きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「武器よさらば」ヘミングウェイ(新潮文庫)
第一次世界大戦下のイタリアで出会ったアメリカ人青年と、イギリス人女性。
酷く過酷な状況下で、それでも、時に笑顔を向けあいながら向かった彼の地で
彼らは幸せになるはずだった。
何度もささやきあった愛の言葉。
それなのに、心に残るこの喪失感とやるせなさ。
戦場での兵士たちの陽気な会話。
戦場の中に在っても、恋に落ちる者もいる。
戦争の中にも、生活があるのだ。
と、同時に、戦場の中では命はいとも簡単に失われ、
理不尽な思いを強いられる。
戦争は悲劇しか生み出さない。
それを、改めて突きつけられた。
フレドリックに降り注ぐ雨は、いつかは止む。
けれども、失ったものは決して戻らない。
「戦闘に勝ったからって、戦争に勝利することはできない」
色々と考えさせられる言葉。
え、ちょっとぉ!という、読後の放り出され感が半端なかった。
【ガーディアン必読 51/1000冊】
内容(「BOOK」データベースより)
苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。
「きみは僕に愛を突き刺す 下巻」紅井彩乃(SBBC)
ディディ?
呼びかけた名前にこめられた想い。
ねぇ、きみはいま、どこにいるの?
心許ない問いかけは、頭の中で何度も何度も繰り返され、
行き場を失った愛が溢れ出す。
僕はきみに出逢い、きみは僕に出逢った。
恋におち、幸せそうに寄り添う二人の姿にとても切なくなるのは、
彼らの未来を知っているから。
『永遠』は見えなかった。
デニスの前巻での言葉が過り、胸を抉る。
思えば、あまりにも短い幸せな時間。
何が幸せかは当人が決めること。
第三者が他人の「幸せな未来」を決めてしまっては絶対にいけない。
この本、泣かずに読んだことってあるのかしら?
でも、20年くらい手元に残しておいているくらい好き。(旧版)
頁を捲って表れたトレーズとゼクスにきゃーー!!となりました。
そんな時代もあったわ。
そして私はカトルが大好きでした。
ファーストありきなんだけど、SEEDが一番好き。
とはいえ、シリーズ全作品を通して誰が一番好きかって聞かれたら……
アスランよりランバ・ラルに軍配が上がります。
あら?何の話??
「きみは僕に愛を突き刺す 上巻」紅井彩乃(SBBC)
アイクの父が普通の一般人であったら、彼らの未来は違ったのだろうか?
地位。身分。立場。
同性というだけでもハンディがあるのに、
親の介入によって引き裂かれた恋人たち。
結果、彼らの身に降りかかった悲劇。
「父でなく、母でなく、あなたの名を」
アイクの母がデニスにそう伝えたシーンから泣きっぱなしで、
大統領が墓前で懺悔する所で涙がピーク。
今さら!という思いと、それでも二人の関係をちゃんと認めてくれたのね!という思いと。
どっちにしたって時すでに遅しなんだけど。
銃口を喉元に突きつけたデニスの笑顔が果てしなく切ない。
たとえ、苦しくとも。
生きてほしいと、願ってやまない。
涙だけにはとどまらず、鼻水までズルズルで、
ティッシュボックス引き寄せながら泣いちゃいました。
何度目の再読かわからないのに。
初読が旧版の1994年って、相当前ですね~(笑)
名作です。
内容紹介
19の年、デニスはアイザックと出会った。二人は惹かれあい、直ぐに恋に落ちる。だが、ひたむきな愛情を寄せるアイザックの心を、デニスは信じきれないでいた。辛い過去がデニスを臆病にしていたのだ。怯え、混乱する心。そんなデニスの許へアイザックの父ジョーゼフが、やって来た。「…息子と、別れてくれないだろうか」「きみは僕に愛を突き刺す 上」のデニスとアイザック、ふたりの出会いの物語!
