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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ジェファーソンの密約(上)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)



アメリカ建国の歴史の裏に隠された謎に迫る今作は、
アメリカ・アイスランド・日本が舞台。
お馴染の表記の中に「日本 岐阜県」の文字を見つけて心が跳ねる。
おお!日本が舞台の一つになっている!と。
今回彼らが直面した事態は世界を滅亡させかねない危機で、
さらに宿敵の存在がチラついて不穏な気配しかない。
そして、騒動の一端を担い、命を狙われて助けを求めておきながら、
救いの手を差し伸べてくれた人の言いつけを守らなかった彼女には
馬鹿なの?という言葉しかない。
ハイスピードな展開は相変わらず。
事件解決と全ての謎解きは次巻へ!


調べものをする過程で知ったスーパーカミオカンデの一般公開!
とても惹かれる。
もう申し込み終わっちゃってたけど。
歴史・科学・アクション・恋愛に介護まで絡んできたけど、
お腹いっぱい感がないのがすごい。


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「明日晴れても  毎日晴天!10」菅野彰 (キャラ文庫)



母親に存在を見捨てられた昴と、母親の異常な執着に雁字搦めになった晴。
惹かれあった二人は、だけど、一人では生きる術を持たない子供で。
子供であるが故の悲痛な叫びに胸が苦しくなる。
「幸せなまま殺してあげられたら」っていう発想が辛くて、涙出るわ。ホントに。
昴の暴力は容認できないけど、
その理由が明かされていくにつれ、
闇が深いのは晴の方だと思えてしまう。
そんな二人の力になろうと必死になった達也もやっぱり子供で、
無力感に打ちひしがれる。
あらん限りの力を振り絞って
親の呪縛から飛び出した子供たちに幸あらんことを切に願う。

ジワジワ込み上げてくる想いを反芻して泣く。
私は達也と同じくのびのびと育ててもらったから。
どんな困難に陥っても親は絶対に味方してくれるって信じられるから。
晴と昴を抱きしめたくてたまらない。
甥っ子ちゃんや姪っ子ちゃんたちとたくさんハグして手を繋いで遊んできたように。





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「夜と霧 -新版-」ヴィクトール・E・フランクル(みすず書房)



冒頭部から、この本を記した著者の想いと覚悟が伝わってきて、居住まいを正す。
どんな苦難の中にあっても耐えられるのは、その苦難がいつか終わると信じられるから。
もしくは、そこから抜け出せると信じることができるから。
飢えと寒さといつ命を落とすかわからない恐怖に苛まれる状況が、
いつ果てるともわからなかったら?
心が死んでしまいそう。
それでも、生きている限り付き纏う問い。
「わたしたちは、何故生きているのか?」
私はその問いに自分なりの答えを持っている。
だけど、彼らと同じ状況下に置かれたとき、絶望に囚われることなく在ることができるのか。
答えることはできない。

自分がそちら側に立つことは絶対にないと、思い込んでいる傲慢。
人を同じ人として認識していないからこそ向けることのできる残虐性。
トップダウンでの命令系統に逆らうことのできない恐怖。
どうしてこんなことができるのだろう?と今までいろいろ考えさせられてきたけれども。
著者のはあまりにも明確だった。
「この世には二つの種族しかいない。まともな人間と、まともではない人間と」


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「月への吠えかた教えます」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



新刊前の再読。
甘さと切なさと楽しさがバランスよくミックスされていて
無難におススメできる作品だと思う。
「人間に変身できる力を持った犬」というところがポイントで、
いざ!という時の咄嗟の反応が犬過ぎて、
初読の時はこんなに笑ったかしら?というくらい、笑ってしまった。
(笑うシーンかどうかは謎だけど)
ランスってばティムのことが大好きなのね。
リリーの思い込みによる親切の押しつけは有難迷惑でしかないけど、
こういう人とは距離を置いてつきあっていくしかなかないのよね、と諦めの境地。
後戻りができない状態まで追い込まれて辿りついた場所で、
居場所とパートナーを得ることができたティム。
良かったね。


次巻はジャーマンシェパードのローマンの物語。
硬派でカッコイイ!と勝手に思い込んでたんだけど、
予告の帯の煽りを見る限り……??
そして、ジャーマンシェパード(童貞)の表記って必要?と笑ってしまった。
楽しみ☆




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「バスカヴィル家の犬」コナン・ドイル (新潮文庫)



過去の奇怪な言い伝えの真偽はともかく、
現在のそれは祟りでも呪いでもないことを知っている。
では、彼は何故死んだのか?
どのようにして?
湿った沼沢地の雰囲気が物語の薄気味悪さに拍車をかける。
住みたくないなぁ。←頼まれてない。
ホームズとは離れ、事件の真相を手繰ろうと一人奮闘するワトスン博士大活躍!かと思いきや。
美味しいところはしっかり攫っていったホームズ。
流石の存在感。
彼が加わった途端に空気が引き締まった感じと周囲が抱いた安心感が伝わってきて、
その凄さを実感。
100年経っても面白いモノは面白い。


ホームズ作品三作目。
ホームズが愉快で楽しい。
読みもしないで「ルパンの方が絶対いい!」と言い張っていた学生時代の自分をちょっと反省。
とはいえ、どっちがいいかって問われたら、今でも「ルパン!」って答えるだろうな(笑)
当時のホームズ派だった友だちと、今度ホームズ談義をしてこよう。

【ガーディアン必読 87/1000】

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「君が幸いと呼ぶ時間 毎日晴天!9」菅野彰 (キャラ文庫)



