きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「空飛ぶ広報室」有川浩(幻冬舎文庫)
頑張って楽しく感想書こうと思ったけど、
頑張るものではないので率直に(笑)
リアルを知るためにはこの上ない構成だと思うし、
リアルを知ってもらうことってとても大事。
でも、リアルに震災を体験した身としては、最後に加えられている
「あの日の松島」に全部持っていかれて、どよーん、となっています。
できれば、違う出版物として出していただけたらありがたかった。
震災を語りたくないわけじゃないんだけどね。
この作品自体は震災を語るものじゃなくて、彼らの再生と成長をわくわくしながら追っていく物語。
だから、この作品は幸せに読み終わりたかった。
Finマークついたところまでは、本当に楽しかったから。
全く感想になってないけど、たまにはアリだよね。
ブルーインパルスは機会があったらリアルに飛行しているところを是非見ていただきたい。
はじめて見たのって、インディー観戦に行ったツインリンク茂木。
サーキット場でブルーインパルスジュニア(改造バイク)の地上でくるくるする可愛い走行(?)を見て喜んでいたら、轟音と共に空を駆け抜けた機体。そのまま披露されたど迫力の展示飛行。
震える程感動しました。
結局、松島基地まで航空祭を見に行くほどハマった思い出。
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「背徳のマリア 上」綺月陣 (ガッシュ文庫)
3篇+描き下ろし。
1作目のモチーフは人魚姫。
だけど、ファンタジーの枠に留まらず、
これなら在り得るかもしれない、というリアルがさすが。
彰の恋はああすることでしか成就し得なかった。
逆に言えば、あそこまでして圭介の傍にい続けようとした彰の情の在り様が痛々しい。
でも、死ぬ気で欲したものを手に入れようとしたら手段なんて選んでいられない。
だから、彰の選択は間違っていないと思う。
それを受け入れるか拒絶するかは圭介の選択。
捨て身の賭けであったことには違いない。
表題の物語の感想は下巻へ。
同じだけの狂気を宿していないと、受け止めきれない結城の妄執。
和己の雁字搦め感が半端ない。怖いな。
描き下ろしは会話として成り立っているのに、
まったく噛み合っていない圭介と彰の心情。
彰サイドに寄ってしまえば、とても切ない。
口は悪いし、乱暴だし、ガサツだし。
だけど、やさしくて困っている人のことは放っておけない
安藤先生、とてもいい人。
懐は広いし、意外とまともなこと言ってるし、
何より彼の抱えた切ない恋情と、純粋な友情がいい。
前半2編の主役カプは安藤に存分に感謝するしかないよね。
「メルヒェン 」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
ヘッセの紡ぐ『メルヒェン』は、不思議な浮遊感の中に
胸を突かれるようなほろ苦さが織り交ざった物語。
透明な水が流れるような言葉の美しさに浸っていると、
不意に突きつけられた何かに息を呑む。
印象的なのは以下の三篇。
「アウグスツス」
愛されすぎることによる欠落と、見返りのいない愛を抱くことの充足。
ふり幅が極端すぎて疲れ切った彼が痛々しい。
「別な星の奇妙なたより」
彼が迷い込んだ世界こそが私たちの世界。
と、思えてしまったことがなんだか淋しい。
「ファルドゥム」
解けなかった魔法。
『メルヒェン』を冠するに、最もふさわしい物語。
「アウグスツス」を読みながら過ったのは『銀河鉄道999』。
愛されすぎて愛を返せず、生きることを放棄しかけた彼の心理と、
機械の身体で永遠を彷徨う人々の空疎さとが重なったのかな?
幼少期の私はメーテルじゃなくて鉄郎になりたかった。
「サイメシスの迷宮 完璧な死体」アイダサキ (講談社タイガ)
思い出を大切に抱えていくことと、事象を寸分違わず記憶していくことは意味合いが違う。
思い出と共にその時感じたあらゆる感情がリアルに押し寄せるとしたら?
しかもそれが負の感情だったら?
それはとてもしんどい。
超記憶症候群の羽吹とそんな彼とバディを組むことになった神尾の物語。
異常犯罪の真相を紐解いていくと共に、随所で語られる彼らの過去。
この物語そのものが、この巻だけには留まらない、
綿密に練られたプロットで構成されているのだということに気付かされ、興奮マックス。
彼等はこれからもバディとしての距離感を模索しながら、
良いコンビになっていくんだろうなぁ。
続刊、期待します♪
とりあえず自分が女性警察官の身体条件を満たしていないことは理解しました。
宇宙飛行士もダメなんだよね。いや。そもそもお呼びじゃないんですけど(笑)
父親の死の瞬間に立ち会えなかった神尾の悔恨。
イロイロ事情があって、父親の葬儀の時は絶対に泣くまいと意地を通した私。
素直に泣けるまで一年かかったことをちょっと思い出してみました。
「OUTLIVE DEADLOCK season2」英田サキ (キャラ文庫)
頁を開いた瞬間の口絵の素敵さとカッコよさに否応なしにテンションがあがり、
軽口をたたき合う懐かしい面々に再び出逢えた嬉しさを噛みしめながらのふわっとした入り。
そして、表紙に偽りなしのアクション展開。
もう、最高のエンターテイメントでした。
でも、一番の核になる部分は「一本の線を歩いていくような毎日」
この一言に尽きるかな?
