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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「あひるの空 43巻」日向武史(マガジンコミックス)



「こっちにもいるぞ。すごいのが」
そう、思える安心感。
弧を描く、鮮やかな軌跡。
僅差での勝負を勝ち得たのは、運でも偶然でもなく、
緻密な計算と積み重ねた努力の成果。
それを伺い知ることのできる描写の一つ一つに、震えが走る。
そして、百春がコートにいることの揺るぎない安定感。
私、待ってた!
菖蒲の監督の生徒との向き合い方が好き。
というか、もう、尊敬。
「正解」はいらない。
「間違っていない」という確信さえあればいい。
在校生・卒業生の在り様が、彼女のやり方を肯定してくれていると思う。
勝者は休む間もなく次の戦いへ。

巻末の作者の言葉を拾って、私、盛大に主張します。
この漫画が本当に大好き!
連載一話目からずっと読みつづけてきた私は、何度でも言います。
描きたい話を描きたいように描き切ってほしい。
最後までついていきます。

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「高い砦」デズモンド・バグリィ(ハヤカワ文庫NV)



【我々はまだ生きている。
 血が男の中に流れている限り、不可能ということはないのだよ】

直面した事態を打開するためには、全力で臨まなければならない。
理不尽な死を黙って受け入れるわけにはいかない。
性別も年代も職業もバラバラな九人が
知恵を振り絞り、勇気を奮い起こし、命を繋ぐために
戦闘を生業とする男たちと対峙する。
荒唐無稽な戦術は何もなく、彼らは彼らなりにできることを懸命に模索する。
組み立てられた投石器。
命がけの雪山越え。
震えながらも武器を手にした彼女。
臆病な彼が見せた勇姿。
ラストに向けて高まる緊張感。
戦いを知る男たちが歯を食いしばって見せた闘志。
満身創痍の彼らにあたたかな食事と穏やかな休息を。
そして死者の魂に安らかな眠りを。

極上の冒険小説。
一気に読み切ってしまうおもしろさでした。
「我々はまだ生きている。
血が男の中に流れている限り、不可能ということはないのだよ」
このアギヤルの言葉に、彼の政治家としての不屈の魂を見た気がしました。
諦めちゃだめだよ、というメッセージに自分なりに置き換えて、明日も頑張ろうと思います。


内容(「BOOK」データベースより)

旅客機がハイジャックされ、操縦士のオハラはアンデス山中の高所に無謀な不時着を強いられた。機体はひどく損傷し、犯人らは死亡。かろうじて生き残ったオハラたち九名は、高山病に苦しみながらも救助を求め山を下り始めた。そんな一行を、突如銃撃が襲う。一体誰が、何のために?背後は峻険な峰々。絶体絶命の窮地に陥った彼らは、驚くべきアイデアでこれに挑むが…壮大な自然に展開する死闘。冒険小説史上屈指の名作。

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「ダミー」水壬楓子(リンクスロマンス)



欲しい時に欲しい言葉をストレートにくれる男子は
三割増しでカッコよく見えます。
あの瞬間の祥吾の言葉には、私もくらっときました。
自分のことが好きになれなくて、諦めることに慣れてしまっていて。
素直に言葉が発せられなくなっていた環。
それでも卑屈にならずに毅然として生きてきたのは彼の強さ。
祥吾と再会して前に進めた環。
素直に泣ける場所ができたことに安堵しました。
故人を想い続ける人生もありだと私は思います。
でも、心が壊れちゃったままなのは痛々しすぎる。
だから、環と再会した篠崎さんも、幸せの一歩を踏み出せるといいな、としみじみ思います。

祥吾の携帯待ち受けの件は、兄弟ドタバタまで含めて微笑ましくてとても好き。
榎本が律を殴れない理由に納得☆

内容(「BOOK」データベースより)

人材派遣会社『エスコート』の調査部に所属する環は、オーナーの榎本から、警備対象の影武者になる仕事を引き受けさせられる。その間、環のボディガードにあたるのは、警視庁のSP・国沢だった。彼とは大学時代の同級生で、かつて環は彼に想いを寄せていた。しかし辛い恋の経験から、それを告げずに彼の前から逃げるように姿を消した環。約十年ぶりに再会し、共に行動する中で環は捨てたはずの国沢への想いを再び募らせていき―。

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「ラストダンス」堂場瞬一(実業之日本社)



