きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「しなやかな熱情」崎谷はるひ(ルチル文庫)
【うつくしくて、少し歪んで、でも、すべてがいとおしい】
素直じゃないくせに素直。
臣のことを端的に表している言葉。
けれども、慈英に惹かれれば惹かれるほど、その素直さが欠けて行く臣の様が痛々しい。
愛することに臆病で、愛されることに不慣れで。
それでも慈英を欲する心と身体。
臣のすべてを受け止めるために慈英の下した決断は
とても度量が広くて、大人だなぁ……と思ったんだけど。
でも、やっぱり言葉が足りてなかったんだね。
優しさと切なさと痛みと愛情。いろんな心情に心が揺さぶられました。
だんだんと惹かれあって、想いを通わせていく二人の心情の描き方が、崎谷さんは本当にうまい。
恋愛っていいなーと、改めて思いました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
画家の秀島慈英は、初めての個展に失敗し傷心のまま訪れた先で、刑事の小山臣と出会う。綺麗な容姿に似合わず乱暴な口をきく臣と会うたびに心を奪われていく慈英だったが、この感情が何なのかはわからない。ある日、偶然目撃した事件のせいで狙われ怪我をした慈英に、臣は思わず迫るのだが…!?ノベルズ版と商業誌未発表作品を大幅加筆改稿で待望の文庫化。
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「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー(ハヤカワepi文庫)
【絶対に忘れないからね。なにがあっても】
滅びゆく世界の極限状態の中で、飢えをしのぎ、寒さと戦い、
南へ、ただひたすらに南へと向かう父と息子。
そこに楽園があるとはとても思えない終末世界。
だが、希望を失うことは、生きることを諦めること。
だから二人は歩き続ける。
そのぬくもりを分かち合い、少ない食料を等分し、互いを自らの生きる寄る辺として。
人が人であることをやめてしまったような荒れ果てた世界で
他人を思いやる純真さを失わない少年。
そして父もまた、あたたかな大地のような愛を失ってはいない。
ふたりの在り方があまりにも私の知る人間らしくて。
淡々と描かれる二人の姿に、父の愛と息子のやさしさに、胸が締め付けられた。
内容(「BOOK」データベースより)
空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。そのなかを父と子は、南への道をたどる。掠奪や殺人をためらわない人間たちの手から逃れ、わずかに残った食物を探し、お互いのみを生きるよすがとして―。世界は本当に終わってしまったのか?現代文学の巨匠が、荒れ果てた大陸を漂流する父子の旅路を描きあげた渾身の長篇。ピュリッツァー賞受賞作。
「本日は大安なり」辻村深月(角川文庫)
同じ式場で同じ日に結婚式をあげることになった四組のカップル。
視点を次々と変えながら、それぞれの歩んできた人生を
とても上手く興味深く描いている技量はさすが。
そして描かれている人物達が相変わらずリアル。
共感できる出来ないはおいといて、「わかるわー」とその在り方を納得させられてしまう。
式が進行していくにつれ、彼は彼女を、彼女は彼を
とっても大好きなんだなぁ、という気持ちが伝わってきて幸せな気持ちになれる。
一組例外はあるけど、そこはまぁ、しっかり報いは受けたからね。
「人を殴りに来た」と言った彼が、全く変わっていなかったのが嬉しかった。
皆様、お幸せに☆
内容(「BOOK」データベースより)
11月22日、大安。県下有数の高級結婚式場では、4月の結婚式が行われることになっていた。だが、プランナーの多香子は、クレーマー新婦の式がつつがなく進むか気が気ではない。白須家の控え室からは大切な物がなくなり、朝から式場をうろつくあやしい男が1人。美人双子姉妹はそれぞれ、何やらたくらみを秘めているようで―。思惑を胸に、華燭の典に臨む彼らの未来は?エンタメ史上最強の結婚式小説!
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック(ハヤカワ文庫F)
アンドロイドを狩ることを生業とする賞金稼ぎ、リック。
8人のアンドロイドを狩る仕事にとりかかった彼が次第に陥っていく孤独と迷いが痛々しい。
アンドロイドを「個人」として知れば知るほど、彼らに寄り添ってしまう苦悩。
相手を「物体」と認識するか「個体」と認識するか。
迷いなく銃を撃てるか撃てないのかの違いはそこにあるのだろうか?
