きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「君にもわかるISO~許可証をください!5~」烏城あきら(二見シャレード文庫)
従来のやり方を変えて新しいことに取り組むのって、
とても労力がいるし、めんどくさい。
だけど、お互いの意見をきちんとぶつけ合って、
より良い方向に変えていこうとする彼らの姿が、とても素敵。
そんな中、思わぬことから前原の父親(中尾氏)に関係の知られてしまった二人。
「別れる」ことを切り出された二人が、それぞれで考え、中尾氏に対して伝えた想い。
どちらの出した答えも「らしく」て。
ちょっとやそっとじゃ揺らがない想いをはっきりと見せられて。
なんだか気持ちがあったかくなりました。
尊敬と競争心と恋情とを抱えて、この先彼らはどこまで成長していくのか。
考えるとワクワクします。
弘がテレフォンセックスに応じない子でよかった。
電話切った瞬間、私がガッツポーズ。
正直、前原は好きだけど、前原のセックスは体力勝負過ぎて疲れる。←ぶっちゃけすぎ?
ミスは隠してもロクなことにならない。
後からばれる方が倍怒られるしめんどくさい、に同感。
とりあえず、何かあったら速攻偉い人に報告しに行きます。
後ヨロシク!私知らない!的な。
でも、それがミエミエなのは自分でなんとかしなさいね?って返されます。
楽したいだけで持ってきた案件か、本当に困っているのか。
何故かばれるんだよね。(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
工場がISO規格を取得することになり、大忙しの弘。中でも昔ながらのやり方で製品を作り続けている製造部の説得には大苦戦。前原はといえば、大学卒業資格取得のためのスクーリングで東京へ。そこに突然現れたのが前原の父と名乗る中尾だった。娘の結婚に差し障るから同性同士のつきあいは解消するべきだ、と弘に告げる中尾の真意は果たして…。一方、取得期限のあるISOを多少強引にでも推し進めようとする弘に対し、東京から戻った前原は時間が必要だと訴え、意見は真っ向から対立してしまう。二つの難題を抱えた弘の出した答えとは。同志で恋人―真剣に向き合うからこそ分かち合える熱い思いが極まる、許可証シリーズ第五弾!書き下ろしは、弘の奔走の裏での前原と現場サイドの内情が明かされる『理由』。
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「紅はこべ」バロネス・オルツィ(創元推理文庫)
フランス革命時のフランスで横行する貴族の処刑。
動乱の最中のフランスからの貴族の亡命を指揮するイギリス人たちの秘密結社「紅はこべ」。
この物語は、彼らの活躍を描いた冒険活劇であり、パーシーとマルグリートの恋愛物語でもある。
というまとめ方に、誇張はないはず。
ならば、息をつく間もない緊迫の展開か!?と思いきや。
物語はゆる~く、なんだかほのぼのしく進行します。
敵役ですら、対応が甘い。
そのゆるさが楽しめれば、極上の娯楽。
迷惑と紙一重なマルグリートの一途さも、最後は許容できてしまう不思議。
行動を起こせる女子と甲斐性のある男子に喝采を。
私だけの王子様!的な感じで、パーシーのような男子に憧れる時期って、
どこかに絶対あると思う。
高校生の頃の私のこの本の感想は「パーシー、カッコイイ!」でした。軽い。(笑)
今回はそこまでのトキメキは残念ながらなかったわ~。
手元にあったのが西村氏の翻訳だったので、素直にそちらで読みましたが。
村岡花子女史の翻訳で読んでみたいわ!と思ったことを付け加えておきます。
「神の棘 Ⅱ」須賀しのぶ(新潮文庫)
広げた両手で守りきれるものは、とてもとても限られていて。
その腕に抱えきれないものは、零れ落ちてしまう。
だから、選択を迫られる。
所詮人。
そんな想いが拭いきれない者達が数多にいる一方で、
アルベルトの貫いた強さと愛と潔さに、涙が止まらなかった。
綺麗ごとは一切延べず、ただ自分にできることをやり遂げようと、
必死に奔走したマティアス。
彼の在り様こそ「神の子」に相応しい。
時代に翻弄されながらも、自らの意思で進むべき道を選び取ったのだと。
言い切れる彼ら自身の生き様に苦しくなる。
「君になりたかった」
その言葉は、失われてはいなかった友情の証。
日中会ってた友達に「まだ途中だけど、この本面白いよ」とおススメしたの。
で、読了後、メール「大泣きした。重いけど、良かった」って訴えたら
「近々買いに行ってくる」とお返事。
うん。是非読んで。
『キルゾーン』以来だから……何年振りだろう、須賀さん。
他の本も俄然読みたくなりました。
でも、その前にあとがきでも触れてあった皆川女史の『死の泉』。積んであったはず。
内容(「BOOK」データベースより)
ユダヤ人大量殺害という任務を与えられ、北の大地で生涯消せぬ汚名を背負ったアルベルト。救済を求めながら死にゆく兵の前で、ただ立ち尽くしていた、マティアス。激戦が続くイタリアで、彼らは道行きを共にすることに。聖都ヴァチカンにて二人を待ち受ける“奇跡”とは。廃墟と化した祖国に響きわたるのは、死者たちの昏き詠唱か、明日への希望を込めた聖歌か―。慟哭の完結編。
「さよならトロイメライ」尾上与一(Holly Novels)
「幸せ」
どこまでも主観的なもの。
万人が良かれと思うことであっても、当人にとって意に沿わぬものである限り、
それは彼にとっての「幸せ」とは言えない。
ぬくもりも、やさしさも、見返りも、何もいらない。
ただ、そばにいさせてくれるだけでいい。
それだけで、私は幸せに生きられる。
だとしても、好意を抱く相手が不遇に置かれた境遇を見つめ続ける周囲も辛い。
それでも、自らの意思を貫き通した弓削はしなやかで強い。
そんな弓削と共に在り続けた鉄真も。
運命はどこまでも彼らにやさしくはなかったけれども。
それでも、彼らは「幸せ」だったのだと、信じられる。
泣きすぎて目が痛い。
しばらく呆けていましたが、私、ペーパーやら小冊子やら同人やら諸々
入手していたことを、皆様の感想を拝見して思い出しました。
読まないと!