「河北新報のいちばん長い日」
何をすべきか。何ができるのか。
自問しながら懸命に情報を発信し続けた人たちの記録。
そして、あの日起こった震災の記録。
毎日目を通し続けた誌面を今改めて目にし、色々な思いが込み上げる。
日常に呑み込まれて忘れてしまいそうになるけれども。
時々、こうして振り返ることは大事。
そのツールとしての本は偉大だ。
「新聞製作、輸送、配達」
何一つ欠けても、新聞は私たちの手元には届かない。
あの災害に見舞われた直後、新聞の発行を成し得た河北新報社。
それがどれだけ大変な事かは、被災地にいた私は少しは想像できる。
加えて、彼らがどんな思いで記事を書いたのかを、今知ることができてよかった。
地震で学んだことの一部を記載しようと思います。
周知のこともあるかと思いますが、お役にたてれば。
①水。
地震直後はまだ水は出ていました。
でも、いつ止まるか分からない状況で一番最初にやること!
それはお風呂に水を張ることです。
そして、飲料水確保の為にありったけの容器に水を汲んでおくこと!
ウチはこれをしていたおかげで、 水が完全に断たれた翌朝から慌てずにすみました。
②防災袋。
そのうち買えばいいや~、と思いがちな防災袋。
結婚式の引き出物で頂いたこの袋が、思った以上にお役立ちでした。
③必需品。
母が明るいうちに引っ張り出してて役に立ったもの。
・懐中電灯
・あるだけ乾電池
・カセットコンロ&ガスボンベ
・電池式のラジオ
これにプラスして食糧の備蓄があれば、自宅でそれなりになんとか過ごせます。
あと自転車!
あるとなしとでライフラインが止まった後の物資の調達具合が全然違います。
車がつかえないとなると、歩きと自転車とでは行動半径が全然違うので。
④おまけ。
キャスターが付いているものは揺れに強いです。
絶対に転がっていると思っていた液晶テレビ。
キャスター付きのテレビ台にのっかっていたおかげで、
1.5m近く動いていたけど、倒れていませんでした!
自室の等身大の鏡はキャスター付だったので、これも無事。
隣室のキャスター付じゃない鏡は倒れてバリバリに壊れてました。
内容(「BOOK」データベースより)
それでも新聞をつくり続けた。2011年度新聞協会賞受賞。被災者に寄り添った社員たちの全記録。
「なんか、淫魔が見えちゃってるんですけど」松雪奈々(シャレード文庫)
自称・妖精。実態はオヤジ淫魔・リターンズ。今回は妖怪とか呼ばれてましたね~。
前巻でめでたく出来上がった美和と渡瀬は蜜月。
美和にしか見えなかったオヤジが今回は周囲に見えちゃっているが故のドタバタ。
はた迷惑なオヤジな妖精のおかげで、周囲にこれまたはた迷惑なフェロモン撒き散らしの美和。
それでもとち狂ってセクハラを仕掛けてくる他部署の面々と違い、
御頭を守らねば!と奮闘する第一研究室の面々、よくやった。
美和からの誕生日プレゼントの温泉旅行で、感動に打ち震える渡瀬が可愛い。
本当に美和が大好きなんだね。
渡瀬が美和にどんな誕プレをするのかちょっと興味あるわ。
表紙でお分かりですか?
華麗に舞っているちっちゃいおっさんがが噂のオヤジな妖精です。
今回は猫に腹巻を加えられたオヤジ妖精の挿絵がインパクト大。
お尻、丸見えなんですけど??
前、どうなってますか???←
内容(「BOOK」データベースより)
淫魔にとり憑かれるというふざけた難局を乗り越え、部下の渡瀬と恋人同士になった美和。しかし、なんとオヤジ妖精がカムバック。今度は他の人間にも姿が見える…だと!?そりの合わない渡瀬とオヤジに頭を悩ませつつ、美和はまたしても男を引きつける身体になってしまう。色めきたつ同僚たち、そしてマッドサイエンティストと噂の第二研究室室長・篠澤にロックオンされてしまった美和&オヤジ。嫉妬と心配で気が気でない渡瀬は、はたして愛する人を守ることができるのか!?―。
「春の嵐」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
哀しくも、美しい物語。
そこに苦悩と愛憎が描かれていても、ヘッセの紡ぐ物語はどこまでも透明で濁りがない。
健常な脚を対価として音楽に対して謙虚に、そして真摯に向き合うようになったクーン。
音楽を介して出逢ったムオトとゲルトルート。そして、タイザー兄妹。
彼らの歩んだ人生の物語。
孤独も喜びも哀しみも。
