きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「千年の眠り花」沙野風結子 (ダリア文庫)
「寄り添っている相手からは価値観の影響を受けて当たり前」
とは、鷹羽の言。
その通りだと思うから、ズシリと重い。
蒼の変化が悲しかったから。
蒼がその手を血で汚すことになったのは、零飛の傍に在り続けるため。
蒼が踏み込んだ黒社会で愛する人を守るために必要だった決意。
当の零飛は悪趣味に拍車がかかって、ちょっとどうなの!?って言いたいけど、
なんか最後はうっかり絆されそうになってしまった。
零飛は間違いなく蒼の想いを受け取っていたから。
変わるための第一歩を踏み出したから。
とはいえ、そこにたどり着くまでに巻き込まれた人たちはホントに大迷惑だよね。
前作で相性悪いかな?と思った鷹羽の印象は好転。
良いことだ。
それにしても……斎の行方不明を会社(警察)側にどう説明してるんだろう?
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「慈雨」柚月裕子 (集英社文庫)
退職した刑事が妻と共に辿るお遍路の旅。
語られるのは彼らの旅の行程、現在と過去の幼女誘拐殺人事件の顛末、
そして彼自身の、或いは関わりあいを持った人々の人生。
彼らと共にお遍路を辿りながら、
漣のように訪れるそれらの事象に引き込まれていく。
巡礼の旅は自己の内面と向き合う旅でもある。
贖罪につながる悔恨を抱えた神場にとっては苦しい旅路。
そんな彼に寄り添った香代子の存在が大きな癒し。
この夫婦、素敵だなぁ。
事件解決に奔走した緒方の姿も好感が持てる。
だから娘さんの恋は案ずることはない。
あなた方の背中を見て育ってきた子なんだから。
かつて訪れた四国の風景を懐かしく思い出しながら読み進めました。
四国には2度行く機会があったけど、どっちも楽しかった。
「空が広い」と言う描写に納得。
この作品を読みながらまた行きたいという思いが沸々と。
私が「逆打ち」から連想するのは『死国』ではなく『炎の蜃気楼』。
感想あげるのが途中で止まっているけど、いつか再開したい。
「魂の岸辺」北方謙三 (集英社文庫)
猿なの?いや、それは猿に失礼かしら?
と思ったところがスタートライン。
そこから少年は見事な成長を遂げたけれども。
その成長に少なからぬ影響を与えた男は、
馬鹿なの?と思ったところがゴールライン。
必ずしもそれしか選択肢がなかったわけではないはずだ。
なんだか悔しいなぁ。
中学生にしてはヘビーな悩み事に翻弄された子どもたち。
理不尽な圧力に屈するまいと戦った大人たち。
背伸びしつつも、周一が周囲の愛情をきちんと受け止められる子どもで良かった。
多くを語らない言葉から、何が起こったのかを推測させる。
そんな文章が冴え渡っていた。
「あのナイフはあんたから買ったんだよ」
この件がとても好き。
再び男と対峙する時、既に青年となった少年は腕を鍛え上げているのだろう。
そんな二人が酒を酌み交わす姿を想像すると口角が緩む。
「花陰の囚人たち」沙野風結子 (ダリア文庫)
こんな脇が甘々な潜入捜査やってたらバレるよね?
身バレしてるから取引ぶち壊した後に命狙われるかもしれないよね?
そもそも!
前作の零飛のイメージがあるから、今作の彼はただ悪役ぶってるようにしか見えない。
彼が本気だったら、刑事二人、生きてあの屋敷から出れないよね?
と、余計なことをぐるぐるした結果、作中に入り込めなかった私の負けだわ。←何と戦ってる!?
暗に「付き合おう」と言っている鷹羽の意図が全く読めなかった斎、イイね。
そして「俺を欲しがれ」と斎に言った鷹羽に「お前が欲しがれ!」と嚙みつきたくなってみた。
ん?相性合わないのはもしかして鷹羽?
……と、グダグダ言ってる割には、最後まで一気読み。
沙野さんの文章は好き。
そして、後書きのイラストは必見。
パンダの刺青がかっこよく決まってる人って他にいない気がする。
「キル・ゾーン5 嘘」須賀しのぶ(コバルト文庫)
命は単純な足し算引き算では測れないって言い聞かせてみる。
でも、今回上から下された命令はどう考えたって割に合わない気がする。
あんたが行けば?
たとえ理不尽な命令でも、拒否権なんてあるわけない。それが戦争。
安全なところでふんぞり返っている月のお偉方はいずれ痛い目を見るといい。
もう少し引っ張るかと思ったけど、
タイトル通りあっさりと明るみ出た彼の嘘。
だけど、そんな嘘が吹っ飛ぶくらいのインパクトがラストに待っていた。
えっと……あなた、何者?
