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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「一日だけの狼」北方謙三(角川文庫)

カメラマン、望月の視点で語られる短編連作。
表題は一作目のタイトルでもあり、内容と相俟ったカッコよさがある。
掴みは完璧オッケーで、作品世界に一気に引きずり込まれる。
ホラーの怖さはよくわからなかったりするけれども、人間の怖さにゾワゾワする二作目。
うわ、気持ち悪い。
その気持ちの悪さは三作目の冒頭、身を切るような冷たい水に洗い流される。
……と、読み進めていくにつれ、
鮮明に記憶に残る過去の出来事に、今も彼が縛られていることを知る。
だから探す。異国の地で、かつて知っていた男を。
だから殴り合う。
愚にもつかない殴り合い。だけど、そこにも意味と意地がある。


原点回帰で北方。
馴染んだ文体が心地よい。
「投げてるね」「なにを?」「自分をさ」
くぅぅ、北方~~!

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「万死の追跡 傭兵代理店」渡辺裕之(祥伝社文庫)

タイで行方不明になった青年を探しに行った傭兵たちが巻き込まれたのは、
アメリカの軍事機密を巡るミャンマー・ロシア・中国の暗躍。
結果的にアメリカの失態をカバーするための作戦行動。
彼等を動かすのは大統領の頼みではなく、男の遺言。
エンタメの中にちょいちょい混ざっているリアルが、
深刻に考えさせられるものなだけに読後感が重い。
加えて、え?またですか~~!??というところで終わってしまって、読了した気がしない。
ちょっと続き!続き読まないと!
新たに加入したメンバーが続々と欠けていく展開はそろそろどうにかしてもらいたいかな。



「彼らが拒否権を持った常任理事国として国連にのさばっている限り、
世界に平和が訪れることはないだろう」
哀しいことに、同感なのです。

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「VIP 共鳴」高岡ミズミ (講談社X文庫)

シリーズ番外編。
イタリア系富豪の跡取り問題を主軸に展開する物語。
意図せずして巻き込まれてしまった和孝の行動に対する沢木の悪態に笑う。
いや、本人は笑ってんじゃねーよ!って感じなんだろうけど。
そこまで肝が据わっている和孝だからこそ、
久藤は傍に置くし、惹かれてやまないんだろうなぁ。
沢木はもうずっとそのポジションを担っていくと思うから
(そして沢木自身もそれを望んでいるはずだから)頑張って~。(←他人事・笑)
同じく騒動に巻き込まれた久藤はそれを逆手に取って自らの益に。
そういうとこ、流石だわ。
出来る男は抜かりない。


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「捜し物屋まやま 3」木原音瀬(集英社文庫)

完結巻。
白雄の出生の秘密が明らかに……と思ったら、
まさかの光の出自までが明らかに。
人を殺した、物を盗んだ、等の罪はわかりやすい。
だけど、法できっちりと罰することのできない悪意で人を害する悪人ってホント質が悪い。
嘘に嘘を重ねた悪人はそのうち自滅すると信じたい。
白雄が不可避のものとして覚悟していた「その時」。
回避できた最悪の状態。
和樹は白雄の祖母の意図には気づかないし、
気づいたところでやっぱり二人の在り様はこの先ずっと変わらないと思う。
傍にいるのは互いが互いを選んだから。
久しぶりの木原さん。
とっても楽しく読了。


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「捜し物屋まやま 2」木原音瀬(集英社文庫)

幽霊案件から始まり、四人の視点でリレーしながら
物語は遺体遺棄事件へと発展する。
子どもが帰ってこない母親を待って待って待ち続ける姿は辛いなぁ。
彼らにとって真実はとても残酷なものだったけれども。
考え得る限りのベストな着地で良かった。
伊織利ママが関わった時点でそうなると思ってたよね。
三井、光、そして多分芽衣子もかな?
和樹の元へ来たことによって救われる人の物語でもある……気がする。
次は白雄のターンかな?
最近はキラキラ下空間から大分離れてしまっているので、
ライブ行きたーい!って切実に思ってみました。

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「捜し物屋まやま」木原音瀬(集英社文庫)

