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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「エルマーとりゅう」ガーネット(福音館)



一つの冒険の終わりは、新しい冒険の始まり。
前回は一人だったエルマーの冒険も、今回はりゅうの子供と一緒。
飛び出してきた家に戻るために、
りゅうの背中に乗って空をひとっ跳び……と思いきや、これがなかなかに前途多難。
りゅうがどこまでも無邪気で子供らしいのに対して、
エルマーは、聡明でやさしい。
みかんを分けあって食べる一人と一匹がとてもかわいらしかった。
見知らぬ土地でもまさかの再会。
そしてドキドキわくわくの宝探し。
プレゼントを持って家に帰り着いたエルマーにはまさかのサプライズ。
楽しく読了しました。

りゅうの挿絵がとてもとても可愛くてお気に入り。
子供の頃、私が空を飛ぶために乗りたかったものは
銀河鉄道999でした。(笑)


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「不良の木」北方謙三(光光社文庫)




不良の木。
とても見慣れた変哲のない単語の組み合わせ。
だが、最後まで読み切って、このタイトルに唸る。
この物語の中でしか汲み取ることのできない意味が、その言葉には込められていた。
大切なのは、真実を見極める目。
惑わされることなく、背けることなく、ただ、真実を。
大都市間を往復する間に見えてきた真実。
一人の男に導かれ、命懸けで駆け回った彼らの踏み躙られた想い。
それでも、彼らはその真実を受け止めて、前に歩き出していく。
「いつか、また」
その約束が果たされる日が、来るのだろうか?
個人的には武田さんと野崎はなんだかいいコンビだと思うので、
この先も絡んで行ってほしいなぁ、と、思うわけなのです。


「君たち、どこまで行ったんだい?」
「Aまでよ」
この会話、今の中学生の子たちにも通じるのかしら?
もう死語?
と、思いっきり通じる世代の私は首を傾げてみました(笑)



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「エルマーのぼうけん」ルース・ガネット(福音館)



年老いた猫との出逢いに端を欲するエルマー少年の冒険譚。
冒険の目的は子どもの竜の救出と、空を飛びたいというエルマーの夢をかなえるため。
猫と一緒に旅立つかと思いきや、単身で旅に出たエルマー。
船出の瞬間からドキドキわくわくの連続。
冒険に出かけるにあたって猫の指示通りにリュックに詰めた不思議な荷物の数々。
それがどんなふうにお役立ちになるのかが判明するたびにおぉ!となりました。
動物さんたちったら単純。
危機一髪の窮地をどうやって乗り切るのか。
ワニはどこまでもワニだった……という顚末に思わず笑ってしまいました。
気持ちがあたたかくなる物語。
そして冒険したくなる物語。
夢の中でなら、私も冒険に出かけられるかな?

リュックの中身がミッキーマウスのマウスケツールのようだと思ったのは私だけかしら?(笑)
エルマーがもう一度猫に出逢えるかどうかがなんだか気になりました。
物語は次巻へ続いています。
入手せねば!


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「寄せては返す波のように」六青みつみ(ガッシュ文庫)




「ほんと、エリィってお馬鹿さん」と、ため息をつきながら読み始める。
だけど、早々に自らの過ちを悟り、同じ愚を犯さないように、
愛しいものを決して失わないようにと懸命になる彼と、
零れ落ちる記憶を必死で手繰り寄せるルースとの交流が、
胸が痛くて、だけど微笑ましくて、やっぱり苦しくて。
紡がれる彼らの言葉のやさしさと切なさに涙が滲む。
孤高に在ることしか知らなかったエリィが周囲の人たちと打ち解けていく様が
丁寧に自然に描かれていて嬉しくなる。
「君が忘れたら何度でもくり返そう」から始まる最後のモノローグが好きすぎて、
何度も涙目になりながら反芻して幸せに読了。

この作品、本当に本当に大好きです。
ホント、どうしようもないわねぇ、とため息をつきたくなるエリィが
ルースと出逢って、変わっていく様がとてもやさしい。
修復不可能かと思われたショアとの「いま幸せ?」のやりとりに
良かったね、と、心から安堵した。
たくさん泣いた分、ルースはエリィの腕の中で幸せになるといいと思います。


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「楊令伝9 遥光の章」北方謙三 (集英社文庫)



例えるなら、一陣の風。
一瞬の強風が駆け去った後、そこに彼の姿はなかった。
そんな想いが突き抜けた瞬間、世界が止まった。
この先に何があるのかを見失ったと言ってもいい。
ただその時を見届けるために駆けてきたのは、私も同じだと、気づかされる。
そして、世界が動き出した時、払った犠牲の大きさに、愕然とする。
淀んだ澱のように胸の中に不快に漂うものは、青蓮寺の存在。
暗躍を巡らす李富の考え方が気に入らない。
大きな変化を迎えた彼らが対峙していかなければならないのは、一国の在り様。
より大きな困難を抱えたように思えるのは、私だけだろうか?


