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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「雨は心だけ濡らす」北方謙三 (集英社文庫)



インテリアデザイナーという仕事上、
本来は在り得ないようなゴタゴタに巻き込まれていく美有。
けれども。
「すべては自分で選択してきた」
こう言い切れる彼女がとてもカッコイイ。
決してスーパーウーマンな訳ではなく、
傍らにいる男たちの手を借りながら、
自らにできることを必死で考え、戦い抜いた彼女。
男たちもまた、スーパーマンではなく身体を張ってボロボロになりながらも
依頼された仕事を全うした。
吉尾。水田。氏家。津井。ついでに川辺サンも。
皆かっこいいなぁ。
ラストは路子の一本勝ち。
心の雨がカラッと上がったかのような読後感が秀逸。


服装。持ち物。車。バブル絶頂期の雰囲気がプンプンと。
わかりやすくて楽しい。
北方現代物って女子の口調で時々「ん????」ってなることあるんだよね。
いや、その流れで「ですわ」とか「ですの」とかはない、と突っ込みたくなる。
ま、それもご愛嬌(笑)
津井の職人気質が全面に出た仕事の仕方がとても好き。
吉尾と水田のコンビも好きだわ~。

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「RDC ―レッドアラート―」水壬楓子 (リンクスロマンス)



やり手の会社社長・江波とその会社の企画部に勤務する鉄朗の物語。
恋愛に舞い上がった江波はとても愉快なオヤジでした。
資産数十億のオヤジにジワジワと囲い込まれ、愛人契約を交わしても
常識的な感覚を持ち続けた鉄朗が好ましい。
一緒に暮らしていく上で価値観が共有できるのって、歳の差は関係なく大事。
同じ感覚で遊べるんだから、一緒にいて楽しいよね。
とは言え、この江波も到底一筋縄ではいかない腹黒オヤジ。
大嘘をぶっこんだプロポーズ。
ばれた瞬間に白目剥きたくなったであろう鉄朗が大変お気の毒。
でも、晴れて入籍できるわけだから問題ないよね。しかも溺愛。
お幸せに☆

社長の名前が「飛鳥」
会社が「斑鳩」
暗証番号が「壬申の乱」
『逆説の日本史』古代編を読んできた私にとって、
良いタイミングで読めたなぁ、と。
まぁ、記号的な感じで出てくるだけで、本書の内容とはまったく関係ないのですが(笑)



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「RDC―シークレット ドア-」水壬楓子(リンクスロマンス)



弁護士の公春と、血の繋がらない養いっ子・祐弥の恋愛模様。
歳の差カップルの両片思い。
祐弥の為を思って一度は手元から放すことを決意した公春だったけれども、
一途に彼を想い続けた祐弥の想いを受け止めることに。
そこからのダメオヤジへの転落振りが愉快だった。
会沢に制裁を加えた公春はカッコよかったんだけどなぁ。
祐弥以外のことに関してはクールに腹黒く立ちまわれる公春が、
祐弥に関してはぐずぐず。
公春に逆らえない祐弥もとばっちりを喰らってぐずぐず。
色ボケて遅刻や仕事の手抜きは社会人としてNG。
上手く立ち回ってシャンとさせた征眞の手腕はお見事でした。

これで『リーガルトラップ』を読む準備完了☆
『リーガル~』を最初に買ったら、こちらの『RDC』シリーズのスピンだと知り、
『RDC』を全部揃えるまでお預けに……。
ホントにお願い。
シリーズ物にはスピンも含めて通し番号をつけてほしいわ。←シリーズ物は最初から順番に読んでいかないと気が済まない人なのです。だから途中の巻だけ買うってできない(笑)





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「静かなる天使の叫び (下) 」エロリー(集英社文庫)