それがどんなに稀有な事かわかっている。
思い描いたところで現実には起こりえない。
そのまま9回までなんて進むわけがない。
だけど、いや、だからこそ願ってしまう。
今回だけは、と。
どうか、今回だけは、彼らの望み通りの試合を、と。
一体となった球場と一緒に息を呑む。
その臨場感と緊張感。
それを味わうことができただけでも、一読の価値はある。
加えて、野球の舞台裏を垣間見ることもできる物語。
その部分も興味深く楽しめる。
最後はスマートさのカケラモない、あまりにも泥臭い幕切れ。
彼らの気迫と根性の成せる業。
だけど、それでいい。
だって彼らは笑っているのだから。

極めて個人的な感想ですが。
作中で「イーグルス」が多発されていたのがとてもうれしかった(笑)
あ、地元球団とはまったく関係ないのはわかっていますよ。
ユニフォーム羽織ってメガホン持って。
わくわくしながら野球場に行きたくなりました。

内容(「BOOK」データベースより)

プロ野球チーム「スターズ」の同期、真田誠と樋口孝明。ドラフト5位からスター投手にのし上がった真田に対し、即戦力と期待された捕手・樋口は準レギュラーに甘んじていた。そして今季、40歳のふたりに引き際が訪れる。優勝争いにからむシーズン終盤、真田と樋口は17年ぶりにバッテリーを組むことになるが―予想外の展開を見せる引退ドラマを濃密に描く感動作。

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「クライアント」水壬楓子(リンクスロマンス)



「俺が信じられなければ、自分を信じてみれば?」
マリヤのこの言葉、とても素敵。
自分に自信がなければ言えない台詞だよね。
気負わず、力まず。
ふわっと読める作品。
それは、彼らが地に足をつけて、迷いなく自分の道を歩いているからかな。
甘えも依存もない対等な関係。
愛情故とはいえ、それを崩そうとしたジェラルドに反発したマリヤ。
仕事に誇りと自負を持っている男として、当然の反応だと思う。
マリヤがボディガードであるが故の「覚悟」を背負った上での恋愛。
彼らなら素敵なパートナーで在り続けることができると思う。
書き下しの『キティテイル』では、
一人と一匹の猫に振り回されるジェラルドがオモシロ可愛くて……
こういうドタバタ大好きです。
「頭のてっぺんから吹き上げる雄叫び」聞いてみたい(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

人材派遣会社『エスコート』に所属するボディガードの鞠谷希巳は、ダン・サイモンのボディガードとしてアメリカに赴いた。迎えにきたのはダンの養子であるジェラルドで、鞠谷の美しい容姿から本当にボディガードなのか、ダンと恋愛関係にあるのではないかと疑っていた。一緒に過ごすうち、二人の関係は修復され、距離が縮まっていくが、実は鞠谷とダンとの間には秘められた理由があり…。大人気『エスコートシリーズ』第二シーズン始動。

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「ゴッドファーザー 下」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)



【人生はこんなにも美しい】

上巻は家族の物語。
そして下巻は戦いの物語。
揺るぎない絆がある一方で、昨日肩を抱き合っていた仲間を弾く裏切りがある。
愛には愛を。忠誠には報酬を。裏切りには死を。
彼らの棲まう世界は、かくも厳しく、かくも公平だ。
故に、水面下で秘密裏に進行した復讐への準備。
たとえ、愛する者がその行為によって悲嘆にくれたとしても。
横っ面を張られたままではいられないのだ。
守るべきは家族。組織。総括しての「ファミリー」
故に与えられる「ゴッドファーザー」の称号。
決して感情的になることなく、そして時を逸することなく、
誰もが認めざるを得ない状況下でその称号を見事に継承したマイケル。
ケイの祈りが彼の歩く道を清めてくれますように。

壮大な物語に読了後呆然。
頭角を現したマイケルのかっこよさったら!
改めて冒頭の無邪気に身を寄せ合っているマイケルとケイの姿と、
ラストの二人の姿を見比べるとちょっと胸が痛いけど。
同じところにとどまったままではいられないのが人間。
安らぐ時間はないかもしれない。
だけど、進んだ時間の先に、二人なりの幸せがありますように。


内容(「BOOK」データベースより)

ニューヨーク五大ファミリーを巻きこんだ全面戦争は、コルレオーネ家の長男ソニーの死によって終結した。ドン・コルレオーネはシシリーに潜伏していた三男マイケルを呼び戻す。やがてファミリーの後継者となったマイケルは、ドンが死を迎えると直ちに壮絶な復讐戦を開始した…アメリカを陰で支配する巨大組織マフィア。現代社会が喪失した血縁と信頼による絆がそこにはある。愛と血と暴力に彩られた壮大なる叙事詩。

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「ゴッドファーザー 上」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)



