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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ストレイ・リング」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



四十代に溺愛される三十代。
そんな二人の恋愛模様がとても良かった。
甲斐性あり。包容力あり。すべてにおいて余裕あり。で、ちょっと意地悪。
そんな四十代右城さんが半端なくカッコよくって、ときめく。
その一方で、元嫁と娘に恋愛成就の手助けを頼むお茶目な一面もイイね。
気が強くてオトコマエでちょっとシニカル。
身を引く決意はするものの、右城への想いを捨てきれない藤近。
そんな三十代藤近が右城の前でだけ甘えたり拗ねたりするところがツボ。
右城の大人の口説き文句が素敵すぎて、
自分に言われてるわけじゃないのに夢見心地な気分になれます。笑→

大人の男のラブロマンス。
どっちもしっかり自立した働き盛りの世代ってところもツボ。
水壬さんの書くオヤジに弱い。
とっても弱い。
ホント右城さん、カッコよかったよー。


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「シェリ」コレット (岩波文庫)



彼らと同じ言葉で、私からも最高級の賛辞を。
レア、最高にいかす女。
凛とした潔い強さと、芯の通った女としての矜持を持ち続けた彼女。
そんな彼女が見せた最後の弱さが、だからこそ胸に迫る。
そして、彼女の示した見事な引き際。
本音を隠したままだといつまでも後を引く。
綺麗だった思い出に後生大事にしがみつく。
だから、本音を晒すことは必要だった。
現実を認識するために。
これからの一歩を踏み出すために。
そして私はレアとエドメの幸せを心から願うわ。
自らの老いを認識したレアも、きっと再び花開く。
年相応の艶と深みを帯びた花を。

タイトルのシェリどこ行った!?という感想になってしまった(笑)
結婚するならちゃんとけじめつけなよ!と言いたくなったからかな。
まぁ、彼が甘ちゃんになってしまったのは、
周囲の女たちにも責任はあると思うんだけど。
そしてこれ、続編があるんですね。
タイトルが『シェリの最後』。
内容をサラッと見た限り、
読みたいような、このまま読まずにそっとしておいた方がいいような。
積読の山が減ったら考えよう。
【ガーディアン必読 85/1000】

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「晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



10年ぶりに再会した働き盛りの男たちの恋愛模様。
正直。
泉を自分の部署につけた志水サイドの理由が子供じみているし、何やら器は小さいし、
そもそも噂の内容だけで泉を責めた時点で、この男のどこがいいの?という気持ち満々だったわけですが。
その後の志水の行動が、というか、泉に対して口にした台詞がいちいちカッコよすぎてイメージが真逆に転換。
誕生日プレゼントの件が素敵すぎ。
相手の気持ちに疑念を抱いたことに対して、
謝るのは両方だという志水の言い分にも納得。
泉はちょっと疑心暗鬼になりすぎたね。
そんな不安は全部志水が腕の中で払拭してくれると思うわ。


志水と抱き合う前の泉にガーリックの効いたパスタを作って食べさせる藤近の可愛げのある意地の悪さが好き。
スピンはそんな藤近の物語。
とても楽しみ♪


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「進撃の巨人(29)」諫山創 (講談社コミックス)



終わりを願う者。
その先の未来を願う者。
誰かを守りたいと願う気持ち。
殺したいという気持ち。
ただ平穏を願う者だっているだろう。
「何のために戦うのか?」
明確に示すことができる者の方が少ない。
そして時代の流れは強い思いを持つ者に引きずられる。
だが。それは民意でも総意でもない。
息詰まる巨人同士の戦い。
暗雲しか見えない戦いの最中にあって、子どもたちの憎しみに対する連鎖の気づきと、
エレンの元に駈けつけようとする同期たちの結束が嬉しい。
冒頭で息を呑んだ彼が生きていてくれることを願いつつ。
(スカーフェイスでもカッコいいと思うの)
次巻を待つ。

例え誰が命を落としたとしても。
何らかの希望を抱けるエンドであることを願う。





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「毎日晴天!5 花屋の二階で」菅野彰 (キャラ文庫)



自分の在り方に迷う時期や自問する時期は確かにあって。
究極は何で生きているのかって問いかけもした。
だけど、そんな時代をとっくの昔に通り過ぎてきた私は
明信や龍の揺らぎや迷いを「そういう時期もあるよね」と
客観的に眺めていたたはずなのに。
結果的に龍の言葉に胸が疼いてしまった。いくつだ……。
「過去の自分は変えられない。だけど、未来の自分は変えられる」
これは誰かの明言。
悔やむ気持ちは分からなくはないけど、
そんな過去を歩んでここに在る自分を受け入れてくれた人に出会えた奇跡を
幸いに思って欲しい。


極真空手。
私も体験入門に行って向いてないと悟ったクチ。
むしろ行くまえに気付けよ、ってくらい不向きなんだけど、
百聞は一見に如かずの言葉通り、
実際に体験することには大きな意味がある。


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「夜哭烏 羽州ぼろ鳶組」今村翔吾 (祥伝社文庫)