そしてそれは、彼が人間であるが故の迷いと揺らぎだ。
人と外見上では見分けのつかないアンドロイドを製造しながら、
彼らを見分けるためのシステムを作り出す矛盾。
それもまた、ひどく人間らしい矛盾だと思う。
論理的に説明のつかない「感情」は、人間らしさの最たるものだと思う。
喜怒哀楽。数多ある感情に、個人的には大いに振り回されていたい。
商品説明
長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有することが一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…。
「武装酒場の逆襲」樋口明雄(ハルキ文庫)
「武装酒場」の続編。
個人的には前作の方が単純に笑えて面白かった。
というか、今回の騒動の原因がシリアスになってしまったから、
単純に楽しい感情だけを追いかけられなかった。
とはいえ、酒に呑まれた酔っ払いたちは健在。
いろんなものがスケールアップしてしまった話の中で、
プロフェッショナルすごい!と、思わず拍手。
その道のプロは、手際よく穴を掘れたり、電気をひっぱってきたり、
いろんなトラップしかけちゃったりできるものなのね。
ラスボスにとどめを刺したヨーコさんには、同じ女子として喝采を送りたいと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
阿佐ヶ谷ガード下の居酒屋“善次郎”に転がり込んできた十六歳の美少女は、かつての常連客の娘だった。路上で父が殺された現場を目撃した少女の口を塞ごうと、異様な防護衣スタイルで店を包囲した謎の暗殺部隊。店にたむろするユニークな酔客たちは、たったひとりの少女を守るために再び立ち上がる。もてる知力と体力、勇気、そしてアルコールの力となけなしの幸運を最大の武器として!さらにパワーアップした“武装酒場”の続編がここに登場!「今度は戦争だ!」。
「わたしのノーマジーン」初野晴(ポプラ文庫)
【自分の力では決して抗えない、一方的に与えられた不完全な存在】
やさしさと純粋さと無知ゆえの残酷さと。
寂しさと、孤独と、不器用な愛情と。
とても切ない感情を抱えた、不完全な存在、ノーマジーンとシズカ。
ぎゅっと抱きしめたくなりました。
あなたたちは悪くない。
だから、ここにいていいんだと。
たとえそれがどんなに残酷な真実だったとしても、
シズカがあのタイミングで真実を知り得たことは、多分、必然だったのだと思う。
シズカの変化に戸惑うノーマジーンに理不尽な感情をぶつけてしまっても。
不自然にしか笑うことができなくなってしまっても。
会えてよかった。その言葉には嘘はない。
「行かないで」
それは、終わりのはじまり。
枯れるまで泣いた後には、きっと心から笑いあえるに違いない。
最近涙腺が決壊しているのか、途中から文字を追うのがタイヘンでした。
素敵なお話に出会えました。
やっぱり初野さん好きだなー。
内容(「BOOK」データベースより)
終末論が囁かれる荒廃した世界―孤独に生きるシズカの前に現れたのは言葉を話す不思議なサルだった。シズカを支えるためにやって来たという彼の名は、ノーマジーン。しかしその愛くるしい姿には、ある秘密が隠されていた。壊れかけた日常で見える本当に大切なものとは。
「ロッセリーニ家の息子 共犯者」岩本薫 ルビー文庫
本編その後。三組の恋人たちのそれぞれの後日談。
最初から最後までほのぼのしくて甘い短編集で、幸せがたくさん詰まっている感じ。
舞台は日本とシチリアと、それぞれだけど、
時間軸がリンクしている部分もあって、楽しく読めました。
ストーリーももちろんだけど、蓮川さんの挿絵にはホント眼福。
歳の差カップル、マクシミリアンのルカに対する過保護っぷりには笑ってしまった。
礼人からエドゥアールへの休日リクエストも可愛い。
レオと瑛、長男カップルの安定っぷりは半端ないよね。
三組三様のクリスマス。
なんだかとっても癒されました☆
内容(「BOOK」データベースより)
シチリアのマフィア一族・ロッセリーニ家の三兄弟・レオナルド、エドゥアール、ルカ。そして、彼らの恋の共犯者である瑛、礼人、マクシミリアン―。運命的に出会い恋に堕ちた彼らが、大切な人と初めて過ごす聖なる夜を描いた表題作の他、それぞれの恋のエピソードを描いた珠玉の短編を収録!岩本薫が贈る大人気単行本「ロッセリーニ家の息子」シリーズ文庫化第4弾。文庫化特別企画として3カップル勢揃いのパラレル短編を書き下ろした、ファン必見の一冊!
