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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「郵便飛行機より愛を込めて」尾上与一(Holly NOVELS)



戦争の最中にあっても「戦いではない時間」は確かに存在する。
その中で育まれる思いがあり、穏やかに笑いあえる日々がある。
そして、終戦を迎えても、彼らの「心の中の戦争」は終わらない。
戦争の記憶は癒えない傷となり、生涯彼らの胸に留まり続けるだろう。
だけど「生きていてよかった」。
この言葉に勝る言葉はない。
散りばめられた幾つもの物語からそれらのことが伺えて、
あっちこっちで胸が締め付けられながらも、彼らの笑顔にほっとする。
そんな短編の数々です。
大好きな六郎と恒の物語なので、思い入れもひとしお。
幸せな読後感に包まれて本を閉じました。


終戦記念日の読了に相応しい物語。
読みながら、兵士の日常を描いたティム・オブライエンの「本当の戦争の話をしよう」
を思い出しました。
織姫と彦星。
情緒が全くなさそうな恒の話に何故か思いっきりうなずきかけている自分がいて……
ああ、でも、恒、間違ってないよ!と、目から鱗でした(笑)




内容(「BOOK」データベースより)

「碧のかたみ」の主人公・琴平恒と厚谷六郎を中心に、家族や仲間、笑いと涙、命を懸けてきらめいた青春の日々を、やさしい眼差しで見つめ描いた番外編集。今では手に入らない特典SSから商業未発表作品までを収録!書き下ろしは、弟・希と恒の再会を描いた「桜雨」や、恒と六郎のあたたかく幸せなやりとりなど、1945Seriesファン待望の一冊!牧オリジナル描き下ろし漫画も同時収録!!

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「ぐりとぐら」(福音館書店 )



お料理することと食べることがだい好きな、のねずみのぐりとぐら。
彼らが森でみつけた卵は、家に持って帰れないくらい大きな卵。
だけど、食べることを諦めない彼らは考えました。
どうしたらいい?
この辺り、子供達と一緒に考えてみてもおもしろそうですね。
二匹ののねずみの出した結論は、「おなべを持ってきてここでカステラを作ろう!」
彼らが用意したお料理道具の大きさにびっくりします。
森の中でカステラを焼けば、おいしそうな匂いに惹かれてやってきた
森の仲間と分けあうのはお約束。
え?キミも食べるの??というお仲間もちゃっかり混ざっています。
ぐりとぐらの表情が終始可愛いくて、ほっこり癒される絵本ですね。

エプロンをして、大きなボールをかかえてカステラを作っている姿が
なんとも言えないくらい可愛らしい。
カステラが出来上がった瞬間は一緒になってわくわくしちゃいます。
食べたーい!

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「覇者の魔鏡(後編)炎の蜃気楼8」桑原水菜(コバルト文庫)



緊迫する戦いの連続。
渦中で対峙する謙信と家康の姿に、何故か私もハッとする。
そして氏照の示した肉親の情とやさしさに涙……。
「帰っておいで」
そうやって受け止めてくれる人は、もう、いない。
帰る故郷を失った景虎に突きつけられるのは、厳しい現実。
「私に甘えないでください」
なーおーえー。
誰もが、彼が恙鏡を壊すのではないかと危惧していた。
けれども、ギリギリの所で踏みとどまった直江。
その選択は間違ってはいない。
けれども、そうやって選択した道は、
高耶にとっても直江にとっても修羅の道であることには違いがないのだ。

日光!
日光に行かねば!という想いに駆られる巻。
何度も行ってますけどね(笑)
それよりも今は箱根に行きたいかな。
箱根神社をゆっくりまわりたい。
千秋の伊達最強説がなんだか嬉しく感じるのは、多分私の地元愛。





内容(「BOOK」データベースより)

「このひとを、鏡の中から解放してほしい」それが、直江が選んだ願いだった。北条氏康の化身した竜が持つ〓(つつが)鏡に呼応し、魔鏡から高耶の魂が放出された。意識を取り戻した高耶は風魔が支配する箱根を脱出し、譲が木縛されようとしている日光へ向かうのだった。天海僧正が徳川幕府守護のために、強力な呪法を行ったという『関東大三角』をめぐって北条と上杉夜叉衆の最終決戦が始まった。

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「天使の影~アドリアン・イングリッシュ1~」ジョシュ・ラニヨン



自らがゲイであることをしなやかに受け止めているアドリアンと、
そんな自分を激しく嫌悪しつつも、アドリアンに惹かれていくジェイク。
ジェイクの申し出で付き合うことにはなったものの、
逃げ腰なジェイクの態度に傷つき、疲れ果てた
アドリアンが逃げ込んだ牧場で巻き込まれた事件。
恋愛要素とミステリー要素。
どちらもガッツリ読ませてくれながら、
最後まで目が離せない展開が続いて、読み応え抜群。
アドリアンとキスをすることすら抵抗のあったジェイクのセックスが
やさしかったのが、個人的にハッピー要素。
本来の自分たちの場所に戻った時、この二人の関係はどう進展するのかしら?

