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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「贄の夜会 下巻」香納諒一 (文春文庫)



諸悪の根源は勿論犯人。
だけど、命懸けで現場を駆けずりまわっている刑事たちの脚を引っ張りまくった警察上層部!
何やってんの!と言いたくなる為体。
見て見ぬふりをするのは罪。
だけど、上から強要される見て見ぬふりにどうやって抗えばいいのだろう?
だから彼は自ら死を選ぶしかなかった。
だから彼はその警察を辞める決意をするしかなかった。
だから彼は満身創痍の身体を引きずって、自ら銃を手にするしかなかった。
愛に殉じた男と、再び愛を手にした男を描いて物語は幕を下ろす。
男が決意した道を歩みつづけることは茨の道。
だけど、やり遂げてほしい。

「慟哭」からの「暴走」。
これ以外はない決着なんだろうなぁ。
くっそー。
ギリギリした気持ちが込み上げる。でもこのやるせなさ、嫌いじゃない。
打ちひしがれて弱りきった時に受け止めてくれる人がいた大河内は幸せだ。
拠り所のない人たちは、ただひたすらその苦しみを耐え抜くしかないのだから。


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「眠る探偵」榎田尤利 (ジュネノベルズ)



『眠る探偵シリーズ』の絵画的に言ったら習作。
勿論、そんなつもりで書いたわけではないと思うので、
あくまでも絵画的に言ったら。
シリーズ全巻を読んだ後に戻り読み。
これを踏まえて、あのど迫力な作品が出来上がったんだなぁ、という感慨深さ。
もちろん、こちらの作品自体もとても面白かった。
収録されているのは、どれも「家族」に視点があてられた3編。
近しい人だからこそ、泣き言が言えない。強がっていたい。頼れない。
なんかわかるな。
でも、崖っぷちでどうにもならなくなった時に手を差し伸べてくれるのは家族。
差し伸べることができるのも家族。
そうでありたい。

ここで打ち切らせないで、リテイク(リメイク?)してくれたことに感謝。





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「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



彼はたくさんの人を殺した。
罪のない人たちを、身勝手な理由で。
どんな孤独の中にあっても、寂しくても。
愛を欲して気が狂いそうになっても。
誰かを殺していい理由になんかならない。
これ、同調したら絶対ダメなヤツ。
そう思ったんだけど。
言い聞かせてる時点でダメだよね。
一緒に心が潰れそうになって泣いてしまった。
彼を模倣した男の姿に、彼の愛がいかに大きくて深くて孤独だったのかを知る。
そして訪れた平穏。
だけど、心に疼きは残る。永遠に。
だからこの先、彼を語ることのできる彼らが離れ離れになることがありませんように、
と、願いつつの読了。


圧倒されすぎて呆然。
読み応えがあるとか、おもしろかったとかじゃなく、凄い作品を読ませてもらった。
そんな感じ。
あとがきを読みつつ、イエモンのCDを持っている自分を褒め称える。
『JAM』。聴かねば。


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「贄の夜会 上」香納諒一 (文春文庫)



え?嘘でしょ!?と叫んだところで上巻終了。
完全に作品世界に呑み込まれてしまった。
二人の女性が殺された事件を契機として、
幾人もの人間が、そして幾つもの事件が絡み合っていく。
そんな中で浮かび上がってきたのは、かつての殺人の真相と、
この事件に係りのある男たちの生き様。
息をつく間もない展開の中で、どうしたって惹かれてしまう男がいる。
かつては少女のために銃を握り、今は妻のために見えざる敵を弾こうと決意する男が。
この先は男の復讐譚となるのか。
犯人を追う警察の尽力に迫るのか。
絶対悪の素性が割れていないだけにゾワゾワとした気持ちが落ち着かない。

このボリュームにこの読み応え。
それでもまだ半分。
加速する期待感が失速することなく最後までいけるといいなー。

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「儡の巫女 眠る探偵3」榎田尤利(講談社X文庫 ホワイトハート)



殺戮を繰り返す槇の願いは、きっとこれなんだろうなぁ、と思っていたことが的中……
しただけじゃ終わらなかった。
毀れた執着は更にタチの悪い方向へと軌道を変え、加速していく。
愛を押しつけないで。絡め取らないで。勘違いしないで。
そう言いたいけど。
込み上げるこの不安感はどこからくるんだろう?
疲弊しきった心を和らげ、安寧の日を得るためには、
彼らは槇という狂気と再び対峙しなければならない。
だけど、みんな槇に引きずり込まれた沼にどっぷりハマって雁字搦めになっているし、
この先も誰かが傷つきそうで怖い。


自分のオーラの色ってどんなふうに分析されるんだろう?
知りたいような、知りたくないような、やっぱり知りたいような(笑)
人のオーラや他人の夢等々、
余計なモノは見えない方が生きやすいんだろうなぁ、と、
改めて思った。
利用されるのはごめんだし、そのせいで家族が崩壊するのは耐えがたい。


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「戦争の悲しみ」バオ・ニン(めるくまーる)



