きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「秘書と野獣」水壬楓子 (ガッシュ文庫)
その根拠も証明できるものも何もないことを思い悩んで
推測で振り回されるのは正直、時間の無駄。
だけど、吉鹿はそれが「事実」だと思い込んでしまったから仕方がない。
そして吉鹿が思い違いをしていることを知っていて黙っていた蒼衣は
正直、気に入らない。
遊びだと割り切っての駆け引きや言葉遊びは大歓迎だけど、
一方的に振り回されるのはヤだわ~。
とは言え、その後蒼衣が振り回されてたから無問題。(笑)
欲しいモノは欲しい。
好きなら好き。
言葉にしないと伝わらないことは往々にしてある。
相手の立場を慮ることも大事だけど、それ以上に大事なこともあるんだよー。
『晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽』→『ストレイ・リング』→『秘書と野獣』
個人的には『ストレイ・リング』の右城と藤近の関係がとても好き。
今作で藤近が吉鹿に右城のことをのろけてるシーンがとても好き。
彼らの立場では恋人のことを誰かに話すことってなかなかできないだろうからね。
それにしてもこの人たち。
職場に恋愛事情引きずりすぎ(笑)。
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「逆説の日本史10 戦国覇王編」井沢元彦(小学館文庫)
電光石火。もしくは疾風怒濤。
50年に満たない生涯を、これほど鮮烈に駆け抜けた人物は、そうはいないだろう。
丸ごと織田信長の巻。
と同時に、歴史上に名を連ねる人々は、(良くも悪くも)それに値する功績(もしくは罪過)をしっかりと残している、ということを、改めて実感する巻でもある。
それにしても織田信長である。
実行力・決断力・そして発想力。
どれもに突出していたことは自明だが、それにしたって
あの時代によくもあれだけの見聞を広め、あれだけのことを成し遂げたと、ただ感嘆するしかない。
自分、なまぬるく生きてるなーと、何故か反省(笑)
井沢氏の溢れんばかりの信長愛に微笑ましい気持になる。
自分の好きな人物を調べつくし、こうして執筆できることの悦び(?)が伝わってくる気がする。
そしてあっちこっちで脳内を駆け巡る「戦国鍋」と『炎のミラージュ』から得た知識の数々(笑)。
これは私の日本史の礎。
人力で火を消すことがどれほど大変かは『羽州ぼろ鳶組』シリーズで学んだ。
焼き討ち、怖い……
いや、だからこその焼き討ちなのか。
■行った場所:日光東照宮
■行きたい場所:熱田神宮・岐阜城・大阪城(城ホールはたくさん通ったのにお城には行ってない)安土城址・安土城天主信長の館
「風の万里 黎明の空 (下) 十二国記 4」小野不由美 (新潮文庫)
嘆き、妬み、惑うことを止め、彼女たちは一歩を踏み出す。
出会うべくして出会った三人の少女たち。
彼女たちの行く先に、この酷い現状をどうにかしようとする人々がいたこともまた、運命。
「生まれてきてよかった」
そう言えるようになるにはまず、国の在り様を変えるところから始めなければならないとは。
大変だ……。
麒麟がいて、王がいて。
だけど、それだけでは国は安泰しない。
そういうところをリアルに突きつけてくるから色々考えさせられるし、引き込まれる。
信頼できる者たちに出逢えた陽子が、この先、慶をどんな国に作り上げていくのか。
とても楽しみ。
「善い国ってのはなんだろう?」
普遍的な答えってありそうでなさそう。
それは多分、時代によって移ろいゆくもの。
それでいい。
大事なのは、考えること。
「風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4」小野不由美 (新潮文庫)
三人の少女たちの自己探求の物語。
自分を憐れむばかりの鈴。
他人を妬むばかりの祥瓊。
二人が自分を顧みて現実を認識し、己の考えを改めていくまでに
様々な人たちからかけられる言葉に、一緒になって抉られて、私も己を顧みて反省。
自分を可哀そうだと思ったことはないけど、
大変なのは自分だけじゃない、ということは忘れないようにしよう。
文句を言う資格があるのはやるべきことをやった者だ。
責任の重さを自覚するものの、なすべきことが定まらず、民の暮らしを知るべく市井の中に入っていく陽子。彼女の肝の座り方がとても好き。
泣きながら読了の上巻。
下巻は再読でもわくわくする。
「雁のまわりに落ちついている国がない」という言葉が
気になって仕方がない何度目かの再読。
本筋とは全く関係ないんだけど、「滅びの王」のワードもあることだし、
私が延王大好きだから気になっちゃうのね。
言ってることがまったくぶれていない珠晶も好き。
そう思えるのは『図南の翼』を読んでいるから。
世界観の作り込み方が半端ないことに改めて感嘆。
何度読んでも面白いモノは面白い。
「月の影 影の海 (下) 十二国記 1」小野不由美 (新潮文庫)
度重なる裏切りと、悪意ある囁き。
もう、誰も信じない。
誰にも心を許さない。
と、頑なだった陽子の心が、楽俊との交流でほどけていく様があたたかくて好き。
楽俊の優しさに泣きそうになる。
決して恵まれた環境で育ったわけではないけれども、
その中に幸いと自分の生きる道を見つけていた楽俊。
彼の考え方は見習いたい。
己を顧みて反省する潔さを持ち、決して心折れることなく
「強くなりたい」と口にできる陽子はとてもカッコイイ。
慶王としての責任を背負った陽子は、
本当に何も知らない・持たない所からのゼロスタートだったのだと改めて思う。
前途多難な、だけどとてもわくわくする物語の始まり。
ふかふかの楽俊が目の前にいたら、たとえ慎みがないと言われようとも、私も抱きつきたい。
延王と延麒は好きすぎて、そこにいてくれるだけで嬉しい。
今回は慶国を追いかけて再読。
というわけで、次は『風の万里 黎明の空』。
「月の影 影の海 (上) 十二国記 1」小野不由美 (新潮文庫)
『風の海 迷宮の岸』を先に読んでいたせいもあって、
景麒の説明不足と無愛想さに失笑。
泰麒との逢瀬から何を学んだ?