でも、もう少しこの余韻に浸っていようと思います。
美しい花の咲き乱れる庭の光景と、彼らの笑顔を反芻しながら。
内容(「BOOK」データベースより)
貿易商を営む宗方家に執事見習いとして入った弓削晶は、嫡男・鉄真の「船を港に導く灯台を建てたい」という夢を側で支え、一緒に叶えたいと願う。二人がささやかで清らかな信頼を静かに育んでいたある日、弓削は宗方家当主である鉄真の父に犯されてしまう。生きる意味を忘れ弄ばれる日々を過ごしていた弓削は、とうとう鉄真や弟の一誠にまで男の狂妄が及んだとき、彼らを守るため、当主を斬り殺す―。罪人であり仇となった弓削に、鉄真は口おしい思いで、一生側で罪を償えと命じるのだった…。鉄真と弓削、波乱に満ちた二人の純愛の行方を狂おしく艶やかに描いた大正浪漫が今、ここに開幕!
「神の棘 Ⅰ」須賀しのぶ(新潮文庫)
かつての旧友との再会。
蘇る青春の日々。
だが、それすら、仕組まれた事だった。
押し寄せる時代の波に抗うには、ひとりの人間の存在はあまりにも小さい。
誰かが行動を起こさなければ、世界は変わらない。
だが、それに伴う代償は、あまりにも大きい。
誰が悪い?と問われれば、そう言う時代だった、と答えるしかない。
どんな立場にあっても、足元から掬われる可能性が否めない。
出世の道を歩んでいた男ですら、一夜にして転落の一途を辿る。
「神は人を救えない。人を救うのは人だけです」
少女の言葉が胸に刺さる。
『神の棘』
タイトルの意味するところは何なのか。
突き詰めるのがちょっと怖い。
『HHhH』読了後のタイミングで読んだのは、私的には正解。
作中で語られる色々な事件や様々な人物が、よりリアルに飛び込んでくる。
そこかしこにちりばめられる不穏な気配。
ここから何が起きるのか、私たちは知っている。
この先彼らはどんな運命をたどるのか。
ドキドキしながら次巻へ。
内容(「BOOK」データベースより)
家族を悲劇的に失い、神に身を捧げる修道士となった、マティアス。怜悧な頭脳を活かすため、親衛隊に入隊したアルベルト。寄宿舎で同じ時を過ごした旧友が再会したその日、二つの真の運命が目を覚ます。独裁者が招いた戦乱。ユダヤ人に襲いかかる魔手。信仰、懐疑、友愛、裏切り。ナチス政権下ドイツを舞台に、様々な男女によって織りなされる、歴史オデッセイ。全面改訂決定版。
「午後の曳航」三島由紀夫(新潮文庫)
気味の悪さと、腹立たしさとに満ち満ちて読了。
甘ったれで独善的。
選民意識が鼻につく、頭でっかちな井の中の蛙たち。
作ってもらった弁当を携えての悪巧みがとても滑稽。
誰のおかげで今の生活があるのか、顧みるといい。
それがわからないのならば、踏みつぶされてしまえばいい。
と、割と本気で思ってみた。私、攻撃的。
幸せを追い求める権利って誰にでもあると思うの。
房子と竜二の恋は、私、とても綺麗だと思った。
恐ろしいのは猫の解体描写ですら美しく描き出す三島の文章力。
反芻すればするほど、腹立たしさに上書きされていく感情がある。
それを何と表すればいいのか、今はまだ、わからないけれども。
なんだか私、一人旅な感想になってしまっていて、笑える。
でもまぁ、率直に。
この物語は房子と竜二の恋の物語だと勝手に思って読み始めたのが敗因……かな?