カッパハゲからザビエルを連想するのは万国共通なのかしら?
と、ぼんやり思ってみました。
途中で読むのをストップして出かけないといけないのが、
続きが気になりすぎて辛かった。
出先では楽しく遊んできましたケド(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

行き詰まった小説執筆と微妙な関係となったジェイク・リオーダンから逃れるように、祖母が遺した牧場へとやってきたアドリアンは道ばたで死体を発見する。だがその死体は保安官が来た時には跡形もなくなっていた。敷地内のスパニアード・ホロウ峡谷では学者たちによる発掘作業が行われていたが、謎の呪文や飼い犬の変死にスタッフは不安を覚えている。そして牧場の郵便受けにはガラガラヘビが。これは谷の安らぎを守る「ガーディアン」の呪いなのか?アドリアンを追ってやってきたジェイクとの関係も事件を通してゆっくりと動き出す、シリーズ第二弾。

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「グレート・ギャツビー」フィッツジェラルド(中央公論新社)



読後に胸の中に広がる感情を言葉に表すなら「寂しい」の一言。
それが、身を切られるような寂しさではなく、
どこかにあたたみの感じられる寂しさである所以は、
語り手であるニックの目縁が、最後までギャツビーに寄り添い、
どこまでも優しかったから。
デイジーに想いを馳せつづけたギャツビー。
ありとあらゆるものを手にしていたかのように見えた彼の掌を、
唯一、すり抜けていったかつての恋の象徴。
象徴が実態を持って手の届くところに現れた時、降りかかる悲劇。
何もかもが虚飾にすぎなかったかのような人生。
だが、彼は孤りではなかった。ニックという友が、傍にいたのだから。

自分の浮気を棚に上げ、妻のかつての恋の再燃を詰るトムは最低だと思う。
デイジーを詰る資格は彼にだけは絶対にありえない。
そもそもの悲劇の一因はトムにあるのだから。
トムの言い分もしでかしたことも身勝手すぎて、個人的には許せない。
というわけで、彼に神の鉄槌が下ればいいと、大人げなく思うのでありました。
村上氏の訳は素晴らしかった。
かつて読んだ他の訳者の「グレート・ギャッツビー」とはまた違った物語を堪能させてもらいました。




内容(「BOOK」データベースより)

村上春樹が人生で巡り会った、最も大切な小説を、あなたに。新しい翻訳で二十一世紀に鮮やかに甦る、哀しくも美しい、ひと夏の物語―。読書家として夢中になり、小説家として目標のひとつとしてきたフィッツジェラルドの傑作に、翻訳家として挑む、構想二十年、満を持しての訳業。

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「進撃の巨人 20」諫山 創(マガジンコミックス)



誰もが思う。
自分だけは特別だと。
だけど、そうではないのだと。
現実を突きつけられる残酷な瞬間がある。
闘わなければ勝てない。
だが、その勝利には多くの犠牲がなければ手が届かない。
「死んでくれ」といったリヴァイ。
余りにも穏やかなエルヴィンの微笑み。
犬死ではない。
明日を繋いだ者たちに、すべてを託すために、駆けつづける調査兵団。
そして、104期生も必死で考える。
かつての仲間を斃す手段を。
胸が軋みながら頁を捲る。
「海を見に行くよ」
堪えていた涙は堰を切り、ここから最後の章は大泣きしながら読了。
次巻、読みたいけど辛い……

容赦ないけど、だからこそ、読み応えがあるし、心に響くものがある。
この戦いの果てに何が残るのだろう?
その答えはエルヴィンの言葉にある。
この巻を最後まで読んで、彼の言葉を反芻して、再び号泣。

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「水滸伝1 曙光の章」北方謙三(集英社文庫)




不正の横行する政治。
暴利を貪る役人。
困窮を極める民。
そんな世の中を何とか作り変えようとする男たちがいた。
期待の持てぬ今の世の中のすべてを叩き壊して、新しい国を。
中心に立つのは、人を魅了して止まない二人の男、宋江と晁蓋。
彼らを軸に、志を同じくする男たちの輪が少しずつ広がっていく。
男達が顔を合わせるたびに心が躍り、
それぞれがとても魅力的でわくわくする。
決してぶれることのないしっかりとした芯を持つ男たちの生き様は、
たまらなく熱くて、目が離せなくなる。
彼らがどんな理想郷を作り上げていくのか。
壮大な物語の幕開け。


「別れるとき涙が出てしまう友を持てたのは、
あなたがきちんと生きたからですよ」
王進の母の言葉が胸に響きました。
獄中での凄惨な日々を生き延びた林冲。
故郷を追われた史進。
水場に強い阮三兄弟。
財源を一手に担う蘆俊儀。そんな彼に影のようにつきそう燕青。
あげていけばきりのない英雄たちの物語。
だけど、どこまでいってもベースに在るのは北方浪漫。



内容(「BOOK」データベースより)

十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた―。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。

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「弟の戦争」ロバート・ウェストール(徳間書店)



