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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「疵 スキャンダル 4」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)



打ち砕かれたこれまでの価値観。
と同時に芽生えた新しい価値観。
それでも「核」となる自分は変わらずにここに在る。
理想的な変化を遂げた桐原は、多分、この先の人生を毅然として歩いて行ける。
孤独の中で衝動的に桐原に縋った司馬。
司馬は一度桐原を許した。
そして今度は、桐原が司馬を許した。
幾多の夜を乗り越えて、ふたりが選んだ選択は切磋琢磨。
「上にのし上がる」という目指すものは同じでも、
最初の出世争いの関係とは意味合いが全く違う。
その変化が、ただ嬉しい。
男と男。というよりも一人の人間同士として向き合った二人の物語。
一気読みの面白さでした。


読み終わって気付いたら長淵剛の『乾杯』を唄っていて、「何でこの曲」と思ったわけだけど。
桐原に捧げたい歌なんだと、歌詞を反芻しながら納得。
ジェットコースター展開がたまらなくツボ。
かわいさんの作品はまだまだ手元にあるから再読も積読攻略も楽しみ♪

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「疵 スキャンダル 3」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)



前言撤回で司馬コノヤロウと言いたくなる三巻。
人に対して絶対に言っちゃいけない一言ってあると思うのね。
悪意ではなく、無自覚な嫉妬から、
今の桐原に対して向けたら凶器にしかならないNGワードを口走ってしまった司馬。
刺し貫かれて抉られた桐原と一緒に泣いてしまった。
抉られるのは一瞬。
だけど、そこから傷口を塞ぐまでには膨大な時間と労力を要することもある。
とは言え、どん底の中で自分の今までの他人との向き合い方を考え始めた桐原。
これは進歩。
桐原を取り巻く事象が良い方向に転換するといいなぁ。
最後の有賀視点の短編がとても良かった。

JINEにどっぷりつかってきた身としては、この仄暗さと逃げ場のない息苦しさと
それでも捨てられない想いといった連続技(?)がたまらない。
なんか間違ったホーム感(笑)

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「疵 スキャンダル 2」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)



それを裏切りと言い切ってしまったら
桐原の立つ瀬もなくなってしまう気もするけど。
まぁ、司馬が憤るのもわからなくもない。
人と人。
一対一で係わりを持ち続ければ何らかの情は湧く。
どん底の自分を全て晒して司馬に縋った桐原と、
思いがけずその桐原を受け止めてしまった司馬。
桐原を放っておけない司馬が、なんだかいい人に思えてきたわ。
自分の実力だけでのし上がっていくことが難しい世界で目指す出世は
代償が大きすぎて私は価値を見いだせない。
でも、桐原にはもう「それしかない」んだろうなぁ、と思うといたたまれない。
司馬の口から出てきた「次」の言葉に安堵する。
「今回」を許された証だから。→

で、結局この二人どうなるの?と、思わず最終巻に手を伸ばしたくなる衝動は久々。
知りたい。
とても知りたいけど、ここはぐっと我慢ですよ~~!と言い聞かせて3巻へ。





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「Aではない君と」薬丸岳 (講談社文庫)



誰に助けを求めることもできないまま、
無限に続くかと思われる苦しみから逃れるために、
14歳の子どもに何ができるのか。
正直、大きな何かが出来るわけではないと思う。
そもそも、
大人が子どもときちんと向き合って寄り添うことができていたなら、
多分、こんなことにはならなかった。
だが、それは理想論。
事件は起きてしまった。
「何故?」の理由が見えてくるにつれ、心が重くなる。
そもそもの発端はどこにある?と問われたのなら、
「ここ」と一点を示すことは決してできない事件。
親や友だちや世間に。
追い詰められる子どもがいなくなることを願ってやまない。


「心とからだと、どっちを殺した方が悪いの?」
修羅の渦中にある子どもに問われたら、答えることに窮する問い。
理屈では吉永の言うことは正しいとは思っても、
いじめに耐え続けた子どもに対して断言することは難しい。

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「疵 スキャンダル 1」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)



出世と望んだ立場の確立のために、
どこまでのものを差し出すのが、対価として妥当なのか。
計算と打算の人生に齟齬が出始めたら、崩れるのは早い。
あまりも屈辱的な状況に追いやられ、
壊れる寸前の桐原にうっかり遭遇してしまった司馬にとっては
出会い頭の事故みたいな感じがしないでもないけど。
桐原を放っておけずに接点を持ってしまった時点で、
二人の間には新しい関係が構築される。
一度壊れかけ、だけど折れてしまわなかった桐原は、多分強い。
そして司馬の属性は捕食者だ。
めくるめくドッロドロの仄暗い展開にゾクゾクする。
ドキドキしながら次巻へ。

妻側に理由がないとは言わないけど、
それでもあの状態で家庭を維持して行けると思っていた男二人に、
頭にお花畑咲いてる?と問いたくなってみる。
深夜残業する身で子どもをひきとってどうするの?とも。
自分の手が空いたときに「甘やかす」だけじゃ子どもは育たない。
司馬の考えは甘い。と、説教。
まぁ、私も甥っ子姪っ子を無責任に甘やかすだけの立場だから
あんまり偉そうなこと言えないけど(笑)


