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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ダブルバインド 1」英田サキ(キャラ文庫)



ガッツリ掴まれた第一巻。
この一冊の中でそれぞれの登場人物の人生を説明的じゃなく、
きちんと語っているところが英田さんだなぁ、と思います。
だからのめり込むし、それぞれに感情移入してしまう。
常軌を逸した殺人事件の真相はもちろんだけど、
それぞれの人たちの関係性の行方もとっても気になる。
蓮っ葉な素振りを装っている葉鳥はなんだか痛々しい健気っぷり。
そんな葉鳥に対する新藤の想いの本音を聞いてみたい。
オトコマエ美人の瀬名の心の揺らぎにそそられる。
そんな瀬那に振り回される上條のあったかい包容力は素敵。
この二人の掛け合い漫才みたいなやりとり、好きだわ。
祥とヒカル、そしてケイはどうなっていくのかしら?
諸々気になりつつ、次巻へ。

赤松くん……「○松」に「くん」がつくと、六つ子の顔しか浮かばない。
アニメ観てないのに!
影響力半端ないわ~

内容(「BOOK」データベースより)

夢の島で猟奇的な餓死死体が発見された!?捜査を担当することになったのは警視庁刑事の上條嘉成。鍵を握るのは第一発見者の少年だ。ところが保護者として現れたのは、臨床心理士の瀬名智秋。なんと上條が高校時代に可愛がっていた後輩だった!!変貌を遂げた瀬名との再会に驚く上條だが…!?謎の連続殺人を機に一度終わったはずの男達の運命が交錯する―英田サキ渾身の新シリーズ。

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「老人と海」ヘミングウェイ(新潮文庫)



この物語では、海はどこまでも傍観者だ。
干渉することなく、他人顔でただそこに在るだけ。
果てなくつづく海の上でたった独り、
巨大な魚と命がけの死闘を繰り広げた老人、サンチャゴ。
永遠に続くかに思われた死闘を淡々と描き続ける描写に、思わず拳に力が入る。
その魚との戦いに、老人は勝利した。
だが、物語はそこでは終わらない。
迫るくる脅威は別なところにあった。
結局彼は、骨だけになった大きな魚と共に、傷だらけになって帰港する。
満身創痍の身体を横たえるサンチャゴ。
だが、彼の人生に「負け」の概念はない。
ライオンの夢を見る老人は、明日もまた、海へと足を運ぶのだろう。
寄り添う少年の存在が終始救いだった。

10代の頃は、物語に含まれる重みも深みも面白さも、多分ほとんど理解できなかった。
だが、あれから歳を重ねて読み終えた今、胸にぐっとくる想いがある。
サンチャゴの寂寞と力強さがひしひしと伝わってくる。
著者の他の作品も是非読んでみたいと、そう、思わせてくれる作品でした。

内容(「BOOK」データベースより)

キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。

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「GIANT KILLING 39」ツジトモ(モーニングコミックス)



※試合結果書いてます。
ウルグアイとの代表戦。
結果はドロー。
なのに、漂う雰囲気は日本が勝者でウルグアイが敗者。
追いつかれたウルグアイと追いついた日本の違い、というよりも、
単純に試合そのものを楽しめたか楽しめなかったかの違いなのかな。
監督の柵を背負って戦うのは、良い意味でのモチベーションになるならいい。
勝てば美談にもなる。
だけど、背負わなくてもいいものを背負って戦っているようにしか見えなくて
余計なお世話だけど選手たちが不憫だった。
椿と窪田は代表選デビュー。
彼らもだけど、監督も試合そのものを楽しんでいる感が伝わってくる。
手応えのある結果を得られて良かったね。
さー、次はETU!