【友情がすべてなんだ。
 友情に比べれば、才能なんて屁のようなもんだ。
 友情とは家族みたいなもので、国家よりも大切なものなんだ】

友情に篤く、友情に重きを置いた偉大なる父と、
その父に敬意を抱き、そして愛した家族の物語。
血の繋がりだけには留まらない、なんとも広範囲にわたる「家族」の存在に、
ゴットファーザーの懐の広さが伺い知れる。
彼が凶弾に斃れた時の周囲の一致団結ぶりにこそ、
これまで彼が歩んできた人生が垣間見られる。
特に自らの度量とやるべきことを瞬時に判断できた長男と三男の存在。
自らの器をしっかりと自覚していた長男・ソニーの立ち回りっぷりは好感が持てたし、
堅気の道を歩むことを望んだはずの三男・マイケルが、
抗争の中へ足を踏み入れていく様は圧巻。
強大なファミリーの成り立ちを垣間見、現実に立ち戻ったところで次巻へ。

フラッシュバックするように映画のシーンが断片的に浮かんできて、
ワクワクしながら頁を捲りました。
テーマ曲のタイトル「愛のテーマ」に激しくうなずきたくなる内容。
感想の冒頭で引用している言葉を胸に刻んで、下巻へ進みます。


内容(「BOOK」データベースより)

全米で最も強大なマフィアの組織を築き上げた伝説の男、ヴィトー・コルレオーネ。絶大な力を持つこのマフィアのドンを、人々は畏敬の念をこめてゴッドファーザーと呼ぶ。そんな彼の三男マイケルは、家業に背を向け家を出ていた。が、麻薬密売をめぐる抗争でドンが瀕死の重傷を負った時、彼は、父、家族、そして組織のために銃を手に起ち上がった…独自の非合法な社会に生きる者たちの姿を赤裸々に描き映画化もされた名作。

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「ブーランジェの恋人」天禅桃子(ドラコミックス)



お互いに交しあう言葉がとてもいい。
言葉で気持ちをきちんと伝えあいながら、
急がず、流れに任せる感じで、重なり合っていく想い。
パン屋さんと作家。
職種は違っても、お互いの仕事にプラスの影響を与えあう素敵な関係。
満ち足りた時間を過ごす彼らの傍らから
ほんわり甘いパンの香りが漂ってきそうで、
とっても幸せな気持ちになります。
彼らに係る人たちも魅力的。
そして最後の藤川の言葉と浅尾の答え。
ああ、こんな誓いもあるんだなぁ、と、感動しました。
描き下ろしがベタ甘で可愛い。
個人的に大沢がツボでした(笑)。

内容紹介

パン屋のイケメン店主・浅尾には、気になる常連客がいた。無口で無表情、それでいていつも甘いパンを買って行くーーーなんとなく不思議な雰囲気を持つ彼に、浅尾は次第に興味心以上の想いがめばえ始め...? 大人の甘い色香が溢れる幸せラブストーリー!

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「思わせぶりな君のとなり」天禅桃子(アスカコミックス)



それぞれの事情により、家をシェアすることになったゲイとノンケの二人。
一緒に生活をしていくうちに、互いに寄せていく好意。
だけど、意味合いも重さも違う「好き」。
すれ違いや我慢や誤解。
だけど、二人ともお互いに対して真剣で誠実で。
触れたいけど触れられない。
一緒にいたいけど、このままじゃいられない。
悩み惑う二人の想いが切なくて苦しくて。
きゅーーっとなっていた時に、ひっかきまわしてくれた第三者存在が
ありがたいと思ったのは、私が柴崎好きだからなんでしょうね。
気持ちが通じるまでの想いが丁寧に描かれてて、ホント素敵な話しでした。

個人的に柴崎のスピン希望。
あるのかしら?


内容紹介

縁あって同居中の社交的で天真爛漫な西野とクールで無愛想な真木。一見仲の良いふたりだけれど、西野にとって真木は可愛い後輩で、真木にとって西野は愛しいひとだった…。

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「セブン」天禅桃子(クラフトコミックス)



ナナとナナオ。
二人の“ナナ”の物語。
根無し草の三葉が出会ったナナ。
欲しいものは欲しいと。
何も持たなかったナナがなりふり構わず叫んだ率直さがあってこそ、
進展した二人の関係。
大人で分別のある三葉の方が、実は他人にのめり込むのが怖い臆病者。
手探りながらも、しっかりと気持ちを確かめ合った二人。良かったね。
そしてナナオ。
彼のヒロムとの恋は茨の道。
当事者の二人以外には決して晒すことのできない恋心。
貫く覚悟を決めた二人の表情が好き。
ナナオはいつか、三葉に会えるのかな?
それともこのままなのかしら?
不明瞭なままのエンドが逆に味わい深くて良かった。




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