他者があってこそ、心に響く。
彼女の存在を愛すると同時に、彼の存在も愛した。
故に、その先に破滅が見えていたとしても、
干渉することのできなかった二人の結婚生活。
「青春は一生のもっとも困難な時代です」
そう叫んだ彼を欠いた彼らが振り返るのは、輝かしい青春の日々。
ヘッセの翻訳は高橋健二氏!というのは揺らぎませんが。
時々彼の日本語選択に引っかかるときがあるのです。
今回は「ちょうちん」
「え?そこでちょうちん??」と思った瞬間、
着物姿で提灯を持って歩いている人の姿が脳裏を過り、
物語世界から現実世界に帰ってきちゃいました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
少年時代の淡い恋が、そりの事故を機に過ぎ去り、身体障害者となったクーンは音楽を志した。魂の叫びを綴った彼の歌曲は、オペラの名歌手ムオトの眼にとまり、二人の間に不思議な友情が生れる。やがて彼らの前に出現した永遠の女性ゲルトルートをムオトに奪われるが、彼は静かに諦観する境地に達する…。精神的な世界を志向する詩人が、幸福の意義を求めて描いた孤独者の悲歌。
「なんか淫魔に憑かれちゃったんですけど」松雪奈々(シャレード文庫)
胡散臭いことこの上ない妖精に憑かれたために、
男とセックスしなければならない羽目に陥った美和、38歳男性。
貞操の危機どころか、直面したのは命の危機。
縋った藁が、職場の部下渡瀬、27歳イケメン。
どうなることかと思ったドタバタから綺麗なラブストーリーにストン、
と着地したところが素晴らしかった。
もともと美和に焦がれていた渡瀬の苦悩と、
オヤジ妖精に憑かれてから美和の中で芽生えっていった渡瀬への想い。
終始一貫していた美和の歯に衣着せぬ物言いが、
あんなにもダメージを与える言葉になろうとは。
恋愛面であんなにハラハラドキドキする物語になるとは、
正直思っていなかったわ。
最後は甘さ増し増しで読了。
読友さんたちが楽しそうに読んでいたので購入。
美和の思い切りのいい性格、好き。
そもそも、オトコマエな受が大好き。←聞かれてないけど主張(笑)
淫魔とは、精を食うあやかし。
即ち、妖精=手のひらサイズのオヤジ。
インパクト大なタイトルでした。
内容(「BOOK」データベースより)
ある夜、美和の前に突如現れた身の丈十センチほどのオヤジ顔の生き物。自らを妖精と称するそのオヤジは三日以内に男と性交しなければ死んでしまうと言うのだが…。妖精?淫魔?え、どっち?てか、俺が男に抱かれる!?しかも中出し必須だと!?オヤジのたわ言と完全に無視を決め込む美和だったが、精気を吸い取られて体の不調は明らか。その上あろうことか部下の渡瀬にときめきを覚え、体が熱く反応してしまい…!?エロ大増量+書き下ろしつき。
「メメント・モリ」英田サキ(花丸文庫)
依存と盲目的な崇拝か、愛情と自由と安らぎか。
生き方もタイプも全く異なる二人の男への想いに揺らぐアキ。
アキの生い立ちを鑑みれば、その揺らぎも仕方ないよね、と思う。
どちらに対する想いが「恋愛」なのかは一目瞭然。
そして、愛情の表し方が異なれど、二人の男もまた、アキを愛していた。
穏やかに生きるには、エディと一緒にいた方が幸せ度が高いと思うけど、
個人的にはリカルドが大変好みです!カッコいい!
舞台はメキシコ。
麻薬カルテルに深く関わる者達の物語。
闇部分もしっかりと書きこまれていながら、
きれいにまとめあげる英田さんの筆力はさすが。
満足の一冊。
参考文献として挙げられていた
『メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』
これがメッチャ気になりました!
でもその前に『ザ・カルテル』。
内容(「BOOK」データベースより)
十八歳のアキフミ・サクライ、通称アキは、メキシコの麻薬カルテルのナンバー2、リカルド・ガルシア・セラノに育てられ、彼の命ずるままに暗殺の世界へ身を投じていた。ある晩、女装姿で敵に追われていたアキは、アメリカ人の元グリーン・ベレー、エディ・アッシャーと熱いキスシーンを演じて逃走に成功する。冷酷な義父、リカルドの愛だけを求めて孤独に生きてきたアキだったが、無骨でも誠実そうなエディに初めての安らぎを見いだし、惹かれていく。けれど軍人という職を捨ててメキシコへやってきたエディには、秘めた目的があって…!?