30年以上に及ぶ、ジョゼフの半生を描いた物語。
何故彼が、人生を壊されなければいけなかったのか?
何故彼は、掴みかけた幸せを奪われなければならなかったのか?
その答えを得るために、私も彼と一緒に旅をする。
著者が言いたかったのは「何故?」の部分ではなくて、
「ジョゼフがどう生きたか?」なんだと思う。
分岐点はいくつかあった。
けれども、彼は選択した。
過去と向き合うことを。
負の連鎖をその手で断ち切ることを。
本当はそれは彼の役目ではなかったのに。
上巻のようなドキドキ感はなかったけれども、
その分重苦しさと格闘しながらの読了。


服部由美子の「スリークオーター」が聴きたくなってCDを引っ張り出してしまった読後。
やるせなくなって涙出そうになったわ。
この曲と作品世界のイメージがなんか被ったんだよね。
【ガーディアン必読 79-2/1000】

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「RDC―レッド ドア クラブ―」水壬楓子(リンクスロマンス)




宿無し一文無しの直十が謎めいた男・廿楽と出会い、
自分の人生を立て直す物語。
マイフェアレディ……というより、育てゲー的な印象。
細かい事はつっこまないこと。
そうすると、テンポの良さとキャラの立ち回りのうまさで、
ものすごく楽しく読めます。
ああ、でも言いたい。
ハードボイルドの定義ってそうじゃないのよー!
それはただのエロオヤジなの!
でもね。悔しいけどこのエロオヤジが半端なくカッコいいのです!
←渋いおじさま大好き。
あだ名が「若頭」の強面なのに、その中身はかまいたがりの溺愛系な廿楽が
とっても素敵。
次巻はどんな素敵なおじさまが登場するのかしら?


「誰かに頼りたいとは思わなかった」
と言うのなら、もっと生活管理しっかりしようか。
それができないのは「甘え」でしかないんだよー。
と、なんか最初っから直十にはイラっとしたのでした。
でも、廿楽と出会えたのは彼にとって人生最大の幸せだと思う。
「生活すること」をちゃんと教えてもらえたのだから。





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「静かなる天使の叫び (上) 」エロリー(集英社文庫)



天使。即ち死者。
読み進める間中、苦しく脈打つ胸の鼓動が止まらない。
事件は解決していない。
彼の苦悩もまだ続く。
故にこのドキドキも次巻まで持越し!
……心臓に悪い。←褒め言葉。
アメリカ南部の田舎町で起こった幼女連続殺人事件。
時は第二次大戦の真っ只中。
ヨーロッパでの戦禍の火種は、アメリカの田舎町にまで降りかかる。
偏見や差別、そして姿の見えない恐怖に対する集団心理の恐ろしさ。
この負の連鎖はいつの時代にも当てはまる。
同時に語られるのは少年が大人へと成長していく物語。
痛々しさを孕んだ彼の人生に平穏が訪れる日がくるのだろうか?

カバー裏の内容すら読まずに読み始めたので予備知識なし。
なんか思っていた以上に引き込まれてガツンとやられてる感じ。
聡明だった彼女が精神的に壊れていった様がものすごく切ない。
「みんなが思ってることと実際にあったことは同じではない」
うっかり喋ったことがSNSで拡散されてしまう時代において、
気軽く発した言葉がとんでもない何かを引き起こしてしまう可能性が十分にある、
ということを改めて刻む。
【ガーディアン必読 79-1/1000】

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「約束」河南さらさ (ガッシュ文庫)



自分は覚えている。
交わした会話もその時の表情も触れ合った体温ですら覚えている。
大切に育んだ想いは変わらない。
だけど、彼からはその記憶は抜け落ちていて、
あの時のように触れることはできない。
手を伸ばせば触れ合えるところに彼はいるのに……。
うわーん。切なさマックス。
胸が軋んで、彼らの優しさと思いやりに泣きそうになって。
曝け出した感情が刺さって、ラストに安堵。
人を寄せ付けなかった有也に対する颯の近づき方がとても好き。
他人には決して見せることのなかった颯の心の傷。
それを隠してああやって笑っていられる颯は強いと思った。