大人げのなさ全開の赤崎が面白すぎる。←褒めてます(笑)
そして白目を剥いたシロさんが思いっきりツボ。
なんだかんだアルバロはかっこよかった。
ブラントペーニャ。
笑顔の別れで良かった。





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「パルプ」チャールズ・ブコウスキー(新潮文庫)



ヤバくなったら金蹴り。
殴った相手の財布の中身は自分のもの。
飲んだくれの自称LA一の名探偵。
その名もニック・ビーレン。
調査に乗り出しては事態を引っ掻き回しているだけにしか見えないにも拘らず、
何故か依頼人達の問題は次々と解決していく。
何この人!?と、最初は思うわけですが……
彼の日常を追っていくと、彼なりの筋が通っている。
女好きに見えても、仕事の据え膳は喰わない。
いい加減だけど、決して人生を楽観視はしていない。
むしろ、終始ハチャメチャなだけに、チラリと覗く諦念が余計に際立って
哀愁さえ帯びるところがなんだかずるい。
とてもずるい。

宇宙人がいても赤い雀がいても、まったく不思議のない世界。
頭をニュートラルにして読むのが一番。
不思議と物語世界に馴染んでいきます。
「十匹のうさぎみたいにばんばん跳ねてる」
私、この表現はしばらく忘れられそうにありません。(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

ニック・ビレーンは、飲んだくれで、競馬が趣味の超ダメ探偵。ところが、そんな彼に仕事が二つ転がり込む。ひとつは死んだはずの作家セリーヌをハリウッドで見かけたから調べてくれという“死の貴婦人”の依頼、もうひとつは“赤い雀”を探してくれという知人の依頼。突然の仕事に大張り切のビレーンは、早速調査にのり出すのだが…。元祖アウトロー作家の遺作ハードボイルド長編。

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「危険な夏 挑戦シリーズ1」北方謙三 (集英社文庫)



【時にゃ月。時にゃ太陽。
 そういうもんだぜ。だから相棒なんだよ】

己のすべてを賭けた大いなる戦いに挑もうと集った男が四人。
殴り合いがきっかけで、その男たちの中に加わった竜一。
心を動かされるのは巨額の金ではなく、一滴の血。
その血で男の誇りと友情が買える。
戦うのは己のためでもあり、友のためでもある。
一切の無駄を削ぎ落とした文章が、過不足なく物語を語る。
風前の灯となった命。
ギリギリで繋ぎとめた明日。
戦場を掻い潜り、戦いに勝利した男たち。
だが、払った犠牲も大きかった。
男が女のために選んだ台詞がたまらなくいい。
「全部、何もかもが夢だったんだ」
彼女にとっては、それがベストだ。
男たちの戦いはこれからも続く。

権力と金力に目が濁った悪に挑んだ五人。
それぞれが貫いた漢気がとてもカッコいい。
高樹のスタンスもぶれてなくていい。
次巻がとても楽しみです。


内容(「BOOK」データベースより)

「金に尻尾を振って集まってくる連中じゃ、勤まりそうもない仕事なんだよ」バイト学生の水野竜一に深江は言った。自室の壁にペルーの地図を貼り、いつかその地にはばたきたいと夢みている竜一は、そのひとことで心を決めた。20億円もの金に目もくれない男たちが、自らの肉体と知恵を武器に巨大企業を追いつめてゆく。竜一21歳、暑くて危険な夏が始まった。

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「ポケットに名言を」寺山修司(角川文庫)



誰にでも心に抱えた自分なりの名言集や、大切にしていきたい言葉があるだろう。
時として人生に大きな影響を与えうる言葉は、武器にも癒しにもなる。
故に、著者の言葉に大きく頷くのである。
曰く。
「人と人とに出会いがあるように、人と言葉とのあいだにも、ふしぎな出会いがある」
著者自身の言葉も含め、ジャンルを跨いだ多様な視点から集められたこの名言集は、
目次にあるように「言葉を友人に持った」著者ならでは。
どの言葉が印象深かったのかは人それぞれ。
語り合うのも面白いだろう。
この先も更なる出会いを求めて、私は書物の頁を捲り続ける。