砲火を浴び、銃弾が飛び交う戦争は終わっても、心の中の戦争は終わらない。
淡々と綴られる文章から、そのことを突きつけられる。
戦地に赴くことを拒む権利のない彼らは、
その意思に係らず、銃を握らされる。殺し合いをさせられる。
目の前で人が死ぬのを見続ける。
自らの命が尽きる恐怖に晒されながら。
そんな過去は彼らの心に深い傷を残し、終わらない哀しみを植え付けた。
そして「あの時に死んだ方がよかったのよ」
という彼女の言葉を理解した時に込み上げた憤り。
戦争は人間を獣にも変える。
だけど、誰かの命を救おうと躍起になれるのも人間。
色々やりきれない。

ベトナム戦争に対す知識不足を痛感。
辛うじて持ってる知識はアメリカ側からの視点の比率が遥かに大きい。
歴史をもう少し詳しく学んだ後にもう一度読み返したい。
「And who was wrong?
And who was right?
It didn't matter in the thick
Of the fights」
@Bolly Joel 「Goodnight Saigon」
【ガーディアン必読 83/1000】

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「鏡よ、鏡  眠る探偵2」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)



「世界に引きずり込みたい」
その言葉にゾクリとする。
完全に閉じきった、光の差し込まない世界に。
「引きずられないで」
真音に告げた笑子の言葉は核心をついている。
何故なら、真音は槇の心理を理解しているから。
積み重なる死体は愛の囁き。
「自分を選ぶ」と言い切った槇の根拠はなんだろう?
同録は真音と不破の出逢編。
法知識がないと、こんなに大変なことになるだ!と思うと同時に
逆に言えば、法知識があれば戦える。
大事なのは一人で抱え込まないこと。
不破は真音に見つけてもらえて本当に良かった。
建築現場の描写がとても好き。

1巻にひきつづき本編はどシリアスなんだけど、
同録の過去編が楽しすぎて読後の印象が愉快な感じに。
とりあえず逼迫したドキドキハラハラがおさまったので、
四冊一気読みという事態は避けられそう(笑)

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「人形の爪 眠る探偵1」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



一つの依頼に端を欲した殺人事件。
……かと思ったら、その依頼すら仕組まれたモノだった。
すべては一人の男の執着の証。
敢えて残した痕跡。
戦慄のメッセージ。
まっすぐに向けられる濁りのない悪意がただひたすらに気持ち悪い。
その悪意に屈するまいと、戦う覚悟を決めた人たちがいる。
いや、守る覚悟か。
自分自身ではなく、大切な人たちを。
探偵・市羅木真音や彼を取り巻く人々が個性的で魅力的。
なのに、話の内容自体はとてつもなく重い。
これはヤバイ。
続きが知りたくて、即続刊に手が伸びる。
他が手につかなくなる作品だった。

小さな子どもまで犯罪に巻き込むことを、
彼は何とも思っていない。
むしろ愉しんでいる。
そんな心理は理解できなくていい。
笑子の芯の通った強さがとても魅力的。
誰にも傷ついて欲しくないなぁ。
色々気になってすっごいドキドキする。

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「動物と話せる少女リリアーネ3 イルカ救出大作戦! 」



リリたち家族はいつもの日常から離れ、イザヤも一緒に北海へとヴァカンスに。
イルカたちとの微笑ましい交流。
環境問題へのアプローチ。
家族の中で唯一、動物と話ができるというリリの能力に対して否定的な母親との歩み寄り。
等々、読みどころは色々あるけれども、
一番は広大な海でイルカと一緒に泳ぐ描写のワクワク感!
これに尽きるわ。
任務(?)に忠実なカモメも可愛かった。
ワーカーホリック気味だったママ。
視野もガチガチに固まっていたような感じだけど、
思考は柔軟な方が良い企画が浮かんでくると思うんだ。
みんなと一緒に海に入れて良かったね。

程よい息抜きと適度な柔軟性。
これは忘れずにいたいな。
スロープが作れるスーパーおばあちゃん、すごいよ!
手先の細やかさって憧れるわ。←私、超絶雑。


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「逆説の日本史8  中世混沌編」井沢元彦(小学館文庫)



想像してみる。
もしも、この時代の京の住人だったら?
……無理!絶対無理!と白目を剥きそうになる、カオスっぷり。
自分のことしか考えていないオレオレ主義に端を発した戦いと無責任政治の結果、
土地は荒らされるわ年貢の徴収はキツイわで究める困窮。
そりゃあ、住人は怒るわ。
立ちあがっちゃうよね。
というわけで、もう一度想像してみる。
もしも決起する側だったら?
自分で集団をまとめていく才覚があったら、奮い立つだろうな、と思う。
そんなカオスな時代に現代へとつながる日本文化の礎が築かれたことがとても興味深い。
特に折り紙。
うん。ちびっこたちともっと楽しもう。

あまり馴染のない時代。
読むペースが上がるまでとても時間がかかったけど、
ラストに向かって加速していった。
こんな感じで戦国時代へと向かう素地が出来上がったのか~、と、納得したところで
(自分的)興味の最高潮かと思ったけど、
その後の室町文化の章がさらに興味深かった。
これ一冊の情報量が膨大過ぎて呑み込み切れなかったので、いつかの再読必須。

■読みたい本:『風姿花伝』世阿弥
■行きたい場所:千本釈迦堂・石清水八幡宮・龍安寺・六角堂(京都)
越前一乗谷朝倉氏遺跡(福井)

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