鵜飼のスピンがとても読みたいお借り本。出ないかなぁ。
石田とお友だちになって一緒に飲みにいきたい。
「瞳ともう一度、もう一度恋ができる」(@キャッツアイ)
という俊夫の言葉に号泣した過去を思い出してみました。


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「ラッシュライフ」伊坂幸太郎 (新潮文庫)



同じ場所に立ち、同じものを見上げる彼ら。
だが、抱える想いはそれぞれ。
彼らの置かれた状況や背負ってきた境遇は彼らだけのもの。
懸命に生きる彼らの人生のドラマが展開され、時間軸が錯綜する。
そして、係わりのなかった者同士が、偶発的な出来事から繋がりを持っていく。
点と点が次第に線になっていく鮮やかさ。
自分にどんな衝撃的なことが起ころうとも、
世界は昨日とは変わらずに動いている。
それが、心強くもあり、少し寂しくもある。
ラッシュライフ--豊潤な人生。
大海に流される非力な存在であったとしても、
掴み取る気持ちを失うな、と、言われた気がした。


やっぱり黒澤好きだわ~、と、再認識の再読。
伊坂作品は作品同士のリンク世界が楽しめる特典つきなところも好き。
「あなたの好きな日本語を教えてください」
問われたら、私は何と書くだろうか?と考えて……浮かんだ言葉は「笑顔」でした。






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「王たちの蹶起~叛獄の王子3~」 (モノクローム・ロマンス文庫)



完結巻。
タイトルに全てが集約されている。
破綻のないストーリー展開は読み応え抜群。
陰謀に嵌められ、苦境に立たされた二人の王子。
互いに向けられる憎しみと因縁。
互いを知るほどに培われる信頼と情愛。
相反する想いに折り合いをつけるためには、一度剣を手にぶつかり合う必要があった。
甘くて穏やかな時間も束の間、手に汗握る窮地へ。
最後の最後までドキドキしっぱなしっで、
苦しかったりもったいなかったりで一気に読めなかった。
努力と気力で運命を勝ち取ったローレントの生き方は
余りにも痛々しいものだったけど
デイメンの情愛に包まれて穏やかに凪ぐといい。



もっと読みたいなぁ、
これからの二人の物語をまだまだ追っていきたいなぁ、
と、こんなにも切望した作品は久々。
巡り巡る「兄殺し」。
着地点がうますぎて、なんと言ったら。
後半部分、もっとじっくり書いてくれても良かったのよ~~!と、ジタバタ。
好きなシーンが何か所かあって、何回か戻って読み耽っちゃったよね。
一気読みが常なので、
途中でこういう読み方をするのも私的にはとてもとても珍しい。
再読必須の面白さでした!








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「逆説の日本史4 中世鳴動編」井沢元彦(小学館文庫)



平安時代中期から末期まで。
清和源氏の由来が知れたのが、個人的には一番の収穫。
お勉強になりました。
そして、院政時代のカオスっぷりに唖然。
根深い言霊信仰の記述には
納得させられる部分が多すぎて唸ってしまう。
遺言書作ろうかな?
でも死ぬこと想定して本当に死んじゃったらヤだからやめとこ。
で、遺言のないままの急逝。
個人はそれでもいいけど、国家はそうはいかない。
武士の台頭に起因する、穢れ思想からの軍事力の忌避。
現代に至るまで日本が他国に侵略されなかったことの僥倖に胸をなで下ろす。
と同時に提示されている問題に一抹の不安。


私の中で清和源氏と言えば高河ゆんの『源氏』。
完結してくれたら嬉しさで泣ける自信がある。
■行った場所:厳島神社
■行きたい場所:神田明神/将門塚
■とりあえずメモ:『源氏物語』紫式部/『あさきゆめみし』は既読。『源氏物語』を小説で読みきる根性は多分ないけど、武田氏曰くのa系(本書内にて説明)を通す読み方にはとても興味がある。

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