きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「時の渚」笹本稜平(文春文庫)
【現実は苦い。ときには過酷なものだ。
だが、俺はそれを受け入れる。
その運命を生きる以外に真実は存在しないからだ。】
生き別れの息子を探し出すことを依頼された元刑事の私立探偵。
その瞬間からまわり始めたのは、真実を暴き出す運命の歯車。
あまりにも淡々と進む前半に、このままいくわけないよなぁ、と、
穿った読み方をしながら頁をめくっていくわけですが。
終盤に向けて明かされていく事実には、
何とも言いようのない悲哀と感動で涙腺が崩壊しました。
親子って、親子って……うわーん。
親から子への愛情。子から親への愛情。
胸の内から自然とこみあげる愛情は、とても深くて純粋だと思う。
もはや語り合うことのできない人からの手紙。
綴られた茜沢の父からの言葉が胸に響く。
返したい言葉を伝えることができない人への想いに押しつぶされそうになった茜沢を救った松浦老人の言葉。
しばらく浸っていたい余韻の残る本でした。
内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で、今はしがない私立探偵である茜沢圭は、末期癌に冒された老人から、35年前に生き別れになった息子を捜し出すよう依頼される。茜沢は息子の消息を辿る中で、自分の家族を奪った轢き逃げ事件との関連を見出す…。「家族の絆」とは何か、を問う第18回サントリーミステリー大賞&読者賞ダブル受賞作品。
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「七王国の玉座〔改訂新版〕上」ジョージ・R・R・マーティン(ハヤカワ文庫)
【孤独でいなくてはならないなら、孤独を甲冑にしてやろう】
スケールの大きさに圧倒され、気づけばのめり込む様に読んでいました。
登場人物の多さに、最初は読むペースが亀の歩みに……でも読み飛ばさなくて正解。
何度も確認しながら人物関係を把握したあとは一気に読み切りました。
約700頁のボリュームを読み切ってもまだ序章のこの物語は
中世のヨーロッパを彷彿とさせる壮大な歴史絵巻。
生れたついた家によってそれぞれの業を背負って生きる子供たち。
その子供のことを思い心を痛める、或は狂気に走る母親。
権力欲と陰謀に塗れる大人たち。
家臣の言葉に耳を傾けることのできない王の統治する王国は傾くと思うんだけどなぁ……
身内には甘くとも、他人には信じられないくらい冷酷になれる。
これも人間の業なのかな?
欲に塗れた大人はともかく……
覇権をめぐる争いに巻き込まれた子どもたちの未来がどうなっていくのか。
今後の展開が気になります。
久々にガッツリ読み応えのある本に出会いました!
内容(「BOOK」データベースより)
ウェスタロス大陸の七王国は、長い夏が終わり、冬を迎えようとしていた。狂王エイリスを倒し、ターガリエン家から“鉄の玉座”を奪って以来、バラシオン家、ラニスター家、スターク家ら王国の諸候は、不安定な休戦状態を保ってきた。だが、ロバート王がエダード・スタークを強大な権力を持つ“王の手”に任命してから、状況は一変する。それぞれの家の覇権をめぐり様々な陰謀が渦巻き…。ローカス賞に輝く歴史絵巻、開幕。
「白バラが紅く散るとき」フィンケ(講談社文庫)
【御言を行う人になりなさい。
ただ聞くだの者となってはいけない。】
高校生の時に読んで大きな影響を受けた本の一冊。
当時の私はドイツ国内にヒトラーに抵抗した組織があったことを知らなかった。
そんな組織を担ってたのが自分とそんなに歳の変わらない青年たちであったこと、
そして、そんな彼らの中にゾフィーという女性がいたことに大きな衝撃を受けた。
地下活動に至るまでの思考や行動も然ることながら、
逮捕され、死刑を宣告されながらも、毅然とした態度で仲間を庇い、
己の正義を信じ、凛として死に臨んでいった彼らの存在は
平和な毎日をのんびり謳歌していた私にはとても衝撃的なものだった。
彼らと同じことができただろうか?と、問うことには意味がない。
時代が違うし、置かれた状況が違う。
それでも、考えずにはいられなかった。
自分だったら……?と。
いろんなことを考えさせられた青春の一冊。
内容(「BOOK」データベースより)
自由で開放的な家庭に育ったゾフィーは、読書や絵をかくことが好きなふつうの少女でした。ヒトラーの独裁政治下、尊敬する兄ハンスの学ぶミュンヘン大学へ進んだ彼女は、兄とともに地下からビラをもってナチスに抗し、その抵抗の代価を命で支払わねばなりませんでした。姉や友人の話、手紙、日記、写真によってわずか21歳の生命を清冽に生きた女性の生き方を描く感動のノンフィクション。
「自家恋愛中毒」モンデンアキコ(花音コミックス)
【僕を必要としてくれるおまえが必要だ】
モンデンさん好きーー!!!