公的な決まりごとは、時に火急の事態が起きた際には枷になる。
それを悪用した卑劣な者たちによる悪意に塗れた放火。
大切な家族の命か、市井の民の命か。
計るべきものではないはずのものを乗せられた天秤の狭間で苦悩する火消したち。
苦境を打破しようと立ち上がった男たちの漢気と覚悟に痺れ、
仲間を思う気持ちの深さに打たれる。
そして、火消しの家族の女たちの気概と覚悟もまたカッコいい。
才覚のある上に立つ者が慕われている組は、組織として立派に機能するし、とても魅力的。
ぼろ鳶に新しい仲間が加わって、これからの彼らの活躍が増々楽しみ。


「土左衛門」の言葉の由来。
知ってた気もするけど、改めて教えられて、なるほど!となりました。
今回も刺さったのは左門の言葉。
「惚れた男の命に張る。これのどこが安い」
こんなセリフを真顔で真摯に言い切ってしまう男たちの物語。

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「毎日晴天!4 いそがないで」菅野彰 (キャラ文庫)



中編2篇。
前半は勇太と真弓。
今はどんなに好き合っていても先のことなんてわからない。
だけど、その未来を疑ってしまったら、一緒にいること自体が辛くなる。
だから信じるんだと思うんだよね。こうありたい未来を。
足りていなかった部分を言葉で補いあって手を繋いだ二人。
この子たちは揉めるたびに絆を深めていっている気がする。
後半は大河と秀……というよりも、大河の物語。
弟たちを守らなければ、親がいない分たくさんの愛情を分け与えねば、
と、必死で生きてきた大河が見失ってしまったもの。
皆が笑っていられるのは、彼らふんだんに与えたものがあるからなのだと。
伝わったよね?

兄離れも弟離れもまだまだだなぁ、と思うけど。
秀と勇太が加わることによって
帯刀家の兄弟たちも、そして秀と勇太も、
人として成長して行っている様が見て取れるのが嬉しい。
総勢6人一つ屋根の下。
このままずっと一緒にはいられない。
いずれ彼らはバラバラになっていく。だからこそ、今を大切に。

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「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」今村翔吾 (祥伝社文庫)



弱さと強さを併せ持つのが人。
故に、一度気持ちが折れてしまっても、そこからもう一度立ち上がることができる。
一章ごとに増えていく仲間たち。
垣間見える彼らの人生。
岐路に立たされていたり、何かを抱えていたりする彼らは、
源吾に出会うことによって変わり、彼らに出会うことによって
火消しとして致命的な傷を負った源吾もまた変わる。
「人は何度でも立ち直れる」と叫んだ左門の言葉と、
源吾を支え続けた妻・深雪の情の深さにホロリとした。
業火に立ち向かう江戸の火消したちの物語。
ヤバイね。おもしろすぎ。
そして加賀鳶の勘九郎がが気になる私。


構成がとても親切。
江戸の火消しがなんたるものか、全く分からずに読み始めてもすんなりと理解できるように
しかも説明くさくなく示されている。
それにしても……あんなに燃えた町を再建するのにどのくらいの時間がかかるのかしら?
建材は必要な分、すぐに集められるものなの?
と抱いたクエスチョンはチラ見した次巻冒頭でしっかり記されていました。
はい。
既刊全部そろう日は遠くないかと……(笑)

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「毎日晴天!3 子供の言い分」菅野彰 (キャラ文庫)



肉親の情愛とは著しく縁遠い他人同士が家族になった秀と勇太。
二人で寄り添いあって生きてきて、そして勇太が見失ってしまった距離感。
本来の家族の在り方に気付いたのは秀。
それを不意打ちで突きつけられ、
自らが突き放されたと感じた勇太の絶望と孤独が痛いけど、
人はそうやって大人になっていく。
一方、兄たちからの愛情を一身に受けて育ってきた真弓。
真弓の振り翳す容赦ないまっすぐな想いが勇太を在るべき家族の元へと引き戻し、
勇太の帰りを待っていた帯刀家の面々が、ここが彼の家だと伝えてくれる。
だからもう、見失わない。
疑わない。
自分に向けられるその想いを。



「家族っていつでも手を離せるもののこと」
秀の言葉通り、子どもは親元を離れ、いつしか自らの家庭を築いていく。
その子どもたちも然り。
誰に倣わずとも自ずと知っていくことをああして言われるまで気付けなかった勇太。
手を離しても、そこで関係性が途絶えるわけではなく、
一つ屋根の下で暮らしていなくたって「家族」としていつまでも繋がっていられる。
そう言う大切な事、彼らは勇太にに教えてくれる。
秀と二人だけでも幸せだったかもしれない。
だけど、真弓と、そして帯刀家の面々と出会うことによってより大きな幸せを知ることができた勇太。
よかったね。

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「私の消滅」中村文則(文春文庫)



「あなたはここにいていいの。ここにいれば怖いことはなにもないの」
抱きしめて、そんなふうに囁きかけたい。
この世界が、すべての幼い子どもたちが安心して過ごすことができる環境ならいいのに。
だけど、現実はそうじゃない。
「これまで経験することのできなかった、この世界の何かの平穏を」
この一文に抉られる。
「経験することのなかった」ではなく「できなかった」。
涙が零れた。
そして大人は己のしでかした愚かしい行為について、容赦なく断罪されるがいい。
だけど、その行為が意識下で操られたものだったら?
戦慄するしかない。
私は私。
迷いなく言える自分でありたい。

文庫化待ってた!
久々の中村文則作品読了後に深いため息。
感覚的に馴染んだ彼の作り出した世界に浸れる幸せ。

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