きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「なれの果ての、その先に」沙野風結子 (キャラ文庫) 文庫
考えて自分の意思で選択して生きる事って大事なんだな、と。
無自覚のうちに他人の思考に呑み込まれて
洗脳されていくって怖いわ~。
ならば自覚して堕ちていく方がまだ納得できる。
過去の出来事から心に傷を負ったタスクと、挫折して人生のどん底にいた基彬。
一人では立ち直ることのできなかった二人が、
互いを知り、心を通わせることによって、人生を立て直していく。
かなり硬派な政治テーマが盛り込まれていて、
BL抜きでもガッツリ社会派な話が書ける作家さんだと思う。
だけど、そこにぶちこまれたモットーが沙野さんが沙野さんたる所以。
後書きで爆笑。
今回の裏テーマは出てきた瞬間、コレだな、と思ったけど、
そこにたどり着くために話を積み上げたとは思わなかったよ、沙野さん(笑)
個人的にはリバでもオッケー。
「武士とジェントルマン」榎田ユウリ(KADOKAWA)
彼らが心に抱えた「後悔」と言う名の傷は、
他人が「あなたは悪くない」と言ったところで癒えるものではなく。
おそらく彼らはその傷を一生抱えたまま生きていくだろう。
自らが放った言葉の、或いは見えぬふりをした行為の返し刃は、
自らの心を深く抉る。
だけど、寄り添ってくれる人がいる限り、
自らの足で地を踏みしめて、明日へ踏み出すことができる。
笑える日がきっと来る。
そして、周囲の人たちもまた、それぞれの問題を抱え、
その問題と向き合いながら各々の人生を懸命に歩んでいる。
時に厳しくも、あたたかくて優しい物語。
がんばって。そして、がんばろう。
関ヶ原まで赴いて、観光すべきポイントを聞きに行った観光案内所にて。
「東軍と西軍、どちらが好きですか?」と聞かれ、
「どちらが東軍でどちらが西軍ですか?」と尋ね、
(え、ここまで来て何言ってんの?)的な顔をされたのは私です。(笑)
仕方ない。日本史は選択しなかったのよ。(←開き直り)
この作品で榎田ユウリ作品コンプ。
と同時に、榎田尤利・榎田ユウリオールコンプです。
「藍より甘く」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)
貴方に恋人がいないから好きになるわけでも、
自分を好きになってくれそうだから好きになるわけでもない。
貴方が貴方であるが故に好きになった。
報われたいわけじゃない。
ただ、好きでいたい。傍にいたい。
けれども。
唐突であったかのような告白の裏に隠された事情と押し殺された想いが垣間見えるにつれ、
やるせなくなる。
遥の想いはどこまでも透明で一途。
そして揺らいで迷って戸惑いながらも、
遥の想いとまっすぐに向き合い続けていつしか生まれた暁行の想い。
友だちから恋人へ。
二人の気持ちの距離の詰め方がとても良かった。
個人的には真希ちゃんの恋も応援したかったんだけどね。
まぁ、こればっかりは仕方ない。
とはいえ、人づてに伝えられる彼女の結婚報告は
彼女の幸せ報告と言うよりも
暁行を擁護するかのようなとってつけた感がぬぐえなくて私的には不要。
「パラソルでパラシュート」一穂ミチ(講談社)
今日の延長の明日。
そんなふうに予定調和だった明日を予測不可の方向へ押し出すきっかけは、
何処に転がっているかわからない。
気づくか気づかないか。
乗るか乗らないか。
それによって未来が変わる。
亨に出会ったことで変化した美雨の日常。
栄治に出会って亨の道は開かれ、
そんな亨を弓彦は見つけた。
日々を綴る言葉の中に時折混ざる痛みややるせなさの躓きが心地よい。
迷いながら、それでも自分の意思で未来を模索する人たちの物語。
「魔法はかけられるんじゃなくて自分でかかるもの」
望んだ通りの未来に着地できるかはわからないけれども。
「日本三大嬢」のひとつが「受付嬢」。
あと二つは?