グッドリーとシドーのやり取りが好き。
他人の痛みを完全に理解することはできない。
だけど、せめて手を差し伸べることはできると信じたい。
個人的に今回の「嘘」の件は「隠し事」もしくは嘘と同じ意味合いで「偽り」って言う方が私好み。
日本語って表現が豊かだね。
戦いに特化してくれても構わないんだけど、
恋愛で着地するなら私はラファエルよりエイゼン推し。
だけど、サリエルだったら考えないでもない。←迷走中ww
気になる続きは読んで確認するしかない(笑)
「花の堕ちる夜」沙野風結子 (ダリア文庫)
上海マフィアに妹を殺され、平穏な生活を捨てて復讐を誓った蒼。
ビジネスエリートとして、そして裏社会に携わる者として
パーフェクトかと思っていた零飛が抱えていた闇。
とある出来事をきっかけに共に暮らすようになり、
知らず、欠けた穴を補いあっていた二人。
上海マフィア。復讐劇。無理やりからの……というワードと書き出しから
こんな感じなのかな?と方向性をなんとなく描いていたけれども。
途中で私の予測とは微妙に違った方向に舵が切られ、
それがとても良くって、大満足での読了。
茉莉葫芦になぞられての告白が印象的。
私もつられて泣きたくなったよ。
以前友だちに連れて行ってもらった中国茶専門店。
まだ営業してるのかな?
茶葉からふわっと花が開いたお茶の名前は……何だったんだろう?
また行ってみたくなりました。
沙野さんもコンプするつもりで着々と収集中。
「他人の顔」安部公房 (新潮文庫)
違う。そうじゃない。
共感性の欠片も見つけられない男の内面を延々と読み続けるストレスたるや。
自己と長い付き合いのある他者との関係性は、
仮面をかぶった程度でリセットされるものなのか?
それで本当に別人格に成り得るとでも?
見破られないと思うのは他者に対する嘲りであり、
自分がその程度の深さでしか相手と向き合ってこなかった証でもある。
そもそも、長年一緒に暮らしてきた相手に失礼だよね?
と、積もりに積もった私のストレスは、妻の手紙によって盛大にまき散らされる。
だよねー。
そうだよね。
他者と向き合うために仮面を必要とした結果、自己の内面へ沈み込んだ男に対し、
まず話し合えば?と言うのは本末転倒か?
久々に最後まで読み切った自分を褒めたたえたい読書時間でした。
男の思考と全く相容れずにストレスフル。
うわーん、ホント頑張った。
【ガーディアン必読104/1000冊】
「キル・ゾーン4 密林」須賀しのぶ(コバルト文庫)
状況判断と先読みの甘さ、黙ってなきゃいけない状況下での怒鳴りあい。
分隊長としてダイジョブか?と思うことしばしばなキャッスル。
その分周りがフォローしてくれてる部分が大きいってこと、
自覚してるだけまだいいのかな?←いいとこ探し。
この隊がうまく機能しているのは、
副官として抜群の才覚を発揮しているエイゼンによるところが大きい。
そんな彼が、狂気の側に触れる寸前のスナイパーぶりを発揮してる姿が、
とてもかっこいいと思う私も大概。
彼はそっち側のひとだったのね、という伏線があるわけだけど、どうなのかしら?
今後も楽しみ。
後書きに時代を感じるというかなんというか。
こんなノリで後書き書いていた作家さん、複数いた気がする。
「プリズムのヒトミ―ヤスメ―」崎谷はるひ (幻冬舎ルチル文庫)
シリーズ番外編。
3作品の主人公たちが繋いでいく物語。
沖村と史鶴の若者CPは悩み事も若い。
メンタルが安定している時は気にならないことも、
不安に揺らぐとスルー出来なくなる。
圧倒的に足りてなかったのはコミュニケーション。
うん。
ちゃんと言葉で伝え合うって大事よ。
栢野と朗の歳の差CP。
大人の気遣いで拗れる二人。
どっちの言い分も理解はできるけど、
そもそも第三者に引っ掻き回されての揉め事だからなんだかお気の毒。
その案件をさらに別角度から見ていた伊勢と昭生の大人CP。
予想以上の甘さと昭生の成長(?)にほっこり。
シリーズ全部感想をUPしたと思い込んでいたけど、
何故かこれだけ未登録だった番外編。
基本的に読メに登録するために読み返す以外、
よっぽどじゃない限り再読はしていないので、
本編覚えてるかな?と思いながら恐る恐る読み始めたけど、
ちゃんと覚えていました♡よかった。