きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「三国志12 ~霹靂の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
出てくるたびに、あ、馬謖、と思いながら読んでしまったせいか。
孔明と向き合うシーンで大泣きしてしまった。
ここで泣いたのははじめてだわ。
馬謖が好きな訳でもないんだけどね。
張飛といい馬謖といい。
北方テイストが加わって、なんとも魅力的な人物になったよなぁ、と、つくづく思う。
そして最後に散っていった蜀にとっての大きな星。
歩みを止めることなど許されない、孔明の背負った孤独がやるせない。
一方の魏。
「実現できることは夢ではない」
常人には図ることのできない力を持っていたはずの、曹丕の諦念が哀しい。
どよーん、とした気分のまま、最終巻へ。
遥か未来の銀河の彼方で。
シェーンコップが「泣いて馬謖を斬る」と言った時にはびっくりしたわ。
凄い!古来からの書物がここまで!って。←ちょっと間違った感動の仕方(笑)
そして友だちが「この間上司の机にあったメモに「泣いて馬謖を斬る」って書いてあってさ。
誰のこと?って考えちゃったよ」と言っていたのも忘れられない。
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「PROMISING :DEADLOCK season2」英田サキ (キャラ文庫)
恋愛して結婚して。
生活が安定してからの変化に戸惑い、
自分の為、そして愛する人の為に苦悩する、ロブとヨシュア。
想いを呑み込んで目をつぶって流してしまわずに、きちんと吐き出して向き合って。
ぶつかり合いながらも二人が出した結論がとても素敵。
気持ちを整理するために時に一人になることも必要だよね、とも思いつつ、
話し合うことって本当に大事だと思う。
ヨシュアの取った行動が最高に良かった。
今回はヨシュアの言葉が随所で響いた。
ディックやユウトたちとの関係性も含め、
作品自体の安定感って半端ないと思う。
また彼らに会える日を楽しみにしつつの読了。
まさかの牧場主の出現に、牧場主好きなお友達の姿が脳裏を駆け抜けていきました(笑)
そして、キングの『死のロングウォーク』を再読せねば!と、何度目かの決意。
「三国志11 ~鬼宿の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
自軍の中にあっての孤立無援。
陸遜の凄まじいまでの粘り強さと根気には、鬼気迫るものがあった。
そして、その孤独がとても痛々しい。
だが、頼もしい理解者もいた。
だからこそ、貫けた意思。
血反吐を吐きながらも、自らの戦略を信じ、貫いたが故の勝利。
お見事でした。
一方の敗北を喫した劉備。
「やるべきではない戦をした」と彼は言うけれども。
あそこで動いた劉備だからこそ、多くの者がついてきた。
苦楽を共にしてきた兄弟を亡くし、失意に沈んだ彼が
気力を奮い立たせて伝えたかった「ある言葉」。
劉備が孔明に託したその言葉に泣きそうになってしまった。
「みんな、いなくなってしまいましたね」
孔明の言葉が寂しく刺さる。
あまりにも大きな人を(偉大な人ではない。大きな人)失ってしまった
喪失感がヒシヒシと伝わってくる。
残り二冊。それでも明日に向かって歩いていかねばならない彼らの行く末をみとどけます!
「パブリックスクール -ツバメと殉教者-」樋口美紗緒(徳間書店)
酷い環境下で育ってきたにもかかわらず、
クリアでやさしい気持ちを損なっていない二人の恋。
立場がまったく違えど、自分を殺して他者の為に懸命に献身する二人の姿が痛々しい。
親の庇護がなければ生きられない子どもに対する、その親からの虐待は本当にやるせない。
そして、学校という世界の中に存在する差別や偏見による階級差。
なんとも息苦しい世界で生きる子どもたち。
そんな中でも諸般の事情を俯瞰して、裏で色々糸を引いていたメンベラーズに感服。
散々辛い思いをしてきたスタンとケイトには、今度はお互いの為に心を砕いてもらいたい。
甘やかな日が続くことを願うわ。
出来上がってみれば、スタンがヘタレで犬属性だったことに、微笑ましい気持になってみた。
最終的にはケイトが無自覚に手綱を握っている関係になるんだろうなぁ、という漠然とした思いは、
小冊子を読んで確信に変わりました。
アルバートには周囲の人たちにどれだけ感謝してもし足りないという事実を
胸にしっかり刻んで欲しい。
このシリーズ好きだわ~~、と改めて実感したお借り本。
「ボビーZの気怠く優雅な人生」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
ザ・エンターテイメント!
諾でも死。否でも死。どっちにしろ崖っぷち。
へなちょこな泥棒が伝説の麻薬王になりきって、生き抜くことができるのか?
そして、自分の命すらままならない状況下で、庇護すべきものを抱えてしまったら?