ジワジワと胸に迫ってくる想いが痛くて、哀しくて。
だけど、それだけではない何かが込み上げてきて、気付けば涙が溢れていました。
「良い戦争なんてない」
身につまされる言葉。
それぞれの国にはそれぞれの正義がある。
何より、どんな正義があったって、
そこに暮らす一般の人々の生活は誰かが勝手に踏み躙る権利は誰にもない。
イギリスという国にありながら、予想もしなかった方面から、
湾岸戦争の影響を被った家族がいる。
これは、そんな彼らの物語。
感受性の豊かなフィギスの身に起こった、とても不思議な出来事。
たくさんの人に手に取ってもらいたい良書。

ウェストール二作目。
この作者の語る物語は、児童文学の息に留まらない、訴えかける何かがある。
最後の一文を反芻しては、胸が疼く。
子供達の辿った運命が、とてもいたたまれない。
だけど、それが戦争。
目を背けることのできない真実。
著者の他の本も追いかけてみようと思います。



内容(「BOOK」データベースより)

ぼくの弟フィギスは、心の優しい子だった。弱っている動物や飢えた難民の子どもの写真なんか見ると、まるでとりつかれたみたいになって、「たすけてやってよ」って言う。人の気持ちを読みとる不思議な力も持っている。そんな弟が、ある時奇妙な言葉をしゃべりだし、「自分はイラク軍の少年兵だ」と言い始めた。フィギスは12歳。1990年、湾岸戦争が始まった夏のことだった…。弟思いの15歳の兄が、弟を襲った不思議な事件を語る、迫力ある物語。イギリスで子どもの読者が選ぶ賞を複数受賞、ヨーロッパ各国でも話題を呼んだ作品。シェフィールド児童文学賞受賞、ランカシャー州児童書賞第1位、イギリス児童書連盟賞部門賞受賞、カーネギー賞特別推薦、ウィットブレッド賞推薦。小学校中・高学年~。

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「覇者の魔鏡(中編)炎の蜃気楼7」桑原水菜(コバルト文庫)



伸ばした指の先にある理想郷。
逃げ込んだ先に在るのは、終らない狂気と妄執との決別。
他者の介在しない、二人だけの楽園で、永遠に、貴方と……
それは、独りよがりの身勝手な苦悩。
だが、景虎は直江に決断を委ねる。
そう思えてならないからこそ、直江と一緒に苦しくなる。
ほんの一瞬、鏡を抱いて水底へ沈むことを夢想する。
高耶が景虎と高耶の狭間で揺れるように、
直江もまた、景虎と高耶の狭間で揺れている。
高耶をないがしろにしない彼の想いが嬉しい。
ただの「男」でいいんだよ、と言いたいけど、
直江はそれじゃ、納得できないんだろうね。
氏康公がまさかの姿を現したところで、次巻へ。

箱根に改めて行きたくなります。
でも、今行ったら泣きそう(苦笑)
伊達、といえば政宗を連想するように、
私的には、北条と言えば氏照なんだけど、これはミラージュの影響大?
一般的にはどなたを連想するものなのかしら?





内容紹介

魔鏡に魂を封じられ、北条氏照(うじてる)の手におちた高耶(たかや)。思念波(しねんは)によって送られた映像を頼りに箱根に駆けつけた直江(なおえ)が見たのは、生きる屍(しかばね)と化した高耶の姿だった。《闇戦国(やみせんごく)》制覇を目論む北条一族は、景虎(かげとら)の魂を神木(しんぼく)に木縛(こばく)し、霊的な兵器にしようとしているのだ。一方、伊達小次郎(だて こじろう)に拉致(らち)された譲(ゆずる)は、森蘭丸(もり らんまる)の催眠術によって、封印されていた強大な《力(りょく)》を、徐々に発現させようとしていた…!!

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「新公安捜査Ⅲ」浜田文人(ハルキ文庫)



再読なのに、うっそー!と叫んで読了。
「犯罪者を逮捕する。それだけのことです」
と、きっぱり言い切る要のような刑事がいる一方で、
警察がなんだか悪者集団になっています。
ちょっとちょっと!
警察は警察の仕事を。
企業人は企業人の仕事を。
政界は政界の仕事を。
欲に溺れず、金に目を眩ませず。
己のテリトリーで職務を全うすればこんなことにはならない気がする……
と思う私は甘いのかな?
警察が警察の仕事をしないから、結局、鹿取たちが汚れ仕事に手を染めるしかなく、
あんなやり方でしか真相が暴けない。
やっぱりなんだか釈然としない。

さて。
次からは公安事案からは離れて、要たち、強行犯三係の面々の物語へ。



内容(「BOOK」データベースより)

公安刑事・螢橋政嗣の宿敵である東和地所の中村八念は、元公安の桃山を子飼いにし、警察組織に接近して東京の支配を目論んでいた。一方、金融ブローカーの転落死事件を追う警視庁の鹿取信介はその裏に中村八念の存在をかぎつけ、単なる殺人事件以上の何かを感じていた…。金と権力と野望が渦巻く中での苛烈なる闘いを制するものは一体誰なのか?大好評「都庁シリーズ」、堂々の完結篇。

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