とはいえ、慶という国の現状を考えれば、
景麒にも余裕がないのはわかる。
そして、彼は泰麒の次に若い麒麟。
そう考えれば、彼もまだ、成長途中なのかも。
現代社会で高校生として生きてきた陽子。
そんな彼女が突然連れてこられた世界。
ああ、ここから彼女の物語は始まったのだと。
なんだか感慨深い。
異世界でたった一人、闇と妖魔と対峙しながら生きねばならぬ彼女の孤独と恐怖、
故の荒みきった心が酷く痛々しい。
諦めないで。光は必ずあるから。
困った人に手を差し伸べるのが人なら、
その困った人を更に窮地に陥れるのも人。
騙したり裏切ったり。やだなー。
騙した人は騙される。
手を差し伸べた人には救いの手が伸べられる。
せめて、そんな因果を期待したい。
「黄昏の岸 暁の天 十二国記 8」小野不由美 (新潮文庫)
一人一人にできることは極僅かでも。
力を合わせれば成し得ることがあるのだと。
知らされる。
そして、自らの行動は自らに跳ね返ることを痛切に実感する。
信ずるに足る人間だと信じてもらうためには
自らの行動で証明する必要があるのだと。
「人は自らを救うしかない」
厳しい言葉だけど、真理。
慶も戴もギリギリのところで踏みとどまっている国。
慶はこれから成長していこうとしている国。
戴は破滅に向かっているようにしか見えない国。
そんな戴を救おうと必死で立ち上がった満身創痍の二人。
気になって仕方のなかった国の行方が、今秋漸く知れる喜び。
7年の年月は人を成長させる。
稚さのなくなった泰麒が頼もしくもあり、ちょっと淋しくもある。
何度読んでも氾王と延王の漫才みたいな掛け合いがとても楽しい。
この二人、良いコンビだわ。
そして、王として懸命に在ろうとする陽子にはエールを。
甘えたことを言わない彼女は凄いと思う。
「風の海 迷宮の岸 十二国記 2」小野不由美 (新潮文庫)
何度読んでも泰麒のいとけなさと愛らしさと懸命さに涙。
子どもが頑張っている様は胸に刺さる。
10年間異世界で暮らし、漸く戻ってくることのできた故郷。
帰還したばかりの彼に課せられた重大な使命と周囲の期待。
そのことが彼に大きな重圧をかける。
この世界のしきたりを泰麒は知らない。
子どもらしく無邪気に振る舞っていた泰麒が、だんだんと萎れていく様が辛い。
己に自信と誇りを持ち、何事にもまっすぐに立ち向かっていく驍宗の様は潔いと思うけど、
苛烈すぎる覇気が眩しすぎて痛いのは伝わってくる。
そんな驍宗をも唸らせるほどの資質を持った泰麒。
胸を張って、自信を持って。
何度読んでも悪役ぶっている延王に惚れ惚れする。
驍宗にはもう少しゆとりというか遊び心があってもいい気がする。
これから……かな。
「魔性の子 十二国記 0」小野不由美 (新潮文庫)
壮大な物語の壮大な序章。
序章の段階でここまでの世界観とプロットがしっかりと構成されていることを
再読することで実感する。
彼が忘れてしまった空白の時間。
今彼がここにいることで混乱に陥っている国の様相。
紡がれる異世界の言葉の意味。
目に浮かぶ事象に想いを馳せては、しみじみと思う。
ものすごい物語を手にしているのだと。
至福と感動が込み上げる。
居心地の悪さを感じながら漫然と過ごす世界から、
彼が本来の在るべき世界へと戻るまでの物語。
「あなたが死ねば、あの方も死にます」
そう。あの方の元へ。
そして、滞っていた時間が動き出す。
10月の新刊が待ち遠しい。
この作品に関しては、自分の抱く感想って何回読んでも変わってないんだなーと。
前回の自分のレビューを読んでみて改めて思う。
同じような事言ってる(笑)。
ので、今回の感想は敢えてそのままの部分と、あんまりにも同じすぎて書きなおした部分と。
『人間失格』はガラッと印象が変わった作品。
『星の王子様』も引用箇所がまったく同じだった。
初読の時には素通りした気づきがあるから、再読は面白い。
新刊発売の前には既刊の再読を。
これは読メで学びました。