4人の主要キャラの各々視点での短編連作。
まずゴミ屋敷にドン引いた。
そこに自分がいることを想像して……あ、気絶しそう。
無理無理。
風貌も怪しいゴミ屋敷の住人・三井に和樹はよく声をかけたな~と思うけど。
それも彼が白いものである所以なのかな、と後に納得。
三井はその出会いから人生の立て直しを図ることになる。
ドルオタの三井・弁護士・警察官。
彼等の想いには頷くところ多々。
僅かなヒントからお仲間を引き当てるとワクワクするよね。
共感性のなさより攻撃性がより問題な気がする白雄の闇部分。
この先、どう展開するのかが気になるお借り本。







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「ブラッディ・ファミリー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―」深町秋生(新潮文庫)

前作が外に外に向けて疾走していく物語だとすると、
今作は内に内に向けて深堀していく物語。
犯罪者を隠すなら警察の中へ。
確かに~!
とか納得している場合ではなく。
権力者に忖度して
害悪でしかない刑事を総出で隠そうとする組織はどうしようもない。
監察としてその腐敗を正そうと動く美貴が、
前回の教訓から自力で戦えるようになっていたのには脱帽。
カッコいいね。
そして、黒滝の想像を超える男、能瀬がとても良い。
徒手空拳じゃ戦えないという白幡の言は正論だけど、なんか悔しい。
黒滝と同じく、彼の腹の中を覗きたいので、続編に期待。

続編が出る前に。
次に深町作品を読むなら『ヘルドッグス』かな。



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「ドッグ・メーカー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―」深町秋生(新潮文庫)

「猛毒をもって巨悪を倒す」とあるけれども。
毒は毒かもしれないけど猛毒と言うほどの毒ではない。
黒滝の根底には他人を傷つけたくないという情のようなものがある。
まぁ、変態かもしれないけど。
それが自分で選択をして進んだ道ならば、選択をした瞬間に責任が付随する。
自ら悪事に手を染めたならば、その悪には鉄槌を。
長いものに巻かれることを良しとせず、
組織を汚す膿を絞り出すために身内と徹底的に争うことを選択した彼等の在り様がカッコいい。
後半の怒涛の展開には本を閉じる事敵わず。
睡眠より読書で一気に完走。
や~、めっちゃ面白かった。


オラオラでバチバチの本読みたいなーと思っていた時に
読友さんが紹介してくださって、これだ!と飛びつきました。感謝。
続編も買っておいてよかった。
『果てしなき渇き』以来の深町作品。
もっとノワールな感じなのをイメージして読み始めたら……あれ?思ったよりライト。(←言葉の選択肢があってるかどうかは謎)でも面白かった。
次、『地獄の犬たち』いっちゃいます?←色々気になってきた。(笑)

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「今、風が梢を渡る時 後編」かわい有美子(パレット文庫)

誰かとの出会いがこんなにも人生を変える。
沢良木にとっては鴇浦に出会ったことが、転機だった。
居心地の悪かった義実家の雰囲気すら、鴇浦は変えてしまった。
夏休み明けに戻った学校で、沢良木が自分の視野の狭さに気づくシーン。
好きだな。
頑なに拒絶してきた外部と接触することで広がる世界。
悪意に塗れた人間がいるのは否めないけれども。
それ以上に、あたたかく見守り、そして導いてくれる人たちの存在が尊い。
紆余曲折あったけれども、
かわいさんの紡ぐ美しい日本語の相乗効果もあってとても爽やかな読後。
ラストとタイトルのマッチングが素晴らしい。

学ぶことって本当に尊い。
最近若い子たちが積極的に国家資格を取っている姿を見てしみじみ思う。
今自分が通った大学を受験したら受かる自信……ないなぁ。(笑)

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「今、風が梢を渡る時 前編」かわい有美子(パレット文庫)

良くも悪くもそこにいるだけで、人の目を惹く人は確かに存在する。
人との係わり方を知らず、身を護る術を持たなかった彼は
誰に迷惑をかけるわけでもなく、ただそこに在っただけなのに。
いい年した男の粘着質なやっかっみや嫉妬が本当に見苦しいし腹立たしい。
第三高等学校生。
偏差値高いはずなのに馬鹿なの?と。
胸倉掴みたい。
まぁ、私ミニマムサイズなので無理だけど。
沢良木の傍に鴇浦がいてくれて良かったと思うけれども。
それでも事件は起きてしまう。
沢良木が悪意に潰されず学業を全うできることを願いつつ、後編へ。


日常生活において、ウィンクをする機会ってあっただろうか?
いや、ない。(←反語・笑)
これからもないだろうな。

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