子どもたちの思いにはまったく共感できなかった。
彼らを見ていたら『虚の王』の栄司をなんとなく思い出してみました。
蛇足ですが。
私の最高の嫌悪の賛辞(?)は踏んでやりたい、です。
もうちょっと三島を理解したら、再読してみたい作品。
「郷愁~ペーター・カーメンチント~」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
美しい描写で綴られる自然の情景。
物語の中心には、常に彼の故郷の湖や山がある。
澄んだ空気の中の美しい村の風景だけが印象に残っていて、
再読して主人公の思い込みの激しさと頑なさに驚いた。
だが、そんな彼もいつしか、やさしさと思いやりを備えた深みのある人間になっていく。
これは、一人の青年の成長の物語。
人との対話が人を育てることを、やさしく語りかけてくれる。
そして、生きる、ということは、死と密接に関係してくることも。
無垢で純粋な魂に涙し、情景描写の美しさに溜息を零し、
日々を生き抜く人々の命の讃歌に清々しい思いを抱きながらの読了。
やっぱりヘッセの作品が好き。
初読は18歳の時。
当時の読書ノートを引っ張り出して大笑い。
「人が人を育てる」というのは同じようなことを綴っていたけど、
今回私が最初のうちは「あれ?こんな自己中な人だっけ?」と
首を傾げたたペーター・カーメンチントを最初から「純粋な人」と
手放しで褒め称えていました。
そりゃあ、印象合致しないわ。(笑)
「青春はいかばかりうるわしき。されどそははかなく過ぎ行く。楽しからんものは、楽しめ。あすの日はたしかならず。」
心に刻んでおきたい言葉。
「ヘブンノウズ 物語」英田サキ(SHYノベルズ)
このシリーズは全編通して副題が内容と相まって心に刺さる。
今回の副題は「物語」。
人生を物語に例えるなら、主役は自分。
物語はそれぞれ独立したもの。
誰かの人生と完全に同調することがないからこそ、
いろんな感情や事象に振り回される。
だけど、そうやって関係を結んでいくのが人間。
渋澤の言葉と、それに対する旭の答えがぐっと響いた。
笑顔での全員集合のイラストに幸せな気持ちになった後に、
ミツルの言葉と、母の子を思う気持ちに涙を誘われました。
母親だけは何があっても自分の味方。
自分が、そう思える環境で育ったことに感謝したくなった。
苦しい過去を乗り越えてきた人たちが集う場所。
導いたのは己自身も苦しんだ渋澤。
彼らにとっての幸せな場所が、この先もずっと続きますように。
内容(「BOOK」データベースより)
イラストレーターの千野旭は、弟のミツルと一緒に恋人でベストセラー作家の渋澤征武の屋敷で暮らしている。最初は渋澤に反発ばかり感じていた旭だが、いまでは身体も心も渋澤に囚われていた。子供らしい明るさを取り戻しつつあるミツルに、嫉妬と独占欲を隠さず愛してくれる渋澤。穏やかで満たされた日々だったけれども、ある出来事が旭を不安に陥れて…!?『ヘブンノウズ』シリーズ、ついに完結!!
「ヘブンノウズ 赦罪」英田サキ(SHYノベルズ)
傍から見れば「これが最善」だと思える事であっても、
当事者側からすれば、自らの意思ではそこに踏み込めない局面がある。
罪の意識も相俟って、抜け出せない現状に雁字搦め。
打破するためには荒療治も必要だったし、
あれ以外なかったんだろうけど。
その前にどうにかならんかったんかい?と、無為とわかりつつプチ突っ込み。
ミツルのやさしさと健気さにはあったかくなったり切なくなったり。
頑張っている子供を見ると、どうしたって涙腺が緩みます。
拗らせすぎた渋澤は「赦罪」によってなんかイロイロふきっれましたね?
苦しんだ分、幸せになるといいと思います。
どうしても薫の旭への想いがしっくりこないまま、3巻まで読了。
旭に対する薫の恋心が垣間見れなかった。
結局「渋澤」ありき(薫が渋澤を愛してるっていう意味ではないけど)で、
旭のことを見てたのかな?と。
まー、これは私の受け止め方の問題。
彼には元気に旅から帰ってきて、またあの屋敷の日常の中に溶け込んでもらいたい。
内容(「BOOK」データベースより)
ベストセラー作家の渋澤征武にイラストの才能を見いだされた千野旭は、弟のミツルと渋澤の屋敷で暮らしている。恋人はつくらない主義だと宣言している渋澤に恋した旭は、身体だけの関係でもいいからと訴え、渋澤はそばにいることを許した。渋澤がある過去に苦しんでいることを知った旭は、渋澤の力になりたい、今は無理でもいつか本当の恋人になりたい、そう思っていた。そんなとき、旭はかつて渋澤と寝ていた速水に怪我を負わせてしまう。好きなのに擦れ違っていくふたりは―。