それは、自らの行く手を遮るお荷物にもなり得るし、
持てる力以上のものを発揮できる原動力にもなる。
ティム(27歳)とキット(6歳)のコンビが殺し屋たちの魔の手を躱していく様が
とても楽しくて、時にホロリとくる。
キットを守るためにへなちょこを脱していくティムの成長物語……とは言いすぎか。
へなちょこが最後にみせた決死の覚悟。
おもしろかった。
顔に生涯癒えない醜い傷を刻むと脅され、
口紅でその傷を描くような線を引いたエリザベスの姿が印象的。
誰かのために戦える人たちの芯は容易には折れない。
あとがきの出だしの四行に大笑いして、そのノリわかるわ~、と納得の読了。
次のウィンズロウは、出版順通り『野蛮なやつら』→『キング・オブ・ルール』といくか、
前日譚の『キング・オブ・ルール』を先に読むか。
悩み中。
「氷刃の雫」水壬楓子 (ガッシュ文庫)
急逝した父に代わって組の代紋を継ぐことになった一生。
期間は二年。
せめてその間だけ、五年離れても想いを殺しきれなかった男の傍で。
諦念に塗れた想いがやるせない。
イギリスでのきままな独り暮らしから一転、柵を背負ったヤクザの世界へ。
懸命に頑張っていたけど、そりゃあ、逃げ出したくもなるよね、という事態へ。
そこからの巻き返しが凄かった。
囚われた想い人。
結局、蛙の子は蛙。
日本刀を手に秀島を救出しに行った一生。
その姿を目の当たりにした組員はそりゃあ、心酔するだろうね。
余りにも痛々しい一生の幕引きに、秀島からのまさかの反撃。
とても良かった。
ラストに全部持っていかれました。
本来は笑い処がどこにもないはずなのに、
最後の最後で「直江(@ミラージュ)がいる!」と思わず爆笑。
直江を彷彿とさせる狂犬がいたわ。
直江よりよっぽどソフトだけど。
直江ほどネチっこくないけど。
そもそも「直江がいる!」と叫んだ私もどうかと思うけど、
叫ばずにいられなかったほどの直江仕様。
秀島と直江が重なって妙な愛着が湧いてきました。
「三国志10 ~帝座の星」北方謙三(ハルキ文庫―時代小説文庫)
張飛の悲しみと声なき慟哭が最後まで聞こえてきて。
胸が押しつぶされそうになりながら読了。
再読でもダメージ半端ないわ。
その最中に落ちた巨星。
一つの時代の終息……と言い切るには早いか。
彼の存在感の大きさを改めて思い知らされる。
「冬に舞う蝶」この章タイトルがとても好き。
時を待つ時間は確かに必要だったかもしれない。
だけど、蜀に必要だった時間が呉に策を弄させる時間を与えたのだと思うと、
口惜しい。
酒に溺れた時点で、生じた隙。
だけど、悲しみを呑み込むにはそれしかなかった。
そんな一面があるからこそ、愛された彼。
張飛の名を呟く陳礼に涙が止まらなかった。
「長い旅だった。そして面白い旅だった」
曹操はある意味、やりきったと思う。
死に際にこう言えたら最高だね。
やり残したことはあっても楽しかった。
例えば明日死んでも、そう言い切れる人生であるといい。
「LOVE and EAT~榎田尤利のおいしい世界~ 」(SHYノベルス)
榎田さんの作品世界のお料理を実際に作った写真と、
懇切丁寧なレシピがついている上に、
その後の彼らの姿まで垣間見られるという、
眺めていて楽しくて、読んでとても幸せになれる本。
レシピの中のお料理が実際に作中に出てくる楽しいお話は
『ペットラバーシリーズ』の彼らと『交渉人シリーズ』の彼ら。
轡田とユキが大のお気に入りの私的には小躍りしたくなる感じでした。
フィルム映像を観ているかのような、奈良さんのカラーのイラストストーリーも素敵。
お料理本としても素敵だけど、これは絶対に榎田さんの作品を読んでから眺めると
幸せ度が倍増しになると思うの。
お友だちと一緒に半日かけてレシピ本を見ながらお料理を作って、
出来上がったお料理を食べながら存分に榎田さんの作品を語る会。
うん。
機会があったらやってみたいなぁ。
ものすごく楽しそう。
そして会話はものすごく脱線していきそう(笑)
「ラブセメタリー」木原音瀬(集英社)
想像、或は妄想の世界は当人の自由。
その中でどんな行為に及んだところで、誰にも咎められることはない。
だけど、その妄想をリアルに実行してしまったら、それは犯罪。
その中で踏みとどまることができるか否かが
ひとつの分岐点であるのだと思う。
辞めることのできない薬や煙草と同じ。
一度手を出してしまったら、次へ、次へと手が伸びてしまう。
禁断の味を知ってしまわないように、懸命に踏みとどまろうと自制する久世と、
欲望の誘うままに手を伸ばして堕ちてしまった森下の人生がとても対照的。
思考そして嗜好。
本当に、どこから生じてくるものなのかしらね。
最初から町屋が自分の素性を明かしていたら、
町屋と久世はせめて友だちになれなかったのかしら?
とチラリと思ったお借り本。
無理かな。どうだろう?
久世は自分のモノも汚いって思ってるのかな?
とも思ってみた。
「すみれ荘ファミリア」凪良ゆう (富士見L文庫)
美寿々の生き方はとても好感が持てる。
彼女の定義した自然体。
しんどいながらも自分が楽に呼吸できる環境って大事。
隼人の人との付き合い方は、納得できる部分と、そうじゃない部分と。
裏表のある人間は、私だったら切り捨てる。
じゃないと、自分が疲れちゃうから。
青子の執着は気持ち悪い。
それは他人に対する愛情じゃなくて、ただの自己愛と自己憐憫。
母になったことのない私は悦実を糾弾することはできないかな?
だけど、彼女の子どもに対する在り方は納得できない。
身に降りかかった理不尽の全てを許した一悟。
虚無の中から漸く立ち上がろうとした央二。
二人のこれからが穏やかでありますように。
引き算どころじゃなく、色々バッサリと切り捨ててしまった私は、
みんなやさしいなぁと思ったり、じれったかったり。
切り捨てるのは簡単なんだよね。
だから、曖昧なまま見ないフリをしてゆるく続けていくスタンスの付き合いが
できる彼らがすごいなぁ、と思います。
まぁ、自分がそうできるかどうかは別(笑)
軽く読める本かと思って読み始めたら、色々考えさせられたお借り本でした。