「フランキー・マシーンの冬 下」角川文庫 ドン・ウィンズロウ
【おれの愛する人生は、もうこの手には戻らない】
たぶん、わかっている。
平穏な時間はもう戻らない。
たとえ生き延びたとしても、フランクの愛した人生はもう、戻ってはこない。
過去が、彼を忘れてはくれなかった。
過去に怯える人たちが、彼をそっとしておいてはくれなかった。
フランクには誰を陥れるつもりもなかったのに。
誰が何故自分を殺そうとしているのか?
過去を思い起こしながら、襲い来る猛威を跳ね除け、今を闘うフランキーの哀しい呟き。
「すべてのものをひとつづつ奪われていく人生」
だが、紳士の時間を共にした友は、最後まで友だった。
一度使った銃は破壊して捨てる。
殺し屋になるつもりはないけど(当たり前)お勉強になりました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
何者かの罠にはまり姿をくらました伝説の凄腕“フランキー・マシーン”を、マフィアの刺客がつけ狙う。20年来の友人、連邦捜査官のデイヴ・ハンセンも重要証人の殺害容疑でフランクの逮捕状を取った。じりじりと包囲網が狭まる中で、フラッシュバックする記憶をふるいにかけるフランク。誰がなぜ、彼を消そうとしているのか。だが容疑者のリストはあまりに長く、残された僅かな時間は尽き果てようとしていた―。黄昏の元殺し屋に仕掛けられた罠。鬼才、円熟のクライム・ノヴェル。
「あめの帰るところ」朝丘戻。(ダリア文庫)
【今日も好きだった。明日も大好きだよ】
やさしくて、透明で、繊細で。
どこまでもきれいであたたかな想い。
相手を思いやる気持ちが切なくて。
愛しさを伝えられないことが切なくて。
それでも、相手にとっての最良を願う気持ちが切なくて。
涙で文字が追えなくなって、つっかえつっかえ読んだのは本当に久々。
人として何かが欠けていた能登が、社会性を身に着けていったのは、千歳の存在あってこそだ。
在るがままの自分。
ただその存在を無条件で受け止めてくれる人と出逢えた奇跡。
記憶を失ってもなお、能登を求めた千歳。
反芻するだけで、しばらく涙腺決壊しそうです。
初読の作家さんだったけど、出会えてよかった!
内容(「BOOK」データベースより)
「離れたくないって想ったら、寂しくなったよ」そう告げたのは、飄々として不躾で、どこか寂しげな予備校講師の能登先生だった。高校生の千歳は、優しすぎる彼の恋心に翻弄されながらも、幸福な時間を積み重ねた。ふたりきりの教室、一緒に見た花火、朝焼け…。けれど、それは一瞬にして千歳の中から消失した―…。恋を初めて知った能登と、恋を忘れた千歳の抗えない想いは…。
「フランキー・マシーンの冬 上」ドン・ウィンズロウ(角川文庫)
【サーフボードで海に出て、ただパドリングをしていたいと思った。
ひょっとすると、大波に揉まれて、罪が洗い流されるかもしれない】
日々の仕事を真面目にこなし、サーフィンを楽しみ、魅力的な恋人と愛を語らい、
別れた妻や娘に対する配慮も忘れない。
地元のみんなに愛され、頼られる存在であるフランク。
けれども。
そんな彼の平穏な一日が、ある日突然瓦解する。
差し向けられる殺し屋。狙われる命。
それは、凄腕の殺し屋だった彼の過去に起因するものなのか、
現在進行する、何者かの陰謀によるものなのか。
遺体がメキシコではなくアメリカに流れ着いたとき、思わず声を漏らしてしまった。
過去と現在を行き来する物語。
黒幕は誰なのか?誰が敵で味方なのか?
全く読めない展開に、ワクワクしながら下巻へ。
内容(「BOOK」データベースより)
フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。