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「淡雪記」馳星周 (集英社文庫)



それが、場当たり的、或いは衝動的な行為だったなら、冷めた目で見て終わっただろう。
だか、彼が胸の奥に秘めた覚悟もしくは諦念、いや、言うならば虚無が、
やるせなさを滲ませる。
地に堕ち、闇の中を彷徨っていた天使が出会ったのは、
凌辱に塗れた妖精。
哀しい程に純粋無垢な魂を抱え、息苦しい世界でもがく彼女。
森の中で出会った二人の辿る道は、多分最初から分かっていた。
そもそもが、彼自身、もはや後戻りできないところに立っていたのだから。
だけど、出会えたことで彼らの人生に添えられた彩りがある。
だから彼らは幸いの中で眠りにつく。
雪のゆりかごと月の光に抱かれて。

600項越えてるわりには、サラッとしてるなーという読後。
馳星周の『不夜城』『虚の王』のツートップは揺るがず。
花村萬月も『ブルース』と『皆月』のツートップは揺るがず。






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「GIAN KILLING 53」ツジトモ モーニングコミックス)



個性的なオーストラリアの面々。
それをまとめるチームリーダーとは。
うん。
彼自身が一癖も二癖もありそうなうえに、統率力と技術力でも圧倒している人じゃないと務まらないね。
それを知らしめるエース・サリバン。
アジア杯準決勝。
日本がアドバンテージを維持できなかった前半は、
まだ終わってはいない。
残り2分。
椿と窪田の会話の内容が気になるけど、意外とたいした内容じゃないのかも(笑)
彼らはどんなプレーを見せてくれるのだろう?
変にプレッシャーを感じたり、気がまえたりしないことも大事。
そして、笛が鳴るまであきらめないことはもっと大事。

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「ロイヤル・シークレット」ライラ・ペース (モノクローム・ロマンス文庫)



安堵と良かったねという想いが込み上げてきて泣けた。
王族に生まれつくことの閉塞感とプライバシーのなさに息が詰まりそうになる。
皇太子という立場と守らねばならない人の存在。
その中でも自分らしくあろうというジェイムスの葛藤。
セックスから始まったベンとの関係。
条件付けをしての付き合いだったはずが、
その枠を超えて深まっていく様がすっごく伝わってきて、
幸せそうな二人が伺えたからこそ決断を迫られた瞬間は苦しかった。
困難に立ち向かう日が人生最良の日。
そんな二人の前途に激励を。
そしてジェイムスを支え続けたキャスに祝福を。


本を読んで泣く時って哀しかったり辛かったりっていう場合の方が圧倒的に多いんだけど、
今回は良かったーって泣けてホント良かった。←語彙……(笑)
原書では続編があるようなので、是非とも翻訳していただきたい。
英語が堪能だったら……ってこんな時は思うわ。

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「GIANT KILLING 52」ツジトモ (モーニング KC)



自分よりレベルの高い人たちの中でプレーすることは、
自分自身の実力を引き上げる糧になる。
メンタル面でどこまでモチベーションを上げられるかは個々人によるけど、
マイナスの影響はもたらさない筈。
若手の著しい成長は
ライバル不在の日本で常にトップを走り続けてきた花森にとっても良い起爆剤に。
総括して考えれば、監督(ブラン)が果たしている役割ってホントに凄いんだな、と。
UAEの監督と選手の関係も好印象。
信頼関係ってホント大事よね。
日本で練習しているETUの面々の姿が見れて嬉しかった。
彼らの試合が早く観たいなー。

地元チームがJ1残留を決め、そういえば感想UPしてなかったわー、
ということを思い出してみました。
しばらくラグビーに熱かったからね。←多分関係ない(笑)




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「逆説の日本史 13 近世展開編」井沢元彦 (小学館文庫)



仇討ち。
弟が兄の敵を討つのは認められるけど、
兄が弟の敵を討つのは仇討とは認められない。
なんか不公平だ。
と思うけど、法制化されるのには何らかの決まりごとは必要なわけで
誰も彼もが敵討ちをしてオッケーだったらそれはハンムラビ?と、ぐるぐる。
鎖国は幕府の政策ではなく、後付けで使われるようになった言葉だということには目から鱗。
結果的に閉じこもること200年強。
他国の侵略を受けなかったのはものすごいことなのだと改めて思う。
その間に構築された徳川の支配と熟成された文化。
私、江戸時代には本当に興味なかったんだなーと思いつつの読了。


北方の『岳飛伝』未読なのですが、ここでネタバレを拾ってしまったようで
とりあえず忘れることにしました。びっくりしたわ(笑)
海底や地中に電話線を引く作業に従事した方の話を聞く機会があり
驚愕の嵐だったことを思い出しました。
■行った場所:島原・天草・神津島。
なかなか行く機会がなさそうだけど、よく行ったな、神津島。
歴史を学びに行こうと思ったわけでも、泳ぎに行ったわけでもなく、
砂漠が見たい!というのが私の動機でした。

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