きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「くちびるに歌を」中田永一 (小学館文庫)
ドキドキハラハラしたり。笑ったり。思わず涙ぐみそうになったり。
心揺さぶられる、とても楽しい読書時間だった。
15歳。
海に囲まれた美しい島で、多感な時代を共に過ごした仲間たち。
素直な思いを吐露した彼らの手紙が刺さったなぁ。
それぞれ心に悩みを抱えながらも、
一つの目標に向かって一致団結して向き合う姿の素晴らしいこと。
幾つもの困難を見事に乗り越え、ゴールにたどり着いた彼ら。
出来すぎだと思いながらも、その先にあったラストには心が震えた。
いつかはバラバラになっても。
そこで得たものは、彼らの一生の宝物になるだろう。
1985年のつくば万博の「ポストカプセル2001」という企画で、16年後の2001年の誰かにあてて当時の自分が書いた手紙を配達してくれるという企画があって。
私は自分にあてて投函していた手紙を受け取りました。
で、すごかったのは、当時の弟の担任の先生が
受け持ちの生徒ひとりひとりにあてて手紙を投函していたこと!
忘れたころのサプライズ。
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「線は、僕を描く」砥上裕將 (講談社文庫)
内面にどんなものを抱えていたとしても。
命ある限り、人は生きていかなければならない。
だったら。
空っぽのまま虚ろに生きるよりも、
ほんの少しでも満ち足りた人生であるといい。
水墨画=篠田湖山との出会いは、
霜介にとっての人生の分岐点。
と同時に、千瑛にとっても重要な分岐となる。
こうやって人は互いに影響を与えながら繋がっていくんだね。
作品の内容全てが込められたタイトルに唸る。
タイトルが先か、結末が先か。
ちょっと気になってみた。
水墨画の美術展ってあるのかな?
あったら迷わず観に行きたい。
と思ったお借り本。
最近、硯の伝承産業会館を訪れて色々な硯を見てきたばかりだったので、
なんだかタイムリーだなーと。
墨をする作業がちょっと懐かしい。
個人的に西濱さんと斎藤さんがお気に入り。
なので、ウキウキ映画の公式サイトを見に行って、
なんか違う……と、帰ってきました(笑)
「屑の結晶」まさきとしか (光文社文庫)
いたたまれないほどにやるせない思い込み。
けれども。
それが彼が生きていくための支えだった。
大人になり切れなかった、悲しいほどに幼い魂。
彼の世界はあまりにも狭く、孤独で心許ないものだった。
彼の世界に色を添えたのは、母からの呪縛を拭いきれなかった彼女。
そんな彼女との一方的な約束がとても哀しい。
それでも、彼女はその想いを彼に託し、彼は受け止めた。
プロ意識を逸脱した弁護士。
それ故、彼女は生涯において重荷を抱えることになるだろう。
けれども。
それが彼女の選択。
どうしてこうなってしまったのだろう?
そんな問いかけに答えを知る者は、多分いない。
帯に「号泣」とか「泣ける」とか「涙がとまらない」と書かれた時点で、
まず気持ちがスッと冷めます。
いや、そんなのこっちの受け止め方だし?
決めつけられるのも、ちょっと……と。
いろんな先入観とか余計な情報は一切なしで読みたい派。
私の感情は私が決める。
「パパと親父のウチ呑み 1」豊田悠 (BUNCH COMICS)
シングルパパだってたまには呑みたい!
だけど、幼い子供を置いてor連れて呑みに行くのは無理!
そんな彼らが選択したのは、酒の肴を自作しての家呑み。
いいね~。
どれもこれも美味しそう。
家で料理を作る時は、時々新メニューへのチャレンジをしつつも、
基本的には自分の作れるレパートリーの反復。
だから自分以外の人が作ってくれる料理は、
自分がチョイスしないメニューが出てくるから嬉しいね。
ハムカツ久々に食べたいなぁ。
でもこれ、家で作ったことないわ。
幾つになっても友だちとにぎやかに食卓を囲むのは楽しいね。
ウチは誰かの得意料理はその人に任せて
自分は手を付けない、という暗黙の了解がありました。
だから私は、中華飯が得意だった妹が家を出てから
彼女の作った中華飯が時々食べたくなる。
ちなみに私が作るものとみなされていたのはカレー。
「パパと親父のウチご飯 13」豊田悠 (BUNCH COMICS)
最終巻。
作中色々あったけれども。
終始美味しそうなご飯と愛情たっぷりな家庭描写にほんわり癒され、
最後は中学生にまで成長した愛梨と清一郎の姿が見られて感無量。
思い描いた通りの中学生'sに育ってくれていて、ホントに嬉しくなる。
千石と晴海の関係も変わらず、その距離感が良い。
小さいころから料理の手伝いをしていると、
大きくなってから困ることはないというのは実体験上断言できる。
ウチは「料理当番」という制度(?)があって、
持ち回りで作らされていたけど(←言い方・笑)やっててよかったなーと。
何度読んでも飽きずに楽しく読める作品。
「今年はもう作らないわ」
「うん。作らなくていいよ」
という会話をしつつ。
結局母がおせちを作る……というやり取りを何年繰り返していることか。(笑)
今年はどうなる!?
「汝、星のごとく」凪良ゆう(講談社)
幸せの形に正解はなくて、
自分が幸せだと思えれば、それが自分にとっての幸せのあるべき姿。
凪良さんの作品はいつだってそんなふうに訴えかけてくる。
人生は本当にままならない。
優しさですら、人を幸せにもするし、不幸にもする。
だけど。
その情がいとおしくもある。
言葉にしなければ想いは伝わらない。
どこかで想いをぶちまけていれば、何かが変わっていたかもしれない。
だけど、多分。
こうなる以外の結末はなかったんだと思わされてしまう。
読めてよかったお借り本。
間に合ってよかった。
花火を見ることができてよかった。
余命宣告をされても、やりたいことはやりたいと主張するべき。
もちろん、周囲の協力は必要だけどね。
私は抗がん剤治療真っただ中で沖縄に行きました。
そして、呼吸が一度止まり、そこから蘇生した親戚は、
体調が安定した一瞬でどうしても家に一度帰りたいと主治医に懇願し、
介護士さんと共に戻った自宅で同じく病床にあった旦那さんとツーショットの写真を撮り、
笑顔で病院に戻った二日後に旦那さんが亡くなりました。
かねてから旦那より先に死なないと主張していた彼女は
役目を果たしたことに安堵したのか後を追うように永眠。
根性で寿命が伸ばせる奇跡。