両手に余るほどの幸せを抱えて、
誰もが思いもしなかった方向へ迷走(?)した秀。
大河たちは振り回されたけど、
自分を見つめ直して、何を抱えているのかを自覚するまでの時間は
秀にとって必要な時間だったと思う。
大笑いなエンディングが帯刀家らしくてとてもいい。
勇太がホントカッコくて惚れ直すわ。
龍はカッコいいんだけど根本的な残念さが払拭できない。
同録は明信と丈の兄弟喧嘩。
分は丈の方にあるかな。
例え家族と言えども。
自分で選んだ道をしっかりと歩んでいる人に対して
闇雲に否を振り翳してはいけないと思うの。
ちゃんと仲直りできてよかったね。


自分を理解してくれている人がいるということが
どんなに尊いことなのか。
理解した秀がこの先どんな小説を生み出していくのかが気になるわ。
書けるときは起承転結が「降ってくる」。
なんだろうね。あの不思議な感覚。
だから「考える」というより「待つ」時間が長かった。(笑)

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「花屋の店先で 毎日晴天!8」菅野彰 (キャラ文庫)



作ったことはないものの「とりあえず、火炎瓶用意しておくか」と言ったことのある身としては、
実際に火炎瓶を作っちゃった真弓に爆笑していたら、長物ぶら下げてきた大河にさらに大笑い。
何を幸せと思うかは人それぞれで、言葉を尽くして言い聞かせたって
納得することは難しいだろう。
だからって「分かりあえない」と諦める事とは話が違う。
龍と明信はこれから乗り越えていかないといけないものがまだたくさんあるね。
同録は進路に惑う真弓の物語。
家の外の兄達の元を訪ね歩く真弓の姿と、彼の辿りついたものに
真弓の成長と大河の度量の広さを垣間見て。
寂しくなってしまった親目線。→

家の中での姿と外(社会だったり学校だったり)の姿ってやっぱり違う。
家族の外の世界での立ち位置を真弓がちゃんと認識したことは
とてつもなく大きなことだったように思う。
そして外の世界での姿を真弓に見せることを厭わなかった勇太の想いも尊い。
ってか、謹慎を継続する理性を働かせた勇太がすごいわ。


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「炎の影」香納諒一 (ハルキ文庫)



「憎んでいた」
そんな言葉から始まる物語。
彼の人生を一変させたきっかけは父の死だった。
そのことで何を思ったとしても、死者と語ることはできない。
いまさらに過ぎるのだ。
だが、そのきっかけがなければ、公平は父の本当の気持ちを知ることも、母の元に戻ることも、
人生をやり直すこともできなかっただろう。
真実を手繰ろうと、濃密な時間を駆け抜けた公平に手を貸した人々にも、
歩んできた人生がある。
ハイスピードな展開の中でも
彼らの人生が交錯し、より密接に絡み合い、或は離れていく様が見事に描かれていて、
作品世界に没頭してしまった。

ラスト近くの母親とのシーンが好き。
いくら離れていても、親は親なんだな、と思える瞬間。
そこで笑う人はあんまりいない気がするけど、
流れが妙にリアルで微笑ましくて、私は笑ってしまった。
手を汚す人、命を落とす人が意外と都合よく(?)振り分けられた感じがするのは……
容赦なくガツガツやられる作品を読みすぎたせいだわね。

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「僕らがもう大人だとしても 毎日晴天!7」菅野彰 (キャラ文庫)



大人だって惑う生き物だ。
安易に吐き出せない分、子どもの惑いより深いかもしれない。
前巻では勇太が惑い、その惑いが秀の惑いを誘ってしまう。
発せられる言葉は、時に人を傷つける鋭利な刃となる。
相手を思いやって呑み込んだ言葉も、
発せられないことによって思いやったはずの相手を傷つけることもある。
言ってもらえないことが自分に足りないものがあるからだと、
思い悩む秀の苦悩がとても辛い。
だからこそ、勇太が秀にその胸の内をぶつけた瞬間の歓喜と安堵は計り知れない。
秀の子育ては間違っていなかったと。
自信に思っていいんだよ。
おかえり、秀。→

秀の抱えた孤独に胸が軋んで軋んで……辛かったわ。
必死に事実を隠そうとしてきた勇太が、すべてを大河に話した瞬間がとてつもなく嬉しかった。
なんかもう、色々感情揺さぶられて大変だった何度目かの再読。

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「月山・鳥海山」森敦 (文春文庫)



「あたしね、自殺をするなら月山で死ぬの」
この作品を読んだ知人の感想である。
その言葉に先入観があったことは否めない。
雪に閉ざされた極寒の世界。
真っ白な深い雪に抱かれ、音のない山中で永遠の眠りにつく……という話ではなく。
死の象徴と言われる月山で雪に埋もれて寒さを耐え忍び、
花の芽吹く春を待つ人々から私が感じたのは、環境に準じて逞しく生きる生命力。
色のない世界で生きる人々の姿が妙に生々しい。
月山、湯殿山、鳥海山。
自分の辿った情景を振り返りつつ読めることが嬉しい。
綴られる日常で発せられる土着の言葉が心地よく響く。

「繭の中で天の夢を見る」
蚕を例えた言葉だけど、この表現がとても好き。
蚕は夢見てる間に茹でられちゃうんだけどね。←おい。
今年は湯殿山と羽黒山を訪れ、来年は月山に行こう、と話していたタイミングだったこともあり、
登録1400冊は読みなれない芥川賞作品で攻めて(?)みました。





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