「豹子頭林冲を思い出せ」
この言葉に、胸が震えた。
以下、これから読まれる方はガッツリネタバレてるのでスルーしてくださいね。
結局、国の在り様が人を殺す。
童貫は楊令に討たれたけど、宋という国に殺された部分も否めない。
李富も童貫を殺す側に加担した。
一見すると、孤軍奮闘だったようにしか思えないけれども。
童貫こそが誰よりも楊令との戦いを望んでいた。
背後の柵など、見えていなかったに違いない。
と、心は梁山泊の同志な私ですが。
童貫の在り様には最後まで敬意を表したいと思うのです。


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「蒼い海に秘めた恋」六青みつみ(ガッシュ文庫)




寂寞と諦念の滲んだとても綺麗で澄み切った想い。
だけど、核になる部分はとても強くて。
まっすぐに向けられたその想いは揺らがない。
モニタに映し出された、会ったことのないグレイの姿に焦がれる程、
追い詰められていたショア。
焦がれた場所に決死の想いで辿りつけはしたけれども。
言葉を封じられてしまった人間は、どうやってその想いを伝えればいいのだろう?
ショアのいじらしさと健気さに胸が痛んで仕方なかった。
何もわからぬまま苛立つグレイに理解してよ!と望むのは、多分酷だろう。
でも、非難めいた想いを向けたくなってしまう。
だからこそ。
二人で迎えたラストに心の底から安堵するのです。

彼にはあの子を惜しむ権利も、もう一度その腕に抱きしめる権利もない。
手放したのは、自分自身の咎なのだから。
だから私からの言葉は「お馬鹿さんなエリィ」。
ふふ。だけど続編も大好きなのです。
藤さんのイラストが作品の内容と絶妙なマッチング。
何度読んでも切なくて泣ける……でも、大好きな作品です。


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「楊令伝8 箭激の章」北方謙三 (集英社文庫)



史進が抱いた寂しさを、私も一緒に噛みしめる。
仕方ないよね、と割り切れない寂しさ。
それは、戦場に身を置く限り、どうすることもできない別れだ。
散っていった同志たちの息子たちの活躍が目覚ましいことが救い。
だが、花飛燐は大きな傷をその胸に抱えることになる。
その傷は、彼を戦場で名だたる指揮官たらしめるのに一役買うだろう。
ちょと生意気な花飛燐の成長をとても楽しみにしていたけれども。
そんな哀しみの果てにある強さではなかった。切ないなぁ。
呼延凌にはまっすぐに強くなっていってほしい。
この巻はどうしようもない喪失感に塗れて読了。

そして怒り再び。聞煥章~~~!!
女子として。
奴はどうしても許せない。
この戦いもそろそろ決着かな?
私、童貫も嫌いじゃないので、次巻を読むのが怖いわ~。

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「桶川ストーカー殺人事件―遺言」清水潔 (新潮文庫)



「彼女はただ訴えたのだ。警察に。助けてくれと」
彼女と同じ状況に陥った場合、頼るのはまず警察だ。
だが、命の危険を訴えた彼女に助けの手すら差し伸べず、
取り返しのつかない事件が起こってしまった後は自分たちに都合の悪いことを隠すために
事実を隠蔽し、個人を攻撃する警察の何を信じればいいのか?
全ての警察がこうであるとは思わないけれども。
市民を守り、犯人を追いかけるべき警察のこの有様。
自らの足で殺人犯を探し当てた著者の尽力がなければどうなっていた?
考えるだけで、ぞっとする。
一個人の警察官が第一に守るべきもの。
たとえそれが自分であり、自分の家族であったとしても。
組織としての警察が守るべきものは組織ではなく市民だ。

清水氏の成し遂げたこと。
警察がやらなかったこと。
当時の上尾署の方々にはきちんと考えてほしい。
軽んじられる命はあってはならない。



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「おまえが望む世界の終わりは」菅野彰(ディアプラス文庫)



気持ちは変わる。
そして、すれ違って壊れてしまった想いが元の形に戻ることはままならない。
傷つき、疲れ切って、後悔して。
そんな時に出逢ったからこそ、新たに育まれる関係がある。
全ては巡りあわせ。
いつ、どんな風に出会うかで、関係は変わる。
大人になりきれない彼らの言葉が痛くて。
彼女の叫びも切なくて。
言いだせない気持ちも、知りたい気持ちも、ぼんやり理解できるから余計に刺さる。
自分の言葉を悔やんで、相手を思って泣ける彼らは、
幸せになれる権利が絶対にある。
世界を終わらせるスイッチではなく、
手探りで模索する明日を求め始めた彼らに幸あれ。

精神状態がローの方にスイッチ入ってたら、しばらくどよーんとなっていたかも。
菅野さんの感性には同調してしまうから危ない。←賛辞です(笑)
傷つかなかったり、傷つけなかったり。
そんなふうにして生きていくことは多分できなくて。
だったらせめて、自分が自分が、と、なって誰かの気持ちを見失わないように
生きていきたいなーと思ってみました。


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「楊令伝7 驍騰の章」北方謙三 (集英社文庫)



近づく激戦の時を前に静かに語られる、
それぞれが抱えた覚悟や歩んできた人生。
彼らの間に悲壮感はない。
やるべきことをやりながら、ただひたすらに時を待つ。
彼らの会話から、男たちの関係性や想いが垣間見れることが嬉しい。
そして、とてつもない喪失が待っていた終盤。
声を呑み込んだ代わりに涙が溢れた。
最後に伝わった息子に対する父の深い想い。
そして、楊令が見せた激情。
彼とて、完璧な人間ではないのだと。
想わせる一面が嬉しく、そして哀しい。
犠牲は双方にあった。
「昔の自分を知る人間がいなくなった」
童貫の孤独がとても淋しい。
戦いは、始まったばかり。

「どういう意味かわからなかった」と、彼は言う。
そう。『楊令伝』から加わった者達にはわからない。
だけど、『水滸伝』から読みつづけている私にはわかる。
そんな、北方の表現が心憎い。
久しぶりに開いた『楊令伝』。
彼らがそこに居る。
ただそれだけで、胸に広がる心地よさ。
帰ってきた。
そんな気すらするのだ。
つまり、好きすぎて大変です。(笑)

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