かつての私も、心に留まった言葉を書き溜めていたノートがあったなぁ、と、
懐かしく思い出したりもしました。
この本の中で印象深かった言葉。
「しかしもう一度やりなおすとしたら、私は躊躇なく同じ道にとびこむだろう」
←現在の自分の肯定。
「喧嘩のいいところは仲直りができることね」←なんか素敵だな、と思った。
「ところで、この世でいちばん大きなタマは?地球である」←なんかすっごい納得した(笑)

おともだちからの素敵なプレゼント本です。ありがとうございます!


内容(「BOOK」データベースより)

世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないか。歌謡曲あり、懐かしい映画のセリフあり、かと思うと、サルトル、サン=テグジュペリ、マルクス…。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣り合うことがあるのだから。異彩を放つ、真にユニークな書。

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「僕は穴の空いた服を着て。」菅野彰(河出書房新社)



乱暴に括ってしまえば、自分に係ること以外はすべて「他人事」。
自分には関係のないことだと、無責任な言葉を並べ立てることができる。
そこに胸の疼きはない。
だけど、係わった当事者は、いつまでもその事象に囚われる。
苦しくて、哀しくて。
その場所からどこにも進むことが出来なくて。
途方に暮れたまま、懸命に今日をやり過ごす。
ああ、だけど、手を差し伸べてくれる「誰か」の存在は、こんなにも誰かを救う。
読み始めから最後まで、胸が痛くて仕方なかった。
でもこれは、暗闇に進む物語ではない。
長い長いトンネルから抜ける物語。
生きるということは、こんなにも大変で、こんなにも素晴らしい。

個人的には何度も反芻したい物語。
家族。友達。恋人。
身近な人たちが差し伸べてくれる手の、なんとあたたかいことか。
以下ネタバレすぎる台詞の抜粋です。


「どうして子どもの父親に選んでくれたの?」
「あなたが好きだから。好きな人のこどもが欲しいの」
幸也にとって、これ以上の言葉はなかったと思う。
智美ちゃん、ホント良い子だよ。
角館に行きたくなりました。行って、桜を眺めたい。


内容(「BOOK」データベースより)

幼い頃亡くなった父への思いに囚われ続ける幸也は、恋人と新しい「家族」を作ることに怯え、混乱していた。その父への暗い思いに重なるような姉の死の謎を追ううちに、幸也がたどり着いた真相は―。

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「ビッグ・ノーウェア 下巻」ジェームス・エルロイ



【友人がいるってのはいいものだが、
 ひとたびその友人たちに嫌われたら地獄だよ】

読後に胸を占めるのは、やはり悲哀。
そして、少しの安堵とやるせなさ。
動機は出世欲だったとしても。
彼はただ、事件を解決しようと懸命になっていただけだったのに。
どうして?と、問うことは愚問だろうか。
奪われた幾つもの命。
残酷な事件の根底にあった醜悪な真実。
真実が浮かび上がっていくその様に、
息をつく暇もないくらいぐいぐいと引き込まれる。
志半ばで倒れた彼。
そんな彼の遺志を受け継いだのは、私にとっては意外な人物だった。
自らの危険を顧みなかった彼は、ある意味、とてもきれいな幕引きをした。
仲間たちに手向けの業火を。
そしてエルロイには喝采を。

正直、思想的な場面は読み進めるのが大変でしたが、
そこを乗り越えた先の事件の顛末にドキドキしました。
何故かミッキーに愛嬌を感じるのは私だけでしょうか?
ずっしりとした重量感のある読後感。
幾つかクッションを置いたら、次作『LAコンフィデンシャル』にいきます!



