冬舎文庫)
【人を頼ることはあっても、けじめをつけるのは己ひとり。
それが極道者や】
昭和四十年代の極道世界の物語。
当然、私の知らない世界なわけで、家系図……ではなく、組織図欲しいわぁ、と思いました。
幼少期からずっと慕ってきた松原と同じ世界に飛びこんだ村上。
自らの意志の働かないところで美山組の舎弟から松原組の若頭に杯を直したところから、
美山に寄り添った道を歩くことができなくなり、村上は二つの道理の間で揺れるようになる。
終盤までは大きな盛り上がりもなく淡々と進んでいくわけだけど、最終章。
松原と美山のやりとりにしびれました。
愚直なまでにまっすぐ。
村上はそんな生き方しかできないのかな?
対する美山はそれが是か非かはともかく、かわりゆく極道世界の先を見ている。
それでも村上を可愛がっていたころの想いはそのままで彼の家族を思案する美山。
気丈な母親と村上のやりとりもよかった。
この先の話がどう展開していくのか気になるところ。
内容(「BOOK」データベースより)
殺人の罪で服役後、幼少期から慕ってきた神侠会の美山勝治を頼りに、同会の松原宏和が率いる組に入った村上義一。栄達をひたすら目指すが、松原と美山の対立が起こり、微妙な立場に立たされる。守るべきは、組織の筋目か、己の義理か―。二つの道理の間で揺れながらも、極道の世界でまっすぐに生きようとする男を鮮烈に描いた、傑作長編小説。
「歯科医の憂鬱」榎田尤利(キャラ文庫)
短気で面倒見がよくてまっすぐに他人と向き合う穂高と、
複雑な家庭環境から他人との接し方がひどく不器用な三和。
「他人に対して怒れない」と言った三和が穂高に対して無意識のうちに怒った瞬間から、
くっつくべくしてくっついた恋人なんだなぁ……と。
恋愛慣れしていなくて、穂高に対してどこまで自分を晒していいのかを掴みあぐねる三和と、
学歴差と収入の差を気にしてうっかり逆切れしてしまった穂高との気持ちの擦れ違いがちょっと切ない。
気持ちは言葉で伝えないと伝わらない。
たどたどしいながらもお互いの想いを懸命に言葉にのせて伝え合い、
より強く気持ちが結びつくシーンは微笑ましくてよかった。
穂高を陥れようとする元彼に対してきっちり灸を据えた三和センセはかっこよかったと思います!
内容(「BOOK」データベースより)
マスクの下の怜悧な美貌に、キツい口調。大の歯医者嫌いの新城穂高は、担当医師の三和が怖かった。でも、白衣を脱いだ三和は、穂高の知らない別人に!笑顔を絶やさず、何をされても怒らないなんて、二重人格ってやつ!?医院の内と外で激変する性格の、どっちが本当の顔なのか。次第に三和から目が離せなくなる穂高だけど!?アダルト・スイートLOVE。
「ゆっくり走ろう」榎田尤利(キャラ文庫)
読み心地は抜群の安心感☆
身近に感じられる日常生活と恋愛感情が程よく絡みあって進行していく物語。
構えることなくさらっと読めるわーと、楽しく物語を追っていったら
素敵な言葉に射抜かれました。
「何もかもを信じるのは無理で、ずっと信じ続けるのもやはり難しく、
時々疑ったり、怒ったり、すれ違ったり、そういったなにもかもすべて恋なのだ」
うん。そうだよねー、と、噛みしめることしきり。
相手の仕事のことを最優先で考えて、お互いに節度ある大人であろうとした立浪も里見も好印象。
良い子にならなくていい。不安はぶつけていい。
そういうのをお互いに受け止めあって育てていく恋。
なんだか癒されました。
内容(「BOOK」データベースより)
「経営改善に来たのに、車を売ってこい!?しかも期限はたった二週間!」自動車メーカーに勤める里見は営業指導のため、郊外の販売店に出向。けれど反発を買って、周囲から激しく浮いてしまう。無理難題を押しつけられた里見の唯一の味方は、関東圏でトップの販売成績を誇る営業マンの立浪。彼の笑顔に癒されて、惹かれ始めた里見だけれど…。アダルト・ワーキングLOVE。
「名前探しの放課後 下」辻村深月(講談社文庫)
誰かのために一生懸命になれること。
誰かの言葉を信じられること。
そして、目の前のことに全力で取り組むことのできるひたむきさ。
伝わってくる登場人物一人一人の気持ちがとても心地よくて、暖かな気持ちになれる。
そんなストーリーでした。
自力では手に負えない部分は、無条件に甘えるのではなく、
対価として労働力を提供したうえで大人の手を借りているところも好印象。
読後の叫びはうまいなー、と、もったいないなーと、この二言に尽きました。
伏線の張り方とか、10代の子たち特有の人との繋がり方とか揺れる心理とか。
そういうのの描き方はとても上手いなーと思う。
もったいないのは……この本だけだと、多分最後に???ってなること。
『ぼくのメジャースプーン』を事前に読んでることが必要条件。
(できれば『凍りのくじら』も)
続編とかシリーズとか。そんなふうになっていれば親切なのになーと思います。
とはいえ。
とてもキレイに着地したなー、というお話でした☆
内容(「BOOK」データベースより)
坂崎あすなは、自殺してしまう「誰か」を依田いつかとともに探し続ける。ある日、あすなは自分の死亡記事を書き続ける河野という男子生徒に出会う。彼はクラスでいじめに遭っているらしい。見えない動機を抱える同級生。全員が容疑者だ。「俺がいた未来すごく暗かったんだ」二人はXデーを回避できるのか。
「名前探しの放課後 上」 辻村深月(講談社文庫)
過去に抱えた傷やコンプレックス。
スクールカーストめいた歪んだ位置づけに基づく劣等感や、少し勘違いした優越感。
弱者と強者。凡人と優等生。陰湿ないじめ。
高校生の抱える心の惑いや揺らぎ、仲間意識。
そんな、10代特有の様々な想いが、リアルに伝わってくる。
辻村作品が胸に響くのは、そんな彼らの繊細な想いが理解できてしまうから。
「名前探しの放課後」
近い未来に自殺するであろう誰かを懸命に探すいつかたち。
今後の展開にドキドキしながら下巻を手にしています。(既読なんですけどね>笑)
内容(「BOOK」データベースより)
依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。
「春狂い」宮木あや子(幻冬舎)
ひと言で言うならば……壮絶。
かの少年と少女はなんて息苦しい世界で生きていたのだろう?
壱話と弐話を読んだ時点では独立した短編の連作?と思わなくもなかったけど、
参話から六話まで点が線で繋がっていく展開は見事。
人間の強さと弱さ。愛と妄執。人と人との関係性。
文章を追いながら胸に迫るのはそういったものの在り方だった。
初読の時の印象はただひたすら綺麗な世界が描かれていると思っていた。
再読してみると、人間の抱える歪さやゆがみに目を背けたくなる。
その中でもまともな大人である結城や前原のような存在は救いだった。
「支配と暴力と痛みの中に絶望以外の感情を生み出すことができること。
即ち、それが、人としての本来の強さ」との記述が印象的。
個人的にはこれが真理……というか、真理であってほしいと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
生まれながらにして、人を狂わすほどの美しさを内包していた一人の少女。男たちの欲望に曝され、身体を穢された美少女が、桜咲く園で望んだ未来とは―。窓の外で桜の花びらが突風に巻き上げられている。放課後の教室、私は教師の前でスカートをたくしあげる。「私をあと二年、守ってください」。制服の下に隠された、傷だらけの少女の秘密。