瞬発的に浮かんだ私のアンサーは「ウグイス嬢」と「ドジョウ」。
種族が違う(笑)
「GIANTKILLING 59」ツジトモ(モーニング KC)
発売日に読んだものの、レビュー書かずにあっためてたら、
地元チームの降格が決まって冒頭の言葉が刺さる刺さる。
思えばジャイキリ連載開始時も降格中だった……。
閑話休題。
自分の出ているスポーツニュースを観ながら電話で話す選手、と言う構図も、
選手同士リスペクトしつつ、ライバル視しつつ、互いに高めあっていくんだなーというのが伺えるのも微笑ましい。
そして試合は因縁めいた対戦へ。
ETUの選手たちの変化と言うか成長が心強い。
そしてあそこまで戻った王子の頑張りに拍手喝采。(笑)
スタジアムのどよめきが気になりつつ……次巻を待つ。
「勝ちたい」っていう気持ちはいくつになっても変わらないんだなーと。
逆にそうじゃないと勝負事の世界にはいられない。
地元チームの一部復帰を信じてる。
「毒を喰らわば皿まで~その林檎は齧るな~」十河(アルファポリス)
前作が復讐劇なら、今作は冒険譚。
骨太な構成がとても楽しかったお借り本。
辞したにもかかわらずあちこちから頼られる元宰相アンドリムの頭脳の明晰さと腹黒さは健在。
彼の番である騎士団長ヨルガの腕っぷしの強さは更にバージョンアップしている気がする。
そして二人の結びつきの深さよ。
二人の間で紡がれる言葉に込められた想いに、何度も胸を突かれる。
アンドリムがヨルガに対する胸の内を吐露するシーンが最高潮。
毒の林檎を齧らざるを得ない状況に追い込まれたシラユキ。
そうまでしてアンドリムがその国を守ろうとした理由に、ああ、と。
壮大な愛の物語。
前作も今作も本当に楽しかった。
こういう個性と言うか独創性、大事にしてもらいたい。
web上で連載中の番外編があるんですねー。
書籍化が楽しみ♡←気が早い?(笑)
「毒を喰らわば皿まで」十河(アルファポリス)
ヒールに徹した愛されキャラ・アラフォーの宰相アンドリムが最高に魅力的なお借り本。
パーティーの始まりはたったの三人。
周囲は全て敵という崖っぷち寸前の状況からの起死回生。
正攻法ではない手段ながらも、周囲の者たちを気づけば味方につけて行く手腕はお見事。
とはいえ、アンドリムはダークヒーローなので真の目的は国の滅亡を願う復讐劇。
アンドリムを殺したいほど憎んでいた正統派の騎士団長ヨルガが、彼に懸想していく様が面白い。
結局、自らの命運をヨルガの手に委ねるアンドリム。
この決定的なシーン好きだなぁ。
王道?ナニソレ?展開が本当に楽しかった。→
自分で買おうと思ってカートに入れてたら
友だちが持っていたのでお借りしましたが。
買おうと思っただけあって、メッチャ楽しかった。
「絶対好きだと思う」と友だちに言われたけど、まさにその通り(笑)
日付が変わっても読み終わるまで寝れなかった。←平日
「贖罪」イアン・マキューアン (新潮文庫)
静かなる良作。
安堵した後に突き付けれらた真実が苦しくて。
声を上げて泣いてしまった。
第一部で描かれるのは群像劇。
同じ物事を語るにしても、見る視点が違えば捉え方も違う。
真実とすれ違い、ねじ曲がって捉えられていく過程が恐ろしい。
その時彼女が声をあげたことによって奪われてしまった彼らの未来。
続く第二部。そして第三部。
恋人たちの繋がりが潰えなかったことがただ、嬉しい。
その一方で、取り返しのつかない罪は存在するのだと切実に思う。
ちょっと待って、と、反射的に読み返してしまった最終章。
贖罪。
その言葉の持つ意味が、読了後に重くのしかかってくる。
こういう出会いがあるからガーディアン読みがやめられない。
イアン・マキューアン。
他の作品も追いかけたい作家です。
まずは集めるところから。
【ガーディアン必読113/1000冊】
「融愛 ~Melt Down~ 」沙野風結子(SHY文庫)
兄・海里に対する想いを心の奥底に押し込めて封じて蓋をし、
その想いの片鱗も見せまいとしてきた翼久。
弟・翼久の想いにも自分の深層心理に潜む想いにも気づかず、
弟を思いやりながら生きてきた海里。
親に捨てられ、二人きりで身を寄せ合って生きてきた兄弟。
そんな二人の間にたった一人の他者が介在することで、激変を来す日常。
血を分けた兄弟間での葛藤を繰り返し、
すれ違いに絶望し、孕んだ狂気や情欲に翻弄されながらも、
辿り着いたのは穏やかな愛。
文庫描き下ろしの短編までできれいに完結する物語。
個人的に弟の電話を兄が奪うシーンがお気に入り。
会社携帯をなくした!と大騒ぎで電話してきた殿方一名。
携帯紛失時の位置情報を取得した結果、
隣県のIC入口付近に落ちていることが判明。
PCの地図上にここにあるよ!ってちゃんと表示されて、すごーい!となりました。
その付近で車を止めて電話して、車の屋根に携帯を置いたまま出発したそうな。
ちなみにこの方、屋根にお財布を乗せたまま走って紛失したり、
社外秘の書類乗せたまま走ってなぜか警察に届けられてたり、と前科色々。
背が高いとそういうことになるのねー、と、
車の屋根の上に物を置くことのできないサイズの私は思うのでありました。