内容(「BOOK」データベースより)

残虐な殺人者と共振するように事件に没入するアップショー。その粘りを買って、コンシディーンは彼をアカ狩り捜査班に加える。だがアップショーの執念の捜査が一つの事件を結ぶカギを探り当てたとき、闇にひそむ悪辣な罠が動きはじめた―「LA四部作」中、もっともヘヴィな余韻を残す現代ノワールの傑作。

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「プルメリアのころ。」尾上与一(Holly Novels)



【もしもこの先、おまえと別れて、
 俺がいないところでおまえが堕ちたら、
 俺も堕ちた気がするんだろうと思うんだ】

誰もが勇猛果敢に闘えるわけではない。
誰もが志に燃えているわけではない。
闘うこと。人の命を奪うこと。撃墜される危険に晒されること。
それらすべてが怖くて、逃げ出したくて、だけど、
どこにも逃げることができずに、飛び出した空で震えるしかなかった。
それでも戦った千歳は、弱虫なんかじゃない。
根本的な恐怖は、自分に居場所がないこと。
帰るべき場所がないこと。
必要とされる人がいないこと。
守りたい人ができ、そして、帰る場所を見つけた時、彼は強くなる。
だけど、それはとても哀しい強さだ。
千歳を理解し、彼の全てを受け止めた一。
彼の正直さとまっすぐさがとてもうれしかった。

たったひとりで戦って、死んでいく恐怖。
それがどれほどのものか私にはわからない。
想像したところで、しきれるものではないだろう。
キリストの教えがなんなのかもわからないまま、
隣人愛に縋った千歳の逼迫した孤独が痛い。
一が千歳を受け止めてくれてよかった。
千歳に帰る場所ができて、本当によかった。

内容(「BOOK」データベースより)

日本帝国海軍が真珠湾攻撃から破竹の勢いで南に進んでいた頃、新垣一は南方最前線基地、航空隊の華・ラバウルに着任する。カズイの夢は戦果をあげて内地に帰り出世すること。少尉が乗る九九式艦上爆撃機の偵察員に抜擢されて喜ぶが、紹介された鷹居千歳少尉は見るからに軟弱なお貴族様で単なるお飾り少尉らしい。その上彼は航空隊員にあるまじき高所恐怖症だった。カズイは貧乏くじを引いたと落ち込みながらも少尉とうまくやろうと頑張るが、さらなる秘密を知ってしまい…。カズイと千歳は真のペアになれるのか!?凸凹ペアの切ない青春物語。

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「ビッグ・ノー・ウェア 上巻」ジェームス・エルロイ



狂気を孕んだ1950年のロサンゼルス。
彼は考える。
犯人は何故そんなことを?
密室で彼らは策謀を巡らせる。
どうやったら名声を?
異常殺人事件を追う彼と、出世欲のためにアカ狩りを目論む彼ら。
そして、『ブラック・ダリア』に引き続き、チラつくギャングの存在。
まったく異なる目的のために動いていた彼らのベクトルが、
少しずつ重なっていく。
そして、邂逅。
利害の一致から同じ軌道に乗った彼らが、
この先、どんな糸を辿り、どんな真相に行きつくのか。
すべては下巻を手に取ってみなければわからない。
良くも悪くも個性的な彼らと共に、下巻へ。

『怒りの葡萄』の時代の延長に、この時代がある。
そして『二進法の犬』や『老犬シリーズ』を彷彿とさせる単語がチラホラ。
この時代とほぼ同じ時代に日本には高樹がいたと思えばなんだか感慨深い。
登場人物の多さと、伏線を見落としてはなるまいという思いから行きつ戻りつして、上巻読了。

内容(「BOOK」データベースより)

1950年、正月―共産主義の脅威に怯えるLA。異常殺人を追う若き保安官補アップショー、アカ狩りで名声を狙う警部補コンシディーン、暗黒街の始末屋ミークス。策謀と欲望の迷宮で翻弄される三人の男たちは、暗い道の果てに何を見るのか?傑作「LAコンフィデンシャル」前夜を描く「暗黒のLA四部作」その二、待望の文庫化。

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