いや、違うか。彼女の描く絵が問答無用で大好きです☆
元人気ホスト(秀臣)×美形デイトレーダー(由希哉)と
肩書は派手な二人だけど、話はとても堅実だったと思う。
帯の煽り軽すぎ(笑)
義父を看取り、家を守りながら秀臣を待ち続けた由希哉。
自分の気持ちから目を逸らさずにしっかりと向き合ってい行く秀臣。
頼もしすぎるラーメン屋のおっちゃん。
そして二人の母の良美さん。よくぞ秀臣の背中を押してくれました!
二人の告白シーンがすごく好き。
ドラスティックな展開ではなく、毎日繰り返される日常が想像できる人間模様に、
読後、気持ちが穏やかになる恋愛漫画でした!
二人の経営するカフェ……行ってみたいよね。
「ぼくのメジャースプーン」辻村深月(講談社文庫)
【これはぼくの闘いだ】
主人公の「ぼく」が自分の持つ特別な力をつかって、
同級生の女の子の心とうさぎを壊した男と対峙する物語。
その能力を正しく使うべく、同じ能力を持つ先生から力の使い方についてのレクチャーを受けるぼく。
必然的に読み手も一緒に対話を繰り返していくことになるわけで、
それが、若干くどいなーと、感じる部分もあるんだけど、
その過程があるからこそ、ぼくの下した決断に衝撃を受けることになる。
社会的には罰せられることのなかった男と対峙した、小学校四年生男子の覚悟と決意に。
そして衝撃と共にやるせなさにで胸が痛くなる。
一生懸命ふみちゃんのことを気遣っていたぼくだって、傷ついていないはずがなかったのだ。
「よくがんばりました」
先生からのその言葉は、ぼくにとって救いだったと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。
「凍りのくじら」辻村深月(講談社文庫)
【ねぇ、本当に大事なものがなくなって後悔して、どうしようもなくなって。
そうなった時、私はそれに耐えられるかなぁ?】
まさにSF。Sukoshi Fusigiな物語。
大人になる直前の、大人になりきれないこどもたち。
少し不完全な彼らの少し不安定な心が、彼らの感性や言葉で紡がれた物語。
彼らと同じような年代の子どもたちの誰もが、
居場所やよりどころを求める気持ちを抱えていて、
今の自分の居場所に違和感を感じている。
それでも、いつか気づくのだと思う。
いま自分のいる場所こそが、がかけがえのない場所だということに。
生きている居場所を与える光が誰のもとにも届くことを願います。
内容(「BOOK」データベースより)
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。
「三日間の幸福」三秋縋(メディアワークス文庫)
【「あなた、永遠になりたくないの?」
「俺がいない世界で俺が永遠になっても、何も嬉しくありませんよ」】
寿命を売らずに気付けたら或は手に入れられたら良かったのになぁ……という出会いと幸福の物語。
それを言ってしまうと物語の根本が成り立たなくなっちゃうわけだけど。
でもね、どうせなら30日とか3日とか。期限切られずに笑っていたいじゃん!!