同棲していた一年半の間にディックとユウトが日々積み重ねてきた想い。
揺るぎのない愛情の深さが会話や仕草から滲む様子になんだかもう、感無量。
ひと騒動終えて帰り着いた我が家での優しく穏やかな時間が彼らのリアル。
これは特典ペーパーまでで一つの物語ですね~。
ユウティ可愛い。
それにしても、イラストで見るとよりど迫力なイイ男のオンパレード(笑)
目の保養ってこういうことよね。
幸せに読了☆
「ガラスの獅子」北方謙三(光文社文庫)
獅子とは、雄々しく誇り高いもの。
ガラスとは、砕け散るもの。
タイトルの意味を悟った時、覚悟が決まった。
彼はとっくに腹を括ってそこにいるのだということがわかったから。
関島と林。
二人の策士に巻き込まれた形になった野崎だけれども、
結局は自らの意思で首を突っ込んでいく。
事態は次第にキナ臭くなり、
探偵なのか傭兵なのかもはやわからない働きっぷりになっていくわけだけど、
だからこその野崎。
ガラスの獅子が貫き通したプライド。
孤高の獅子が零した本音は、何よりの手向けになるだろう。
そして、満身創痍の獅子は眠る。
明日また、立ち上がるために。
美雨と野崎のちょっとほのぼのしい感じの会話がやっぱり好き。
シリーズ三冊、読友さんからのプレゼント本。
ありがとうございます!
「ご主人様と犬 3」鬼塚ツヤコ(ビーボーイスラッシュノベルズ)
平の正体がバレたところで、上総と平の間に生じた気まずさと息苦しさ。
距離感の取り方や接し方に戸惑ったまま、
だけど、上総は平を手放すわけではなく、傍に置く。
その間の平の委縮っぷりや落ち込みっぷりには
こちらまで胸が締め付けられる始末。
その空気感に堪えかねて家を出た平。
だけど、彼は上総と共にいることを諦めなかった。
浅知恵でも、考えて行動を起こしたことに意味がある。
結果、大ピンチに陥る訳だけど、Noホストは無敵のヒーローでした。
犬の平と人間の平が
上総の間でだんだんと齟齬がなくなって融合していく。
「素の顔」を晒せるようになったら、それは間違いなく家族だね。
後半はそんなシリアス展開がぶっとぶバカップルっぷり。
お幸せに☆
八百屋さんが練乳くれた瞬間に過った光景がまさにその通り過ぎてな。
自分の思考回路にがっかり。
うん。食べ物、そんなふうに扱っちゃダメ。大事にしよう。
読友さんの「ショボイ」連発がどういうことなのかとっても気になって読んでみたわけですが☆
結果、ショボイ平よりもカッコイイ竟輔に打ち抜かれてのシリーズ読了となりました(笑)
「遊戯」藤原伊織(講談社文庫)
5編の短編連作は未完に終わる。
もっと彼の織り成す世界に浸っていたいという想いが込み上げる。
だが、彼はもう、どこにもいない。
だから、この物語は終わらない。
彼らの朝は永遠に繰り返される。
陽の光が射しこむ穏やかな朝で良かったと。
そう、思う。
拳銃の存在感が半端ないんだけど、意味するところを考えたところでそれこそ意味がない。
未完の物語の後に収められた短編「オルゴール」は
登場人物たちの悲哀の色を帯びた人生を描いた物語。
燃えるような赤い夕陽を鮮明に脳裏に思い描きながらの終幕。
その余韻は、夕陽の残光のように胸にチラつくのだ。
この、読後にジワジワと波紋のように広がる余韻は藤原伊織ならでは。
未完の『遊戯』とい遺作の『オルゴール』。
これを読んじゃったら、彼の作品は全部読み切ることになっちゃうのよね~、
と、なかなか手を出せなかった作品ではありますが。
今が読むタイミングだったようです。
始まりは『テロリストのパラソル』から。
出逢えて良かった作家さんです。
「機龍警察 狼眼殺手」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
派手さはない。
だが、果てしなく重い。
一字一句読み逃すまいと、相当の緊張を強いられながら最後まで項を捲った。
スルリとすり抜ける影。
歯ぎしりしたくなる想いを呑み込んだ直後に思いもよらないところから示された正義の言葉に
涙が滲んだ。
まだ大丈夫、と。
突入班の彼等は多くを語らない。
だが、巨大な陰謀を暴くための捜査をする過程において、
内部での彼らに対する理解と結束が深まった姿に安堵する。
語らぬ彼らのその在り様から学ぶところは多く在るはずだ。
「警察官だ」
その言葉に懸ける特捜部の面々の想い。
暴いて欲しい。
厚顔無恥な輩の罪を。
「本当の悲劇は、ほとんどの国民がそのことに無自覚であるという事実だ」
この言葉を心に刻む。
私には関係ない。
今が平穏ならそれでいい。
それじゃダメなんだよね。
何もできないにしろ、知ろうとすらしないことには何も変わらない。始まらない。
このシリーズは力いっぱいおススメしたい。
読む本に迷ったら『機龍警察』を。(笑)
「ご主人様と犬 2」鬼塚ツヤコ (ビーボーイスラッシュノベルズ)
自分が抱いた平が人化した飼い犬・平だとは気付かない上総。(そりゃそうだ)
本質が犬の平は言葉の裏側を読むなんてことが出来る筈もないわけで、
吐き出された上総の言葉に傷つくのがなんだか痛々しい。
いたたまれずに逃げ出して、最悪のタイミングでの正体バレ。
さて、次巻、どうなる?
後半は竟輔と守。
バカ犬平に対して竟輔の賢さには目を見張るものが!
いや、もう、竟輔は人化しても犬でもカッコいいんですけど。
守のことを労わりまくったセックスはよかった。最後はアレだったけど。
このカプは安心感あるわ。
主に、竟輔(犬)が若干性格難のある守(人間)を
ちゃんとひっぱっていってくれるという安心感。
隣家の犬を見る目がなんだか変わりそう。
たとえば、月夜になったら?
なんだかわくわくしますね~
「フランダースの犬」ごっこ。
これ、リアルでできちゃうってちょっとすごいんですけど!