と、思うわけですよ。
とはいえ。
前半部、思わず眉をひそめてしまったのは、痛いところを抉られたから。
思い当たる節がないわけじゃないから。
うん。
人生って山あり谷ありだよね。
後半部は目に見えないはずのミヤギの存在が周囲に受けいられていく様子が微笑ましくてよかった。
そして語られることのない彼らの三日間。
彼らにとっては間違いなく価値のある幸せな三日間だったんだろうけど。
この世界に生まれ落ちた人として、やるせないものを感じずにはいられない。
内容(「BOOK」データベースより)
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。
「真夜中の相棒」テリー・ホワイト(文春文庫)
【物事はなるようにしかならないのだから、
ただ一つなすべきことは、そのなかで最善を尽くすことだ】
それは、とても哀しい依存と共存。そして執着。
ボタンを一つ、掛け違えた男たちの物語の根底にあるのは、果てしない淋しさと孤独。
人間は独りで生きていくことはできないんだなぁ、と、切実に思いました。
ベトナム帰りのマックとジョニーが殺し屋を生業とせざるを得ない泥沼にはまっていく第一部。
そんな彼らに相棒を殺されたサイモンが、全てを捨てて執拗に二人を追い続ける第二部。
そして、彼らの人生が交錯する第三部。
一度手を差し伸べてしまったがために、ジョニーを見はなすことができなくなってしまったマック。
マックと共にいるためだけに殺人を繰り返すジョニー。
そんなジョニーを追い続け、いつしか距離感を見失ってしまったサイモン。
エピローグに漂う底のない孤独感が切ない。
内容(「BOOK」データベースより)
アイスクリームを愛する青年ジョニーは殺し屋だ。依頼は相棒のマックが持ってくる。一人では生きられないジョニーをマックが苛酷な世界から守り、ジョニーが殺しで金を稼いで、二人は都会の底で生きてきた。相棒を殺された刑事が彼らを追いつめはじめるまでは。男たちの絆と破滅を暗く美しく描いた幻の名作、30年ぶりの復活!
「フライ,ダディ,フライ 」金城一紀(角川文庫)
【何度でも転んで重力を知り尽くして、いつか飼い馴らしてやればいい。
そしたら、空だって飛べるようになるよ】
読み終わっちゃうのがもったいないなぁ、と。
もう少し彼らと一緒にいたかったなぁ、と。
読了するのが惜しくなるような本でした。
うん。
読んでいてとっても楽しかった。
暴力によって傷つけられた娘さんの仇を取るために、立ち上がる47歳の鈴木さん。
事件は痛ましいし、あってはならないことだけれども。
その事件故に自分の無力を痛感した鈴木さんの
身体を鍛え、メンタルを鍛え、戦い方を伝授し、
高校総体ボクシング三連覇の石原と戦えるだけのをファイターに仕立て上げた
高校生たちとの気持ちの交流を描いた物語。
トレーニングメニューをこなしながら力を蓄え、
23%の体脂肪率を12%まで絞っていった鈴木さんを見ていると、
人間、大切な人のためならできないことはないんだなぁ、と思えてしまう。
奥さんと娘さんに対してナイスアプローチ&フォローをした高校生たちを褒め称えたい。
内容(「BOOK」データベースより)
鈴木一、47歳。いたって平凡なサラリーマン。ただし家族を守るためならスーパーマンになれるはずだった。そう信じていた。あの日が訪れるまでは―。一人娘を不良高校生に傷つけられ、刃物を手に復讐に向かった先で鈴木さんが出会ったのは―ザ・ゾンビーズの面々だった!脆くも崩れてしまった世界の中ではたして鈴木さんは大切なものを取り戻せるのか。ひと夏の冒険譚がいま始まりを告げる。
「言葉の風景」荒井和生(青菁社)
春夏秋冬。
四季折々を表す多彩な言葉が、本書では紹介されている。
移ろいゆく季節のその一瞬の情景を言い表す言葉はとても繊細で情緒豊かだ。
日本語とは、かくも美しいものなのだと、改めて思い知らされる。
自在に使いこなすことはできなくとも、せめてその言葉の存在を知っておきたい。
そして、それらの言葉の意味するところや成り立ちを彷彿とさせるような、
美しい自然写真の数々に見入ってしまう。
気忙しい日常に流されるときに紐解いたならば、ほっと息がつけて気持ちが癒されるような、
そんな本だと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
本書は四季にまつわる、微妙な季節感や雰囲気を伝えるさまざまな言葉を選んで、写真によるイメージの散策を試みてみました。